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入院中の浣腸
令和5年8月21日投稿
先日ですが手術のため入院し、麻酔から覚めたのが火曜日。翌朝に排便はあったものの、久しぶりの入院ということもあり運動量が減り、水曜日の日中からは排便がない状態になりました。
便秘5日目の日曜日の朝に問診の看護師さんに便秘が続いていてお腹が張って苦しいことを伝えると下剤を勧められました。
「飲んでから8時間くらいで効いてくるお薬ですので、寝る前に飲む方が多いですよ。」
「入院していてベッドにいるので今飲んでもいいですか?」
「そうですね。それじゃあ今持ってきますね。」
ということで看護師さんからプルゼニド錠2錠を渡されました。私は内心(最初から浣腸のわけないものね…)と思いながらプルゼニドを飲み込みました。
夕方になりお腹がキュルキュルと痛み出してきましたが、お腹の奥の痛みを感じるだけで出そうとしても便は中々出てきません。入院生活の中で5日間にもわたり私を苦しめてきた便が私の出口をしっかりと塞いでしまったのです。
夕食前の問診で、看護師さんに下剤を飲んでも出なかったことを伝えました。看護師さんは、
「下剤で出ないとなると座薬を入れましょうか。先生に確認してきますね…」
と言い病室を後にしました。私は(そうよね、座薬よね… やっぱり浣腸してもらうのは無理ね…)と思いながら待っていると、数分後、看護師さんが戻ってきました。
看護師さんの手にはビニール袋と紫色の何かが見えました。そして、看護師さんから思いがけない一言が発せられたのです。
「先生の指示では座薬ではなく浣腸をかけるようにとのことです。浣腸でも大丈夫ですか?」
内心、私は大喜びでした。2年近く病院で浣腸をしてもらっていませんので我慢できるか不安でしたが、逸る気持ちを抑えながら
「…先生の指示ですし、今も苦しいのでお願いします。浣腸してください…」
と答えました。
私はベッドから起き上がり、そのまま看護師さんに案内され処置室に移動しました。
「それじゃあベッドに上がって下さい。」
「体の左側を下にして、横になったらお尻を出して下さい。」
過去に何度も聞いたあの流れです。淡々と、久しぶりの病院浣腸の時間が近づいてきました。私が病院着と下着に手をかけて太ももの少し下の辺りまで下着を下ろすと、すぐに看護師さんの手が私のお尻に近づいてきました。
「ちょっとお尻に触りますね…」
そう言われて一呼吸置いたくらいで、お尻の穴に少し冷たいものが塗られました。看護師さんの手に持っていたもう一つのボトルのようなもの、潤滑剤でしょう。看護師さんの手が離れて数秒後、
「失礼しますね…」
という言葉に続いて、お尻の穴ににゅるっとした感触が走りました。余りにも久しぶりの感触で
(もう間もなく浣腸されてしまう… いくら頑張っても出なかったウンチを無理矢理出す治療をされるんだわ…)
と思っているうちに長い管が少しずつ私の中に埋められていきます。数センチほど進んだ辺りで看護師さんの手が止まり、管から浣腸液がたっぷりと入っているボトルに移し替えられました。
「お薬まだですよ。大丈夫ですか?」
「はい…」
内心では期待しているのに、ためらいの気持ちもあります。浣腸が始まれば紫色(120ml)とはいえ1分もかかりません。もっと長くこの余韻に浸りたい、でもお腹も苦しくてパンパンに張っている…
「お腹が張って苦しいです…」
「これから浣腸かけますからね。苦しいのも治りますから大丈夫ですよ。」
私が力なく頷き、口を開けてはぁはぁと深呼吸を始めると、3呼吸したあたりで便秘を直すための治療が開始されました。手元の時計では17時25分でした。
(ちゅる、ちゅるっ… ちゅう~~~~~~~~)
一定のリズムで私の中に浣腸液が注がれ始めました。浣腸液は生暖かく、適温に温められていました。その瞬間、この看護師さんは私が何と言おうとも浣腸をかけるつもりだったんだ、私に拒否権はなかったんだということを実感し、私の嗜好ではない純粋な便秘の治療が行われているのだと認識し、うっとりと、嬉しくなってしまいました。
(ちゅう~~~~~~~~)
「もう少しお薬入りますからね…」
(ちゅう~~~~~~~~)
「もう少しですからね…」
(ちゅう~~~~…ジュッ、ジュボッ!)
ボトルの中の浣腸液が全て私の中に注がれたことがその大きな音からも分かりました。5日間の便秘に120mlのグリセリン浣腸…効果が出ないわけがありません。
(ズッ…)
私のお尻から浣腸器が抜き取られ、すぐにお尻にトイレットペーパーがあてがわれました。
「お疲れ様でした。あとはできるだけ我慢して、出そうになったら部屋のあのトイレに行ってくださいね…」
看護師さんはそう言い残して処置室を出ていきました。
(ぐるる~)
お腹の奥から鈍い音が鳴りましたが時計を見てもまだ26分。浣腸液が入り切ってから1分も経っていません。さすがに2本目の浣腸を求めるのは恥ずかしいし、お腹の苦しみも何とかしたい、そう思って我慢したのですが久しぶりの病院浣腸の効き目は十分でした。下剤ではびくともしなかったお腹がグルグルと動き出し、私は必死にこらえようとするのですがじわっじわっとお腹の中から液体がトイレットペーパーに沁み込んでいくのが分かりました。私の腸内でその役割を十分に果たした浣腸液が出口を求めだしました。
(せめて28分までは我慢しないと…! うぅっ、お腹が痛い…!)
一人残された処置室の中で次第に呼吸が荒くなっていきました。それでも便秘を解消するための治療なのだから3分は我慢しなければと思い、時計が28分になるのを必死に待ちました。足をばたつかせながら我慢していると時計が28分になりました。私は5日間もの便秘で重くなったお腹、浣腸液で満たされたお腹を抱えて起き上がると、浣腸液がトイレットペーパーにじゅわっと沁み込みました。
(まずい、漏れちゃいそうなくらい効いているわ…)
必死に体を支えながらトイレのドアを開けて便座にまたがります。便座に腰掛けて下着まで下ろして腰掛けようとするのと同時に役目を果たした浣腸液が出口に向かってきました。
(ブジュッ! ブジュジュ~~~~…)
大量の浣腸液と共に私を悩ませてきた便が勢いよく出てきようとしています。やはり直腸内で便が固まっていたのか、最初こそ難産でしたが、大きな塊を出し切るとあとは堰を切ったように出てきてくれました。
トイレには15分ほどこもっており、無事に浣腸が効いたことを看護師さんに報告に行きました。
浣腸が効いて便秘が解消されたことを看護師さんに伝えると看護師さんは「よかったぁ~」と一安心でした。久しぶりの病院浣腸をベテランの看護師さんにしてもらえたことは、とても幸せでした。
「すみません…便秘なんかでお手数をおかけして…」
「いいんですよ。入院していると便秘になる患者さんは比較的多いですし、気にしないでください。」
「でも下剤が効かなかったわけですし…」
「下剤は効かない人もいますからね。それに5日間も便秘していると苦しかったでしょうから大丈夫ですよ。」
本当は
「120mlの浣腸を温めて持ってきたので最初から浣腸するつもりでしたよね。」
と聞いてみたかったのですが,これはさすがに止めておきました。
改めて医療従事者の方に感謝です。
こちらが一番最近の病院での浣腸処置の体験談です。
このときの正直な気持ちとしては「やっぱり浣腸をしてもらうことはできないんだ…」という状況から一転して拒否できない状況での浣腸でしたので、とても嬉しかったのを覚えています。
私の考えになりますが、患者さんから自発的に「浣腸して欲しい」と伝えるのは、本人が希望するならばいいかなという程度で絶対に必要な処置とは限らないと思う一方で、医師や看護師さんから「浣腸しますね」と言われるのは便秘を治療するために絶対必要な処置なのだという印象です。
最近の外来ではよほどのことが無い限り浣腸の処置は行われないのではないかと思いますが、苦しさや辛さも伴う処置ですがその分効果も確実なので、もう少し行われてもよいのかなと思います。
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