即 効 薬
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即効薬 第二話 幼馴染みから Side-B
・序章
「真奈ちゃん、そろそろ帰ろうよ。」
「早くしないと、置いてくぞ〜」
「うにゅ、ちょっと待ってよ〜、みずりー、アズみん。」
「さーて、1週間も無事に終わった事だし、今日は思い切って遊んじゃいますか!」
「うん。それじゃあ、着替えて1時間後に駅に集合ね?」
「…うに、ごめん。マナはパス…」
「どしたの? 元気一番斬込隊長の真奈が?」
「…何それ?」
「にゅ、ごめんね。ちょっと用事があって…」
『…う〜む…』
「ど、どしたの?」
「真奈ちゃんって最近、少し変わったよね? いや、悪い意味じゃなくて。」
「月曜日は元気一杯で、週末が近づくと段々と具合悪そうになっていたのに、3ヶ月くらい前からは、1週間通して元気そのものだよね〜」
「そうそう。でも、元気になったのはいいけれど、金曜日の放課後の半分は遊びに出られない、と。」
「うんうん。」
『一体何があった!?』
「ふにゅ〜 それは秘密って事で…」
「露骨に怪しいわよ、真奈ちゃん。さては、彼氏でも出来たの?」
「…ふふふ、真奈、言い逃れは出来ないぞ? 先週バッチリ見ちゃったんだから!」
「ふぇ? 見たって、何を?」
「先週の土曜日! 駅前のカフェで男の子とデートしてたでしょ! かなりカッコイイ男の子だったよねぇ〜」
「ええっ!? 真奈ちゃんに恋人!? しかも週末にデートぉ!?」
「…うにっ、あれか… タカちゃんに買い物につき合ってもらって、そのお礼にお昼をおごったんだった…」
「誰だ、そのタカちゃんって!?」
「あれ? ひょっとして、幼馴染みの神城さんの事?」
「そうだよ、神城高志ちゃん。」
「…なんだ、幼馴染みかぁ… それで、そこから彼氏に発展してたりとかは?」
「んにゅ〜、まだそんなんじゃないってば。ただの幼なじみだよ。 …って何でそんなに肩落として落ち込んでるの? ふたりとも?」
「…だってさぁ…」
「…私たち3人、浮いた話ひとつ無いんだもの…」
「…自分に彼氏がいないのも寂しいし、誰かの彼氏をネタに盛り上がる事も出来ないし…」
「…真奈ちゃんが第1号になった、これで盛り上がるネタが出来た〜 って思ったのに…」
「…うにゅ〜 そんな事考えてたんだ…」
「というわけでリナ、彼氏が出来たら速やかに公表するよーに! 精一杯からかってあげるから!!」
「ちょっと梓! そんな事言ってるあなたこそ本当はどうなのよ!? ハッキリ答えなさい!!」
「何もないわよ! 悔しいけれど、これ以上無い位ハッキリ言えるわよ!!」
「…あは、あはは… マ、マナ、家こっちだから… さ、さよなら〜」
「あっ、こら〜! 逃げるな〜!」
…とっさに言っちゃったけど、気付かれなかったかな? 『まだ』そんなんじゃない、って。
タカちゃんの治療を初めて受けてから、もう3ヶ月がたった。タカちゃんがいいお薬を見つけてくれたから、今までみたいにひどくならないけど、前みたいに苦しくなるのはイヤだから、あれからも大体2週間おきに治療してもらっているの。
治療を受けているうちに、マナの心の中に、ふたつの感情が現れ始めたの。ううん、そのうちひとつは昔からあったけれど、もっとハッキリしてきたって言った方がいいのかな?
…そして、今日は金曜日…
・第一章 事故
「じゃあマナちゃん、次はお尻の中を調べるから。」
「うん…」
タカちゃんがお店を閉じてから、マナへの治療が始まった…
お腹の検査が終わった後、マナは、ベッドに胸を乗せて床に膝を付けて、いつものポーズになる。もう何回も繰り返した事なので、ふたりとも次に何をやればいいのかが完全に覚えちゃってる。
「じゃあ、塗るよ?」
「うん、いいよ… ん、んんっ…」
タカちゃんが、マナのお尻の穴に油を塗っている。お尻が、ムズムズして気持ちいい… いつの頃からか、マナは、タカちゃんの治療で気持ちよくなるようになっちゃってた… でも、こんなのダメだよね? タカちゃんは、マナの事心配して、こんな汚い治療を我慢してしてくれているんだから… …でも、どうしても声が漏れちゃうよ…
「んんっ、うくっ、うぁっ…」
…ダメ、ダメだよ、感じちゃ… …声、出ちゃう… …もっと、我慢しな…
「ひゃあっ!?」
「うわっ!?」
「くぅあぁっ!!」
突然、タカちゃんの指がお尻に入って来た。心の準備なんて何もなかったから、突然の快感に大きな声が出ちゃった。その声に驚いたタカちゃんが、勢い良く指を抜いちゃったから、また…
「…マ、マナちゃん?」
「…んにぃ〜… …ビックリした… …いきなりなんて、ひどいよぅ…」
タカちゃん、ひどい… いつもは『入れるよ』って言ってくれるのに… うぁ、お尻がジンジンするよぅ…
「ご、ごめんマナちゃん… いつもの事だから、うっかりしてた…」
「…うにゅ〜… 今度から気を付けてね…」
「ごめんね… じゃあ、もう1回入れるけど、いい?」
「…うん、いいよ…」
本当はよくないよ… お尻がまだジンジンしてる… 今、入れられちゃったら、絶対にいつもより気持ちよくなっちゃう… でも、ここで止めたら、きっとタカちゃん、変に思っちゃうから… タカちゃんには、マナがお尻で感じてるって知られたくないから…
「それじゃあ、入れるよ…」
「…んんっ、んぁっ、んくぅ…」
ダッ、ダメ… もっと、もっと我慢しなくちゃ… で、でも、気持ちいい…
「…うぁっ、うくぅ、ふぁっ、そこイィ、ん、んぅっ…」
「…マ、マナちゃん?」
「!!」
言っちゃった… タカちゃんに、お尻で感じてるの、バレちゃった… タカちゃんはマナの事心配してくれて治療してくれてるのに、マナは…
「んくぁっ!?」
タカちゃんが、また勢い良く指を抜いた。でも、全部じゃなくって、先っぽだけマナの中に残ってる… そして、指の先っぽで、マナのお尻を上下左右にかき混ぜてる…
「くぅぁぁっ! ちょ、ちょっとタカちゃん… うぁぁぁぁぁっ!」
気持ちよすぎて、声をおさえられない… 頭の中で、星がチカチカしてる… タカちゃん、どうしちゃったの…? 真剣に治療してるのに、マナが不真面目に感じちゃったから、怒ってるの…?
「ひぃぁぁぁぁっ! ダッ、ダメ… うあぁぁぁぁっ! うくぁぁぁぁっ!」
こ、今度は、お尻の中で指が回ってる… そして、そのまま出たり入ったり、何回も… ダッ、ダメッ! そんなにしたら、感じすぎちゃうっ!
「くぅぅぅぅっ! タ、タカちゃん、も、もう… ひゃぁぁぁぁっ!」
こ、今度は、勢い良く出し入れしてる… それだけじゃない。お尻の穴の周りも、もう片方の手で… も、もう本当にダメッ! これ以上されたら、イッちゃうっ!
「うくぁっ! く、くぅぅぅぅっ! も、もうダメッ!! ひゃあぁぁぁぁっ!!」
…イッちゃった… …もう、頭の中が真っ白… …体がビクンビクンってケイレンしてる… あっ、タカちゃん、指を抜いてくれた…
「…はぁっ はぁっ はぁっ…」
も、もう動けない… 体に力が入らないよぅ… ど、どうしよう… タカちゃんに、感じてるのがバレちゃった… しかも、お尻で…
…? なんだろう? …水の流れる音? どこから聞こえるんだろう…?
「…えっ? うわっ!」
…何? タカちゃんが、マナのあそこに何かを押し当てる。ダッ、ダメだよ、そんな所に… …でも、何? タカちゃんが押さえてくれたところが、じんわりと暖かくなっていく… そして、何か濡れていく感じが… …えっ、これって、まさか…
「…えっ? …イ、イヤァッ…」
お、お漏らししちゃった…? タカちゃんの目の前で… な、何とかしないと… でも、体に力が入らなくて、全然動けない… と、止まらない… …も、もう、イヤ…
「…うぅっ… …ひっく… …うえぇ… …うわあぁぁぁぁぁっ…」
「…ごめんね、マナちゃん… …ごめん…」
タカちゃんがマナに謝ってる… そんな、タカちゃんが謝る事ないのに… マナが、本当はマナが謝らなきゃいけないのに…
「…うぅっ… …タカちゃん、手…」
「…あっ…」
そのマナの一言で、タカちゃんは慌てて手を離した。そして、マナから離れて、何かゴソゴソやってる… そして、タオルとウェットティッシュ、それと、新しい紙パンツを出してきてくれた。
「…マナちゃん、とりあえず、これに着替えて… …僕は部屋から出てるから…」
「…うん… …終わったら呼ぶね…」
タカちゃんが部屋から出たのを確認して、マナはパンツを脱いだ。そして、タオルとウェットティッシュできれいに拭き取って、新しいパンツをはいた。床にも少しこぼれていたので、それもきれいに拭き取って、汚れ物はゴミ箱へ捨てた。
…どうしよう… タカちゃんの前で、お尻で感じて、イッちゃって、お漏らしまでしちゃって… タカちゃん、きっと怒ってるよね…? マナの事が心配で、一生懸命に治療してくれてたのに、マナはエッチに感じちゃってた… そして、お部屋まで汚して… もうダメ… 全部、タカちゃんに話しちゃおう… でも、全部話したら、こんなマナの事なんて、嫌いになっちゃうよね…? …それでも、もう黙っていられない…
「…タカちゃん、もういいよ…」
タカちゃんのベッドに腰掛けて、タカちゃんを呼んだ。タカちゃんがドアを開けて、部屋に入る。でも、入口から動こうとしない… もう、マナに近づくのもイヤなの…? でも、せめて、お話が終わるまでは側にいてほしい…
「…タカちゃん、ここ、来て…」
マナがそう言うと、タカちゃんは、ゆっくりとマナに近づいてきて、マナの隣に腰を下ろした…
・第二章 自白
しばらく、ふたりとも何も話せなかった。謝らなきゃいけないけど、なかなか言葉が出せない。時間だけが流れていった…
「…タカちゃん、ごめんね…」
意を決して、マナはそれだけ言った。もっと謝らなければいけないけど、それだけ言うのがやっとだった…
「…何でマナちゃんが謝るの?… …謝らなきゃいけないのは僕の方だよ… …許して貰えるとは思わないけど… …あんな事しちゃって、本当にごめん…」
…そうだったんだ… …タカちゃんは、マナを感じさせた事、恥ずかしい姿を見ちゃった事を悪いって思っているんだ… …でも、タカちゃんは悪くないんだよ?…
「…ううん、そうじゃないの… …お部屋も汚しちゃったし…」
「…それは、僕があんな事しなければ…」
「ちがう! それだけじゃないの!!」
「…マナちゃん?」
マナは、思わず叫んでいた。 …もう、全部言わないと…
「…初めて治療してもらった時、本当は、とても恥ずかしくて、気持ち悪かった… …それでも、タカちゃんだったから、苦しいのよりはずっといいから、治療してもらってたの…」
…本当に、初めはそうだった。でも、そのうち…
「…でもね、3回目くらいから、何かだんだんと気持ちよくなってきたの… …こんなの、ひどいよね… …タカちゃん、マナの事心配して、一生懸命治療してくれてたのに、マナは…」
…マナは、いやらしく感じてた… …タカちゃんの心配や我慢なんて、気にもせずに…
「…でも、その気持ちよさが忘れられなくて、マナは… …お風呂でお尻に指を入れてみたり… …自分で浣腸を買ってきて、使ってみたり… …そんな事、してたの… …でも、タカちゃんがしてくれる程、気持ちよくなれなかった… …だから… …わざと便秘になって、タカちゃんに治療してもらってたの…」
「…わざと、便秘に…?」
「…うん… …時々、お薬飲むの止めてた…」
さすがにタカちゃんが聞き返してくる。マナのお腹の具合が良くなったのは、タカちゃんが見つけてくれたお薬…下剤のおかげだった。お腹も痛くならずに、体にも優しくて、ちゃんと効くお薬。便秘じゃない時にタカちゃんに検査されれば、絶対に便秘じゃないって分かっちゃう。便秘じゃなければ、治療してもらえない… だから、治療してもらえる日の3日前からお薬を止めて、わざと便秘になっていた。タカちゃんをだまして、気持ちよくしてもらうためだけに…
「…マナって、ひどいよね… …タカちゃんだって、人のトイレの世話なんかイヤでしょ?… …でも、マナのお腹を治すために、汚いの我慢して治療してくれてたんだよね?… …それなのに、マナは… …気持ちよくなりたいためだけに… …タカちゃんをだまして…」
「…マナちゃん…」
マナの目から、涙が膝に落ちる。肩が震えて、止まらない。タカちゃん、今の聞いて、絶対に怒っているよね? 許してくれないよね? マナの事が心配で、トイレの世話っていう汚い治療を、イヤなのを我慢して一生懸命してくれてたのに、マナはただ気持ちよくなりたかっただけだなんて…
「…マナ、もう… …ここに来ないから… …もうタカちゃんに会わないから… …お願い、マナの事なんか、もう忘れて… …お尻で感じちゃう変態で、こんなひどい事を平気でやっちゃう女の子の事なんて… …タカちゃんも、本当は治療するの、汚くて、イヤだったんでしょ?… …だから、もう、マナの事なんて…」
「…違う… …そうじゃないよ、マナちゃん… …お願い、聞いて…」
タカちゃんがマナの肩に手を回してくる… その手が触れた瞬間、思わずビクッて震えちゃう… いつもは魔法みたいに、悲しみを拭ってやさしさをくれる不思議な手。でも今は、その手が触れているのが、とっても怖い…
「…確かに、他の人のトイレの世話なんて、好き好んで出来る事じゃない… …他の誰かにこの治療をしてと言われても、そんなのは絶対やりたくない…」
「…やっぱりイヤだよね… …だから、マナの事なんて、もう…」
「…でもね、マナちゃん… …好きな人が苦しんでいるのを助ける事が出来るんだから、嫌じゃなかったよ… …むしろ、嬉しかった…」
「えっ!?」
今、何て…? タカちゃん、マナの事が… …本当なの?
「…感じちゃってた、っていうのはちょっと驚いたけど… …少し、嬉しいよ…」
「…タカちゃん…」
本当に、嬉しかったの…? 本当に、怒ってないの…?
「でも、僕にはマナちゃんを『好き』と言える資格なんて無いのかもしれない…」
「…えっ?」
タカちゃんがマナから目をそらして、肩から手をどける。 …どうしちゃったの? 今、マナの事『好き』って言ってくれたばっかりなのに… 『好き』っていう資格がないって、どういう事…? …やっぱり、マナの事、許せないの…?
「僕も…ね、マナちゃんに謝らなきゃいけない事があるんだ…」
…タカちゃんが、マナに謝らなきゃいけない事? そんなのあるはず無いよ… 一体何を言ってるの?
「…マナちゃんの治療をしながら、マナちゃんの声を聞いて、マナちゃんが恥ずかしがる姿を見て、僕は… …本当は、興奮してた…」
「…タカちゃん…」
本当なの? タカちゃんも、マナを見てエッチな気持ちになってたなんて…
「…それだけじゃないんだ… …僕は、マナちゃんが帰った後、時々… …マナちゃんの穿いていたパンツを使って…」
「…えっ?…」
マナがはいてたパンツを使って、って… …ひとりでしてた、って事なの? マナの事を想って?
「…僕は… …僕は…」
「…タカちゃん…」
今度は、タカちゃんが泣いていた… …タカちゃんも、マナにひどい事したって思ってる… …本当は、そんな事無いんだよ? 確かに恥ずかしかったけど、全然イヤじゃないんだよ? 今の話を聞いて、嬉しいって思ってるんだよ? だって、マナも…
マナは、タカちゃんを抱きしめて、そして…
チュッ
…タカちゃんの唇に、キスをした…
「マナちゃん!?」
「…おあいこ、だね…」
まだ涙は止まらないけど、無理して笑顔を作る。タカちゃんに安心してもらいたくて…
「…おあいこ、って… …何処がなの?… …僕は、信じてくれていたマナちゃんを裏切って…」
「…マナは、気持ちよくなりたくて、エッチな目的でタカちゃんをだまして治療してもらってた… …タカちゃんは、マナを治療しながら、エッチな気持ちになっちゃってた…」
「…でも…」
「…それに、タカちゃんは、マナの事を好きって言ってくれた… …そして、マナもタカちゃんが好き…」
「えっ!?」
タカちゃんから治療してもらっているうちに、マナの中にできたふたつの感情… ひとつは、お尻が気持ちいいっていう事… そしてもうひとつは、昔から少しあって、だんだんとハッキリしてきた感情… そう、タカちゃんが好き…
「…マナも、タカちゃんが好き… …だから、とっても恥ずかしかったけど… …全然、イヤじゃなかったよ… …とっても、嬉しかった…」
「…マナちゃん…」
「…タカちゃん…」
タカちゃんが、マナを抱きしめてくれる。マナも、タカちゃんの背中に手を回して、抱きしめる。そして、また軽く唇を合わせ、抱き合ったままふたりで泣いていた。これは、さっきまでの悲しくて切ない涙じゃない。全部嬉し涙になっちゃっていたから…
・第三章 治療
「…タカちゃん、大丈夫?」
「…うん、もう大丈夫だよ… …ありがとう、マナちゃん…」
「…そういえば、前にマナが病院の事を話した時とは、反対だね?」
「…うん…」
タカちゃんもマナも、もう泣きやんでいた。いつもみたいに、ううん、いつもよりもホッとする雰囲気の中で、自然に笑みがこぼれる…
「あのね、タカちゃん… …マナのお願い、聞いてくれるかな?」
「うん、何?」
「…やっぱり、今日も治療してほしいの… 今日のためにお薬止めてたから、少し苦しいの…」
「うん。でも、時間が…」
「分かってる。けど…」
色々と話しちゃったせいで、かなり時間が経っちゃってる。今からいつも通りにやっちゃうと、タカちゃんのパパやママが帰って来ちゃう時間になっちゃう。でも…
「ここで止めて、また前みたいに苦しくなるのはイヤ…」
「分かったよ。すごく酷い訳じゃないし、後半の石鹸だけやってあげる。」
「うん… ありがとう…」
マナは、ベッドに胸を乗せて床に膝を付けて、いつものポーズになる。タカちゃんが、いつものお薬を用意してくれている。
「じゃあ、入れるよ?」
「うん、来て… ふぁっ… くうぅぅぅぅ…」
あ… 入ってくる… お尻の中でお薬が動き回ってるのが、気持ちいい…
「…どう? 苦しくない?」
「うん、苦しくないよ… お尻の中を動き回って入っていくのが、その、気持ちいいの…」
もう隠す必要はないから、気持ちよくなっちゃっている事を正直にタカちゃんに言っちゃう。でも、やっぱり恥ずかしいよ…
「はい、1本終わり。一度抜くから、お尻、気を付けて?」
「うん、いいよ… うあぁっ…」
「マナちゃんのその声、とっても可愛いよ。僕だけしか聞いていないから、我慢して抑えなくてもいいんだよ?」
「も、もう… そんな事言われても、マナ、恥ずかしいから…」
…やっぱり、どうしても恥ずかしいよぅ… …無意識に、声が出るの我慢しちゃう… …でも、タカちゃんだけになら…
「ちょっとそのままでいてね? もう1本入れるから。」
「…えっ、2本? ずっと1本だったのに?」
2回目の治療から、タカちゃんはマナに入れてくれるお薬を、浣腸器に2本ずつから1本ずつに減らしてた。一番初めみたいにひどくないから、この量で充分だって言ってたけど、何で今日は2本なの?
「今日は1回目をやってないし、時間がないから、多めに入れて確実に出しちゃった方がいいと思っただけど… もう苦しい?」
…そうだった。今日は時間がないんだった… …それに、2本でも大丈夫…
「う、ううん、大丈夫。いつもと違うから、ビックリしただけ… それに初めは2本入れたんだし…」
「うん。それじゃあ、入れるけど、いい?」
「うん、いいよ… ひゃぁ… うあぁぁぁぁ…」
き、気持ちいい… 2本目になると、お薬の量が多いから、お尻とお腹の中で動いてるのが、もっとはっきりと感じちゃう…
「…よし、これでお終い。じゃあ、抜くよ?」
「う、うん… ひゃぁっ…」
「じゃあ、また時間まで、ベッドに横になっててね?」
「うん…」
タカちゃんが、お尻を押さえるトイレットペーパーを渡してくれる。 …お薬が効くまでの間、タカちゃんにやってもらいたい事があるんだ… …前は言えなかったけど、ふたりとも好きって言い合った今なら、少し恥ずかしいけど言える…
「…あのね、お願いがあるの…」
「…何?」
「あのね… その、えっと… タカちゃんに… ひざまくら、してほしい… …ダメ?」
「うん、いいよ… おいで?」
嬉しい… タカちゃんは、ベッドの上に、足を投げ出すように座る。マナはゴソゴソはい上がって、タカちゃんの太股の上に頭を置いた。うん、ちょうどいい高さ。正座だったら、高すぎたかも… ただ、体を横向きにしたままだから、タカちゃんの顔が見えないのがちょっと残念。でも、仰向けにはなれないし、位置を変えてタカちゃんの方を向いても、見えるのはお腹と… …ううん、何でもない… そのまま、タカちゃんはマナの頭をなでてくれた。
「…えへへ、タカちゃんの手、気持ちいい…」
顔は見えないけど、タカちゃんのやさしさが伝わってくるみたい… ホッとして、気持ちいいよ… …そうしているうちに、マナは、ある事に気が付いた。
「…やっぱり、そうだったんだ…」
「どうしたの?」
「あのね、さっきも言ったけど… マナはね、タカちゃんにしてもらうのがとっても気持ちよかったから、自分で指を入れたり、浣腸を買ってきて使ったり、した事あるの。でも、自分でしても、指は気持ち悪いし、浣腸は苦しいだけだし、ほとんど気持ちよくなれなかったの…」
「…気持ち良くなれなかった?」
「うん、全然気持ちよくならなかったわけじゃないけどね… 何で気持ちよくならないか、ずっと不思議だったの。でも、今日、はっきり分かったような気がするの…」
「分かったって… 何が?」
うぁ、恥ずかしい… また顔がユデダコになっちゃったよ…
「…その… …マナはお尻や浣腸が気持ちいいんじゃない… …タカちゃんがしてくれるから、気持ちいいんだ、って…」
「マナちゃん… …ありがとう、嬉しいよ…」
「…お礼を言うのは、マナの方だよ… …タカちゃん、ありがとう…」
「…マナちゃん、ひとつ、いいかな?」
「…何?」
「薬は、ちゃんと飲んでね? 薬を飲んでいない時に治療出来なくなると、また昔みたいに酷くなっちゃうからね。」
「…うん、でも…」
…浣腸は便秘の治療だから、便秘じゃなかったら、してくれないんだよね?…
「大丈夫だよ。便秘じゃなくても、治療してあげるから… …気持ち良くなるための治療を、ね?」
「…いいの? …本当に?」
「もちろんだよ。マナちゃんが気持ち良くなってくれるのは、僕も嬉しいから…」
「…ありがとう、タカちゃん…」
…ホッとした… …便秘じゃなくなっても、マナの事、気持ちよくしてくれるんだ… …便秘の苦しさを味あわなくていいって、嬉しいよ…
「…うぁっ…」
き、きた… お腹はそんなに痛くないけど、出ちゃいそう…
「そろそろ効いてきたかな? トイレに行こうか?」
「う、うん…」
タカちゃんが、マナの手を取って、ベッドから起こしてくれた。そして、手をつないだままトイレまで連れていってくれた。マナはトイレに入って、ドアを閉める前に、タカちゃんに話しかける。
「タカちゃん… イヤじゃなかったら、耳、押さえてなくていいからね…」
「…えっ?」
タカちゃんが聞き返す前に、ドアを閉めちゃう。 …言っちゃった、恥ずかしい… でもタカちゃん、マナが恥ずかしくないように、今までずっと耳ふさいでてくれたんだよね? 本当は恥ずかしいけど、タカちゃんだったら、聞かれちゃってもいいよ… マナはパンツを降ろして、便座に腰掛ける。そして、意を決して、お腹に力を入れる… それは、いつもより大きな音を立てて、マナから出ていった。うぅ、いっぱい出てる… お薬が多かったせいか、いつもの1回分よりたくさん出てるよ。そしてその分、音も大きく、長い時間鳴っていた…
全部出し切ってから、お尻を拭いて水を流して、トイレを出た。タカちゃんは、洗面台で洗い物をしていた。マナのお尻の中に入れた浣腸器を…
「あっ…」
…あの先端が、マナのお尻の中に入ってたんだよね? それを汚いって思わないの? つい、それをじっと見つめてしまう…
「どうだった?」
「…いっぱい出たよ… …音、聞こえたんでしょ?…」
うぅ、あらためて聞かれると、やっぱり恥ずかしいよぅ…
「一応、確認をね。でも、ちゃんと出て、良かったね?」
「…うん…」
「…マナちゃん、どうしたの? 何かあったの?」
「あ、ううん… タカちゃんは、それ、汚いって思わないの…? それ、さっきまで、マナのお尻の中に…」
「そんな事、思わないよ。だって、マナちゃんのだもん…」
マナのだから汚くない… やっぱり、好きな人のだと、そう思えるのかな? そう思ってもらえるって、とっても嬉しいよ…
「本当に? …ありがとう…」
「それじゃあ、治療は終わったから、着替えておいで? 僕は、部屋にいるから。」
「うん…」
マナは、そのまま着替えた部屋に入って、紙パンツを脱いで、パンティとスカートをはいた。そう言えばタカちゃん、この紙パンツ時々使うって言ってたよね…? 今日も使うのかな…? でも、使うってどうやって…? …それを思いついて瞬間、マナの顔は一気にユデダコになっちゃった… うあ、恥ずかしいよぅ… …でも、全然イヤじゃない。マナの事想ってくれているって思えて、逆にとっても嬉しいよ…
マナは、タカちゃんの部屋に戻った。そして、タカちゃんに紙パンツを差し出す。
「…タカちゃん、これ…」
「ああ、じゃあ、それはゴミ箱に…」
「…ううん… …ベッドの上… …置いておくね…」
…今日も使うんだったら、ゴミ箱に入れない方がいいよね?…
「…あ、うん… …でもマナちゃん、いいの?… …僕がそれを使ったら… …嫌じゃないの?…」
「…ううん、恥ずかしいけど、イヤじゃないよ… …それでタカちゃんが、その、マナの事想って、気持ちよくなってくれるなら…」
「…ありがとう、マナちゃん…」
タカちゃんが、マナの頭をなでてくれる。 でも、さすがに今のは恥ずかしかった。また顔がユデダコになっちゃって、タカちゃんの顔を見ていられない… 視線をそらすように、うつむいちゃった…
「…マナちゃん、1階へ降りよう。」
「…うん…」
タカちゃんは、マナの手を取って、階段を下りて1階へと連れていってくれる。マナは、まだユデダコのままで、顔を上げられない…
・第四章 恋人
1階に下りても、マナはユデダコのままでうつむいてた。 …タカちゃんの事見たいのに、顔を上げられない… …タカちゃんとお話ししたいのに、声が出ない… …一体どうしたらいいんだろう? どうし…
「ひゃゎわっ!?」
突然、首筋に冷たい何かを当てられて、マナはビックリして飛び上がっちゃった。慌てて振り返ると、タカちゃんがスポーツドリンクの缶を持って、マナの事見て微笑んでる。 …そっか、あれを当てられたんだ… ひどいなぁ、もぅ… すごくビックリしたよ…
「はい、マナちゃん。」
「うにゅ〜、ビックリしたよぅ… でもありがとう、のど乾いてたんだよ〜」
…あれ? 普通にタカちゃんの事見てる? 普通にお話してる? すごくビックリしたせいか、恥ずかしさが飛んでいちゃったみたい… そして、ふたりでイスに腰掛けて、スポーツドリンクを飲んだ。
「ねえ、マナちゃん。」
「んに?」
突然、タカちゃんが口を開いた。 …なんだろう?
「ひとつだけ、ちゃんと言っておきたい事があるんだ…」
「…な、何?」
ま、まさか… やっぱり汚いって思っちゃったの? お尻で感じるなんて、そんな子嫌いになっちゃったの? だましてた事、やっぱり許せないの? 心の中に、そんな事が次々に現れて、だんだんと不安になってくる… タカちゃんは、マナの事を見つめて、ハッキリと言った…
「マナちゃんの事が大好きです。幼馴染み、友達としてだけじゃなく、恋人として付き合ってください。」
…えっ? それって… …告白… …また顔がユデダコになって、涙がにじんじゃう…
「タ、タカちゃん…」
「…さっきのは、とても告白とは言えなかったからね。大事な事だから、ちゃんと言っておきたかったんだ…」
…う、嬉しい! タカちゃん! 思わずマナはタカちゃんに抱きついていた。そのまま顔を上げて、タカちゃんの瞳を見つめる… …タカちゃんがちゃんと言ってくれたんだもん。マナもちゃんと…
「…マナも… …マナも、タカちゃんの事が大好きです… …マナの恋人になってください…」
「マナちゃん…」
「タカちゃん…」
タカちゃんがマナの事を抱き返してくれる… そして、そのままそっとキスをする… ふたりの瞳から、涙が零れる…
「…タカちゃん… …いつからマナの事、好きになったの?…」
「…昔から、なんとなく好きだって感じはあった… …それが、はっきりと好きだって分かったのは、治療を始めてから…」
「…うん… …マナも同じ… …なんとなく好きだったから、タカちゃんに治療してもらえた… …それから、本当に好きに… …だから、マナのファースト・キス… …タカちゃんに、あげたんだよ…」
「…僕も、初めてをマナちゃんに貰ってもらえて、嬉しいよ…」
…タカちゃんも、さっきのがファースト・キスだったんだ… …嬉しい、お互い初めてだったなんて…
しばらく抱き合った後、マナは、ゆっくりとタカちゃんから離れた。本当はこのまま、ずっと抱き合っていたい。けれど…
「ご、ごめんね、タカちゃん… 今日、もう遅いから… もう帰って、パパとママの夕ご飯の準備しないと… ホントにごめんね、タカちゃん…」
「謝らなくていいよ… うちの父さんと母さんも、もうすぐ帰ってくるし… でも、その代わりって訳じゃないけれど…」
「な、何…?」
「明日、一緒に出かけようね? 何処でもいいから、ふたりでデートしようよ?」
「うん! 絶対だよ!」
「うん、絶対にね。それじゃあ、家まで送っていくよ。」
「えへへ、ありがと〜」
タカちゃんが家まで送ってくれた。3軒隣なのでたいした距離じゃないけれど、一緒にいられる時間が少しでも長くなるのと、少しでも一緒にいたいと思ってくれるのが嬉しい…
…幼馴染みから恋人に… …それも、普通では絶対にない、不思議な縁で…
・終章
『あやしい。』
「んにゅ? な、何? ふたりそろっていきなり…」
月曜日のお昼休み、マナはアズみんとみずりーとお弁当を食べるために、一緒に屋上に行った。そして、いい場所を見つけて腰を下ろした途端に、ふたりがハモってそう言ってきた。
「真奈、いつも明るいけど、今日は怪しい程明るい。」
「う〜ん、明るいって言うより、にへらにへらって感じよね? 舞い上がっているっていうか…」
「そ、そ〜かな〜?」
ひょっとして、タカちゃんの事が嬉しすぎて、思いっきり顔に出てた?
「さて、白状しなさい。彼氏出来たんでしょ?」
「真奈ちゃん、言い逃れは出来ないわよ? それとも、そこまで舞い上がれる原因って、他に何があるのかな?」
「う、うにぃ…」
バ、バレちゃってるよ… そう思った瞬間、またユデダコになっちゃった… うわぁ〜、なおさらごまかせる状態じゃなくなったよ〜
「…うん、じつは、そうなの…」
うつむいて、何とか小声でそれだけを言った…
「真奈ちゃん、えらいえらい。よく言えたね。」
「…うにゅ〜…」
「金曜日帰る時は何でもなかったから、出来たのは土日かな? んで真奈、相手は誰?」
「んにぃ〜、それはカンベンしてよ… …恥ずかしいから…」
そう言うと、ふたりは何かコソコソと話し始めた。 …何だろう? 話し終わると、ふたりは声をそろえてこう言ってきた。
『相手は幼馴染みの神城高志さん! 告白タイムは金曜日夕方!』
「んにえぇぇぇえっ!? な、何でそこまで!?」
な、何で!? タカちゃんだってバレてる!? しかも時間も正解!? ひょっとして、全部、治療の事もバレちゃってるの!?
「いや、なんとなく。でも、大正解みたいだね、真奈?」
「…あぅ…」
「真奈ちゃん、金曜日にこう言ってたじゃない。『まだそんなんじゃない』って。『まだ』って事は、そのうちそうなりたい、って思ってたんでしょ?」
「…あぅ…」
「それに、その時、真奈の顔赤くなってたよ? そのままの勢いで、その日のうちに告白したんじゃない?」
『まだ』って一言、やっぱり気付かれちゃってたんだ… それに、微妙に違うとはいえ、その日のうちに告白ってところまで当たってるよ…
「で、本当のところはどうなの?」
「…いや、あの、その…」
「何だ、違うのか。残念…」
一瞬、ふたりの目つきが変わったような気がした。 …まるで、面白いオモチャを見つけたみたいに…
「あ〜あ、アタシもホントに彼氏が欲しいな〜」
「真奈ちゃんの幼馴染みの神城さんなんでどうかしら? いい人みたいだし、私、アタックしてみようかしら?」
「んにゃっ!?」
「お、奇遇。じつはアタシもそう思ってたんだ。」
「ダッ、ダメェ〜! マナの恋人、取っちゃダメだよ〜!!」
『ほら、当たってた!!』
「!! あ、あうぅ〜」
は、はめられちゃった… 完全にバレちゃったよ… …でも、アズみんとみずりーなら、タカちゃんと恋人になった事、バレちゃってもいっか…
「さてと、真奈。告白したのかな? されたのかな?」
「その時の事、どんな感じだったか、何て言われたのか、全部教えてね? しっかり聞いてあげるから。」
「そ、それだけは本当にカンベンして〜!」
…結局カンベンしてもらえなくて、仕方なく、タカちゃんの家には勉強を教えてもらいに行った事にして、最後にお互いに告白したと言うしかなかった… …治療の事は、タカちゃんとマナだけの秘密だから…
−終−
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