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作:えり子

名器の夢 (前編)

 この小説の舞台は16世紀半ばのヨーロッパのとある国です。ヨーロッパの各国は王様が国を支配していて、国内の政治は安定していました。王侯貴族は優雅な暮らしをしていましたが、一般庶民は税金を納めなけらばならず、生活は楽ではなかったようです。
 宗教はキリスト教の教会が権力をもち、文化的にはバロック時代で、建築や絵画、音楽などの面で優れた作品が多く生まれています。
 特筆すべきは、主として貴族の女性の間で浣腸がもてはやされたことです。浣腸は瀉血と並んで、当時の医学で最も重要な処置でしたが、美容に効果があるとされ、貴族の女性のたしなみとなったのです。
 浣腸を行うのは、医者か薬剤師に限られていました。需要が多い割に供給体制が少なかったので、当然の成り行きとして、浣腸の料金は高騰したのです。
 ですから、一般庶民の女性にとって、浣腸は高嶺の花となっていたのです。つまり、浣腸は一般庶民の女性には手の届かない憧れのものだったのです。そういう浣腸ですが、医師や薬剤師は浣腸器や浣腸液に創意・工夫をこらし差別化を計って、より多くの顧客をつかもうとしたのです。

 浣腸は裁判や宗教などにも登場したようです。こういう時代背景を知って、この小説をお読み下さい。
 このあたりの情報は、「アナルバロック」、「排泄全書」、「お尻とその穴の文化史」などの書籍に詳しく出ています。

 私はエリーヌ・ラブレー、18才です。髪はブロンド、目はブルーです。16世紀半ばのヨーロッパのある王国の首都に住んでいます。
 私の父モーリス・ラブレーは金属の加工・細工の職人でマイスターの称号をもっているんです。父は弟子を抱えていましたが、父の指導、教育についていけずに、皆やめてしまったのです。だから、今は私が父のお仕事の手伝いをしているのです。父は働き者で、朝早くから夜遅くまで仕事をしています。それは単なるお金もうけのためではなく、趣味のようなものなのです。
 母は私が10才のときに病気で亡くなったのです。それから父は男手ひとつで私をここまで育ててくれました。

 父は器用で、腕がよいので、多くの種類の金属器具を作ります。作れないものがないと言ってもよいほどなのです。腕を見込まれて、王室や貴族からも多く注文が来るのです。
 もちろん、一般の人の依頼によってももの造りをします。農家のための、スキ、クワ、カマなどの農機具や馬具などを造ります。父の作った農機具は頑丈で使いやすいと評判なのです。
 父自身はあまり好きではにようですが、武具も製作します。ヨロイ、カブト、楯、剣、槍などです。父の作った剣はよく切れるという評判なのです。
 父がもっとも得意とするのは楽器なのです。フルートやピッコロ、ホルンなどを造りますが、とてもよい音色が出るのです。私も父に銀製のフルートを造ってもらいました。暇なときにはフルートを吹くのがとても楽しみなのです。
 その他、指輪やブレスレット、イヤリングも得意なのです。彫金の技術で、美しい模様を彫るのです。私にも素敵な銀製の指輪を造ってくれました。それを私はとても大切にしているのです。

 ある日のことです。王室からわが家に使者がやってきました。王様からの注文なのです。
 使者のシャルルさんは父に言います。
「モーリスさん、王様の勅命を伝えます。」
「はい。」
「あなたに浣腸器を3体製作して欲しいのです。 あなたの他に、木工職人、ガラス職人、陶器職人にも各3体ずつ注文を出します。 そして、それらを集めて王様主催のコンテストがあるのです。 コンテストにふさわしい装飾も施して下さい。 ただし、装飾は彫るだけで、宝石を埋め込むようなことはなりません。 素材のみの工作で勝負していただくのです。サイズは長さ50cm、外径6cm、本体の先端に5cmのノズルを付けて下さい。材質は金属なら何を使ってもかまいません。 それと同じ材質で便器も3体造って下さい。椅子式で、直径30cmの円板の中央に直径10cmの穴をあけて下さい。そして、長さ35cmの足を4本付けて下さい。材料が必要でしたら取り寄せますから申し出て下さい。製作期間は1カ月です。」
「シャルルさん、わかりました。王様の命令とあれば逆らうわけには行きません。注文はお受けします。後日材料のリストをお届けします。」
 シャルルさんは付け加えます。
「それから、こもうひとつ王様の要望をお伝えします。 浣腸器は外見だけではなく、王様の前で実際に使用して、性能を評価します。浣腸は医師が行いますが、被浣者はお嬢様にお願いします。」
「そうですか、それも従いましょう。」
「この浣腸器製作コンテストは王様のアイデアです。 参加する職人は確かな腕をもった職人で、しかも美しい娘さんのいる方に参加して もらうのです。 金属職人としてあなたと娘さんが選ばれました。 あなたの他に木工職人、ガラス職人、陶器職人とその娘さんが選ばれ、コンテストに参加することになります。」
 
 私は何と1カ月後に王様の前で浣腸をかけられることになったのです。浣腸には憧れがありましたが、まさかこんなことになろうとは・・・、まるで夢のようです。それはよい夢なのでしょうか、それとも悪夢なのでしょうか。もう私の頭はそのことでいっぱいになっています。
 私は父の仕事を手伝うかたわら、お針子養成学校に通っています。そこにはフランソワーズ先生がいらっしゃって、私たち生徒に、優しく、ときには厳しく指導をしています。
 先生は特に私にはやさしいんです。その理由は2つあるようです。ひとつの理由は、私は父ゆずりの器用さのためか、縫い物の腕がいいのです。私のステッチのラインはとても美しいとほめられます。
 もうひとつの理由は、先生は針の製作を私の父に依頼するのですが、針は何種類もあって、それぞれ形が違うのですが、父はどんな注文にも応じるのです。しかも父は納入品のほかに針を余分に製作して先生に渡すのでした。
 この学校で一番楽しいのは、休憩時間に親しい友人達と手製のクッキーをかじりながらおしゃべりをすることなのです。今日もフランシーヌとカトリーヌと私の3人で互いの作品を見せ合いながらおしゃべりをします。
「フランシーヌの縫い物はデザインがいいわね。」
「カトリーヌのは生地の色が素敵よ。」
「エリーヌのは縫製が美しいわ。」
「フランシーヌ、ちょっと顔色がよくないわ、体調がわるいの?」
「うん少し・・・。」
「生理痛なの?」
「ううん、うんちが出ないの、困ったわ。」
「便秘なんだ?」
「明日出なかったらお母さんにヒマシ油を飲まされるわ。」
「あれはつらいわね、飲みにくいし、おなかは痛くなるし・・・。」
「ねぇ、便秘と言えば、貴族の子がいいことしてるの知ってる?」
「もちろん知ってるわ、浣腸でしょ。」
「あれってとてもきもちいいそうよ、それに美人になれるそうよ。」
「いいな、私も浣腸されたいな。」
「だめよ、あれってすごく高いんだから。」
「そうよね、私たちは浣腸には縁がないのよね、エリーヌ。」
「・・・。」
「おや、エリーヌ、どうしたの?」
 私は2人に聞かれて困りました。私は隠し事がきらいなのです、それに隠してもバレちゃうかも知れません。
浣腸のことを2人にしゃべることにしました。
「実は、私ね、近々浣腸をされるかも知れないの。」
「えっ、いいな、いいな、でもいったいどうしたの?」
「うん、王様が父に浣腸器を注文したのよ、それを納めるとき、私の体で性能を
 確かめることになったの。」
「すご〜い、王様に会えるだけでも難しいのに、王様の前で浣腸されちゃうの?」
「そうなの、でも私、とても心配なの。」
「何が心配なの?」
「もし、粗相があったらどうなるか心配なの、生きて帰れないかも・・・。」
「エリーヌなら大丈夫よ、体も頑丈だし、しっかりしているし。」
「でも心配よ、浣腸の経験はないし。」
「祈るのよ、私、教会でエリーヌのために祈るわ、エリーヌの浣腸が成功しますようにと。」
「私もよ、きっと成功するわよ、頑張って。」
「ありがとう、頑張るわ。」

 王様から父に浣腸器の製作依頼が来たのです。これはとても名誉なことなのです。金属細工の分野で、父の腕が王様に認められたということなのですから。最近は貴族のご婦人や娘さんの間で浣腸が流行しているそうです。浣腸は体にとてもよいそうで、浣腸をすると美しくなれるそうなのです。その話を聞いて、私も実は浣腸に憧れているのです。ところが、浣腸は高価なため、一般庶民にとっては高嶺の花の存在で、私もまだ経験
したことがないのです。だから浣腸や浣腸器のことはよくわからないのです。
 父自身も浣腸器を製作した経験はないのです。それに、私も父と一緒にコンテストに参加することになったのです。しかも王様の面前で浣腸をされるのです。庶民の私が王様の前に出るなんて、信じられないことです。もう、今から胸がドキドキしています。
 でも、心配なことがあります。 私、生まれてこの方、浣腸を一度も経験していないのです。庶民の子はほとんどがそうなのです。浣腸は貴族だけのものと思っていました。実は、一度でいいから浣腸なるものを経験してみたいと、かねてから願望していたのです。

 自宅からそう遠い距離ではないところに、名医の誉れ高いアナトール先生がおられます。とても評判のよい先生なのです。父と私は医者のアナトール先生を訪問し、浣腸や浣腸器について教えを乞うことにしました。
「アナトール先生、今の度王様に浣腸器を納入することになりました。つきましては浣腸 器について教えていただきたいのです。」
「そうですか、それは名誉なことですね。よいものができるようご協力しましょう。」
「ありがとうございます。」

 先生は棚から浣腸器を取り出して、机の上に並べました。大・中・小の3つの浣腸器がありました。
「これが浣腸器です。浣腸は大浣腸、中浣腸、小浣腸の3種類があります。従って、浣腸器も3種類そろえています。」
「なるほど、これがそうですか。」
「そうです、これに薬の液を入れて、この先端のノズルを肛門に挿入します。 そしてピストンを押すと、液が肛門から体内に注がれるわけです。しばらくすると、薬が効いてきて、うんこがしたくなるわけです。体から汚れたうんこを出させるので、体が浄化され、病気が治るのです。特にご婦人に浣腸をすると病気が治るだけではなく、体内が浄化されて肌が美しくなるのです。」
「そうでしたか、よくわかりました。ところで、先生、製作に当たって注意することは何でしょう。」
「そうですね、ノズルの先端は肛門に触れるので、端の部分は丸みをつけて肛門を傷つけないようにしなければなりません。」
「それはそうですね。他にありますか。」
「ピストンと本体を密着させなければなりません。ピストンを押すときに、液が漏れないようにする必要がありますから。ただ、あまりきついと、ピストンが動かなくなります。
「それはわかりました。他には。」
「そうですね、やはり先端のノズルの部分ですが、この浣腸器はストレートの形状ですが、私が思うに、少しふくらみをもたせると、肛門によくフィットすると思うのです。」
「なるほど、それはそうですね。」
「よくわかりました。」
「ところで、お嬢さん、あなたは浣腸の経験はおありかな。」
「いえ、私はまだないんです。」
「せっかく来られたのだから、もしも、おいやでなければ浣腸をしてあげましょうか、もちろん代金は不要です。」
「えっ、いいんですか、私、うれしいです。実はお城に行って、私、王様の前で浣腸をされることになっているんです。 浣腸は経験ないので、とても不安でした。」
「そうでしたか、それはあの王様の考えそうなことですね。」
「お父さん、私、アナトール先生に浣腸をしていただいて良いかしら。」
「それはありがたいことだ、していただきなさい、お前の浣腸の体験にもなるし、僕も作品製作の参考にもなるから、大変ありがたいことです。」
「では、準備を始めましょう、モーリスさんも立ち会って下さい、モーリスさん、エリーヌさん、あちらの部屋へどうぞ。」

 私はアナトール先生のご好意で、生まれて初めて浣腸を経験することになりました。どんなものなのか、以前から気になって、憧れていたのです。
 先生の治療室に入ります。そこには若い女性がいました。先生が紹介をします。
「これは助手のマドレーヌです。こちらは被浣者のエリーヌさんです。」
 私は彼女に会釈をします。彼女も私に微笑みます。彼女は私と年令はあまりかわらないようで、笑顔が素敵なかわいい女性です。
 私は浣腸は初めてのことなので少し緊張します。緊張と期待、それに恥ずかしさの混じり合った複雑な気分です。でも、マドレーヌさんがにこやかな表情をしているので、緊張が少し和らぎます。彼女はこれからまるで楽しいことをするかのようなうれしそうな、にこやかな表情をしています。

 中央にベッドがあります。先生は私に言います。
「さあ、エリーヌさん、今から浣腸をしますから、まず衣類をすべて脱いで下さい。」
 私はまずワンピースを、次にシュミーズを、そしてショーツを脱ぎます。マドレーヌさんがそれをカゴに入れてくれます。
「あっ、ブラジャーはそのままでいいですよ。」
 彼女が言います。
「はい。」
 私はブラジャーをつけただけで、ほとんど素っ裸の姿になりました。家族とは言え、父の前で裸になるのはやはり恥ずかしいです。それにアナトール先生も私の前にいるのです。また、同性ながらマドレーヌさんもいるのです。
 でも、恥ずかしさよりも期待感が私の気分を高揚させます。ちょっぴりの不安、そして大きな期待で、私の胸はドキドキと高鳴ります。
 先生が言います。
「それではベッドに上がって下さい。」
 私は靴を脱いで、ベッドに上がります。
「初めってなので、顔を合わせない体位で行きましょう。四つん這いの姿勢をして、お尻を高く突き上げて下さい。」
「はい。」
 マドレーヌさんが手助けをしてくれます。先生が言います。
「浣腸器は1Lの中浣腸を使います。初めてでは2Lの大浣腸はつらいでしょう。」
「はい。」
「モーリスさん、よく見ていて下さい、浣腸器にまず液を満たします。」
 先生の指示でマドレーヌさんが操作をします。
「その液は何ですか。」
 私は先生に尋ねます。
「詳細は秘密ですが、いくつかの種類があります。今日は食塩水をベースにしたものを使います。」
「そうですか。」

 マドレーヌさんは液が入った容器の中に浣腸器を入れて、ピストンを引き上げます。とても手慣れた手つきです。液が浣腸器に吸い上げられます。先生が解説をします。
「ピストンとシリンダの間に隙間があると液がうまく吸い上げられないでしょう。」
「なるほど、これは造るときには注意しましょう。」
 マドレーヌさんが液を満たした浣腸器をもって、私の後ろに立ちます。
「肛門を傷つけないよう、オリーブオイルを塗りましょう。」
 先生はガーゼを丸くしてにオリーブオイルに浸し、それを私のお尻に挿入します。私のお尻の穴にオリーブオイルが塗られました。
 マドレーヌさんが先生に浣腸器を手渡します。
「さあ、浣腸器を挿入しますよ、楽にして下さい。」
 マドレーヌさんが両手で私のお尻の穴を大きく開きます。そして、先生がその中心部に浣腸器のノズルをゆっくり挿入します。確かに、私のお尻の穴に異物が侵入してきた感触を覚えます。でも、それは決していやな感触ではありません。むしろ、きもちいいくらいです。
 私は女の子です。場所は少し違うけど、体内にものを挿入されることによって、本能的に歓びを感じるような気がしてなりません。

「エリーヌさん、液を注入しますよ。」
「はい。」
 先生はゆっくりピストンを操作します。お尻に冷たい液が入ってくるのがわかります。その液は灼熱感があります。不思議です。液そのものは冷たいのに、お尻の中が燃えるように熱く感じるのです。
「注入が終わりました。浣腸器を抜きます。」
「はい。」
「このまましばらくがまんして下さい。」
そう先生は言います。マドレーヌさんがガーゼで私のお尻の穴を押さえます。内側から感じる灼熱感、外側から感じる圧迫感、その両方の作用で、私のおなかは次第に便意を感じてきました。
「先生、うんちがしたくなりました。」
「もう少しがまんして下さい。」
「はい。」
 私は便意と対峙します。それは波打つように私を襲います。波の高さは次第に増大します。大きな波が来て、波が引きます。そしてその次には前よりも大きな波がやってきます。私は必死にがまんを続けます。やがてそれも限界に近づきました。

「先生、もうがまんできません。」
「いいでしょう。オマルを上げなさい。」
 先生がマドレーヌさんに命じます。彼女はベッドの横に置いてあったオマルをベッドに上げます。それは小さな腰掛けのような形をしています。
 私は四つん這いの姿勢をやめ、ベッドの上のオマルに座ります。そしてすぐにお尻の穴が開いてしまいました。いままで必死にがまんしていたものが、せきを切ったようにオマルの中に出てしまいました。
「先生、うんちが全部出てしまいました。」
「そうですか、それでは便器をとりましょう。」
マドレーヌさんは便器をベッドの下におろしてフタをします。そして彼女は私ににこやかに言います。
「エリーヌさん、もう一度四つん這いになって下さい。」
「はい。」
「まずお尻を拭きましょう。」
そう言って彼女は濡れたガーゼで私のお尻を拭いて下さいました。

 アナトール先生がベッドの上の私に言います。
「さあ、今度はリンスをしましょう。ぬるま湯でお尻の中を洗います。おなかに残った浣腸液をすべて洗い流す必要があります。」
「そうなんですか、わかりました。」
「また四つん這いの姿勢を取って下さい。」
 私は先生の指示に従います。横で父が静かに私を見守っています。
 私のおなかにはまだあの灼熱感が残っています。きっと浣腸液が残っているのでしょう。それをお湯で洗い流すというのです。
 先生は2Lの大きな大浣腸器を取り出しました。その大きさに圧倒されそうです。
「今度はぬるま湯なので、量は多いですが苦しくありませんよ。」
「はい。」
 先生はマドレーヌさんにそれを渡します。マドレーヌさんはそれをぬるま湯の入ったピッチャーに入れます。
そしてピストンを引きます。大きな浣腸器にぬるま湯が満たされたようです。彼女はそれを先生に手渡します。 その浣腸器はとても大きさく、私は圧倒されてしまいそうです。
 先生はそれをもって私の後ろに立ちます。
「先ほどのようにまずお尻にオリーブオイルを塗ります。」
「はい。」
 もう様子がわかった私は、こわごわながらも少し落ち着いて処置を受けます。マドレーヌさんがガーゼを使って私のお尻の穴にオリーブオイルを塗ります。お尻をいじられるって、とても感じちゃうことなんですね。 もう2度目なので、私には処置の感触を楽しむ余裕があります。お尻の穴って、ほうんとうに敏感で、よく感じる場所なんですね。これは私にとって新しい発見でした。

 そして今度は浣腸器の挿入なのです。ここでも私は処置を楽しむ余裕があるのです。 マドレーヌさんが私のお尻の穴を広げます。お尻の穴はス〜ス〜という感じです。今度も浣腸器の操作は先生です。
 ゆっくりノズルが挿入されました。これっていい感じではないですか。とてもきもちいいです。もう私には不安のかけらもないです。すっかり浣腸を楽しむモードになっています。
 液の注入が始まりました。今度はあの灼熱感はありません。温かい液の通過がここちよいです。
 液が入り続けます。ごくゆっくりとした速度です。ここち良い時間が長く楽しめます。しかし、おなかに少し違和感も感じ始めました。

「半分はいりましたよ。」
 先生の声が聞こえました。まだ半分なのです。私、ちょっと不安になります。液の注入は続きます。おなかの違和感が増してきます。
「エリーヌさん、大丈夫ですか。」
「少し苦しいです。」
「がまんできなくなったら、そう言って下さい。」
「はい。」

 先ほどの浣腸液の場合は、便意には波があったのですが、今度は波ではなく、便意はまっすぐ増大してきます。
「先生、もうがまんできないです。」
「そうですか、1.8Lはいりましたからもういいでしょう。」
 そう言って先生は浣腸器を抜いて下さいました。そしてそれと同時にマドレーヌさんが便器をベッドに上げて下さったのです。 
 私、もう猶予はありませんでした。便器に座るとすぐに排出が始まりました。液量が多かったので、排出量もすごいです。それに伴ってはずかしい音も出てしまいました。たくさん出たのですがおなかにはまだ違和感が消えません。
 数分時間をおいておなかに力を入れると、再び排出がありました。これでやっとすっきりしました。マドレーヌさんが便器を片づけて下さり、お尻を拭いて下さいました。私の体は何とも言い様のないさわやかな感じに包まれました。

 私は先生とマドレーヌさんに言います。
「何だかとてもさわやかな気分になりました。きもちよくってたまりません。」
 先生が言います。
「そうでしょう。体の中の悪いものを洗い出しましたからね。今のあなたは一段と美しくなられましたよ。」

 私はマドレーヌさんに手伝ってもらいながら着衣をしました。そして部屋にある姿見に写った自分を眺めました。自分が別人のように美しくなっているのに気が付きました。
「浣腸ってすごいのね。きもちいいし、こんなに美しくなれるんだから・・・。」
そう思いました。

 父は浣腸器のイメージがつかめたようでした。アナトール先生とマドレーヌさんにお礼を言って、先生宅を後にしました。私の浣腸初体験は大成功でした。

 翌日、私はお針子学校に行きます。浣腸の成果でしょうか、今日は体も気分も最高にいい状態です。縫製の作業もスムーズに進みます。
 休憩時間になりました。フランシーヌ、ミレーヌ、そして私の仲良し3人組のおしゃべりタイムです。

「フランシーヌ、便秘は治ったの?」
「うん、結局次の日も出なっかったから、お母さんからヒマシ油を飲まされちゃったの、 とてもつらかったわ。あれってすご〜く飲みにくいし、おなかがモーレツに痛くなるし・・・。」
「それは大変だったわね、でもすっきりした顔になったわ。」
「そうかしら。」
「すっきりと言えば、エリーヌも今日は特別きれいよ、お肌が光輝いているわ。」
「そ〜ぉ、そう見える?」
「ほんとうにそうだわ、エリーヌ、何かよいことあったの?」

 私は隠さず昨日のことをすべて話してしまうことにしました。
「実はね、浣腸器のことを教えてもらうために、父と一緒にアナトール先生のところに行ったの。先生はいろいろ教えて下さったわ、そして最後に私に浣腸をしてあげようか。とおっしゃったの。もちろん、私、ありがたくお受けしたわ。」
「えっ、そんないいことがあったの。」
「それって、棚からぼたもちじゃない。」
「うらやましいな、浣腸をしてもらったなんて、せめて私たちに是非そのときの様子を話してくれる?」
「お願い、とても興味あるわ。」
「いいわよ。」
「浣腸器は筒の中にお薬の液が入っていて、先にノズルがついているの、それをお尻の穴に挿入するの、そしてピストンを押すと中の液がお尻の中に入っていくの、するとお尻の中が熱く、燃えるような感覚になっちゃうの、不思議な感覚よ。」
「そお、それはすごいわね。」
「それをしばらくがまんしてると、今度はうんちがしたくなっちゃうの、そのまましばらくがまんしていると、やがてもうがまんできなくなっちゃうの、そのとき便器を当ててくれるの、するときもちよくうんちが出ちゃうの、すっかり出ちゃうととてもきもちがいいわ。」
「どんな姿勢でされるの?」
「裸になって、ベッドの上で四つん這いになってされるのよ。」
「それって恥ずかしくないの?」
「恥ずかしいけど、もう何が何だかわからない状態よ。恥ずかしさを感じる状態じゃないわ。」
「入れるときに痛くはないの?」
「お尻にオリーブオイルを塗られるから痛くないわ。」
「おなかは痛くならないの。」
「痛くはないは、ただ、うんちをしたくなる感覚がじわりじわりと高まるの、できるだけそれを我慢しなければいけないわ。」
「漏れたりしないの?」
「助手の方がガーゼでお尻を押さえてくれるは、その人は女性よ。」
「最後はどうなるの?」
「もうがまんできないですと訴えたら、便器を準備してくれるわ、便器に座るともう、せきを切ったようにうんちが出るの、そしてとてもすっきりした気分になるの、がまんした後だけに、すっきりして、とてもきもちいいわ。」
「まだあるのよ、もう一度浣腸をしなければならないの、それはリンスなの。」
「そ〜お、それは同じ液をいれるの。」
「違うわ、今度はただのお水よ、ぬるま湯だけど。」
「どれくらい入れるの?」
「2Lよ、とても多いわ、でもそれほど苦しくないわ、むしろきもちいいの。」
「2Lとはすご〜い。」
「これが終わったらほんとうにすっきりよ、おなかの中の汚れがすっかりでちゃうから。」
「そうか、それでお肌もきれいになるんだ。」
「ふ〜ん、浣腸って、おもしろそうね、ちょっと恥ずかしいそうでもあるけど。」
「私も経験してみたいな。でも無理ね、父は技能をもっていないから。」
「私の父もだめね、早食い、大食いの特技はあるけど・・・。」
「もう本番は大丈夫ね。」
「うん、少し様子がわかったわ、よかった。」

 それから父と私は浣腸器の設計、製作に取りかかったのです。材料が1週間後に王室から届けられました。
 納入する作品は3つです。父は素材を変えて3つ造るつもりのようです。
 私は父の仕事場で、炉に石炭をくべ、お湯と水を準備するなどのお手伝いをします。父は金属を加熱したり、叩いたり、削ったりして浣腸器に加工します。
 試作品がいくつかできたのですが、父は気にくわないと言ってそれをつぶしてしまいました。試行錯誤でいくつもの浣腸器ができては消え、できては消えしました。

 そして1カ月後、ついに5つの浣腸器が完成したのです。王様に納めるのは3つですが、もう一つはアナトール先生に捧げたいという父の希望があったのです。さらに一つはわが家に置いておくのです。父も私もほっとすると同時にうれしくなりました。
 私は父に言います。
「お父さん、この作品は素晴らしいわ、でも本番の前に実際にテストをする必要があるわ。是非私の体を使ってテストして欲しいの。王様の前での本番のリハーサルの意味も含めて・・・。」
「そうか、実はお前に頼もうと思っていたのだが、お前からそう言ってくれるとありがたいよ。」
「善は急げよ、さっそくはじめましょう。」

 私はすぐにお湯をわかしてぬるま湯を作ります。アナトール先生のところでははじめに薬を使ったけど、それはできないから、2度目のときのように、ぬるま湯を使います。
 私の寝室を実験室にします。浣腸器と、ぬるま湯を入れたピッチャー、オリーブオイル、ガーゼ、それに便器を持ち込みます。
 アナトール先生のところで父は私の浣腸に立ち会ったのです。だからもう恥ずかしくはありません。私は衣類を全部脱いで、素裸になります。そしてベッドの上で四つん這いになります。父が浣腸器にぬるま湯を満たします。

「エリーヌ、さあ始めるぞ。」
「うん、いいわよ。最初はお尻にオリーブオイルを塗ってね。」
「そうするよ。」
 父は私のお尻の穴を開き、ガーゼにオリーブオイルを含ませて、それで拭きます。父は器用な手先を使ってやさしくやってくれるから、お尻はとてもきもちいいんです。

「それじゃあ、いよいよ浣腸をはじめるぞ。」
「はい、お願いするわ。」
 お尻にゆっくりノズルが挿入されました。アナトール先生の浣腸器よりもきもちがいいです。というのも、父はノズルにふくらみをもたせたので、ノズルがお尻の穴にぴったりフィットするのがその理由なのです。
「お父さん、とても感触がいいわよ、先生のときよりいい感じよ。」
「そうか。それでは注入するぞ。」
「お願いします。」
 液がゆっくり入ってきます。この感触、とてもいいです。私、今、父から浣腸をされているんです。大好きな父から、あたたかい愛情をいっぱい注がれているような気がするんです。私は思いっきり父に甘えることにします。これは父からの愛のしるし、いわば ”愛の浣腸” なのです。

「お父さん、とてもいいわ。いいきもちよ。」
「そうか、苦しくはないか。」
「大丈夫よ。平気よ。」
「そうか、浣腸器は液の漏れもなく、注入はスムーズだよ。」
「そう、それはよかったわ。」
「さあ、もう終わったぞ、浣腸器を抜くぞ。」
「えっ、もう終わったの、不思議ね、先生のところでは浣腸はとても苦しかったのに。」
「これは1Lだし、体調にもよるんじゃないか。それにこの前は浣腸は初めての経験だったし。」
「そうじゃないわ、お父さんと、この浣腸器のおかげよ、これはとてもいいわよ。」
「そうか。」
「私、そろそろ便器に座るわ。」
「そうか。じゃあ、僕は部屋の外で待っているよ。」
「だめよ、お父さん、ここで最後まで見届けて欲しいのよ。」
「そうか、わかったよ。」
 排便はスムーズでした。とてもきもちよく、すっきりしました。とてもよい浣腸器ができあがったと実感しました。

 私は翌日はもうひとつの浣腸器で、そして翌々日はさらにもうひとつ・・・合計5つの浣腸器で、私は父から浣腸を受けたのです。とても幸せな気分でした。
 もちろん、どの浣腸器も性能に問題はありませんでした。

 浣腸って、とてもいいものです。最高ですね。貴族の家の女性達が常用しているのも理解できます。私も、もう6回も浣腸を経験してしまいました。とても幸せな気分です。

 父と私は浣腸器をもって、再びアナトール先生を訪問します。
「先生、浣腸器が完成しました。」
「ほう、そうですか、私に見せていただけますか。」
「もちろん、そのために持参したのです。」
 私は桐箱から浣腸器をひとつ取り出しました。それはブラス(黄銅)製で、とても美しいものでした。それを先生に見てもらいます。
 父は心配そうに先生の表情をうかがいます。
「ほう、素晴らしい出来映えですな。これはすごい。」
「そうですか。」
「特に、このノズルの形状が大変よろしいです。 これなら肛門にぴったり適合するでしょう。」
「そうですか。」
「本体の表面に刻まれた模様も美しいですね。」
「はい、いちじくの実と葉をあしらっています。」
「そうですか、実にいいです。いちじくを模様として選ばれたのは理由があるのですか」
「はい、教会にお祈りに行ったとき、礼拝の後、牧師さんの講話があったのです。われわれの祖先であるアダムとイブは楽園で楽しく暮らしていたのですが、禁断のパンドラの箱を開けたばかりに、楽園を追われることになったそうです。彼らは裸で暮らしていたのですが、パンドラの箱を開けたため、裸でいることに恥ずかしさを覚えるようになったそうです。そして、楽園を追放されるとき、いちじくの葉で下を隠して逃げたそうです。私にはその話が印象的でした。」
「よく牧師さんの話を聞いておられますね。 いちじくの樹から出る液は痔などの肛門の病気に効果があるのです。だからわれわれ 医師もいちじくの液を治療用の薬として使うのです。そういう理由で、浣腸器の模様として、いちじくはとてもよいと思います。」
「なるほど、そうでしたか。」
「見れば見るほど、これは素晴らしいです。これは医療器具というよりは工芸品というべきものです。」
 父は恥ずかしそうに言います。
「ほめていただいてうれしいです。」
「さすがに、この国で金属細工の第1人者の腕前が発揮されましたね。わしもこんな浣腸器が欲しくなった。」
「先生、実はこれは先生に差し上げるために持参したものなんです。」
「えっ、こんな立派なものをいただいていいですかな。」
「もちろんです、先日ご指導いただいたお礼です。先生のおかげでこれが完成したのです。」
「そうですか、それではありがたくいただいておきましょう。王様もきっとこのような浣腸器がお気に入りになられることでしょう。」
「どうもありがとうございました。」
「ところで、あの後、実は医師である私にも王様の使者が来たのです。そして、依頼があったのです。1カ月後に浣腸器の工芸コンテストを催すことになったので、立派な浣腸器に見合う浣腸液を調合して納めて欲しいとのことでした。色、香り、そして効き目のよい浣腸液を王様に納める必要があるのです。私も大変なことを命じられたのです。そして苦心の末、昨日やっと浣腸液ができあがったのです。せっかく来られて、いいものをいただいたから、お返しとリハーサルをかねて、今からにお嬢さんに、新たにこの液を使ってまた浣腸をしてあげるというのはいかがでしょうか。しかも、この浣腸器の筆おろしにもなりますから。」
 私は驚きました。また、あのきもちいい浣腸をしていただけるのです。しかも、本番の浣腸液を前もって使ってくださるというのです。こんないい話はめったにないです。私はお盆と正月が一緒に来たように、きもちが舞い上がってしまいました。
「えっ、いいんですか、うれしい。」

 父と私は処置室に入ります。そこには助手のあのマドレーヌさんが待っていました。先生はマドレーヌさんに浣腸器を渡します。
「先生、美しい浣腸器ですね。」
「そう、モーリスさんが造ったものを、私がいただいたのさ。」
「素晴らしいです、こんな浣腸器が使えるなんてうれしいです。」
「仕事の道具にはもったいないよ、後で応接室に飾っておくよ。」
「先生、それがいいです。」
「今度新しく発明した浣腸液Kをエリーヌさんにしてあげるのだ、準備をお願いする。」
「先生、わかりました。」

 マドレーヌさんに手伝ってもらって、私は衣類をすべて脱ぎます。そしてベッドに上がります。
「今回は体位を変えましょう。」
 先生がそう言います。そしてマドレーヌさんに指示を出します。
「仰向けで足を上げさせて。」
「はい。」
 先生の説明があります。
「王様はこの体位がお好みなのです。本番もきっとこの体位が採用されるでしょう。リハーサルも本番と同じようにしましょう。」
「はい、ありがとうございます。」
 私は先生の指示に従うことにします。ベッドに仰向けに寝ます。そして、両膝を上げる体位を取らされます。かなり恥ずかしい体位です。私の下半身が施術者に丸見えです。でもこの体位なら操作のすべてがよく見えて、見えない不安はないんです。
 マドレーヌさんはガラス容器に浣腸液を出します。それは美しい紫色をしています。
「きれいな色の液ですね。」
 私は思わず口から言葉が出ました。先生が言います。
「そう、これはラベンダーの抽出液をベースにしているのです。」
 部屋にラベンダーの芳香が漂います。これなら、いやなニオイを消してくれそうです。

 先生が言います。
「貴族の奥方は新しいもの好きで、浣腸液もいろいろ工夫が必要なんじゃよ。」
「そうなんですか。」
「そう、色、香り、それにもちろん排便効果も大切さ、それにアルコールなどを混ぜるときもちよくなるんじゃよ。」
「なるほど。」
「この液はわしの自信作さ、色、香り、効き目、きもちよさ、どれをとっても満点さ。」
 先生は得意そうに新しく開発した浣腸液について説明をされました。マドレーヌさんが浣腸器に液を吸い上げます。そしてそれを先生に手渡します。仰向けの体位なので、様子がよく見えます。
 彼女はガーゼに浸したオリーブオイルで私のお尻の穴を拭きます。そして両手でグイと私のお尻の穴を開きます。ス〜ス〜とお尻に空気感と風通しのよさを感じます。
 先生が美しい浣腸器を私のお尻に挿入します。先端部のノズルの形状が妖しげな曲線を形作っています。これこそ父がもっとも苦労して行き着いた究極の曲線なのです。その甲斐あって、ノズルがぴったりお尻に吸着しました。
 それから、先生はおもむろにピストンを押します。お尻にさわやかな刺激を感じます。
「先生、きもちいいです。
「そうだろう、微量の香辛料を配合しているんだよ。」
「なるほど。」
 その刺激は少しずつ強くなって行きます。ごくゆるやかな登り坂を上がって行くように、便意がゆるやかに、しかし確実に強くなって行きます。
「あっ〜。」
 私、思わず声が出てしまいました。すごくきもちいいんです。

「注入が終わったよ。」
 先生はピストンを抜きます。マドレーヌさんがガーゼでお尻を押さえます。
「どうですか、まだがまんできそうですか。」
「はい、まだ大丈夫です。」
 そう言いながらも、私の便意はもうかなり高いところまできています。便意の感覚って不思議です。あるところまではきもちいいんです。ある点を越えると、苦しさがきもちよさを上回るんです。それをがまんする。このせめぎ合いが浣腸の醍醐味であることがわかりました。
 私は限界までがまんします。この浣腸液は急激な便意がこないので、それができるんです。そして便意が頂点に達したことを感じたので、私はマドレーヌさんに合図をします。マドレーヌさんは平型の便器をもってきて、それを私のお尻の下に挿入します。便器が入れられたことで、私のがまんの扉が開かれ、排便開始の号砲が鳴ったのです。
 予想していたように、ラベンダーの香りがいやなニオイを打ち消していました。私は安心してうんちを出すことができたのです。とても心地よい排便でした。

 マドレーヌさんにお尻を拭いてもらって、私の気分は最高でした。浣腸器も素晴らしかったし、浣腸液もよかったのでした。
 私はしばらくの間、裸のままベッドの上で呆然として、浣腸の余韻を味わいました。
 私の目に、マドレーヌさんが流しで浣腸器を洗浄している姿が見えます。先生が言います。
「その浣腸器は応接室に飾っておいて下さい。」

 そのときです。マドレーヌさんが突然、口を開きます。
「先生、お願いがあります。」
「えっ。」
「この浣腸器で、私にも浣腸をして下さい!!!」

 助手のマドレーヌさんから、突然の要求がありました。いつもはにこやかな彼女の目に涙があふれていました。彼女は涙ながらに訴えます。
「私、いつも浣腸のお手伝いばかりしています。 脇役ばかりなんです。一度でいいから、主役になりたかったんです。 エリーヌさんの浣腸シーンを見て、私、そのきもちを抑え切れなくなったのです。 こんな素晴らしい浣腸器とこんな素敵な浣腸液で浣腸されるなんて・・・。」
 涙ながらのマドレーヌさんの訴えに、彼女がかわいそうになりました。先生が口を開きます。
「モーリスさん、どうでしょうか、もう一度あなたの造った浣腸器を使わせてもらって いいでしょうか。」
「それはかまいませんとも。」

 私もそれに大いに賛成でした。
「マドレーヌさんの代わりに、私が浣腸助手をつとめます。」
 先生が言います。
「マドレーヌ、お二人の了解が得られたから、今から君にも浣腸をしてあげよう。」
「ありがとうございます。」
 マドレーヌさんの顔にまたあの愛くるしい笑顔が戻りました。私は浣腸器、浣腸液、ガーゼ、オリーブオイルそれに便器をベッドサイドに置きます。それからマドレーヌさんの衣服を脱がせます。彼女は見かけによらずグラマラスな体をしています。
 彼女はベッドに上がります。そして言います。
「私、浣腸をされるのは初めてなんです。恥ずかしいから、顔は出さないよう、横向きでお願いします。」
 
 彼女は左を下にして、ベッドに横になりました。彼女は私に背中を向けています。彼女の腰からお尻にかけてはまるでヴィーナス像のように美しい曲線美です。そのお尻のふくよかな双丘の下部には女性だけのもちものである神秘的な深いクレバスがあます。
 足を少し曲げてもらいます。すると、ふくよかな双丘に隠れていたかわいく神秘的なアヌスがその姿を現したのでした。
 私はその花びらを指で開きます。かぐわしい香りがほんのりと漂ってきます。その香りの出てくる中心部に蜜ならぬオリーブオイルを塗ります。きめ細かいヒダがオイルで濡れて、光沢を放っています。何という光景でしょう。マドレーヌさんの美しいアヌスを見ながら、私の脳裏に思いが巡ります。「この美しい花弁から、汚れた排泄物が出てくるなんて、とても信じられないわ。 でも、それは紛れもない事実なのだわ。 今、その汚物を人手によって強制的に引き出そうとしているのよ。そのお手伝いをするのが、父が造った浣腸器であり、先生が調合した浣腸液なの。そしてその操作をするのがアナトール先生、お手伝いをするのがこの私なのよ。」
 これは純然たる医療行為なのです。そしてそれ以外の何もないのです。そこには本来痴情が入り込む余地はないはずなのです。しかし、この浣腸というものは、単なる医療行為以上のものがあります。
 それは何なのでしょう。ふだんは人前にさらすことのない排泄口、それをさらす恥ずかしさ、女性に与えられた本能に基づく挿入される歓び、そしてこれも非日常的でふだん経験しない液体の侵入、その後、寄せては返す波のような便意、それに耐えねばならない試練、最後に、便意から解き放される開放感と安堵感、出した排泄物に対する恥ずかしさ、浣腸には複雑なプロセスと感覚、心の揺れと満足感、そして相反する屈辱感、色んなものが混在した交響詩のようなものなのだわと、私は思うのです。

 私はハッと我に返ります。そして、作業を続けます。浣腸器に液を吸い上げます。ほどよい滑りでピストンが動きます。その動きは軽過ぎもせず、重過ぎもせず、絶妙の動きをします。父の腕の確からしさを実感します。
 液を満たした美しく輝く浣腸器を、マドレーヌさんに見えるようにして、先生に手渡します。マドレーヌさんは今から浣腸の処置を受けることを納得したような穏やかな表情をしています。

 先生と私は彼女の背後に回ります。私ままず彼女の白く豊かな双丘に軽く手を触れます。上質のゴムに触れるような柔らかい弾力を感じます。
 手を中央部に移動させます。私は両手の指でその花弁に手を添えます。そして、おもむろにそのキュ〜と締まった花弁を開きます。美しいピンクの放射状の花弁の奥に暗黒のトンネルが見えます。その奥には、決して美しいとは言えない、しかも異臭を放つ汚れた個体があるはずです。浣腸器の液が呼び水となって、この個体をこの出口に導くのです。
 先生がノズルを挿入します。オリーブオイルに導かれて、ノズルはするりと彼女の体内に潜り込みました。それと同期するかのように、彼女の体の反対の入口から音声が発せられました。
「あへっ〜。」
 彼女の声が合図かのように、私は指を彼女のアヌスから放します。私の指は水先案内人の役割を無事に終えたのです。
 先生はゆっくりとピストンを操作します。
「うぅ〜。」
再び彼女は悶えます。先生は止めることなくピストンの操作を継続します。
「おぅ〜、おぅ〜。」
彼女の口から間断なく声が発せられます。
「マドレーヌさん、大丈夫ですか。」
彼女は私の声が聞こえないようで、まるで陶酔したかのように声を出し続けます。
「うん、うん。」
「う〜ん、う〜ん。」
 先生は浣腸器を抜きます。
「あぅ。」
 彼女から最後の悶えの声が出されました。私は乾いたガーゼで彼女のアヌスを押さえます。
「あっ、もう注入は終わったの。」
 やっと、彼女はわれに返ったようです。

 それから彼女は無言で便意と対峙します。便意はじわじわと強くなっているはずです。その証拠に、彼女の呼吸のテンポが次第に早くねって来るのです。
 先生が口を開きます。
「マドレーヌ、私の開発した浣腸液の効果はどうだい。」
「先生、これ、いいです。」
「うんちをしたくなる感覚がじわり、じわりとやって来るんです。」
「そうかね。」
「エリーヌさん、お尻に便器をお願い。」
「はい。」
 私はベッドの上の彼女のお尻の下に便器を挿入します。するとすぐに彼女が言いました。
「あっ、出ます。」
 すさまじい排泄が始まりました。浣腸の後の当然の帰結とはいえ、すごいものです。たとえどんな美しい人でもこれは拒否できないものなのです。
 でも、先生の開発した浣腸液のおかげで、いやな色やニオイは抑制されています。私は便器を抜き、ベッドの下に置きます。そして、マドレーヌさんのお尻を拭きます。彼女は放心して、眠ったように静かです。

 すべてが終わりました。彼女の恍惚の表情からして、この浣腸は大成功と言えそうです。


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