SPACE銀河 Library

作:えり子

浣句の宴

浣句の宴 <上>

(その1)
 この小説の主人公は香谷えり子、20才、学生です。
地方出身で、今、東京で一人暮らしをしています。
趣味は特にないのですが、友人達とのおしゃべりや小旅行、ドライブが好きです。
今はインターネットにも熱中しています。
ときどきへたな俳句をつくります。
自分の容貌とスタイルは一応気に入ってて、さらにみがきをかけようと、
注意しています。
太らないように、散歩など体を動かします。
美容とダイエットによいと聞き、お浣腸も続けています。
そんな女の子が主役です。

 今日は土曜日で、しかも大学もお休みです。
だから、昨日は友人宅で、遅くまでおしゃべりをしていました。
金曜日の夜はいつもはお浣腸を楽しむのだけれど、きのうは帰宅が遅かったので、
パスしました。
だから、今日は午前中にいたす予定なのです。
そのため、気分がうきうきしています。
 シャワーを浴びたあと、いつもより、すこし遅い朝食をとります。
トースト、目玉焼き、ミルク、トマトジュースの簡単なメニューです。
新聞に目を通しながら、ゆっくりいただきます。
俳句欄に目が行きます。
投稿数句と選者のコメントがありました。
皆さんお上手だと感じます。

 今日はこの後、お浣腸をして、その後散歩に出る予定です。
朝食のお片付けの後、お茶と紅茶の準備をします。
お茶はお浣腸用、紅茶は小型ポットにつめて、散歩に持ち出すのです。
おかたづけを終えると、いつものように、うんちに行きたくなりました。
すぐ、おトイレに向かいます。
快腸でした。
いつものように、たくさん出てしまいました。
 お浣腸はちょっともの足りなくなるかも知れませんが、私は便秘のためにお浣腸する
のではなく、美容とダイエットを目的として、腸をきれいにするのです。
だから、浣腸の前にうんちが出ても、気になりません。

 お浣腸の準備をします。
お茶をいれて、冷水でうすめて、500CCにします。
今日は電動式の浣腸器を使います。
これは本来鼻洗器なのを転用して使っています。
取り扱いが簡単で、液の逆流がなく、注入速度が自由に変えられるのが気に入ってます。
ノズルの先端がどんぐり状になっているので、そのままでは使えません。
嘴管付きのチューブを接続します。

 準備が整ったので、体を左を下にして横になり、嘴管をお尻に挿入します。
レバーを回せばモータが回転して、液の注入がはじまります。
液の注入速度は遅く調整します。
 お尻にあたたかい液がゆっくり液が注入され、とてもここちよく感じます。
やがて、タンクが空になり、注入は終わりです。
500CCなので、おなかは苦しくありません。
お尻から嘴管をぬき、ゆっくりおトイレへ向かいます。
さきほどうんちが出たばかりなので、固体はほとんど出ません。
排出がおわると、とてもすっきりします。
 午前中のお浣腸もいいものです。

 紅茶をポットに詰めて、散歩に出かける準備をします。
鏡を見て、軽くメイクをします。
排便とお浣腸が終わったあとなので、すっきりした顔です。
トレーナーに着替え、デイパックにポットとタオル、メモ帳、お財布を入れて、
スポーツシューズをはき、散歩に出かけます。
とてもよいお天気で、絶好のお散歩日よりです。


(その2)
 土曜日の朝、遅い朝食をとったあと、500CCのお浣腸をすませた私は
すっきりした気分で、散歩にでかけます。
散歩の場所はいつもの玉川の川辺です。
私のアパートから歩いて30分のところです。

 河川敷では多くの人が余暇を楽しんでいます。
小学生のグループはサッカーに興じています。
中学生達は野球をしています。
犬を連れたご夫婦に会いました。
ジョッギングを楽しんでいる若いカップルもいます。
平和な風景が展開されています。
キャンバスに向かって絵筆をとっているご老人もいます。

 少し、汗をかいたので、ベンチに腰をおろし、紅茶をいただくことにします。
紅茶の香りがよく、おいしいです。

 60代前半くらいのおじさんが来て、失礼しますよといって、ベンチの端に
すわります。
端正な顔立で、ロマンスグレーの髪と形のよい口ひげが印象的です。
チェックのスポーツシャツとチノパンツ、サマーウールのベストの着こなしが
シックで素敵です。

 おじさんはショルダーバッグからノートとペンを取りだし、何か書き始めました。
まわりの風景をながめながら、ときおりペンを走らせています。
ペンはサインペンのような太字のもので、ノートは縦書です。
どうやら、短歌か俳句をノートに書いているようです。
私は視力がよいので、少し離れていても、字が見えます。
短歌ではなく、俳句です。
そして、ノートは句帳です。

 それを見ると、急に親しみがわいてきました。
句の最後に万秋とサインされました。
どうやら万秋という号のようです。
 私は思い切って、たずねました。
「突然失礼します。俳句を作っていらっしゃるんですか。」
おじさんは答えます。
「そうですが、お若いのにこんなものに興味おありですか。」
低いがよく通る声です。
「はい、へたですが、私も少しつくります。」
「ほう、そうですか、私はこういう者です。」
おじさんはバッグから私に名刺を取り出し、私へ差し出します。
それには次のように書いてありました。

  歓句会 主宰  滝田万秋

「へぇ、俳句の先生でしたか。」
「いや、初心者を数人集めて、勉強会をかねて、月に一度句会を開いている程度です。
 明日の句会のために、少しつくっているところです。」
「私、学生で、香谷えり子といいます。」
「そうですか。よろしく。」
「句会って、何だか楽しそうですね。」
「もし、興味がおありでしたら、見学にいらっしゃいせんか。」
「私でもいいんですか。」
「もちろんです。短歌も俳句も、最近若い女性に人気が出ていますよ。」

「明日は日曜日だし、予定がないので、おじゃまじゃなければおうかがい
 しちゃおうかな。お言葉に甘えて・・・。」
「あなたにご参加していただければうれしいです。」
「それでは、どこに行けばいいですか。」
「あなたのお住まいの近くの駅はどこですか」
「田園都市線**駅です。」
「そうですか、それではそこで、午前9時にお待ちしています。」
「本当に、いいんですか。」
「あなたが来てくだされば、楽しい1日になりそうで、皆喜ぶでしょう。」
「それでは、また明日よろしくお願いします。」

 こういうやりとりがあって、私はじめて、句会に参加することになりました。
うきうき、わくわくした気分は続きます。

(その3)
 ある土曜日、散歩先で、品のよいおじさまと出会いました。
歓句会という句会を主催されている、滝田万秋さんという方です。
私は、翌日の句会に招待され、句会を見学させていただく約束をしたのです。

 翌日の朝は少し緊張して、早く目が覚めました。
時間があったので、ゆっくりシャワーを浴び、それから朝食の準備をします。
食事を終え、片づけも終えたのですが、いつもある便意が来ません。
私って、旅行とか何かイベントがあると、便秘気味になっちゃうんです。
出発の時間が迫ってきました。
万一のことを考えて、いちじく浣腸を1個ハンドバッグへ滑り込ませます。

 動きやすいよう、ニットジャケット&パンツのスタイルにします。
いつもより少し念入りにメークをし、いよいよ出かけます。

 待ち合わせ場所に向かう途中、母の言葉が頭の隅から出てきました。
「男性に誘われたときは、慎重に行動しなさい。
 女性は若いというだけで、どんな人に誘われるかわからないのよ。
 確かな人か、確認するのよ。
 くれぐれも注意するのよ。」
 私は頭の中で、反発します。
「あの方なら間違いないわ。
 品がよくって、素敵なおじさんだもん。」

 指定された田園都市線の*駅に来ます。
あのおじさんの姿はまだ見えません。
少し待つと、細身の美人さんが私に近づいてきます。
軽く会釈をして、私につぶやきます。
「香谷えり子さんですね。」
「はいそうですけど。」
「滝田万秋先生がお待ちです。こちらへどうぞ。
 それから、申し遅れましたが私は先生のお手伝いをしています千秋と申します。」
「よろしくお願いいたします。」
と、あいさつをしながら、私は内心ちょっとおかしくなりました。
何故って、万秋に千秋ですから・・・。

 千秋さんは駅の駐車場に私を案内します。
黒塗りの高級外車ベン*の前にきました。
「どうぞ、お乗り下さいとドアを開いてくれました。」
そこには万秋先生が乗っておられました。
「おはようございます。今日はよろしくお願いいたします。」
私はあいさつをします。
「こちらこそ、よろしく。ご機嫌いかがですかな。」
「はい、とてもいいです。」
私は答えます。

 車は千秋さんの運転で、静かにスタートします。
「句会は私の別荘で行います。ちょっと遠いので、しばらくドライブをしましょう。」
先生が言われます。
車のシートはとてもここちよく、エンジンの音もほとんど感じられず、静かです。
「えり子さんはドライブ好きですか」
「はい、レンタカーを借りて、友人達とときどき伊豆や箱根方面をドライブします。
 でも、こんな車に乗るのは初めてです。」
先生と雑談が続きます。

 車はどうやら奥多摩方面へ向けて走っているようです。
沢沿いの道から、山道に入り、高度を上げて行きます。
道が次第に狭くなり、民家もまばらになってきました。

 私ちょっと不安になります。
千秋さんは終始無言で、運転を続けます。
20代後半でしょうか、運転の腕は確かです。
私の様子を感じたのか、先生は続けます。
「えり子さん、もうすぐ到着しますよ、田舎なので、驚かれたでしょう。」
「はあ、でも、のどかでよい景色です。」

 かなり登ったところに、突然りっぱな邸宅が見えました。
大きな門をくぐります。
車が止まりました。

 車から降りると、純和風の大きな家がありました。
広間に通されます。
先客がありました。
「先生、お元気そうですね。」
数人の男女があいさつをします。
「今日はお客さんをお連れしたよ。香谷えり子さんです。」
先生は皆に私を紹介されました。

 皆の目が一斉に私に向けられました。
気のせいでしょうか、男性客は何か獲物を見るような目、せせら笑いをしている
ような視線を感じました。
 女性客はちょっとにやにやして、これもちょっといやな感じです。
気のせいでしょうか、少し異様な雰囲気でした。

 先生は一人一人句会のメンバーを紹介してくれました。
「この人達は皆句会の会員です。
 男女5人ずつです。皆、句作りはいまいちですが、社会的に地位のある人ばかり
 です。」
先生はこう言われました。
「皆、俳句に関しては初心者のようなものだから、ご安心下さい。」
「ただ、ちょっと・・・。」
言葉を濁されたようで、ちょっと気になりました。

 庭に出ます。
すばらしい庭園です。
純日本庭園です。
池には橋がかかっていて、庭木も大変立派です。

 野点の準備ができていました。
皆でまずお抹茶をいただきます。
今までの不安が次第に解消して行きます。

 それでは始めましょうか。
先生が宣言されます。

(その4)
 山奥にある万秋先生の別荘に来ました。
純和風の豪華な家屋です。
野点形式のお茶会の後、いよいよ句会が始まります。

 池の周りに会員全員が集まります。
私のほか、先生と千秋さんを含め、男女5人ずつ、計10名です。
千秋さんが、説明をします。
今日は新しい方をお連れしました。
今回は見学ですが、きっと入会していただけると信じています。
句会について説明します。
いつもはある特定のテーマについて、お題を決め、句をつくりますが、今日は
テーマとお題は完全にフリーにつくっていただきます。

 句は曲水の宴の形式で行います。
これは平安時代に京都の貴族の間ではやった伝統のある遊びです。
本来は短歌を詠むのですが、俳句とします。
まず、詠む人を指名します。
上流からその人へ向けて、お酒とさかずきの入った桶を流します。
それがその人に流れ着くまでに、句をつくって下さい。
お酒を受け取って、俳句を皆さんへご披露して下さい。
それからお酒をいただいて下さい。
お酒の種類のご希望があればうかがいます。
和洋何でもかまいませんよ。

 私はワインを注文します。
短冊と墨と筆も配られます。
はじめはゲストの香谷えり子さんにお願いします。
突然の指名に驚きますが、やむを得ません。
人に句を詠まれるより、先に詠む方がよいかも知れません。

 千秋さんがワインの入った桶を流します。
それは少しずつ私に近づいてきます。
いい句が浮かびません。
ふだんは浣句ばかりをつくっているので、ふつうの句は出てこないのです。
やっと、平凡な句が浮かびました。
何とか間に合いました。
句を色紙に書いて、ワインを受け取ります。

 千秋さんが言います。
えり子さん、句をご披露して下さい。
言われた通りに句を読み上げます。
 「いにしえの こしきうたげに 感無量」

 皆が、いっせいに拍手をしてくれました。
平凡な句なのに、恥ずかしいです。
 でも、ちょっと妙な気がしたのです。
私は声を出してゆっくり句を読み上げたのですが、”かん”という部分のときに、
皆が過剰に反応したように感じたのです。
気のせいでしょうか。

 もうひとつ気になることがあります。
いつもは特定のテーマとお題について句を詠むと言っていましたが、それは
何でしょう。

 宴はなおも続きます。

(その5)
滝田万秋先生の別荘で催された曲水の宴に出席しました。
こんな句会があるなんて、驚きでした。

 今回の句はいつものテーマではなかったということで、平凡な句が多かったです。
でも、最後に登場した千秋さんと万秋先生の咲き品は素晴らしかったです。
それにワインは酸味と甘味が調和した極上のものでした。
これだけでも得をした気分です。

 宴の後は食事です。
あゆの塩焼き、こいのあらい、ふなの甘露煮、ごまとうふ、山菜のてんぷら、まつたけ
の土瓶蒸しなど豪華な昼食でした。
便秘をしていて、おなかが苦しいにもかかわらず、私はすべてを残さずいただきました。
 句会が終わってほっとしたせいか、お食事をおなかいっぱいいただいたせいか、
私は急に眠くなってしまいました。
その後のことはまったく記憶していません。
・・・・・・・
 気がつくと、私はふかふかしたベッドに寝ていました。
「お目覚めですか。」
千秋さんがベッドサイドでささやきます。
「あら、いつの間にか私、寝てしまっちゃって、失礼しました。」
「いいんですよ、もっとおやすみになっていても」
「いいえ、これ以上は・・・」

 会員の皆さんは皆帰ったようです。
万秋先生も所要があるとかで、お帰りになったとのことです。
私によろしくとのことでした。

 それから、私は千秋さんに車で送ってもらいました。
千秋さんが分かれ際に言われました。
「来月の句会にもぜひご出席下さるようお願いいたします。」
「わかりました。きっと出席させていただきます。先生によろしくお伝え下さい。」

 自分の部屋に戻ると、今日1日あったことを考えてみます。
王朝絵巻き物に出て来るような不思議な句会です。
お抹茶、おいしいワイン、豪華な昼食をいただいただけでも得をしたのです。
しかも高級外車ベン*での送迎付きです。

 今朝排便がなかったのを思い出しました。
おなかが苦しいはずなのですが、なぜかまったく苦しく感じません。
むしろ、すっきりしているのです。
これなら、浣腸の必要もありません。
多分、あの家で眠ったためかな・・・と思いました。

 シャワーを浴びることにしました。
シャワーの最中に妙なことに気がつきました。
手が偶然お尻に触れたのですが、お尻がなぜかべとべとするのです。
そおっとお尻の穴に触れてみます。
ワセリンのようなものが手につきます。
昨日の晩のお浣腸のなごりかも知れません。
でも、私、お浣腸した後お風呂でお尻の穴をよく洗ったはずだけど・・・。。
ちょっと不思議でした。

(その6)
万秋先生の別荘で行われた句会の後、私はそこで眠ってしまったようです。

 あれから1カ月後、先生からまた句会のお誘いがありました。
拒否する理由もないので、私はまた出かけることにしました。

 出発の朝はまた例によって、お通じがありません。
かまわず、そのまま出かけることにしました。
句会の場所は前回と同じく、先生の別荘とのことでした。

 また、千秋さんが車で迎えに来てくれました。
今度は先生は乗っていません。
車は中央高速を走ります。
前回と走るルートが違います。
 少し、コースが違うようですがと千秋さんに問います。
千秋さんは無言でした。
少し不安になりました。
山梨県に入りました。
高速道からそれて、山道に入って行きました。
どこをどう走っているか、まったくわかりません。
1時間30分ほどで、車が止まりました。

 違う屋敷です。
どうやら先生は別荘をいくつかもたれているようです。
やはり、日本調のお屋敷です。

 客室に通されました。
前回と同じ顔ぶれがそろっていて、ちょっと安心しました。

 先生が口を開きます。
「えり子さん、よくいらっしゃいました。
 今日は大事なお話しがあります。」

 千秋さんが皆の前で説明を始めます。
「 私達の句会は歓句会といいますが、正式には浣句会と書きます。
 浣句の意味はもうご存じですよね。
 最近、インターネットのか*さんのHPで浣句が紹介されています。
 実は、われわれはその前から、この仲間で浣句会をもち、浣句を研究していたの
 です。
  あなたもそのHPでさ*子という名前で浣句を発表していますね。
 あなたの浣句を見ていて、おもしろいと思いました。
 だから、われわれはぜひあなたにこの浣句会に参加して欲しかったのです。
 そのため、さ*子さんのことを調べました。
 どうやらさ*子さんはあなたらしいことまでわかりましたが、証拠がないのです。
 さらに、調査を続けました。
  あなたはときどき薬局でいちじく浣腸やグリセリンを購入していますね。
 でも、ふつうの女の子はそれくらいはします。
  あなたは通信販売の三*薬局さんから浣腸や浣腸グッズを購入していますね。
 でも、それもふつうの女の子は浣腸を買うのは恥ずかしいから、通信販売を利用するの
 は不思議ではありません。
  われわれはもっと確からしい証拠をつかんだのです。
 あなたは窓のカーテンレールにイルリガートルをつるして浣腸をされていますね。

  これで、さ*子さんはあなただと確信したのです。
 でもご安心下さい。
 一般の人はそんなことを見ることはできません。
 われわれは特殊な赤外線カメラを使って、やっとそれを発見したのです。
 覗き見までしたことをお許し下さい。

 さ*子さんがえり子さん、あなただとわかってから、先生があなたに直接接触された
 のです。
 ぜひわれわれの仲間になって欲しくてこのようなことをしたのです。
 無礼や行き過ぎたことがあったことをおわびします。」

 一体何ということでしょう。
私はず〜っと監視され続けていたのです。

(その7)
 私は万秋先生が主宰される第2回目の浣句会に出席しています。
そこで、私はこのグループにず〜っと監視されていたことを知ります。

 千秋さんはなおも説明を続けます。
「えり子さんにはぜひこの会に入会していただきたいというのが、先生のご意向です。
  実はこの会に入会するには、4つの条件をパスする必要があるのです。

  まず第一番目の条件は身元がしっかりした人であることです。
 この会員は医師、弁護士、会社役員、高級官僚など皆さん社会的に地位のある方
 ばかりです。
 えり子さんは名門*女子大の学生さんですから、この点に関しては問題ありません。

  二つ目の条件は浣句を作ることができること。
 えり子さんはインターネットの*HP上で実績が十分あるので、これは推薦で
 クリアされています。

  残りは2つです。

  三つ目の条件はきれいなお尻であること。
 いくら美人でも、いくらかわいくても、お尻がきたなければだめなんです。
 お尻に痔などの病気がある人はだめです。

  四つ目の条件は浣腸に適合することです。
 女性の場合、浣腸などいやだという人もいるのです。
 また、浣腸されても、まったく反応のない人もいます。
 これも不合格です。
 要するに、浣腸されることが好きでないといけないのです。」

 千秋さんはさらに続けます。
「えり子さん、実はあなたは残りの2つの条件もすでにクリアしているのです。
前回、句会が終わった後、あなたに眠っていただいたのです。
そして、その間に会員全員であなたを入会資格があるかテストしたのです。」

(その8)
第2回の浣句会に出席した私は意外な事実を知らされるのです。
私が眠っていた間に何かがあったのです。
私は眠らされたまま、会員全員の前で入会資格の試験を受けていたのです。

 千秋さんが続けます。
「勝手なことをしてお許し下さい。
あなたにぜひ早く入会していただきたくて、手順を省略して、こうしたのです。

 あなたは眠ったまま、浣腸室へ運ばれました。
そして、全員の目の前で入会テストを受けたのです。

 まずお尻のチェックです。
皆であなたのお尻を調べさせていただきました。
ピンク色をしたとてもかわいいお尻の穴ですね。
もちろん痔などはまったくなく、きれいでしたよ。
これはまったく問題もなく合格です。

 次に、浣腸の適合性を検査させていただきました。
あなたは皆の前で、眠ったまま、ガラス製シリンダで浣腸されました。
そして、あなたのお尻はグリセリン50%液100CCを飲み込んだのです。
眠ったままでしたが、あなたは大いに反応しましたよ。
”あへっ”とか”あうっ”とかの声を発して、お尻を振りましたよ。
そして、その後たくさんのものをお出しになりました。
皆、それを見て大変感動したのです。
あなたは満場一致で入会試験に合格したのですよ。」

(その9)
 第2回の浣句会に出席したえり子はその前の句会のときに、眠ったまま、
入会テストを受けていたことを知らされました。
お尻の検査や浣腸をされていたのです。

 千秋さんの説明が終わりました。
万秋先生が補足をします。
「えり子さん、失礼の段、誠にお許し下さい。
 補足しておきますが、実はこの千秋の本職は都内のある病院の医師なのです。
 浣腸は安全に注意して行いましたし、衛生面にも万全を期したのです。
 どうか、気を悪くなさらず、浣句会の会員になっていただけないですかな。
 お礼もいたします。」

  私は驚きましたが、答えます。
「そうだったのですか。
 あの日は実は、便秘をしていたのです。
 だから、お浣腸のとき、たくさん出たことでしょう、とても恥ずかしいです。
 自分の部屋に戻ると、おなかがすっきりしていたし、お尻の穴に
 ワセリンのようなものが付着していた理由がやっとわかりました。
  でも、そこまで、私のことを気にして下さるのはありがたいです。
 お浣腸も好きだし、浣句作りも楽しいです。
 こんな私でよろしければ、是非お仲間に加えて下さい。」

「それはありがたいお言葉、こちらこそよろしく。」
万秋先生がそう言われました。
「千秋、浣句会のルールを説明して上げなさい。」

  千秋さんがまた口を開きます。
「浣句会は月に一度開きます。
 お題はその都度変わります。
 お題にそった浣句を詠んでいただきます。
  まずはじめに、グリセリン浣腸100CCをさせていただきます。
 それから、浣句を詠んでいただきます。
 会員の1人での拍手があれば、おトイレに行っていただきます。
 拍手がなければ、もう一度浣句を作っていただきます。
 ルールはそれだけです。
  つまり、曲水の宴の現代版ということなのです。
 時間制限の中で、浣句をつくるのです。
 浣句ですから、時間制限は浣腸によるのです。
 浣腸をされた状態で、句を詠むという、まさに浣句の本道なのです。

  ただし、男性会員にはお浣腸はありません。
 浣句は詠んでいただきます。
 これが、ここのルールです。
 それから、この句会のことは秘密にしておいて下さい。」

 先生はまた口を開きます。
「千秋、あれをもって来なさい。」

(その10)
 主人公えり子はついに、万秋先生が主宰する浣句会の会員になることに同意しました。
そのえり子に、万秋先生が是非とも見せたいものがあると言われたのです。

 千秋さんが、桐の箱をもって来ました。
私の目前で、箱を開きます。
紫色の布が見えます。
その布を千秋さんが取ります。
出てきたものを見て驚きました。
何と浣腸器です。
数多くの浣腸器が整然と並べられています。

  千秋さんが口を開きます。
「これは万秋先生のコレクションです。
 すべて、シリンダー型で、容量は100CCです。
 浣句会のときは、これを使います。
 どれでもご希望のものをお選び下さってかまいません。
 コレクションと言っても、どこかのホームページに写真があるようなものとは
 ちょっと違うのです。
 先生が一流の職人や芸術家に特別に注文して作らせたものなのです。」

  千秋さんはそう言って、まず2本を取り出します。
「一つは金色、もう一つは銀色の金属製です。
 こちらは18Kです。純金だと軟らかくて加工ができないので、18Kです。
 もうひとつは純銀製です。
 どちらも、一流の彫金家に装飾の彫金を施しています。」

 よく見ると、唐草模様のような美しい飾りが彫られています。
美しく輝いている金や銀製の浣腸器には驚きました。

 千秋さんは別の浣腸器を2本取り出しました。
黒色と朱色で、光沢が美しいものです。
「この2本は一流の木工職人に作らせました。
 最高級の檜が素材です。
 それを加工して組立て、出来上がったものは輪島に送って、うるしを何層も
 塗っています。
 最後に、蒔絵職人が蒔絵を施しています。」
 素晴らしい逸品なのです。
 ただ残念なのは、うるしアレルギーのある人はこれを使えません。
 豪華で美しい浣腸器です。
 輪島塗りの浣腸器ですが、私には水鉄砲のようなイメージです。

  その他、中国に発注して作った水牛の角で作ったもの、やはり中国で作った
 マーブル模様が美しいめのう製の浣腸器、それに、象牙の浣腸器、べっこうの
 浣腸器までありました。

「 象牙やべっこうは法律で、使ってはいけないことになっているのではないですか。」 私は質問します。
  千秋さんが答えます。
「今は確かにそうです。でもこれらは、その昔、先生が作らせた逸品なのです。」

「豪華なものばかりですね。
 でも、ずいぶんお高いのでしょうね。」
 余計な質問をしてみます。

 千秋さんはていねいに答えてくれます。
「そうですね。TVのお宝鑑定団の先生に見せると、多分、とても値がつけられないと
 言われるでしょうね。
 どれも、数百万円以上のもので、中には1千万円以上のものもあります。」

 ほんとうにすごいものを見たものです。
でも、いくら豪華で高価なものでも、私の気に入るものはありません。
最後に桐箱に残っていた2本がありました。
これを見た瞬間、私にはこれだというインパクトがありました。

(その11)
 えり子は万秋先生の豪華な浣腸器のコレクションを見せられて、驚きました。
そして、最後に出された2本の浣腸器にえり子は魅せられたのです。

 そのひとつは美しいガラス製のものでした。
表面に気品のある優雅な絵柄が刻まれています。
「これが気に入りました。」
私は千秋さんに言いました。
「そうですか、お目が高いですね。これはボヘミアングラスでできています。
 チェコで作らせたものなんです。
 えり子さん、今日はこれを使って浣腸してあげましょう。」
千秋さんはていねいに説明して下さり、そう言います。

 私は飛び上がってよろこびます。
最後の浣腸器も美しく、私の目をひきました。
「これも美しく好き。」

 いちじく浣腸のピンク色よりもっと鮮やかな色で、柿色の浣腸器です。
「なるほど、それも逸品ですよ。
 その美しい柿色は有田焼きなのです。
 何と、磁器製の浣腸器です。
 著名な陶芸作家に依頼して作らせました。
 国宝級の浣腸器ですよ。」

 ほんとうに美しい色です。
磁器に柿の色の絵つけをする伝説的な苦労話しは昔、本で読んだことがあります。
とても浣腸器とは思えません。

 今日はまるで、博物館の芸術作品を見ているかのようです。
素晴らしいコレクションでした。
これから私が使う浣腸器も決まりました。
こんな素晴らしいお宝の浣腸器を私ごときが使用してよいのでしょうか。

(その12)
 浣句会の前に、万秋先生のすばらしい浣腸器のコレクションを見せられました。
この中から私が浣腸されるのに使うものを選んでよいというのです。
万秋先生の素晴らしい浣腸器のコレクションな中から、私はガラス製の浣腸器を
選びました。
今日はこれで浣腸をしていただくのです。
不安の中にも期待のきもちも出てきました。

 いよいよ浣句会が始まります。
会場は茶室です。
茶室には、花瓶にお花が活けられています。
白、黄、ピンクの菊の花です。
そして、花の周りを緑色の大きな木の葉で飾っています。
どこかで見たことのある葉です。
何の木の葉だったか、ちょっと考えてみます。
あっ、思い出しました。
楽園を追われるアダムとイブの絵の中に出て来るものでした。
イブが恥ずかしそうに自分の前の部分を隠すのに使った葉、そう、いちじくの葉でした。菊の花
といちじくの葉の取り合わせがしっくりしています。

 茶室に会員10名が集合しました。
女性は30代の女性2名、40代の女性が1名、それに20代の千秋さんと私の5名です。
皆、とびっきりの美女ばかりです。
男性は40〜60代の4名と万秋先生の5名です。

N E X T


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