人前作『入院記IV』にて人生に三つの坂が有ると書きました。 第三の「さか」… それは「まさか?!」と云う「坂」であると…
  この第三の「坂」にまたしても遭遇してしまいました。 この「まさか?!」に何回遭遇するかは人により千差万別。 一回も遭遇せずに人生を終えられる人は居ないと思いますが、数少なく平穏な一生を終える人、数多く波乱万丈な人生を送る人と色々です。
  平成30年10月、私は二度目の「まさか?!」に遭遇しました。




  秋も深まったある日の午後、突如左の手足に痺れを感じました。激痛と云う訳では無いのですが痺れが続き気が付くと顔面にも痺れを感じていました。
  「身体の片側だけ、しかも顔面も含め痺れる場合はを疑え。特に脳梗塞の可能性大」 … 小学生の頃から“家庭の医学”を愛読していた私は直ぐにピンと来ました。 しかし本業の繁忙期でもあるこの時節に入院、しかも脳の病気だとなると… 「暫く様子を見よう」が私の結論でした。
  倒れる事無く運動麻痺も無くただ痺れるだけでしたので「明日には軽くなってますように!」と祈りながら過ごしました。 その後は悪化こそしませんでしたが、しかし痺れが良化する事もなく遂に5日経った晩に意を決して受診、結果は案の定脳梗塞”で即入院となりました。 これで成人して以降回目の入院です。

  入院前、自分は昭和4●年生まれなのでまだまだ若いと思っていました。 脳梗塞を含め脳卒中は60半ば過ぎからの病気だと思っていました。
  しかし症状を鑑みるとどう考えても脳梗塞… まさか自分が三大疾病である脳卒中を患うとは…

  入院時の検査にて「高血圧」「高血糖」「高脂血症」と生活習慣病の要注意項目が全て揃っており「このデータでよくこの程度の脳梗塞で済んだね」と非常にラッキーだった事を宣告されました。 特に中性脂肪値はかなり悪い数値をマークしていました。

  点滴と多種の錠剤の内服にて入院加療しました。またリハビリが日課としてありました。 ただ言語や知能に関してのリハビリは、知能テストにて高次脳障害が無い事が分かり直ぐ終了。 同じく運動障害(麻痺)も全くないので、その部門のリハビリは毎日軽い散歩程度。 但し感覚麻痺(障害)はあるので手指を使った細かい作業が(私にとって)リハビリの中心でした。

  薬剤の効能と己の治癒力にて少しずつ痺れ(感覚麻痺)が軽減してきました。 また血圧・血糖値も下降の傾向を示してきました。 そして未だ正常とは言えないものの序々に安定して来ているので、13日間の入院を終えました。たっぷりの薬のお土産付きで。
  医師からは「薬を飲み忘れないように」&「規則正しく生活するように」が最後の指導でした。

  今現在未だ左手の親指と人差指の指先に軽く痺れが残っています。顔面も唇(左半分)と左頬に痺れがあります。 でもちゃんと五指全て任意に動かせますし、顔も左下に曲がったりしておらず、見た目に違和感は無く言葉も明瞭に発声出来ます。 なお左足の痺れは殆どありません。 ある程度の期間が掛かるとしても、やがては全て解消する、そう寛解するのではと期待してしまう状況です。

  一発で亡くなってしまう人も多く、助かっても半身不随や高次脳障害でまともな日常が送れなくなる割合が相当高い非常に怖い病気である脳梗塞… 私は大変ラッキーでした。

今回の入院先スライドショー


  「入院」 そして 「私(銀河)」とくれば…そう、やっぱ 「浣腸」 は? …との思いが馳せるのは自然な気持ちかと思います。 でも今回の病棟は看護士(♂は看護士//♀は看護婦と表記します)が多く見受けられました。 もし看護士に浣腸を施されたら… 考えるだけでも身の毛もよだつ恐ろしさです。
  日中・夜と二交代で担当が変わるのですが、担当看護師の割合は看護婦(♀)を3とすると看護士(♂)2はありそうです。 そう約40%のリスクを覚悟で浣腸に臨むか!? 私はそんな勇気はありません。
  今回は全くって云うほど浣腸は考えてはいませんでした。 でもしかし・・・

  毎日お通じがある訳では無い私。 仕方なく家内にお手当して貰って凌ぐ事が年に数回あります。 環境が変わればより出なくなるのは当然のこと。 そして入院5日目に『ずっと出てないから坐薬で出します?』と日勤の看護婦さんに聞かれました。 まぁこのまま自然と出る事は無いだろうし、かと云って万が一にも看護士が担当の時に浣腸って事になったら一大事なので『そうですね… 一度それで出してみます』と坐薬を貰う事にしました。
  程暫くして先ほどの看護婦さんとは違うショートカットの20代後半と思われる看護婦さんが坐薬を持って来て『使った事ありますぅ?』って聞いてきました。 私は(もちろん使った事はありますが…)ちょっとバツが悪いので『いや、初めてですが…』と答えたら、『じゃあこちらで入れますのでお尻を出して下さい』  お尻の奥ににゅる〜っと坐薬と共に彼女の指を感じた私でした。

  私は坐薬は余り好きではありません。 何故かと云うと浣腸ほど即効性が無く「いつ効いてくるんだろう…」って落ち着かないし、効き方も何かイマイチ。 また浣腸と違って風情もありません。
  なんかソワソワしちゃって5分ほどでトイレに向かった私。 残念! 不発でした!!
  溶け切ってない坐薬とほんの僅かな便塊で終わってしまいました。 仕方なく結果報告したところ「時間が経てば再度排便が起こるかも」と経過を見る事になりました。

  その日から三日を過ぎてもお通じは無く、遂には腹痛も伴ってきました。 その夜の担当は先日坐薬を勧めた看護婦さん。 30代と思われる若い頃の風吹ジュンに似た美形の看護婦さんです。 『あれから未だ出てないんのですか!? 困りましたね… どうしようかな… 後は浣腸しか… 先生に相談して明日浣腸してみます?』 えっ! パターン的に明日の日勤は看護士の可能性が高いゾ?! 腹痛よりもその衝撃に表情が曇る私。
  その私の顔を見た看護婦さんは『やっぱ苦しいですよね… 当直の先生に処方して貰ってきますので消灯時間を過ぎちゃうけど浣腸しましょう』と言ってくれました。 当然私は『お願いします』と言うより他が無いのはお分かりかと思います。

  夜10時半、先ほどの美形看護婦さんが浣腸を手にベッドに来ました。『銀河さん、お待たせしました。 浣腸しますからおトイレに行きましょう』
  驚きました! 立位の浣腸処置は今や病院では禁忌です! でも・・・

  女性が私の為にしてくれる事は、万事喜んで有難くお受けするのが私の主義です。 また部屋で浣腸してWCまで我慢出来ずに粗相してしまい家内に叱られた事が今年2回ほど有ったので、素直に看護婦さんに従ってトイレに行き、便器の前でケンエーの120を頂戴しました。


  以上で今回の入院記は終わりです =⇒ Back