SPACE銀河 Library

作:ゆりこ

雅子先生 − 続・放課後

聡美は、(あくまで噂だったが)体育館そばの洋式トイレを詰まらせた張本人が、英語の雅子先生と聞き、胸が高鳴った。雅子先生は、校内で一番若い女の先生。年の頃24,5である。身長は163,4cmくらいで、細身。顔立ちは、松本典子に似ている。
詰まらせた原因は定かではないが、生理用品等を流す事は考えにくく、恐らく便秘便によるものではないかと推理した。

聡美は、不思議な気持ちに包まれた。トイレが詰まって、かなりしんどい排泄を強いられた記憶は、まだ生々しい。そもそも、職員トイレを使わずに、わざわざここまで来て用を足す事が、雅子先生の便秘の仮定を裏付ける事になりはしないか。授業の空き時間に、ここまで来れば、気兼ねなく頑張れる上、洋式なので体も楽である。
――あくまで仮定の上の仮説である。だが、そんな風に考えると、聡美は興味を抑える事ができなかった。
また必ず同じ事が起きる――
根拠はないが、聡美は確信していた。それからというもの、聡美は毎日体育館横のトイレに入り、洋式トイレのペーパーをチェックしていた。鉛筆で紙の表面に線を引き、かつ残りの厚さを定規で測ってメモしていた。ペーパーは、その日によって減ったり減らなかったりする事もあったが、1か月毎日データを取ると、決まって毎週金曜日に数_単位で減っていた。聡美は、我が意を得たりの思いだった。雅子先生は、今週も必ずここに来て、便秘と闘う筈だと。
雅子先生のせいで、私もあんなに苦しい思いをしたのだから、雅子先生にも私の苦しみを味わって欲しい。洋式ではなく、和式で排泄をして欲しい、と聡美は考えた。

金曜の各クラスの時間割を確認すると、雅子先生が教えるのは6限の聡美のクラスだけだった。後の時間は空き時間である。収集したデータと併せて考えると、ますます便秘解消の疑念は深まる。
ただ、どうしたら雅子先生が和式トイレに入ってくれるか。これが最大の問題になる。鍵をかけていれば、中に人がいると警戒して、雅子先生は職員トイレに行くだろう。
考えた末に、聡美が案じた一計は、「洋式トイレだけ水が流れない様にしておく」というものだった。水洗配管の途中に、バルブがある。そこを締め込む事で、水は流れなくなる。
以前、自宅の風呂のシャワーが出なくなった時、父が同様の事をして、水を止めるのを聡美は見ていた。これを応用しようと考えたのだ。念のため、自宅のトイレでテストをしたが、バッチリだった。
自宅のワープロで、「故障中。水が流れないので和式便所をご使用ください」という文章を印刷した。

そして、来るべき金曜日。聡美は計画を実行に移した。学校はズル休み。いつもより早めに行き、ドライバーでバルブを締め、貼り紙をした。掃除用具入れの中で、聡美は待ち続けた。途中でお腹が減り、お弁当もそこで食べた。
待つ事3時間余り。4限の始まる頃に、入口のドアが開く音がした。
「来た!」
聡美は、息を潜めた。

ツカツカと歩く足音。洋式の個室に向かうのだろう。ややあって、
「流れないの?」
と言いながらレバーを押す音がする。声で判る。間違いなく雅子先生だ。
「しょうがないわねぇ」
雅子先生は、狙い通り一番手前、つまり用具入れの横の個室に入った。万一誰かが来ても、無防備な後ろからの姿を見られまいという用心を、聡美は読み切ったのだった。
気づくと、聡美は用具入れの床に伏せて、下の隙間から雅子先生の挙動に見入っていた。後ろからになる。心なしか、動作が慌ただしい。パンストとショーツをおろす衣擦れの音がした。やや大股開きで足幅を定めるや否や、スッという音と共に爪先が平行近くまで開き、お尻が小刻みにバウンドした。

「ああっ!」
「ブリュビビッ、ブバババッ!」激しい放屁と共に、液状の便が飛び散った。
「グプウーーッ、プルルルプチチ…」硬そうな、真っ黒な便が、頭を覗かせる。爆弾岩の様だ。ゴツゴツした突起面が括約筋から外に出る度に、雅子先生は吐息とも力みともつかない声をあげる。雅子先生は、便秘便を肛門に挟んだまま、足幅を狭め、爪先立ちになった。
「私と一緒だわ」と、聡美は思った。

何度か足場を踏み直し、頑張っていた。
「うぐぐぐ…フンッ!」いつもの可愛らしい雅子先生とは、別人の様な息み声だった。
「ウン…フッ…クッ…」力んでいる内に、突然爆弾岩が落ち、
「ああっ!」
という、虚空に向けたかの様な声と共に、怒濤の様な軟便が出てきた。足場を踏み直したのが悪かったのか、爆弾岩は便器の後ろ側に当たって落ち、軟便も便器の後ろ側の縁を汚していった。
先端は本当に太く、誇張ではなく、ミカンくらいの大きさがあった。聡美は感動していた。人間の肛門はここまで開くのかと。
怒濤はやや弱まり、ガス混じりのものに変わっていった。便秘薬を服用した時特有の便は、とめどなく続く。便器の後ろの縁は、便に全て覆われ、とうとう床にまで流れ落ちた。途中でそれに気づいたのか、排泄を続けながら、アヒル歩きで位置を前方に修正した。辛いのだろう。腹痛も足も。

雅子先生は、再び爪先を大きく旋回し、両足の踵を床につけ、お尻を落とした。真っ白で、肉が薄い訳ではないが、しゃがんだ時には台形の形状をなしていた。聡美は見とれていた。
「きれいなお尻…」
そこから苦しげに吐き出される軟便。それに合わせて息づく双臀。憐れみと、「先生、私の苦しみ解った?」という背反した感情とが聡美の中で渦巻いた。

「何で今日はこんなに…」
雅子先生は、苦しげに呻く。
「あっ、また…」
ひとしきり下痢便を出す。

出し終わった後、雅子先生はお尻を拭き始めた。
「なんだぁ、もう終わりかぁ」
聡美は少しガッカリした。

その後、雅子先生は撒き散らした便を片付け始めた。ただ、あくまでも立ったままである。よほど足が辛いのだろう。
あらかた拭き取りが終わった時、雅子先生の足が再び便器を跨いだ。だが、足はかなり前の方にある。お尻も見えない。ペーパーを便器の底に幾重にも敷いている。
「?」聡美は不審に思った。
次の瞬間、茶色のひとすじの線が便器に落ちてきた。雅子先生は、中腰で下痢便を排泄していたのだ。足腰はもう限界だったのだろう。かなりの量が出た。
「ああーっ」
同じ発音でも、声の感じが今までとは違う。スッキリ感が伝わってきた。雅子先生は、何度も何度もお尻を拭いた。太腿を叩いたり、ふくらはぎを揉んだり、足首を回したりしている。

それ以降、聡美も雅子先生の排泄を見る事はなくなったが、木曜の夕方と金曜の授業中の表情の違いをつぶさに観察する習慣がついてしまった。時折、唐突に取ってつけた様な用事をつけて職員室に戻る事があるのも、きっと残った下痢便を出しに行ってるのだろうな、と考える事にした。
毎日のトイレチェックも、金曜の放課後だけにした。密かな愉しみとして…。

締め込んだバルブは、その後ハンドル式に変えられ、誰が見ても判る様にされてしまった。聡美が卒業する頃になって、各トイレに洋式個室が1つずつ設置される様になった。
聡美は、洋式トイレを見ると、雅子先生の顔を思い出す。今では懐かしい思い出として…。

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