SPACE銀河 Library

作:朱鷺

ドクター祐香の診療記


  T

「はい。次の方、どうぞ。」
祐香はカルテの山の最後の一枚を手に取って、待合室に声をかけた。
N県A村の村営の小さな診療所の診察室。今日は医師の小峰祐香とナースの川浦とも子の二人だけで、全ての業務を行っている。
カルテに書かれた患者名は奈川麗美、小学校六年生だ。
このA村では、五年前に最後の開業医が高齢のため診療所を閉じて以来、無医村となった。近くのM市まで車で走れば一時間弱で行けるのだが、過疎化の為住民が減り、残った者は高齢者が多くなると、なかなかその距離が遠くなる。そのため村として村営の診療所を開設したのだ。
M市の大学病院の勤務医が交代でこの診療所に派遣される。医師の立場からすれば、気楽なアルバイトだった。高血圧や関節痛などの年寄りを相手に、日に数人程度の患者を相手にして、一日が終わる。困難な病気や複雑な検査の患者は大学病院に送り込めば、各専門医が面倒を見てくれる。ナースも同じ大学病院からコンビで派遣されるから、気心も知れていて要領も良い。朝、二人でこちらに来て、五時まで診療所で患者を待ち、夕方M市まで帰るという週一回の業務は、ちょっとした気分転換でもあった。
しかしそんなA村にも小学校も中学校もあり、各学年一クラスだが子供たちも居る。レミもそんな中の一人だった。

「どうしたのかな?」
母親に付き添われて、診察室に入ってきたレミはうつむいたままで、患者の椅子に座り、何も話そうとしなかった。祐香は付き添ってきた母親に視線を向ける。
「はい。実は昨夜からお腹が痛いと言っていまして・・・どうやら便秘のようなんですが。」
「そうですか。おうちでの処置とかはしていませんか?」
「はい。便秘薬を飲ませましたけど、どうも効かない様子で・・」
祐香はレミに向き直って、優しく声をかける。
「お母さんはああ言っているけど、そうなの?」
レミは小さく頷く。
「何日くらいウンチが出てないのかな?」
うつむいたまま黙ったレミの代わりに、母が答える。
「もう五日位は出ていないと思います。」
「じゃあ、ちょっとお腹を見てみましょうね。そこに横になってね。」
そう言うと、ナースのとも子が肩に手をかけて診察用ベッドにレミを横にさせる。聴診器を使うまでも無く、触診したレミの下腹部は便秘の症状を見せている。大腸に沿って硬い部分が走り、ガスで腹部が張っている。
「これは大変ね。こんなになるまで我慢して苦しかったでしょう。すぐに楽になるように浣腸しましょうね。」
その言葉に、レミはピクッと反応し身体を硬くした。
「そんなに怖がらなくて良いのよ。簡単な処置だしすぐに済むからね。」
母親が横から声をかける。
「ほら。先生だって同じ事を言うでしょう。おうちでしても、お医者さんに来ても同じ事をするのよ。」
「家でも浣腸してあげるって言ったんですけど、どうしてもイヤだって言って。」
「六年生ならもう生理はあるのかな?自分の身体を意識して恥ずかしがる年頃よね。大丈夫よ。ここはドクターもナースもみんな女の人ですからね。」
祐香の問いかけに、母が答える。
「生理は半年位前からあるんですけど、まだきちんと安定はしていない様子なんです。」
「そう。生理期間はお腹の調子が狂う人も多いから、気をつけないとね。」
祐香はそう優しく話しかけながらも、とも子に浣腸の準備をさせる。
「Gエネ。100で良いかな。この子が最後よね。私が処置するわ。」
「先生が?」
普通なら浣腸の処置はナースが行うものなので、ナースのとも子はちょっと不思議そうな表情を浮かべるが、あえて逆らわない。
祐香は処置用のゴム手袋をはめると、さらにとも子に指示する。
「ワセリンも用意してね。それからネラトンは必要ないわ。直接注入します。」
通常は浣腸の処置では浣腸器の先端にネラトンカテーテルをつなぎ、腸のなるべく奥に薬液を注入するのがセオリーなのだが、祐香は異なった指示を出す。
母親とナースの二人でレミの体位を変えさせ、左側を下にして横にならせる。膝を曲げさせ、かわいいピンクのスカートをまくり、ショーツを膝まで降ろす。
レミが蚊の鳴くような声で抵抗する。
「か・・浣腸なんて・・・イヤ。」
「レミちゃん、お腹が痛くて治してもらいたくてここに来たんだよね。私も医師だから病気を治すのが使命なの。その為には患者さんが痛かったり苦しかったり恥ずかしかったりする事もしなきゃいけないの。解る?」
「でも・・・」
「いい。このままだとずっとお腹が痛いままよ。専門家として言います。もうこの段階ではお薬を飲んでも効きません。もう浣腸が唯一の処置です。そしてこのままあと三日もすると浣腸でも出なくなります。そうなってしまったらね、今度は摘便っていう処置になります。お尻の穴に指を入れてウンチを掻き出すのよ。もっと恥ずかしくて苦しいわよ。」
「やだ。そんな事。」
「じゃあ、ここで浣腸してウンチを出してしまいましょうね。出る時に硬くて大きいのだとお尻の穴が切れてしまうから、もみほぐしてから浣腸するからね。」
祐香はそう告げると、指先にワセリンを取り、レミの肛門を剥き出しにして、そこにたっぷりとワセリンを塗り、マッサージを始めた。
レミも摘便の話を聞かされたので、それ以上の抵抗は諦めた様子だ。
「どれ位硬くなってるか確かめるので、ちょっと指を入れますよ。」
祐香の指がレミの肛門から直腸に侵入する。レミは身体を硬くし、ベッドに頬を付け、涙を浮かべている。
「かなり硬くなってるわね。だいぶ厄介かも知れないわ。」
そう言いながら、とも子に目配せしてそっとオマルの方を示す。とも子はその意図を理解し、オマルの準備も始める。
「良い。レミちゃんも、もう生理があるんだから大人の仲間入りしたのよ。いずれは赤ちゃんを産むことにもなるわ。その時には、こんな浣腸どころじゃなくて、大きく足を開いて、あそこの中までお医者さんに診察してもらうのよ。恥ずかしいなんて言っていられないの。大人になって赤ちゃんを産むにはそういう覚悟も必要なのよ。覚えておいた方が良いわよ。」
レミは涙をこぼしながらも、小さく頷いた。
「じゃあ、浣腸のお薬を入れるからね。ウンチがしたくなっても、すぐ出してしまうとお薬しか出ないから、ぎりぎりまで我慢するのよ。」
祐香はそう告げると、とも子の差し出すガラス製の浣腸器を手に取り、その嘴管をレミの肛門に押し当て、挿入される感覚をわざと感じさせようとするかのように、ゆっくりと侵入させた。
すでにワセリンで揉み解され、指まで挿入された後の肛門は、抵抗も見せずその嘴管を受け入れた。
そして、グリセリン溶液を注入する間も、祐香はまるで焦らしているかのようにゆっくりとピストンを押した。
「中にいっぱい溜ってるものがあるからね。そっと入れないと苦しくなってしまうわ。」
レミに言い聞かせるとも、とも子や母親に言い聞かせるとも判らない口調でそう言いながら、長い時間をかけて、ようやく全てのグリセリン液がレミの体内に入りきった。
祐香はちらっと腕時計を眺め、肛門に脱脂綿を当て押えると、そのままで時間の経過を待った。とも子は浣腸器を祐香から受け取ると、それを流しに置きベッドサイドに戻り処置の結果を待った。 
五分程経過すると、レミの表情が歪んだ。
「まだトイレに行っちゃダメですか?」
「今出しちゃうとお薬しか出ないわよ。そしたらもう一度浣腸することになるわよ。」
祐香はそう言って、体温測定時に使う砂時計を手にした。
「これが落ちきるまで我慢したらね。それくらいはできるでしょう?」
レミは拒む事はできない。ベッドの両サイドには母親とナースが居て、肛門は祐香が押え込んでいるのだ。
とも子はもうこの先の成り行きが解っている。グリセリンを注入し始めた時から考えると10分も時間をかけさせるのだから、無事に我慢してトイレまで移動できるとは到底思えなかった。祐香はレミにオマルでの排泄をさせるつもりなのだ。
砂時計が落ちきるまでの3分間は、レミにとって、今までの人生で一番長い3分だったかも知れない。ようやくその時間が経過した時には、レミの呼吸も荒くなり、身体が震え、限界が近い様子がありありと判った。
「もう良いわよ。大丈夫?トイレまで行けるかな?」
この先の成り行きが解っているのに、祐香はそう訊ねる。
レミはもう起き上がる事も困難なようだった。
「無理です。動いたら出ちゃう・・」
「じゃあ、ここでしても良いわよ。」
そう言うと、とも子に合図をする。とも子は準備してあった琺瑯のオマルをベッドの上に出し、母親と一緒にレミの上体を起き上がらせる。お尻を持ち上げ、オマルに跨らせ、祐香が押えていた脱脂綿を放すと同時に、レミの崩壊が始まった。
注入された液が勢い良く迸り、数個の石のような塊がカランと音を立ててオマルに落ちる。その後には黒く硬い棒のような便が、肛門からせり出して来る。
羞恥にうつむき、顔を押えながらも、周囲の三人が見守る中で、排泄は続く。大量の便がオマルに収まり、レミの肛門がようやく収縮した頃には、レミはポロポロと涙をこぼし、恨めしそうな顔で祐香を見ていた。
「先生、酷い。こんな事までさせて。」
「だってレミちゃんは病気だったんだから、それを治す為の最善の方法を取ったのよ。医者は患者の希望を聞くよりも、どうすれば病気が治るかを優先するの。薬か手術かどちらかという時には選ぶ事も出来るけど、薬じゃ治らないようならどんなに痛かったり恥ずかしかったりして、患者さんが嫌がっても手術をするのよ。」
祐香は宣言するようにレミにそう告げると、母親の方に向き直っていくつかの注意を与えた。
今日はこれからも腸が活発に動き始めるので、便意があれば出来るだけトイレに行かせるように。数日は水分を多く摂って、規則的な便通を心がけるように。というような一般的なアドバイスだった。

親子が帰って処置の後片付けを済ませると、患者も途切れ、二人はとも子の入れたコーヒーで一休みの時間になった。
「祐香先生。さっきの処置はお見事でしたね。ドクターはなかなか自分では浣腸なんかしませんからね。あんな風に手際良いドクターの処置は初めて見た様な気がします。」
「まあね。浣腸の処置はきらいじゃ無いわね。それに、あんな年頃の子供にするのは、特にね。」
「何か、浣腸には特別な思い入れが有るんですか?」
「そうね。とも子さんは初めて浣腸を受けたのは、いつだった?」
「それは・・・看護実習の時が最初でした。」
「そうだったわね。看護の実習ではお互いに患者役もやるんだったものね。」
「先生は?」
「私はね。さっきのあの子と同じ位だったかな。」
そんな話から、祐香は最初の浣腸体験を話し始めた。



  U

祐香が初めて浣腸を経験したのは、中学一年の冬だった。二学期の中間試験でちょっと成績が下がった事で焦った祐香は、期末試験で成績を戻そうと無理をしてしまったのだ。成績の下がった原因は自分でも心当たりがある。夏休み前にクラスメートの健介から交際を申し込まれ、それにかまけて勉強が上の空になっていたのだ。
健介はクラスでも人気のある男子だった。スポーツでもクラスで五本の指に入るし、親は開業医だったし成績も良かった。持ち物やファッションなども垢抜けていた。その健介から「付き合って欲しい。」と申し込まれたのだ。
もちろん、中学生の男女交際などかわいらしいものだ。放課後一緒に帰って、公園のベンチに座っておしゃべりをする程度だった。
夏休み中は待ち合わせて一緒にプールに行き、帰りにソフトクリームを食べた。二学期が始まってから、ある日の放課後、帰り道で手をつないだ。それだけでドキドキして、とても大変なことをしているような感覚だった。
体の関係どころかキスさえも出来ない交際だった。そしてそんな些細な事に夢中になっているうちに、中間試験を迎え、成績がちょっと思わしくなかったのだ。
もともと成績は良い方だったので、親はあまり心配したりうるさく言ったりしなかったが、祐香自身が納得できなかった。このままでは健介に相応しいGFで居られない。そういう焦りが期末の猛勉強に向かわせた。
そして期末試験が終了した週末に、祐香は腹痛と発熱で寝込んでしまったのだ。試験勉強の無理と生理が重なったことでの体力の低下が発熱の主な原因だったが、気が付くともう一週間近く排便が無かった。
母親とも話したが、発熱もあるので月曜になったら医者に行って薬をもらおうという話で落ち着いた。そして週明けに連れて行かれたのが、健介の父の医院だったのだ。

「後はほとんど、さっきのレミちゃんと同じ経過ね。私も泣いて頼んだの。便秘のお薬を下さい、浣腸なんてイヤですって。
でもお父さんは医師として、さっき私がレミちゃんに言ったのと同じ事を私に言ったの。
医者は患者の希望を聞くよりも、どうすれば病気が治るかを優先するんだって。薬か手術かどちらかという時には選ぶ事も出来るけど、薬じゃ治らないようならどんなに痛かったり恥ずかしかったりして、患者さんが嫌がっても手術をするんだって。
その上、便秘薬で有効かどうか確認するという事で、肛門から指を入れられ、直腸診までされることになっちゃったの。
『じゃあ祐香ちゃん。お薬で効くかどうか確かめて見よう。お尻の穴から指を入れて、ウンチがどのくらい硬くなっているか調べるからね』そう言われて直腸診されたのよ。
今にして思えば、煩い小娘にちょっとしたお仕置きのつもりだったのかも知れないわね。中学生の女の子にしてみれば、恥ずかしくてつらくて死にそうな気がしたわ。あんな事までされるんじゃ、素直に浣腸されていれば良かったのに。」

もちろんそれで経口薬が処方される事など無かった。
浣腸の処置を受けた祐香は、レミのようにオマルでの排便は免れた。しかし肛門を押えられ我慢をさせられた後、待合室を横切ってトイレまで行く時には、祐香の目には涙が滲んでいた。
祐香の人生で始めて体験する、屈辱的な出来事だったのだ。

「しかもね、この話には続きが有るの。こんな成り行きになるなんて、想像もつかないような話なの。」
祐香は、ちょっと恥ずかしそうに、ちょっと懐かしそうにそう言って続ける。

祐香が月曜に学校を休んだ事を、一番気にしたのはもちろん健介だった。まさか健介の父に浣腸された事など話せるわけもなく、曖昧に誤魔化していた。
ところがその週末、いつものように学校帰りの公園でおしゃべりをしていた時だった。健介は祐香の方を眩しげに眺めながら、切り出した。
「お前さ。月曜にウチに来たんだって?カルテを見ちゃったんだ。どんな病気でどんな処置をしたか。」
「どうして・・」
「だって、月曜は体調が悪くて休んだって、先生が言ったんだもの。それなのに、お前が何も言わないからさ。心配だったんだ。何かとんでもない悪い病気で、言えない様な事なのかなって。」
「そんなんじゃ無いんだよ。でも言えなかったの・・特に健ちゃんには。」
「そうだよな。恥ずかしいもんな。俺だって祐香がそんな事されたなんて、ショックだもの。」
公園のベンチで手をつなぎ、肩を寄せて、二人は同じ様な感情に浸っていた。やがて思いつめた様に健介が祐香の耳元で囁く。
「お願いがあるんだ。」
「何?クリスマスプレゼント?」
「うん。あのね、俺にも浣腸させてくれないかな。祐香に。」
突然のそんな言葉に、祐香は動揺した。
「私に? 健ちゃんが? 浣腸するの?」

「今思えば、中学生の男の子の嫉妬やら、独占欲やら、好奇心なんかが入り混じってたんでしょうね。自分の大好きなガールフレンドが、たとえ医師の処置だとしても、自分の父親とは言え、他の人にお尻をいじられたり、浣腸されたりしたなんてショックだものね。
まだスカート捲りして下着がちょっと見えただけでもキャーって騒いでるような子供にしてみれば、その下着のさらに中のお尻やら、まして肛門だなんて、未知の領域だもの。」

結局、その日は返事が出来なかったものの、何度も健介に迫られて、祐香はそれを承諾してしまった。
最後のためらいを解かせた決め手は、健介が言った言葉だった。
「俺だっていつか親父の後を継いで医者になるんだから、その時には患者に浣腸するくらい、当たり前になるだろう。だから最初の患者は祐香にしたいんだよ。」
「でも健ちゃん。浣腸って恥ずかしいし、お腹が痛くて苦しくなるんだよ。そんな事を私にするの?」
「じゃあ。俺もその痛みや苦しみを同じように味わうから。祐香に浣腸した後には、祐香が俺に浣腸してくれればいいよ。」
「そう。そこまで言うのなら・・・じゃあ、浣腸させてあげるのがクリスマスプレゼントっていう事で。」

二人のお医者さんごっこは、クリスマスの前の週の金曜の放課後に行うことにした。ウイークデイの夕方は健介の両親とも不在なので、実行の場所は健介の部屋となった。
二人はそれを、将来医者になるための「実習」と呼んだが、実際にはたわいも無いお医者さんごっこに過ぎなかった。健介がいくら医者の息子でも、医療用の道具を持ち出して使うわけにもいかなかったし、結局はどこかの薬局でイチジク浣腸を買ってきて、お互いにそれをするだけの事だった。
もちろん中学生の二人にしてみればそれはとんでもない冒険のような気がしていた。性行為をするわけではないのだが、気分の上ではそれ以上の感覚だったのだ。
カップルがお互いに浣腸しあうのだ。クラスメートにでも感づかれたら、とんでもなく恥ずかしい思いをするだろう。
二人きりの秘密の実習に向けて、祐香も健介も興奮が高まって行った。
その「実習」のためにいろいろな約束も決めた。祐香がまず被験者になり健介から浣腸を受ける。その時には、露出する部分は最小にするように心がける。
「だって、お尻の穴ってあそこのすぐ隣に有るんだよ。あそこまで見られたら恥ずかしい。」
という祐香の主張を全面的に健介は受け入れて、必要最小限に下着をずらし、実行する事を約束した。浣腸後は部屋で出来るだけ我慢して、トイレまで行って排泄する。排泄には立ち会わず、トイレの前にも居ないで、部屋で待つ、などという細かな取り決めもした。 そして祐香の排便までの一連の事が済んだら、次に健介が被験者となり同じ事をされる。
「自分でやった事がどんな事か感じてね。痛かったり苦しかったり恥ずかしかったりして、大変な事を解って欲しいの。」
そう祐香は主張した。

実習の当日の朝には、祐香はお通じが無かった。いつもと同じ生活をして、朝のトイレは日課なのに、精神的な動揺で身体にも影響が出たのだ。
今日の夕方には、健介から浣腸を受けるのだ。もちろん心の準備は出来ている。生理期間も計算して実行日を決めてあるし、下着も一番良い真新しい真っ白なものを身に着けた。
放課後、二人は家の中に誰も居ないのを確認し健介の部屋に入った。これからする事を考えると心臓がいつもの倍の大きさで鼓動を打っている気がした。
健介は机の引き出しの奥に隠したイチジク浣腸の箱を取り出した。中身は二つ。ひとつが祐香の分で、もうひとつが健介の分だ。
祐香は覚悟を決め、ベッドに横になると、壁の方を向き、健介にお尻を向けた。
「ではこれから実習を始めます。」
そう言う健介の声はちょっとかすれている。
制服のスカートが遠慮がちに捲り上げられ、おずおずとショーツが降ろされる。肛門が見えるぎりぎりの位置までお尻を出すと、健介はその肛門を覗き込むようにして、ゴクリとつばを飲んだ。
今まで見た事の無い祐香の秘部が、健介の目にさらされたのだ。イチジクを手に取るとキャップを外し、もう片方の手で肛門を露出させる。
「じゃあ、入れるからね。」
そう宣言して、先端が挿入される。その感覚は違和感には違いなかったが、先日健介の父から受けた治療と比べると、あっけないくらいのものだった。液が注入され、イチジクが抜かれた時も、これだけでもう終わりなのかと疑うくらいだった。折りたたんだティッシュで肛門を押えられ、さげたショーツも元に戻された。
健介は心配そうに祐香の顔を覗き込む。その心配そうな顔に祐香は優しい気持ちになった。健介からの処置は、先日のように直腸診を受け医療用浣腸器で治療として受けたものに比べると、あまりにも優しかったのだ。
祐香はスカートの裾を整え、ベッドに横たわり、浣腸の効果を待った。祐香の体内に注入された液は確実にその効力を発揮し、腹痛と便意を祐香に与え始めた。便意が我慢出来なくなる前に、祐香はトイレに向かった。
本当の病気では無いのだから、限界まで無理をする必要は無いのだ。健介は約束どおり、部屋で祐香を待った。やがて注入されたイチジクの中身と今朝出なかった分の便が出た程度で、あまり苦痛も無く、祐香の処置は終了した。トイレを流して部屋に戻った祐香は、顔を赤らめては居たが、それほどの動揺はしていなかった。
次は健介が浣腸を受ける番だった。ベルトを緩めズボンを降ろした健介の下半身には、困った事が起っていた。
トランクスが風を受けた帆のようになっていたのだ。祐香にもその理由は解っていたが、あえて口には出さなかったし、健介もその事には触れなかったが、意外な困難が生じた。
トランクスの後ろの部分だけを下げて肛門を出そうとしたのだが、前側がつっぱったトランクスは、どうしてもそこまで降りなかったのだ。あれこれと工夫してみたが、どうにもならないと言う事が判明した。
その時、いきなり健介は自分の手でトランクスを膝まで下ろしたのだ。祐香は健介のすばやい行動に、あっけに取られた。祐香の目の前にはそびえ立つように天を向く健介のペニスが現われた。
「祐香に見られるんならいいや。」
祐香の記憶の中には、小さい頃の父と一緒の入浴の時のペニスのイメージしかない。しかし今、目の前にあるものは、祐香のお尻を眺め、祐香に浣腸することで、興奮し大きくなったものだ。祐香を性的な対象として考え、祐香を刺し貫く為の槍なのだ。
健介は悪びれもせず、必要以上に繊細にもならず、平然とベッドに横になり、祐香に尻を向けた。
「祐香に浣腸されるのが、俺の浣腸初体験だからな。さあ、やってくれよ。」
そう言われ、祐香はイチジクを手に取り、健介の肛門を確認し、そこにイチジクの先端を挿入した。丸い部分を押えると、薬液が流れ込んでいく様子が感じられる。ゆっくりと注入したつもりだったが、イチジクの中の薬液程度の量では、あっさりと注入は終わり、平らに潰れたそのイチジクを抜き取る時には、祐香は物足りなさのようなものまで感じた。
言葉通り、浣腸は初体験だからだろう。祐香よりも健介の方が、反応は大きい様子だった。注入を終えてしばらくすると、もう便意を感じ始めたようだった。健介は注入された姿勢のままでベッドに横たわり、その感覚を受け止めている。トランクスを戻す事もしていないから、ペニスは祐香の視線にさらされたままだ。
便意が次第に苦痛になって来ている健介には、それをかまっている余裕は無かった。ペニスは便意と連動するかのように、脈を打っている。祐香はそれに愛おしさを覚え、そっと手を伸ばした。
「あっ!」健介は一瞬だけ声を出したが、祐香にされるがままになっている。
さっき、私のお尻を見たから、こんなになったのね。それは私の事が好きだから、私を見て興奮したのね。さっき見た健介のお尻の穴と同じものを、私も健介に見せてしまったのね。
そんな事を思いながら、そのペニスをそっと手のひらで包み込むようにして、優しく撫でる。
こんな場面でなければ、健介はそれに快感を覚えただろうし、射精してしまったかもしれない。しかし、健介の腸内では注入されたグリセリン液が暴れている。便意は腹痛となって、ペニスの快感を打ち消しているのだ。
やがて限界を感じた健介は、祐香の手を振りほどくようにして、トイレに向かった。トイレから戻った健介は、すでにトランクスもズボンもきちんと整え、何事も無かったような表情を繕っている。しかし、ズボンの前は不自然に膨らみ、顔はまだ紅潮している。
二人は無言のままで、並んでベッドに腰を下ろした。祐香がさっきの様に健介のズボンに手を伸ばせば、そのまま性的な関係にまで進んでしまいそうな、一触即発の瞬間だった。だが祐香も健介も、そこまでの踏ん切りは無く、ただ手をつないで、さっきまでの行為を反芻しているだけだった。


「祐香先生。中学生でそんな経験をしてたんですね。早熟だったんだ。」
とも子が茶化すように言う。
「そうね。まあ、成り行きかな。そんな思い出があるから、浣腸はキライじゃないの。するのも、されるのもね。特にさっきのレミちゃんみたいな子には、自分が経験したことを味あわせて見たいって、ちょっとサディスティックな気持ちも湧くしね。」
「でも、そういう経験が今の祐香先生の基本にあるんですね。」
「そうね。医師になろうと思うようになったのは、その影響が大きいわね。」
「彼氏はその後どうなったんです?」
「中学卒業までは仲良しだったわよ。結局あれ以上の事は起らなかったけどね。でも、高校進学で別の学校に進んで自然消滅ね。彼もどこかの大学の医学部に進んだって聞いたから、今頃は医者になって誰かに浣腸してるかもね。」
「祐香先生の事を思い出しながら?」
「そうね。それよりとも子さんはどうなの?そういう思い入れとかは無いの?こんな事が私にナースの道を選ばせた、みたいな。」
「私は・・浣腸初体験も看護実習でしたからね。」
「そうだったわね。結構あれも大変な実習だからね。二十歳位の娘が浣腸しあうんだから。」
「そうなんですよ。泣き出したり、逃げ出したりね。」
祐香ととも子は同じ学校の出身で、同じ学年なのだが、ナースとドクターという立場上、祐香を先生と呼んでいる。
医学科の方の事は看護科に知られていない事もあるが、看護科での出来事は大体が医学科に知れてしまう。それは医師のカヴァーする範囲が看護士より広い為でもあり、三年と六年という課程の長さの違いもあった。しかし、それ以上に看護科はほぼ全員が女性であり、男女半々の医師の卵たちを興味津々で眺めていたので、お互いにかなり情報が交差していた。
あの子がかわいい、あの子が実習で患者役になり裸になった、などと、若い男女の興味などそれが医師の卵でも変わりはなかった。診療所のお茶の時間は、そんな他愛もない噂話に話題が移っていった。




  V

祐香が麗美に浣腸の処置をしてから数週間後。今日も診療所のローテーションは祐香ととも子のコンビだった。午後の診察の患者もそろそろ終わりになり、またお茶の時間になる頃だった。
並べられたカルテの最後の一枚を手にした祐香は、そのカルテを不思議そうにながめた。真新しいカルテに鉛筆で書かれた患者名は「川浦とも子」診察所見には「便秘による腹痛」そして処置欄には「浣腸処置を希望」とあったのだ。
そのカルテを机に戻して振り向くと、患者用の椅子に腰を下ろし、うつむいて顔を赤らめたとも子が居た。
「とも子さん。浣腸処置希望なの?」
祐香は普通に医師としての声で訊ねた。
「はい。ちょっとお腹の調子が悪くて・・・」
「そう。大変ね。じゃあ、医師として問診しますよ。本当に便秘なの?」
「はい。今日で五日目くらいです。」
「そう。ナースなんだから、自分で薬飲んだり、処置したりしないの?」
「あの・・いつも便秘気味なんで2・3日は平気なんです・・それを過ぎるとちょっと・・それに自分で浣腸ってやった事がなくて、このあいだの処置を見て、祐香先生にやってもらえたらって・・」
「そうね。浣腸してあげるくらい簡単な処置だから良いけどね。でも、普通はそういうのは恥ずかしかったりして、なかなか切り出せないものよ。私におねだりしたいって事なのかな?」
とも子は恥ずかしそうにうつむいたまま、黙って頷いた。
「じゃ、ちょっとベッドに横になってね。まずどの程度なのか診察して見ましょう。」
そう言うと、祐香はとも子の肩に手をかけた。
「そう、その前に・・・どうせ処置するのは解ってるから、下着は脱いでおいてね。」
祐香にそう言われて、とも子は黙ってショーツを下げ、足首から抜き取り、脱衣かごに入れた。ベッドに上がったとも子は仰向けに横たわり、祐香はそのお腹を押え診察をした。
「そうね。確かに便が溜まって硬くなっているようだし、ガスで張ってもいるわね。じゃあ、処置をしましょうか。」
とも子は体位を変えて、側面を向こうとしたが、祐香がそれを止めた。
「そのまま、上を向いて寝ていてね。ちょっと私流にしてあげるから。」
そう言って、横たわったとも子の顔に覆いかぶさるように、顔を近づけ囁いた。
「私の事が好きなの?浣腸されるのが好きなの?きっとどちらも好きなんでしょう?」
間近で顔を覗き込まれて、とも子はその迫力に押されるように、真剣に頷いた。
「恥ずかしい事や苦しい事が好きな人も居るわ。それで性的な興奮を感じる人もね。でもそういう人でも、誰にやってもらうかは選ぶものよ。特にそういう嗜好の人はね。行きずりの人とセックスをするのとは違うの。好きな人に責められて感じるのよ。あなたもそうなんでしょう?」
とも子の答えは明らかだった。
「じゃあ、その気持ちに応えて、私なりの方法で虐めてあげるわね。」
祐香はそう宣言すると、自分の手でいくつかの道具を揃え始めた。とも子は期待と不安でそれを見守っている。点滴用の生理食塩水のパックが持ち出され、グリセリンも用意された。生理食塩水のパックにグリセリンが入れられ、ネラトンカテーテルがパックにつながれる。食塩水は1リットルのパックで、それに200ミリのグリセリンが注入されたのでパックが膨れている。点滴台も用意されパックが下げられた。
「一度誰かにやってみたかったの。グリセリン20パーセントでイルリガートルでの浣腸よ。ここにはイルリガートルが無いから、生食パックで代用だけどね。塩分が入ってるからちょっとしょっぱい効き心地になるかな?」
「処置は砕石位で行います。足を上げて自分で膝の後ろ側を抱えてね。」
「直腸診もして欲しいのかな?双合診でも良いわよ。お尻の穴を柔らかくしておいてあげるわね。」
処置用の手袋を着け、ワセリンを肛門に塗りこみ、腸の中の便の様子を確かめるように、指を挿入する。普通の患者では側臥位で行うが、とも子には砕石位を取らせている。これはお産の時のポーズ
で陰部もそっくり見えてしまう。全てを見られながら、肛門から指を入れられているのだ。
しかも祐香はその指を入れたり出したりを、わざと繰り返している。性行為に似たピストン運動はとも子の羞恥をいっそう高めた。しばらくそうやって肛門を解した後、おもむろに用意した点滴台をベッドサイドに引き寄せる。だがカテーテルの長さはパックの位置を高くするには短すぎる。
「いいかな。これから入れてあげるのは祐香オリジナルのスペシャルブレンドよ。そして、じっくりと味わえるようにゆっくり入れてあげるからね。普通は1メートルくらいの高さだけど、その半分くらいしか高さが無いから、時間は倍くらい掛かるかな。もちろん、このパック全部を入れるのはかなり無理があるわ。だから、我慢出来なくなったらそう言っていいのよ。」
それはとも子にとって酷な宣告だった。確かに通常の浣腸処置では多すぎる量の液が用意されている。グリセリン50パーセントで50から200ミリ、石鹸や生食でも500ミリから1リットルが、普通の量だ。今回の1200ミリは全て注入するのは不可能では無いだろうがかなり困難だし、まして20パーセントとは言えグリセリンも入っている。とても便意は苦痛なものになるだろう。
だが、祐香の手で処置され、祐香の判断で量を決定されるなら、とも子はそれを受け入れ、ひたすら我慢をすれば良いだけなのだが、祐香は自分でギブアップしろと言うのだ。
とも子が限界を宣言すれば、それは祐香の行為と好意を、自ら打ち切る宣言になる。『よく頑張ったね』と言ってもらう為に、『これくらいでもう我慢出来ないの』と思われない為に、とも子は自分を限界まで追い込まなければならないのだ。
そんな事をとも子が考えている間にも、準備は進められている。充分に揉み解された肛門にカテーテルが挿入される。その挿入時の抵抗の無さを気にして、祐香はカテーテルの途中を絆創膏でお尻に留める。
「じゃあ、注入開始しますよ。頑張ってね。」
サディスティックにそう微笑んで、祐香はカテーテルの途中を止めたピンチを外した。
ゆっくりと液がとも子の体内に侵入を始める。その感触は何度経験しても、不安を感じさせるものだ。本来は出るだけの一方通行の出口から流入する液体に、身体が拒否反応を示すのだ。そして、それがある意味で快感と成っていく。
祐香は腕を組んでその様子を観察している。そしておもむろにとも子の上に屈みこんだ。
「ねえ。どうしてイルリにしたかったのか解る?こうすると、している私は自由になるでしょう。自分の手でピストンを押し込む感触も良いけど、両手が空いているといろんなことが出来るのよ。」
ちょっと脅すような口調でそう言うと、おもむろにとも子の胸に手を伸ばす。白衣のボタンをひとつ外して、その中のブラをずらし、乳首をつまむ。
「浣腸されながらこういうこともされると、気持ち良いでしょう?もっといろんな事をしてあげるわね。でもあなたは砕石位のままで動いちゃだめよ。カテーテルが抜けちゃったりするとお楽しみが中断しちゃうものね。」
そして乳首を離すと、今度はベッドの足の方に移動する。
「恥ずかしい処がそっくり見えているわよ。なんだか充血もしていそうね。陰核も小陰唇もふっくらとしてるのが見えるわ。それに分泌液も滲み出して来てるわよ。こういうのは性的な興奮のしるしかしらね。」
そんな言葉でとも子の反応を覗う。とも子も自分の身体の反応は承知しているのだが、祐香の口からそういう言葉が出る事で、いっそう羞恥心を強くする。
祐香が指先でクリトリスをそっとつつきながら訊ねる。
「ねえ、あなたは実習が初体験だったって言ったわね。それから、自分でしたことが無いって。じゃあ、こんなに浣腸が好きになったのは何故なの?まさか初体験の実習の時から、こんなに濡れていたの?」
「そんな事無いです。最初は恥ずかしいし、怖くて気持ち悪くてイヤでした。」
「じゃあ、いつからこんなに濡れるようになったのかな?誰かにしてもらったの?」
「はい。あの・・・彼氏が・・」
「そうなの。彼氏に浣腸されてたのね。何度もされたのかな?」
「はい。覚えてないくらい何回もされて。最初は恥ずかしかったんですけど。」
「そう。だんだん気持ちよく成って来たのね。いつ頃の話なの?」
「最初は実習の前の晩でした。便秘で困ってたので相談したら、イチジクを買ってきてくれて、してくれたんです。それから何度かされているうちに、気持ち良くなって。」
「そうなんだ。で、その彼氏は?今はどうしてるの?」
「卒業した後に別れちゃったんです。就職してもしばらくは付き合ってたんですけど、仕事で忙しくてだんだんすれ違いが多くなって・・」
「そうね。じゃあ、今は浣腸してくれる人は居ないのね。自分でやろうとは思わないの?」
「あの・・誰かにしてもらって恥ずかしい思いをさせられるのが良くて・・」
「それなら、今日は思いっきり感じさせてあげるわね。」
そんな会話をしている間にも、じわじわと祐香のブレンドした浣腸液はとも子の体内に溜まり、徐々にその効き目をあらわして来ている。
流入速度が遅いので膨満感は無いのだが、薬の効果で便意が増してくる。すでに注入を始めてから五分ほどが経過している。液はまだ半分も入っていない。
祐香はとも子の全身の性感帯のありそうな部分を、じっくりと確かめている。耳朶をいじり、髪を撫で、首筋から乳首まで舌を這わせ、臍を通り、またクリトリスまで指が伸びる。もう、とも子の陰部からはぬめった液が溢れ、ベッドまで滴っている。だが、その快感と同時に、苦痛も大きくなっている。
「まだ頑張るの?大丈夫?」
祐香が訊ねる。ギブアップしたいというとも子の気持ちは、そう訊かれる事で逆に奮い立てられる。
「まだ、大丈夫です。もっと入れてください。」
そう言いはするが、便意は大きな波になってとも子を襲い、歯の根が合わず、唇が震え、声もかすれ気味になる。
祐香はとも子の身体を責める手を中断し、冷静にとも子を観察する。脈を取り、様子を見て、おもむろに判断をくだす。
「よく頑張ったわね。ここまでで止めましょう。これ以上やっても効き目は変わらないし、危険だわ。」
そう言うと、ピンチでカテーテルを留め、とも子の肛門からそれを抜き取る。
すでに半分以上の液を飲み込んだとも子の身体は、いつ破局が来てもおかしくない程になっていた。祐香は先日レミが使ったオマルを素早く用意する。とも子も、そうなる事はすでに承知していた。何も言わずに身体を起こし、オマルに跨る。
「祐香先生。もう出しても良いですか?」
堪えるのが困難なほどの便意の中で、とも子はまだ祐香に従い、指示を待った。
「もういいわよ。本当に頑張ったわね。全部見ていてあげるから、いっぱい出してね。」
祐香がそう声をかけると、とも子は小さく頷いて、肛門の力をそっと抜いていった。
迸る液とそれに混じる硬い便。やがてもっと大きな塊がゆっくりと肛門から顔を出し、オマルに落ち、さらにその後に軟便が続く。浣腸液を注入していた以上の時間をかけ、とも子の体内から大量の便がオマルに排泄された。つられるように小水までが迸り、やがてとも子は大きく息をついた。
とも子の目尻からは、数滴の涙の粒がこぼれ落ちて頬を伝っていた。その終了の合図を感じて、祐香はとも子の股間をティッシュできれいに拭いた。
とも子をベッドに横にならせ、てきぱきと浣腸道具やオマルを片付ける。生理食塩水のパックはカテーテルを外し、折りたたんでテープで留め、ビニール袋に入れる。パックの中に残った500ミリ程の液は持ち帰るつもりらしい。
「祐香先生。ありがとうございました。」
とも子が祐香に礼を言う
「こちらこそ楽しませて貰ったわ。またおねだりしてくれれば、いつでも浣腸してあげるわよ。楽しい事がしたくなったら、今度は非番の時に私の部屋に来なさい。この診療所よりももっと気を使わずに、いろんなことで楽しませてあげるから。」
「いいんですか?お部屋まで行っても。」
「ええ、良いわよ。恥ずかしいことやいやらしい事は好きよ。たとえばお互いに一糸纏わぬ姿で浣腸するとかね。ここでは無理でも、部屋ならそういうお楽しみも出来るわ。今度はそういうのでどう?それに、私は浣腸されるのも好きよ。セルフでやるよりもいいわ。本物のナースに浣腸してもらうなんて、楽しみよ。」
「そうなんですか。それなら私もいろんな事を工夫して、先生に尽くしますね。」
「じゃあ、これからもよろしくね。」
二人は寄り添い、恋人同士のようなそんな甘い会話を交わした。
診療所の診察時間はとうに過ぎ、暮色が迫っていた。


                 了



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