SPACE銀河 Library

作:朱鷺

えねま My Love
〜いとしのえれな〜


 まったくいつもながらのことだけど、銀河さんってば、私の恥ずかしい過去を上手に虐めるんだから・・・枝理は内心でそう思いながらも、PCのキーを叩いた。
<そんな事無いですよ。ホントに恥ずかしかったんだから>
<だって 浣腸されるって 半分は予想してたんでしょう?>
 そりゃそうだけどね・・・それを認めてしまうと、また次の攻撃が来る・・っていうより、女の子で、ここに来ている事自体が、半分は浣腸が趣味って公言しているようなものだ。
<だって、一週間も出てないし、お腹は苦しいわ、頭痛はしてくるは、大変だったんですよ>
<そうだよね (^o^)  今度はそんなになる前に、自分でお手当てしようね>
 そんな事、判ってるわよ。だって、あの時以来、感じるようになっちゃったんだから。そんな事を考えながら、ふと枝理の左手はパジャマの中に滑り込む。
・・・そんなふうに煽られたら、したくなっちゃう・・・

 枝理は大学4年生、そろそろ就職の内定も出る頃だ。ワンルームマンションでの一人暮らしも慣れた。実家の父母は故郷での就職を望んでいるが、枝理自身はあまり帰るつもりはない。一人暮らしの気楽さで、楽なスタイルで深夜までパソコンに向かってチャットなんか出来るのも
この暮らしから離れたくない理由の一つだ。ましてそれが「浣腸マニア」のサイトでは、家族に知られるわけにもいかない。

 このサイトに枝理が入り込むようになったのは、病院での浣腸がきっかけだった。就職活動であちらこちらの企業をまわって忙しくしていた枝理は、体調を崩してしまった。
 最初は軽い夏バテだと思っていたが、食欲は落ちる、すぐ疲れる、気が付くと一週間も便秘している、そして頭痛と発熱・・ということで病院のお世話になったのだ。医師の診察と処置は、半分は予想していたものだった。点滴と浣腸。便秘薬の処方とも思っていたのだが、一週間もの便秘とその間に食事もあまり摂っていないということで浣腸という判断が下された。そう言って理詰めで説明されると、枝理も拒否は出来ない。
 いままでそういう医療行為が有るという知識はあっても、それが自分に対して施されるということの意味は、実感できなかった。
 処置室に入れられた枝理に、ベッドで寝て待つように指示して、看護婦は浣腸の準備に出て行った。
体力を使い果たし、仰向けに横になって寝ていた枝理を見て、準備を終えた看護婦は、消耗が激しい重症患者と思い込み、処置を進める判断をしたのだった。 そのままで寝ているように優しく枝理に告げると、スカートと下着を一緒に脱がせ、足首から抜き取った。そして両足首を持ち上げ、膝を立てさせ、小さな子供のオムツを換えるような姿勢で、枝理の肛門に浣腸を挿入したのだった。枝理は、まさかそんな事をされるとは思わず、ただてきぱきと事を進める看護婦に抗うことも出来ず、初めての浣腸を受けたのだった。もちろんこんなポーズで肛門を押し広げられるなど、思っても居なかった枝理が、激しい羞恥に駆られた時には、すでに陰部も肛門も明るい光の下に晒され、肛門に嘴管を挿入され、液が体内に流れ込んで来ていた。
 そして、液の注入が終ると、看護婦はそのまま、枝理が限界を迎えるまで付き添い、枝理のお尻の下に差込便器を入れたのだった。トイレ以外での排泄など、普通なら出来るはずが無い。まして同性とはいえ、他人に見られながらの排便などとんでもない話だ。しかし、そのときの枝理は抵抗して起き上がりトイレに駆け込む体力も残っていなかったし、浣腸による便意という初めての感覚に圧倒されて、そこでの排便を拒むことは出来なかった。排便後にお尻を拭いてもらい、同じベッドに横たわったまま、点滴を受け、枝理はこの体験を自分の中に受け入れることが、まだ出来て居なかった。
・・・恥ずかしい・・・あそこもお尻の穴も見られて、浣腸されて、ウンチするところまで見られた
・・今まで一度もこんな処を、他人に見せたことは無かったのに・・・

 枝理の記憶の中で、その事件は反芻されるたびにどこかしら、甘く切ない思いに変質して、いとしい
思いになってゆく。
 本当に忘れてしまいたいことならば、こんなところで記憶を呼び覚ますことはせず、過去に流して忘れてしまうだろう。羞恥の記憶を反芻しては、その中の甘いエッセンスを味わっているような人だけが、その思いを忘れられずに、もう一度を求めて、こういう場所に来るのだ。パソコンに向かいながら、枝理は自分の行動を客観的に分析していた。

 モニターの中ではチャットの会話が進行している。
<それで、えれなちゃん、就職活動は上手く行ったの?>
<まあまあ、手ごたえ有りかな・・第一志望は判らないけど>
<アナウンサー志望だっけ? 穴・ウン・さー・・・?>
 またそう言って、しもネタに持ち込もうとしてる。
<そうですよ。銀河さんってば、そういう区切り方 しないでね>
<局アナ志望でしょう? 尻穴有望?>
 そんな事、言われたら・・・ 枝理の左手が胸のチェリーの粒をそっとなでる処から、下に移動する。ズボンの中に、パンティーの中に、ためらいがちに侵入する。
<でも 瞳うるうるで、おまわりさんさえどうにかしちゃうんだから、就職の面接なんて 簡単でしょう?>
<そんなわけ、無いでしょう。面接受けるのは、みんな私くらいの女性なんだから。>
<そうだよね。おまわりさんみたいに、暴走野郎ばっかし相手じゃないものね>
 枝理は、右手だけでキーを打ちながら、半分は上の空で、会話に参加する。
・・・これじゃ、瞳うるうるじゃなくて・・あそこがヌルヌルだわ・・・
・・・きゃ!!こんなこと話したら、また銀河さんに虐められちゃう!・・・
 自分で自分の一番敏感な部分を刺激しながら、それ以上の行為に踏み出そうかと枝理はためらった。

 病院での医療行為で体調は回復したが、その羞恥の記憶は枝理の中でなかなか昇華されることは無かった。そして自分の中の羞恥が快楽の予感であることに気付き枝理は浣腸という行為に惹かれていった。パソコンで検索すれば、いくらでも関連サイトは見つかる。純粋な医療行為としてのサイトからSMプレイの一部としてのサイトまで、さまざまなサイトを覗いて見て、認識を新たにした枝理は、その中のマニアが集まるサイトに少しずつ入って行くようになっていた。

 枝理がよく行くサイトは、スペース銀河と言って、マニアがスポンサーを入れずに運営しているサイトだった。管理人の銀河さんは、エッチな話も普通の話も、面白く話してくれたし、常連さんと言われるような人達も、いろいろな話題が豊富だった。
 もちろん皆、こういうサイトだという趣旨を知って集まってきているのだから、浣腸に関する話題や知識も豊富だし、ちょっと羞恥心や罪悪感をいたずらしても、それが本当にいけないことだなどとは思っていない、メンバーばかりだった。
 そして枝理も、自分でハンドルネームを付け、いつしか顔なじみの皆と、夜毎チャットをするような、居心地のよい状況になっていた。ハンドルネームは「えれな」と名乗った。本名のERIとENEMAとを混ぜ合わせ、語呂の良い名前だと、自分でも気に入っていた。

 今晩も管理人の銀河さんと、他愛も無い会話をしているところだった。チャットでの会話では、もっともらしい話をしてはいるが、枝理自身はそれほど、浣腸体験があるわけではない。数ヶ月前の病院での受浣体験が人生で初めての体験だったし、その後、再度便秘した場合に備えてと、自分に言い訳をしながら、薬局でイチヂク浣腸を二箱購入しただけだ。もちろん、自分に言い訳をしていることは、自分でよく解っていた。
 あの時の、複雑な羞恥と快感を、もう一度味わってみたいという好奇心が、そのイチヂク浣腸の使用を決心させた。一日だけお通じが無かった日の翌日、枝理は自分で便秘治療が必要なんだという判断を、自分に下した。今までなら、何も気にせずに、一日や二日、お通じが無いことなど放っておいたのだが、自分にそういう理由を付けて浣腸を体験したかったのだ。そしてそれは、枝理の予想と期待の通りの効果を、枝理にもたらした。
 もちろん、便秘治療としての効き目はあった。しかし、それを準備している時点からの、妖しい心の動き。一人きりの部屋の真ん中で、下半身に何も着けず、自分の手で肛門を押し開く羞恥。そっと液が体内に流れ込む感触。そして、便意を迎えるまでの動揺と便意を堪える快感。極限を迎え、抵抗の出来ない排泄。その時のコントロール出来ない音や臭気。全てが枝理の期待した快楽をもたらしてくれた。そして浣腸という一連の処置を行っている間に、枝理の指先は激しく局部を刺激し、さらなる快楽を同時にむさぼったのだった。

・・・病院で一度、自分で一度、二度しか経験していないのに・・・
 枝理はすっかり浣腸という行為の虜になっていた。二度しかないという事は、決してここの常連さんたちに比べて、ハンデではない。毎日のように浣腸を楽しんでいる人。パートナーとのプレイをしている人。誰かに浣腸をしたいという願望を持ちながら、まだ望みが叶わない人。そして枝理のように数少ない経験の記憶を、反芻するようにして、羞恥の記憶をいとおしんでいる人。さまざまな人が居るのだ。回数は思いとは比例しない。しかも、世間一般では後ろ暗いような思いが、ここでは皆に認められている。
 そういう環境では、もう一度・・・という思いも、自然と起こってくる。そして枝理は、今晩さらに、あるものを用意して体験してみるつもりでいた。

・・・銀河さん。私今からイチヂク浣腸をするのよ。・・・
 心の中ではその思いが渦を巻いているようだ。鼓動がキーボードを伝わって、チャットの相手にまで届いてしまいそうに興奮している。そしてごく普通に、チャットに会話を続けながらも、枝理は準備に取り掛かった。まず、部屋の真ん中で、着ている物を一枚づつ脱ぎ捨て、全裸になった。病院でも自分でした時も、上半身には服を身に着けていた。
 しかし、今回は全てを脱ぎ捨てて開放された気持ちで、浣腸を楽しむつもりなのだ。それに、今回は用意してある物がある。それは恥ずかしさを誤魔化しながらも薬局で購入してきた大人用のオムツだった。毎晩のチャットのなかで、誰かが「限界まで我慢するには、オムツが良いわよ」と言っていたのに、興味をもったのだ。一人暮らしの部屋の中で、一人きりでどんな格好で居ようと、問題は無いはずなのだが、全裸になると恥ずかしさが湧いてくる。
 まして自分で浣腸をして、オムツに排泄するなんて、一人で居ても顔が赤らむ。
 それを、孤独のままで体験しようとしていた枝理だったが、なぜか気が変わって、パソコンでチャットをしながら、やってみようという気になったのだ。

  チャットの中では数人の常連さんが、他愛も無い会話を続けている。枝理も時々はそれに絡むが、特に話題をリードしているわけでもない。こういう形態のコミュニケーションではそれぞれの通信手段やタイピングスピード等で会話への反応速度が違うので、微妙に反応が遅かったり、突然居なくなったりしても、誰も不審には思わないものだ。枝理は全裸のままで自分への恥ずかしい処置の準備を続けた。トイレのドアは開けておく。大人用のオムツを一枚パッケージから取出し、装着できるように広げる。
 そしてイチヂク浣腸を箱から取り出し、袋を破る。全ての準備が整って、パソコンの前に並んだ。ある常連さんにとっては、常日頃の当たり前の行動かも知れない。でも、枝理には人生で初の冒険なのだ。まだ取りやめることは出来る。誰もそれを枝理に強制しているわけではないのだ。しかしわずかなためらいの時間の後、枝理はイチヂク浣腸を手に取った。

 わずか30ccのグリセリン液が、枝理にどんな効果をもたらすのかは、すでに経験もあるし充分判っている。枝理は右手にイチヂクを持ち、部屋の中央で膝を立て、仰向けに寝たまま、それを肛門に挿入した。左手は挿入された部分の少し前に伸びる。すでにそこは快感と興奮を明らかにした状態になっている。
・・・まだお薬入れても居ないのに・・・お××こ こんなにヌルヌル・・恥ずかしい!・・・
 自分でその羞恥を煽り高めながら、枝理は右手に持ったピンクの球体を親指と中指で少しずつ押しつぶして行った。液体が体内にチョロチョロと流れ込んで来るのが感じられる。その感覚でさえ、快感に思えてしまうのだ。
・・・どうしてこんなことで、こんなに感じてしまうの?・・私って変態?・・・
 ノーマルとアブノーマルの境界線をどこに置くのか?きっとアブノーマルだからこそ感じられる羞恥があるのだろう。そんなことを思いながら枝理は注入を終えた。一本分のイチヂクでは、注入量は物足りないほどだ。だがそれが数分後にどういう効果をもたらすのかは、すでに体感している。
 枝理は押しつぶされた球体を、肛門から引き抜くと、入っていたセロファンの袋に入れ、丁寧にティッシュでくるんでから、ゴミ箱に捨てた。そしてそこに用意された大人用のオムツを手にした。
 まだ便意の波はやってこない。
・・・このままトイレで・・・でも、せっかく、ここまで用意して・・・
 二十歳を過ぎた女が、オムツでの排泄など、普通であればする訳が無い。病気やけがで動けないような状態で、やむなくというのなら仕方無いだろうが、枝理は健康体だ。自分で志願して、その羞恥の行為を行うのだ。
・・・だれも見ていないし・・・誰かが知っている訳じゃないし・・・
 自分の心にそう言い聞かせて、枝理はそれを股間にあて、粘着テープで固定した。

 チャットでは、銀河さんが始めたゲームで、数人が盛り上がっている。ランダムに数字の出るダイス機能を使って、負けた人に恥ずかしい告白をさせるというゲームだ。枝理も黙っているわけにはいかず、ダイスを選択する。
・・・負けたらどうしよう・・いま浣腸して、オムツをつけてチャットしてるって・・
 いくら顔も本名も知らない者同士とはいえ、そこまではとても言えない。こうしてチャットに参加しているだけでも、顔が赤くなるほどなのだ。幸いにも枝理の出した目は、勝ちの目だった。
 しかし、そうしている間に下腹部には、波が押し寄せるように、便意が訪れる。
・・・いったいどこまで、我慢しよう?・・・
 もう覚悟を決めている枝理は、このままオムツへの排泄を受け入れている。後は何時その瞬間を迎えるかだけだ。パソコンの画面に向かいながら、枝理の意識は肛門の向けられている。
・・・まだまだ・・・我慢できるわ・・・
 時々は会話に参加するために、キーボードを叩きながらも、枝理の指先は、オムツの中にもぐりこむ。
 ヌルヌルになってしまったあそこを、激しく刺激しながら、下腹部で嵐のように激しくなった便意を少しでも紛らわすかのように、快感に変えている。便意を紛らわすのか、受け止めることが快感なのか、混乱した心の中と裏腹に、体はすっかり高まりの波の中に、飲まれようとしている。すでにモニターを見る目はうつろで、チャットの内容は頭に入ってなど来ない。

・・・もう ダメ!!・・・イイッ!・・・行っちゃう!・・・
 枝理が、前後の異なる刺激により絶頂を迎えると同時に、破局も訪れた。大きな波に飲まれ、全身の筋肉が硬直し、体をそらせ、引きつるように快感を迎えた直後だった。オムツをつけただけの全裸の体が、
ぐったりと部屋の中央に横たわり、筋肉が弛緩すると同時に、肛門の括約筋も限界を迎えた。室内に大きく破裂音が響きわたり、留め様の無い流れが、枝理の肛門から流れ出した。もう枝理には、それを停める力も無く、停める気も無かった。全てのモノを体内から流れ出させることに、さっきとは違った生理的な快感が広がった。その快感と、快楽の後の倦怠感を全身に感じて、枝理はしばらく横たわったままだった。
 やがて、のろのろと枝理は起き上がった。股間はずっしりと重く、今まで感じたことの無い異物感を感じる。臭気も漏れて肌も不快では有るが、それをもたらした嵐の大きさに、まだ圧倒されている。
 枝理は感じている。この感覚を覚えたら、また体験したくなるという予感を。そしてそれはさらにエスカレートするかも知れないという予感もあった。
・・・快感っ!・・・恥ずかしいけど、気持ちイイッ!・・・
・・・自分でしてこんなじゃ、誰かにしてもらったら・・誰かの目の前で、ウンチ出るまでになったら・・・
・・・いつかは愛する男性とめぐり合って、その人にいっぱい浣腸液を入れてもらって、そして・・・
 いずれは そんな機会にめぐり合うことも、それを渇望することもあるかも知れない。
 それは枝理の未来の物語になる。

  了

  
作者注 : この小説はあくまでもフィクションです。登場人物・電脳空間等に類似した人物・名称が存在し
  ても、その方たちと、この作品の内容とは一切関わりはございません。誤解の無いように、申し添えます。

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