秘 め 事
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どうして彼はこんなことをしたがるのだろう?私の体の隅々までも自分の物にしたいという欲望は解かる。でもそれは、薄暗い寝室のベッドの上で、彼の体で証明すれば良いことでは無いか。何も影を創らない明るいライトの下で、私の身体を抉じ開けて、光の当るはずの無い部分にまで光を当てようという、その気持ちが理解し難い。まして排泄行為なんて強制しても、私を征服したことの証明には程遠いのに、浣腸をしたがるなんて。
私も自分の秘所を鏡で覗いて見たことがある。うっすらと毛が生えた醜いクレパス、どう見てもそこに美しさを感じることは無いように思える。それを押し広げて覗く内部にしても、ただの粘膜の塊のはずだ。よほど彼の亀頭の先端の方が、ツルツルと張り切っていとおしく思えるのに。まして肛門はただの襞の集まりだし、その中身に到っては出来ればお目にかかりたくないモノのはずだ。それを彼は強制的に出させようとする。私には理解できないが、彼にしてみればそれこそが重要なことらしい。もちろん私だって、普通の教育と常識を身に付けて、ここまで育ってきたのだから他人に見せてはいけないもの、見られて恥ずかしい事の分別はある。だから彼が求める行為は羞恥心をかき立てる。でも彼の懇願とその後に与えてくれる快楽の期待に、ついつい彼の求めを受け入れてしまうのだ。
彼とのプレイはいつもホテルの一室で行われる。もちろんそういうために造られているホテルだからいつでも室内は薄暗く、カップルが二人のエロティシズムを高める様になっている。そんな室内で彼はベッドサイドから天井灯まですべての灯りをつけたうえで、私を全裸にする。そして婦人科の医師のような手順で、私の秘所を押し広げ内部まで光を当てるのだ。そのための道具、鳥の嘴のような医療器具まで用意している。もちろん私はそれに抵抗するのだが、彼の言葉と腕と指先によって、少しづつ抵抗を弱めさせられて、最後には降伏してしまうのだ。耳朶に息をかけ、乳房を愛撫し、乳首を口に含み、私の体にいつもの熱い反応を引き起こさせる。そして彼の体が私に挿入され、高みへと導いてくれる時を求めさせ、その前戯を受け入れさせるのだ。
私の核まで舌先で転がしながら、冷静な手つきでクレパスにその嘴のような器具を挿入する。そこまでされてしまうと、もう拒否することは出来ない。ただ今までの常識が示す羞恥に打ち震え何も逆らえない私が居る。彼の目が私の体内の隅々まで犯した後に、ようやくその器具が抜かれる。しかしこれは、終わりでは無く、次の更なる羞恥の始まりなのだ。
彼の指は私の溢れる粘液を掬い取りもう一つの羞恥、襞の集まりを愛撫し始める。そこにどんな仕打ちをされるのか、すでに知り尽くしているのに、私は逆らうことが出来ない。ただ弱々しく拒絶の言葉を口にするのだが、そんな事で彼への抵抗は不可能だ。彼の腕の為すがままに、さまざまな体勢を取らされ、そのまま彼の次なる行動を待つことになる。うつぶせで腰をあげさせられ、仰向けで足を上げられ、時には両膝を自分で抱えさせられて、私の肛門は剥き出しにされる。もちろん隣り合わせの秘所も剥き出しで晒されている。だが、それよりさらに羞恥を煽る排泄器官をなぶられ、これからさらにひどい仕打ちを受け入れるのだ。
彼の指先は、秘所から愛液をすくい、肛門を押し広げるように内部まで侵入する。その愛撫さえも私の性感をかきたててしまう。核もクレパスも肛門も、快感を受け止められるように、彼の手で変えられてしまっている。しかし愛撫はそれだけでは終らない。この後に快楽と苦痛と羞恥の極限が待っているのだ。浣腸、それは便秘に対する医療行為のはずだ。だが彼はそれを淫らな遊びとして用いるのだ。
最初に彼の口からそれを聞いた時には、冗談だと思った。女に浣腸をして、排泄をさせたいなどという欲望を持つ男が居るなどと、信じられなかったのだ。だが彼は実際に、私にそれを行って見せた。その後、彼の見せてくれた雑誌などで、これらの欲求は稀なものではなく、世の一部にはそういうマニアが居るのだと教えられてからも、私の心は容易にはそれを受け入れなかった。しかし、心とは別に、すでに体は彼によって、浣腸の手順を教え込まれるようになっていた。最初は市販のイチジク型のものだったが、彼の欲望のヴァリエーションのように、それは注射器型のものになり、点滴のようなものまで用意されるようになってきていた。
「ねえ、今日もするの?」
「ああ、いつものようにね。」
「どうして・・・そんなにかんちょうするのが好きなの?」
「お前を征服しているように感じるんだ・・・」
「お願い・・恥ずかしいから・・・」
「その恥ずかしい顔を見るのが好きなんだよ。」
「今日はどんな?」
「この注射器型ので、グリセリンを入れてあげるからな。」
「そう・・やさしくしてね。」
「じゃあ 膝の裏側を自分で持つように抱えてごらん。オムツをするように。」
「そんな、一番恥ずかしい格好をさせるのね。」
「そのままでよく見てるんだよ。この200ccの液がお前の中に入って行くんだから。」
「そして、またあなたの見てる前でウンチをさせられるのね。」
「そうだよ。征服された証拠を見せるんだ。」
そうして彼の手の凶器は、私に避けられない運命を注ぎ込む。いくら自分の意思で抵抗しようが、腸に入れられたグリセリンにいつまでも抵抗することは不可能だ。それでも私の羞恥は抵抗を止めない。苦痛が長引くだけと解っているのに、肛門は容易に弛まない。きっと彼もそれを望んでいる。羞恥も見せず浣腸を受け入れ、 抵抗もせず排便をするような女なら、彼は征服の快楽は味わえないだろう。結果が判っていても、抵抗を示すような女を征服するのが、彼の望みなのだ。
そして私は常識と羞恥による抵抗と、その後に待っているもう一つの快楽への期待から、彼の望む女に近づこうとしてしまう。何度浣腸をされようと羞恥に震え、排泄を見られることに抵抗しながら、彼のモノがそれにより、より硬く逞しくなることを知っているのだ。
「ああっ! 入って来ている! お腹に流れ込んで来るっ!」
「200ccをゆっくりと入れてあげるからね。」
「そんなに焦らさないで・・・お願い。入れてる最中にウンチしたくなっちゃうと困るわ。」
「入れ終わってから、砂時計を立てるからね。それまでの時間はカウントされないよ。」
「そんな。意地悪ね。3分でも10分でも結果は同じなのに・・」
「でもその後のご褒美がね・・いっぱい欲しいんだろう?」
「こんな恥ずかしくて辛い思いをするのに・・」
「5分我慢が出来なければ、トイレじゃなくて洗面器だぞ!」
「そんな、お願い。入れるのに時間かけたら、浣腸器を抜いたとたんに出ちゃいそうになるのよ。」
「でも、それを我慢するんだろう?いいことしてもらいたいものね。」
「そうじゃないわ。見られるのが恥ずかしいのよ。」
「恥ずかしければ恥ずかしいほど、快感も大きいって言うよ。」
「そんなこと・・・してるあなたに解るの?」
「だって、その後の君の乱れ具合がね・・・」
「イヤね。そんな事まで冷静に観察しているの?」
「ああ。さて、入れ終わったから今から5分だからな。」
「もう、入れ始めてから3分位になるんじゃない?もうかなりお腹が苦しいわ。まだこれから5分も・・・」
「頑張るんだよ。いっぱい我慢した方が、いっぱいウンチも出るからね。」
そう、彼はそう言って私の羞恥を煽るが、排泄物そのものへのフェティシズムは持ち合わせていない。私のウンチは単なる征服の証拠であり、そのまま水に流される。しかしその前に被征服者への羞恥を煽る目的に使用されるのだ。
「お願い!もう我慢が出来ないわ。出ちゃいそうなの!」
「まだ3分しか経っていないよ。」
「でも・・・・」
「じゃあ、洗面器にまたがるかい?」
「でも・・それは・・」
「じゃあ、もう少し頑張るんだよ。」
彼は私を強制しない。いつも私に選択肢を与え、選ばせるのだ。選択は洗面器とトイレ、トイレに同室するしない、
ドアを開けるのと閉めるの、そして私のギリギリまでの抵抗は、彼の卑劣な罠によって陥落させられる。彼は最初から、私独りでトイレに入らせ、ドアを閉め、排便をさせる気は無いのだ。彼の目の前での排便。それが羞恥心と自我の崩壊になることを知っているのだから。そして私もそれが、その後の快楽に繋がることに気付いてしまっている。
「お願い!もう5分経ったでしょう? トイレに連れて行って。」
「じゃあ、目の前でウンチをして見せてくれるね。」
「そんな・・」
「じゃあ、自分ひとりで行ってくるかい?」
もう身動きも取れないことを解っていて そういう意地悪なことを言うのだ。そして結局は彼の目の前で、このゲームのクライマックスは訪れる。
「お願い!出ちゃう!見ないで!」
決して彼が目をそらすことが無いと解っていながら、そう懇願し、そして限界が訪れる。浣腸をすれば必ず訪れる排泄を、彼の目に晒してしまうのだ。
その後の彼は、人が変わったように優しくなる。排泄の始末をして、私の体を優しくシャワーで洗い流し、ベッドに二人で横たわる。彼の股間に手を伸ばすと、この浣腸というゲームで興奮しきったものが、猛々しくいきり立っている。私の体もぐったりと虚脱感に襲われながらも、まだ欲望が満足されていない。彼を私の体の中心に受け入れながら、私は彼の耳元で囁くのだ。
「かんちょう・・かんちょう・・かんちょう・・」
彼はその言葉に反応して、時にはその言葉だけで、限界まで達してしまう。彼の白濁液を身体に、あるいは口中に受け入れながら、私は時々疑問に思う。いったい本当に征服しているのはどちらなのだろうと。密かに私は考えている。いつか立場を逆にして、彼の肛門に浣腸器を突きたてることを。
そのときに彼はどんな快感を得るのだろうか? そして私は?
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