SPACE銀河 Library

作:朱鷺

浣の連鎖

 <こんな時間に帰宅なんて・・・涼子は驚くだろうな>時彦は水曜の午後1時過ぎに、足取りも軽く自宅への道を歩いていた。急な海外出張で明日からシンガポールに向かう事になる。その準備の為に、午後から休みを取って帰宅したのだ。3日ほどの出張なのでもう慣れた事だが、明日の出発が早いので準備の為と言って半日休みを取ったのだ。妻の涼子は子供と家に居るはずだ。ちょっと驚かせて見ようと悪戯心を出して、何も連絡せずに帰宅したのだった。
 <まさか漫画にでも有るように、男を引っ張り込んで浮気でもしていたりして・・・>冗談のようにそんな事を考えながら、どうせなら本当に驚かして見ようかと玄関を開けずに、居間のある庭の方に廻って見たときだった。
 居間のレースのカーテンは半分ほど引かれている。子供はゆりかごで昼寝でもしているのだろう、声も聞こえないようだ。そんな昼下がりの居間に一人ではない人の、どこと無く秘めやかな気配がした。
 <まさか・・さっき冗談で考えたことが・・>不安が胸を過ぎる。気付かれないように、居間を覗くとそこには涼子とお隣の奥さんの和代の姿があった。
 <なんだ・・そんなドラマのようなことはある訳が無いよな・・>そう思って声をかけようとした時彦の目に入ってきたものは、時彦と涼子の秘密の趣味で使う浣腸器だった。和代がその浣腸器を手にしたまま、涼子の肩に手を廻している。涼子は短いスカートを履いてはいるが、しどけなく乱れている。その下には下着をつけていない剥き出しの秘部がチラチラと見え隠れする。涼子の肩に廻した和代の手が、次第に降りて来て、涼子の胸を愛撫し、股間にも伸びる。涼子の手も、和代の胸や股間をせわしなく行き来する。
 <まさか・・・>時彦は息を潜め、見つからないように姿を隠し、その成り行きを見守った。涼子と和代がお互いに見つめあう。涼子が和代を誘うように、尻を突き出し、和代の持つ浣腸器を受け入れる体勢になる。和代はその肛門に愛撫を加え、おそらく愛液で充分に滑らかになっているはずの肛門に、浣腸器を突きたてた。そして時彦がいつもやるのと同じような手つきで、涼子の秘部に悪戯をしながら、ゆっくりと、焦らすように、ピストンを押し込み、液体を涼子の体内に注ぎ込んで行く。涼子も、いつも時彦にされているのと同じ様子で、その快感を受け止めている。そして、シリンダー内の液がすべて注入されると、肛門を押さえながら便意を待つ間にも、二人はお互いに愛撫を加える。数分の我慢と快感の時間が過ぎると、涼子は和代から体を離し、トイレへと向かった。和代はうっとりした様子で、浣腸器を手にしている。

 <間男じゃなくて・・女だったのか・・>それを妻の不貞となじれば良いのか、女同士のお遊びとして見過ごせば良いのか。時彦は考えを決めかねていた。
 <このまま 見なかったことにして黙っていようか?・・・>声をかけるタイミングを逃して、どこで、どうやって、このお遊びにブレイクを入れるか、時彦は迷っていた。
 しばらくして、涼子は排泄が済んだ様子で、居間に戻ってきた。そして、浣腸器を手に取ると、ビーカーの中の薬液、おそらくグリセリンの溶液と思われる透明な液を、再び浣腸器に吸い上げ、浣腸の準備を始めた。
 <もう一度やるのか?・・それとも・・・>時彦も、涼子に浣腸をしたことは何度も有ったが、続けて2度もすることは経験が無い。
 <もしかしたら・・・・お互いに?・・・>そんなことを思いながら様子を覗い続けると、やはり、今度は涼子が和代のスカートの中に手を伸ばし、下着を脱がせる。
 <同じ浣腸器で、お互いに、順番に、するのか?>先ほどと同じ体勢で、今度は涼子が和代の肛門に、浣腸器を突きたてようとする。
 その様子をしっかりと見ようと、時彦が身を乗り出した時だった。体のバランスを崩し、思わず足を一歩踏み出したその先に、洗濯物の小物干しのハンガーがあった。洗濯バサミが沢山付いたそのハンガーがガサガサと揺れる音は、二人の女の注意を引き、振り向かせるには充分だった。とても驚いた表情のまま、まるで時が止まったかのように、そのポーズで固まった涼子と和代。二人とも、まさかこのシーンで突然、時彦が現われるとは、思っても居なかっただろう。涼子と和代の二人の視線が、しっかりと自分を捕らえているのを受け止めて、時彦は気持ちを固めた。 <もう、見なかったことには出来ない・・・この結末は、俺が決めなければ・・>そして、居間の窓に手をかけると、ゆっくりとそれを開き、縁側に上がり、部屋に踏み込んでいった。

 <どうして?? 何故今頃、あの人がここに居るの??>涼子が、振り向いた視線の先には、夫の時彦の姿が有った。手には浣腸器を持ち、今にも和代に挿入しようというところだ。この時間に誰かが尋ねてくるとしても、玄関で呼び鈴を鳴らすのが普通だろう。そうでない人物が居たとしたら、覗きか不法進入だから、たとえ何をしていようとこちらが優位に立てる。まして隣家の奥さんとの女同士なら、不貞を疑われるような事も無いはずだ。たとえ浣腸という、ちょっと公にしたくないような行為を見られても、女同士で便秘の治療だと言えば、言い訳は立つはずだ。
 しかしまさにこの場面で、唯一言い訳の効かない相手が、夫の時彦だった。涼子が、便秘治療ではない目的で浣腸をすることを、夫は知っている。それどころか、その行為を涼子に教えた本人だ。そしてこの状況や、
和代の様子を見れば、和代も同じだということは、同じの趣味の夫には、一目瞭然だろう。
 <何時から見られていたんだろう?・・どんな言い訳をすれば・・・??>涼子の心中は、どうやってこの場を取り繕うかで、混乱していた。
 <女同士だから・・間男を引っ張り込んだわけじゃないし・・・>
 <でも これはレズ・・って言われる行為よね>
 <夫以外の相手との 性的快楽の追求・・っていうこと??>そんな思いが、頭の中で渦巻く。その答えを、夫はどう解答するのだろう?
 <こうなったら、この人がどんな答えを出しても、素直にそれを受け入れよう・・・>
 <正直に、自分の行為を認めて、謝ろう>涼子の心中では、そんな決意が固まりつつあった。

「涼子・・・和代さんと、そんな事をしてたんだね」時彦は、努めて冷静に、出来る限りにこやかに声をかけた。
「ごめんなさい。あなたにいつもしてもらっているのに・・・和代さんも同じ趣味って知ってから・・・」
「そうなのか。まあ浣腸が好きっておおっぴらに言う人は、居ないから・・嬉しかったんだろう?
そういうお隣さんだって知って・・」
「女同士だから・・・あなたにしてもらう時も気持ちいいけど・・・ちょっと恥ずかしさも少なくて・・女の快感て言うのかしらね・・・」
「いつ頃から、二人で遊んでたんだい?」
「そろそろ半年くらいになるかな・・・月に2,3回くらいかな・・・」
「お互いにするんだね?」
「ええ順番に、二人とも公平にね・・」
「そうか、僕は君にするばかりだものね・・・」
そんなポツリポツリとした会話を交わしながら、時彦も涼子も心が穏やかになってゆくのが、お互い判った。
 <怒ったりなじったりしないのね。こんなに穏やかに・・・>
 <やっぱり、心の広い人。愛してるわ。私の大事な人・・・>時彦も、涼子を責める気持ちにはなれなかった。そもそも浣腸という行為を教えたのは自分だ。それをお隣さんとちょっとしてみただけの話だ。涼子が、共通の趣味を持つ友人を見つけただけだ。時彦は涼子の最初の言葉を聞いた瞬間から、涼子を許していた。
 <ごめんって言ってるんだから、それがどんなことかは判っているんだ・・それなら、 もう責めないでもいいな・・>時彦と涼子の間には、そんな夫婦の信頼が戻って来ていた。

 <どうしましょう・・・まさかこんなところに帰ってくるなんて・・・>和代もまた、パニック状態に陥っていた。今まさに、涼子から浣腸を受けようとしていた処だったのだ。スカートが捲り上げられ、下着を着けていないお尻が、剥き出しになっている。普通なら夫にさえ、見せることは無いようなポーズだ。それを涼子の夫に見られている。しかも、和代が涼子にした場面も、見られていたのかもしれない。涼子と戯れていたことも、知られてしまっただろう。
 涼子が夫と話をしている間にスカートを降ろし、服の乱れをどうにか整えて、なんとか取り繕ってみようとした。しかし涼子の手には、グリセリン液の充満したガラス製の浣腸器が握られているのだ。誤魔化しようはない。
「あの・・時彦さん・・・」何をどう切り出して良いのかも、判断できないまま、声をかけてみた。
「和代さん・・・」時彦もどう対応して良いのか迷っている。
「お邪魔してます・・涼子さんには、いつもお世話になってます・・」
そんな定型句が、こんな場面でも思わず口からこぼれる。考えてみれば、お世話になっているなんて、意味の取りようではとても恥ずかしい言葉になる。
 <涼子さんの浮気相手っていうことになるのかな??・・>
 <なんて言われるだろう・・ウチの夫にもばれてしまうかな?>そんな不安な気持ちが、浮かんでは消える。しかし時彦の言葉は穏やかなものだった。
「涼子のこんな趣味に、一緒に付き合っていただいて、ありがとうございます」
「いえ、そんな・・・私も、こういうことが好きなんです・・」まるで子供の友達に、一緒に遊んでくれてと、礼を言われているような口ぶりだった。
 <良かった・・・優しい人なのね・・>自分がなじられるだけなら、それで済むが、涼子たちの夫婦仲が壊れてしまったら、とんでもない事になる。  <まあ、ちょっとの間だったけど、こんなお遊びが出来て、面白かったわ・・>さすがにばれてしまった後も、涼子との関係を続けるわけには行かないだろう。和代は、そう考えて、涼子との事を諦めるつもりになっていた。

 しかし、時彦の口から出たのは、意外な言葉だった。
「これからも涼子をよろしくお願いしますね。」
「えっ?・・これからも・・・」
「はい。涼子と時々は遊んでやってください・・もし、あなたが、いやじゃなかったら・・・」
「良いんですか?涼子さんとこんなことをしていても・・・」
「はい、もともと浣腸を教えたのは私なんですが、最近は涼子も馴染んできて・・・便秘もするようになったらしくて、して欲しそうにしていることもあるのですが・・・なかなか、必要な時にいつも、私がしてやる事も出来なくて・・」
「でも気にはなさらないんですか? 女同士で気持ちがよくなるようなことをしても・・」
「ええ、涼子が満足していないなら、私が充分に快感を与えていないからでしょう。男には限界が有りますからね。別の男に走るのは、許せませんが、和代さんと女同士で遊ぶのならば・・ある意味で、安心です。」
「本当に?」
「はい。ラーメンが好きで、毎日ラーメンを食べてるような人でも、たまにはカレーライスを食べる日もあるでしょう。それでラーメンを改めて見直すこともあるでしょう。そういう意味では、涼子が女同士の味を知っている事も、良いかなと思うんです。」
「嫉妬とか・・しません?」
「こう言っては失礼なたとえですが・・・涼子が自分で自分を慰めて快感を感じていたら、涼子の中指に嫉妬をしなくちゃならなくなってしまいますよ。」
「そう・・ですか・・・」
「それに、あなただってこういう事が気持ち良いって、知っているんでしょう?涼子と遊べなくなったら淋しくないですか?」
「それはそうですが・・・」
「浣腸が好きだなんて、なかなか人には言えませんしね・・同じ趣味の人を見つけるなんて、偶然でもなければ出来ませんよ。」
「そうですね・・私も最初に涼子さんと浣腸で遊んだ時には、こんな人がすぐお隣に居たなんて、嬉しくなってしまいましたから・・」
 こんな会話をしながら、和代は安堵感がこみ上げていた。責められないだけでなく、これからもこういう関係を許してもらえる。何て心の広い人だろう。浣腸なんていう後ろめたい行為を、趣味と言い切ってしまう人。良いご主人だわ。
「そういえば・・・涼子があなたにするところじゃなかったんですか・・」
「ええ。実は私も便秘気味で・・・涼子さんにしてもらうと、とっても効くんです。」先ほどの固まってしまいそうな雰囲気がほぐれ、にこやかに会話が弾むと、時彦は次の悪戯を思いついた。
「そうですか・・・邪魔してしまいましたね。じゃあ続きをどうぞ。」時彦にそう言われて、和代は驚いた。さすがにこの状況で、目の前で続きを、という気持ちには成れない。涼子も夫の言い出した事に驚いている。
「そう言われても・・・」
「そうですよね。途中で邪魔がはいったんですからね。じゃあ私がしてあげましょうか」涼子は、夫がどんなつもりで、それを言い出したのか、判断しかねていた。しかし夫の表情は、意地悪や仕返しといった悪意は感じられない。面白がっているのだ。
 <悪戯小僧みたい・・・でも、私も後ろめたい処はあるんだから・・>無碍にそれを断ってしまうのも、つれない気はする。
 <罪滅ぼしで、浣腸させてあげよう・・・>涼子は、そう決意して、夫に今まで涼子が持っていたガラス製浣腸器を、手渡した。
「そうね。和代さん。ご主人にしてもらいたいって、言ってたじゃない。ウチの人を貸してあげるから、浣腸してもらいなさいよ・・・私にもちょくちょくしてくれるから、上手よ。」涼子までが、そう言い出したので、和代は断れない雰囲気になってきた。
「でも・・お隣のご主人に、浣腸されるなんて・・・」
「気にしないの。この人はお医者様だと思ってみなさいよ。病院へ行けば、それまで一度も会ったことの無い男の人に、身体を見られたり、浣腸されたりするのよ」
「それはそうだけど・・・」
「私が立ち会ってるんだから、それ以上の悪戯はさせないから、大丈夫よ」
ここまで涼子に言われると、拒むことは出来ない。
「そうね。じゃあ、恥ずかしいけど・・・お願いします」

 和代は覚悟を決めると、ソファーに上半身をあずけ、お尻を二人の方に向けた。涼子が和代のスカートを捲りあげる。そのコンビネーションは看護婦と医者のようだ。
「大丈夫かな?このまま入れると痛いんじゃないかな?」
時彦が涼子にする時も、最近では潤滑剤を用意することは無い。前の部分も潤んでくるので、そこから指で掬い取って、肛門に塗りつけほぐしている。涼子が和代にする時も、和代が涼子にする時も、同じようにしている。
 しかし自分の妻ではない女性の、その部分に指を伸ばすことを、時彦はためらった。
「いいのよ。私にいつもしているみたいにして。そのほうが和代さんも、喜ぶはずよ」涼子がそうアドバイスをする。和代も黙って従っている。時彦はいつも涼子にするように、和代の女性自身の部分に指を伸ばし、愛液を掬い取り、肛門に塗りこむ。涼子への浣腸をした頃から、性的な高まりを感じて居たのだろう。和代の愛液はすでに、充分過ぎるほど溢れていた。いつものようにゆっくりと肛門に愛撫のようなマッサージを加えながら、時彦も興奮を感じていた。しかし、さすがに和代相手に、その興奮を開放するわけにはいかない。そんな夫の気配を感づいたのだろう。涼子が時彦をみてクスリと笑う。和代はすでに愛撫を受け入れて、快感に身を委ねている。
 涼子の笑いが耳に入ったので、時彦はさらに悪戯心を弾ませた。
「涼子。君にも浣腸してあげよう。和代さんと並んで、お尻を出しなさい。」一度は和代から浣腸を受けている。続けて2度も浣腸を受ける経験は、今まで無かった。しかし涼子は今日だけは時彦の言うがままに、どんなことでも受け入れようと覚悟は出来ていた。
素直に和代の隣に並ぶと、同じポーズを取り、自分でスカートを捲り上げる。下着は和代にぬがされた時から脱いだままだ。二つのお尻が時彦の目の前に揃う。時彦はその二つの肛門を、両方の手で同時にマッサージを行った。二人はお互いに顔を見合わせたまま、素直に肛門への刺激を受け入れている。お互いに幸福そうに微笑んで見詰め合っている。時彦が浣腸を行う宣告をする。
「二人に交互に少しずつ、入れてあげるからね」そして、まず和代の肛門に嘴管を挿入し、ゆっくりと50cc程、液を注入した。それを一旦抜くと、今度は涼子の肛門に入れて、同じ量を注入する。そうやって交互に、焦らすように時間をかけながら、二人の女への浣腸が行われた。200ccの浣腸器が、何度二つの肛門を行き来しただろう。ビーカーにはまだ300cc程のグリセリン液が入っていた。浣腸器の中に満たされている量を加えると、二人にするのにも充分な量だ。おそらくこの液は、今までの経験で涼子と時彦が考え出した、グリセリンを10パーセント程度の濃度にした浣腸液だろう。注入量も楽しめて、我慢をする時間も、排泄感も楽しめる、便意を堪えて性行為をするのにもちょうど良い濃さにしたものだ。2〜300cc程度ならば、かなり戯れることも出来るはずだ。いままでさまざまな経験をくり返し、快感と苦痛のバランスが取れるように、世間で言われているよりも、かなり濃度を薄くしてある、涼子のお気に入りのブレンドだ。その液を、涼子と和代の二人の体内に、少しずつ流し込む。液が空になるとビーカーから吸い上げて、また肛門に挿入する。そうやって、それを二人の体内にすべて注入し終え、時彦は大きく息をついた。

 二人の女は、初めての同時浣腸に興奮しているらしい。目もあそこも潤んでいる。涼子がいつものように、時彦の股間に手を伸ばす。時彦も二人に交互に浣腸をするなどという、稀な経験で股間が膨れている。しかし和代の目の前で、涼子とするのもためらわれる。
「いいのよ。気にしなくても」和代が、その様子を見て声をかける。涼子はすでにファスナーを降ろしにかかっている。弾けるように時彦のモノが顔を出すと、それを口に含む。違和感もなく、どちらかと言えば羨ましげに、それを和代が見守る。そして和代は、我慢が出来ない様子で、涼子の後ろに廻り、涼子の秘部に顔を近づけ、同時に時彦の手を取り、自分の股間に導いた。
「ごめんなさい。でも一度こうして、浣腸されたままで、男の人に責めてもらいたかったの・・」
「いいのよ。ウチの人、指先も器用だから・・上手に感じさせてくれるわよ」
そんな涼子の言葉で、時彦のためらいも消えた。その気になって、和代に愛撫を加え、快感を導こうとする。そして三人は、ほんの数分の刺激の後、ほぼ同時に高まりを迎えた。こういう状況が、極度の興奮を与えたのだ。

 快感の余韻は、同時に破局への始まりでもある。息を整える暇も無く、涼子は便意に圧倒されそうになる。2度目のグリセリンは、最初より敏感になった腸の内部に、刺激が強すぎるようだった。
「もうダメ!! 出ちゃいそう! 」
「いつも我慢してるより、早いんだね。 2度目だからかな・・」時彦は、わざと焦らすように、ゆっくりと声をかけながらも、涼子を起き上がらせ、トイレへと導いた。そして、便座にまたがらせると、涼子にまだ我慢するように命令した。破局は目前に迫っているが、時彦の言葉に素直に従い、じっとそれを堪えている。時彦は居間に戻り、和代に声をかけた。
「そろそろ 辛くなって来た頃かな?トイレに行きますか?」
「ええ。でも・・・トイレは涼子さんが・・・」
「ウチではいつも、ちゃんと出るかどうかまで、目の前で確認してるんですよ。二人同時にしたんだから、同時に出るかな?」時彦の言葉は、和代にも涼子と同じように、排便を観察させるようにという要求だった。
「でも・・・」
「ためらってないで。涼子が待っていますよ。あなたに見られながら出したいって。それまで我慢するように言いつけて来ましたから・・・」そう言われると、和代もためらっている場合では無かった。和代が行かなければ、涼子はそれまで、便意に苦しむことになる。和代自身の便意も、崩壊に向かって、高まって来ている。涼子が済ませなければ、和代が跨る便器は無い。和代は時彦に導かれ、トイレに向かった。
「さあ。涼子。和代さんも見ていてくれるし、もう出してもいいよ」ドアの開け放たれたトイレの中の涼子は、コクリと頷くと、肛門を開放していった。

 和代は、涼子との遊びのなかで浣腸はしても、排泄はトイレにこもって、それぞれでしていたので、こんな場面を見るのは、初めてだった。弾けるように涼子の肛門から、グリセリンの液が噴出する。2度目なので固形物はほとんど出ては来ない。そして息をつくように、2度3度と流れ出した液が途切れると、泡のような残液が顔を出し、涼子の排泄は一段落した。
 時彦が、涼子の肛門を優しく拭いてあげる。涼子は恥ずかしそうに顔を赤らめながらも、されるがままになっている。その姿は、いたわりあう夫婦の愛情の姿だった。和代は羨ましさを感じた。しかし、そんな感情に関係なく、和代の破局は迫っていた。涼子の体内から出た液体を、水で流すと、今度は和代がそこに跨った。時彦と涼子の二人の視線を感じる。見られながらの排泄など、初めての体験だ。腸の中の嵐は、開放を求めて荒れ狂っているのに、自分の意思に反して、菊は綻びようとはしない。
「和代さん。出ないの? 大丈夫?」涼子が優しく声をかけるが、それが改めて涼子の存在を意識させることになる。しかし和代も、一人にして欲しいとは言えなかった。
 <涼子さんもしたんだもの・・・時彦さんにこんなに親切にしてもらって・・・>そう考えながら、限界を迎え、和代もまた解放されるのだった。和代の場合には、数日分の固形物が、腸の中に溜まっていたため、涼子よりも激しく、臭気もあったが、時彦も涼子も目をそらさず、愛情を注ぐように、それを見守っていた。和代もその暖かい気持ちを感じ、まるで小さな子供が親にされるように、時彦と涼子にされるがままで、排泄の一部始終を見られ、後始末もされたのだった。

「ありがとう・・・とっても素敵だったわ」衣服を整え、改めて三人でテーブルを囲む団欒は、すでに三人に絆が結ばれたことを示していた。
「でも・・・もう、こんなこと出来ないわね」
「あら、どうして?」和代の言葉に、涼子は素直に疑問の声を上げた。
「だって、涼子さんとそのご主人と、三人でだなんて・・・涼子さんに悪いわ・・」
「いいのよ。私も主人も、同じ趣味のあなたを、いつでも歓迎するわよ」
「お宅のご主人も、こういう趣味を解ってくれるといいんですけどね・・」
「そうね。そうなる様に、何とか誘ってみようかしらね。・・・それまでは、こちらのお宅に、時々お邪魔させてもらおうかな」
「ええ。いつでもお相手するわよ。私でも主人でもね・・」
「そう、嬉しいわ。・・・今度は私がご主人にさせてもらおうかしら・・」
「それはダメよ。まだ私でさえ、されるばかりで、一度もしたことは無いんだから」
「勘弁してください。まだヴァージンなんで・・」
「あら。冗談よ・・・」浣腸という、ちょっと後ろめたい趣味を共有する連鎖が、結ばれた日だった。


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