SPACE銀河 Library

作:朱鷺

人間ドッグ受診記

そもそもの初めは会社で先輩に言われた一言だった。
「大野さん 君も今年で二十五才だね。この会社では二十五才三十才と五年毎に、人間ドッグの全額補助があるんだよ。君も受けてみるかい?」
「人間ドッグですか?まだそんなのには縁は無いと思ってたけど・・でも、会社で補助が出るなら受けてみようかな」
「フルオプションでも全額会社で持ってくれるし、そのための休みも出勤扱いになるんだよ。」
「そうですか・・・なんだか得した気分ですね。」
そんな会話から 何も考えずにフルオプションの人間ドッグを受けるための申し込みをしたのだった。

数日すると受診のための案内と問診表が送られてきた。検査項目はさまざま有ったが、ちょっと気になったのは「婦人科」「内視鏡(上部消化管・下部消化管)」「乳癌(マンモグラフィー)」などという項目が含まれていたことだった。まあ二十五才になる女で、彼氏も居てそれなりの経験もしているのだから、病院で検査を受けるくらいのことは大したことではないだろうと思ったし、会社を通じて申し込みをしたのに いまさら止めるとも言えないということもあって、ドッグを受けたのだった。

当日は朝食も水も取らずに来院してください。前日の便を採取して持参してください。無地のTシャツを着用するか、持参してください。などという細々したことを、すべて守って当日の受付に行った。困ったのはウンチの採取をどうやってするかだった。部屋のトイレは洋式でウンチはそのまま水中に落ちてしまう。仕方が無く 採便用の道具(ボールペンくらいの容器で中に水が入っている その中のブラシで便の表面ををこすりとって戻すだけでOKというヤツ)を持って会社に行った。会社のトイレは洋式と和式があるので 和式の方でウンチをして便の採取も完了した。
「大野さんですね?人間ドッグは初めてですか?フルオプションの受診ですね?じゃあこれがロッカーのキーになりますから、あちらの更衣室でロッカーの中のガウンに着替えて下さい。ガウンの下はTシャツとパンティーだけにしてくださいね。それと生理期ではないですね?」
受付の事務のお兄さんはそう言ってロッカーのキーを私に手渡した。そういえば生理期間に当る方は受診日を変更してください っていう注意書きも有ったっけ。お兄さんはなんだかちょっと視線がイヤらしいかなとも思ったが、まあこんな処はオバサンばかりで二十五才なんていう年でドッグを受けるなんてちょっとめずらしいのだろうと思い更衣室に入った。
検査は簡単なものから順番になっているようだった。昨日採った便を出して、オシッコをコップに採って、身長・体重・視力・聴力の検査、血液は試験管に5,6本採られたみたいだったし血圧も測った。網膜の写真を撮るっていう機械は紫色の点滅を見ているといきなりフラッシュが光って、目がくらんでしまった。
次はエコー検査。ベッドに横になってTシャツを捲られると、何かヒヤッとした乳液みたいなものをお腹に塗られた。
「肝臓のエコーを見ますね。」検査技師は三十代半ば位の女性だった。
「女の人は妊娠すると、胎児の様子をエコーで見るけど、あなたはまだそんな経験は無いでしょう?」
「まだ若いし綺麗な肝臓ね。ここに来る中年の男性なんかは、かなり脂肪が溜まってる人がいるわよ。」
などと話しかけながら、肝臓と甲状腺のエコーを撮った。
「まだ若いのに、フルオプションの検査をするの?勇気あるわね。」と言われてちょっとドキッとした。病院関係者が勇気って言うような検査があるのかしら?どんな事をされるんだろう?と不安が胸をよぎった。

次はレントゲン室の前で待たされる。本当にオジサン オバサンばかりで私くらいの年の人は見当たらない。レントゲン室に呼ばれて入るといきなりこう言われた。
「はい。上半身すべて脱いでください。」
エッ? Tシャツを着て撮るんじゃないの?
「まずマンモグラフィーから撮りますから」そう言いながら結構オバサンの看護婦さんが何か道具を持ってきた。
「乳癌の検診がオプションで入ってますから、乳房だけのレントゲン写真を撮るんですよ。」
ガウンとTシャツを脱いだらショーツ一枚だけの姿になってしまう。奥の部屋にはレントゲン技師の男の人も居るのにちょっと恥ずかしいかな。さっき言われた「勇気」なんてのはこういうのも含まれてるのかななんて思った。まあ検査だからしかたないか。すると何か板のようなものを出された。
「これに乳房を乗せてくださいね」
そりゃ巨乳って程じゃないけど、それなりに胸はあるから乗せるのは出来るけど・・って思って乗せると、もう一枚の板で挟まれてギュッとつぶされる。痛いよ! それは!こうやってなるべく薄く延ばしてレントゲンを撮るんだそうだ。貧乳の人なら乳首しか挟まらないんじゃないかな・・なんて思いながらも痛みを我慢してると、縦につぶしたのを今度は横に挟んでつぶされた。裸になってる恥ずかしさよりも痛さに我慢する方が大変な思いだ。その後の普通のレントゲンはTシャツを着てから撮ったけど、その前にオッパイをしっかり見られてるんだから、今さらTシャツで隠してもね・・・

その後は内視鏡室の受付のところで待たされる。名前を呼ばれたのでいよいよ順番かと思って行くと
「胃カメラと腸カメラの両方ですから、前処置で浣腸をしますね。」と言われた。
浣腸!そうかフルオプションって言うのはお尻からカメラを入れるのも含まれるんだ!って・・・・今さら気づいても遅かった。そりゃ浣腸っていうのがあるってことは知ってましたけど、便秘の友達も居たし そういうモノのお世話になる人も居るだろうけど・・・私は快食快便だから、そんなモノには縁が無いと思っていたのにこんなところで、そんなことをされるとは思っても居なかった。浣腸ってお尻の穴から入れるんでしょう?私のお尻の穴も見られちゃうの?看護婦さんに浣腸されるの?さっきのオッパイなんていうものじゃない羞恥心が、突然私に襲い掛かってくる。そうかこれも「勇気」のうちなのか・・・・
「更衣室で下穿きを脱いで、こちらの検査用パンツに履き替えてください」っていわれて紙のパンツを渡された。このまま逃げ出したい気分だ。更衣室でショーツを脱いで渡されたパンツを穿くと、お尻の部分に穴が開いている。そうか これを穿いてるとパンツを下ろさずに浣腸したりカメラを入れたり出来るんだ。変なところに感心してしまう。
「大野さん。こちらの処置室にどうぞ。」そう言いながらこっちに来る若い看護婦さんの手には、私のカルテと駄菓子屋にあるビニール容器入りのジュースのようなものが握られている。それって今から私にする浣腸かな?イチヂクみたいなのが有るのは知っているけど、それよりはだいぶ大きいように見える。病院で使うのだから一般のより専門的なのだろうか? プロ仕様? される私は初心者だぞ! 勘弁してくれ! 廊下の待合の椅子には順番待ちのオジサンオバサンの群れが・・・これじゃ 今から私が浣腸されるって皆に知られてしまう。
処置室に入るとベッドに寝かされ、壁に向かって横向きにされた。看護婦さんのやってることや見てるものは判らないが、これから何をされるかは想像が付く。
「今朝はお通じはありましたか?」
「いいえ」 <朝飯も食べずに来いって言われてるのにウンチが出るわけがないだろ!>
「浣腸は初めてですか?」
「ハイ」  <こんなところでお尻のヴァージンを失うんだなんて思ってなかったよ!>
「女性の方は便秘症が多いんで、浣腸を使ってる方も多いですよ」なんて話しかけながらガウンを捲り、お尻の穴を開いてくる。
「入れますよ。痛くないですか? じゃあ液を入れますね。」
ヌルッとしたような感覚で浣腸の先がお尻の穴に入って来る。痛くはないがなんか変な感じだ。液が流れ込んでくる。ちょっと熱いような気がする。いやちょっとじゃなくて結構熱いよ。熱燗じゃなくてぬるめの燗にしてよって言いたくなる。
「はい 入れ終わりましたよ。じゃあ出来るだけ我慢してから トイレに行ってくださいね」
そう言われて部屋を出されてしまう。おいおい廊下の待合にはさっきからの経緯を知っているオジサンオバサンの群れがいるんだぞ。こんなところで浣腸された後の便意を我慢してろっていうのか?しかたがないから 一番端のトイレの前の椅子に座る。うつむいて誰とも視線を合わせないようにして座っているのだが、周りの皆がこちらの様子を伺っているような雰囲気は伝わってくる。〈ほら あの娘 浣腸されたのよ〉 〈もうじきウンチを我慢できなくなるのよ〉って囁かれているような気がする。じっとお腹のグルグルするのを堪えていると、目の前をオバサンが通過して、トイレに入って行った。オイオイ ここのトイレってどうなってるのかは知らないけど、一人分しかなかったらどうするんだよ! こっちは浣腸されて嫌でももうじきウンチが我慢できなくなるんだぞ! そんな事を思っていると 段々お腹の痛みも強くなって、お尻の穴もムズムズして中から液が漏れそうになって来る。もうダメだと思ってトイレに入ると、さっきのオバサンが入っている以外にもふたつの個室があった。パンツを下ろすのが間に合わないかと思う位に便意はきつくなっている。パンツを下げ洋式の便座に座ったとたんに限界が来て、噴き出すようにお尻の穴からさっき入った浣腸液が出てきた。そのままの勢いで流れるようにウンチも続けて出てくる。お腹が軽くなった気がする。
排泄音は凄い音だったから隣の個室のオバサンは驚いたんじゃないかな。もう恥ずかしいとか聞かれたら困るとか言っている余裕は無かったし、思い切り出しちゃったからなあ。しばらくはお腹の中から流れ出して来そうな感じがして、そのまま便座に座って全部出てしまうように頑張っていたが、もう出ないだろうときりをつけて、お尻を拭いてトイレを出た。受付まで戻ると「いっぱいでましたか?」って聞かれる。
「ハイ」って小さく返事をしながらも〈周りの皆の聞かれたら・・〉と思うととても恥ずかしい。
「じゃあ こちらへどうぞ」と中のカーテンの仕切りの中のベッドに寝かされる。隣の仕切りにも誰かがいる様子だ。男女の区別もわからないが なんだかオジサンのようだ。隣には二十五才の女がいて今からお尻の穴にカメラを入れられるなんて知ったら、どう思うのだろう?まあ覗かれるようなことは無いんだろうけど・・黒くてかなり太いホースみたいなものを持って、仕切り中に入ってきたのはかなりいい男の検査技師だった。はっきり言って好みだが、これからお尻を犯されるのに、好みもナニも無い。ただいい男だから余計に恥ずかしいだけだ。
「大野さんですね? これから直腸の内視鏡検査をします。痛みがあったりしたら言ってください」
なにかスイッチを操作するとベッドが上がって技師の腰の辺りまで行った。覗きこむようにお尻に向かってパンツの穴の部分を開いてくる。さっきの浣腸のせいでお尻の穴はまだ開きかけたような感じだ。〈締まりの悪そうな女だなんて 思われないかな?〉なんて脈絡も無く思ったりする。これからその穴にカメラを入れられるんだぞ。目の前にはテレビモニターが置いてあって、カメラの映像が写るようになっている。そのモニターに私のお尻の穴が写る。ひゃー恥ずかしい!! なにか潤滑剤でも塗ったのだろうか。ゴム手袋をはめた指がお尻の穴に入れられ、くるりと一捻りされる。ヌルッとした感じが気味悪い。
いよいよカメラが進入を始める。モニターにはお尻の穴のアップ!周りにチラホラ生えてる黒い毛まではっきり映っている。こんなのビデオにでも撮られたら嫁には行けないな・・なんてつまらない事を考える。カメラがお尻の中の入って行くと腸の中がモニターに映し出される。なんだかピンクの襞が続くトンネルの中みたいな様子だ。襞の感じはもつ煮の中身に似てる気はする。穴を広げるためにカメラの先から空気を入れてる。お腹に空気が入っているのが感じられる。風船になったみたいな変な感じだ。突き当たりの壁まで行くと、カメラの根元をひねって向きを変えたりしながらどんどん先に進んでいく。ぐるっと廻される時に穴の入り口の部分が感じてしまう。突き当たるとちょっと痛い。お願いだから突き破ったりしないでね。どんどん進んで行くと やば! ウンチが残ってるのが見えてきた。あんなに頑張って全部出したはずなのに・・・
「ちょっと便が残ってますね。もう少しきれいにしましょう」と言って技師さんが注射器みたいなものを用意する。それで何するの?と思う間もなくカメラの根元にその注射器をつなぐと中身を送り込む。モニターにはピンクの洞窟の中に水が流れ込む様子が写っている。お腹の中の奥の方で水の流れる冷たい感じがする。5回位入れただろうか そのままカメラをズルズルと抜いてしまった。
「しばらく待って便意が来たらトイレで出してきてください。戻って来たら声をかけてくださいね」と言ってそのまま仕切りを出て行ってしまう。ええっ? って言うことはまた浣腸されたの? 今度はカメラで中を覗きながら奥の方に入れられちゃたんだ。もう恥ずかしさの極致! 看護婦さんにされて、技師さんにお腹に残ってるウンチを見られて、また浣腸!そんな事を思ってる間にも便意がしてくる。仕方がないからぐずぐずとベッドから降りて、さっきのトイレにまた入る。お腹の奥の方から流れ出してくるような感じがして、しばらく我慢したが またウンチが出た。さっき入れられた空気も一緒に出てくるから、音も凄い。なんだか悲しくなってくる。どうしてこんな恥ずかしい思いをしてるんだろう?人間ドッグなんて・・ちょっと聴診器でも当ててそれで終わりかと思ってたのに。
出し終わってお尻を拭くと さっきカメラを入れた時の潤滑剤だろうか お尻の穴がヌルッとする。そう言えばさっき、技師さんが指を突っ込んで塗ってくれたんだ。今日はお尻の出入りが激しいな なんて馬鹿なことを思ってしまう。浣腸入れて、ウンチが出て、指を入れて、カメラを入れて、またウンチが出て、これからまた指とカメラか・・
内視鏡室に戻ると 私のカルテには<再浣中>っていう札がはさんであった。そうか再浣って言うのか。こんな札が有るくらいだから、こういう処置をされる人は多いんだろうなと思うとちょっとは安心する。あの技師さんにしてみれば、腸の中のウンチはよくあることなんだ!と思い込むことにした。
「大野さん じゃあさっきのベッドに上がって待って居てください」と言われて、ベッドに戻る。もう、一度やっているから、何をされてどんな感じがするのかは分かっている。でもお尻をこんな風に開かれるのに慣れるなんて事は無いから、恥ずかしい経験がダブルになるだけだ。カメラのモニターには今度はウンチは映ってこない。お尻の穴をくぐりぬけるとそこは腸内だった・・・なんて 川端康成じゃないんだけどな。カメラを奥まで入れて、ゆっくりと抜きながら何枚か写真を撮っているようだ。最後にお尻の穴からスルッとカメラの先が出て、腸の内視鏡検査は終った。お腹の中にいっぱい空気を入れられてお腹が張って苦しいので、またトイレに行ってガス抜きをする。もう固形物も液体も出ないが、かなりの勢いでおならが出てちょっと恥ずかしい。

胃カメラの方は恥ずかしい思いはしなかったが、苦しかった。咽に麻酔のスプレーを噴いて、肩に注射をして、さっきと同じようなベッドに寝かされた。マウスピースを咥えさせられて、よだれが垂れそうになる。さっきと同じ様な黒いホースみたいなのをマウスピースの穴から入れられる。さっきお尻から入れたヤツじゃないでしょうね?なんて馬鹿なことを思ってしまう。まさかね。
「ゴクッと飲み込むような感じで・・・リラックスしてください・・」なんて言われても、苦しいものは苦しい。胃の中もモニターで見るとさっきの腸の中と同じようだ。ちょっと襞が少ないかな。やっぱり奥まで入れてから抜きながら写真を撮っている。最後に口から抜かれるときには、よだれが垂れてしまった。顔の下には最初から紙が敷いてあって、技師さんがその紙でよだれを拭いてくれる。赤ちゃんじゃないんだけどね・・。終ってうがいをして、内視鏡室を出た。あと残ってるのは、問診と婦人科だけだ。

婦人科は待ってる人も無く、すぐに室内に入れられた。目の前に内診台ってやつがある。一応知識としては知ってるけど、やっぱり目の前にあるとちょっと尻込みしてしまう。
「はい下穿きを脱いで、その台に上がってください」と看護婦さんに言われてショーツを脱いで台に上がる。さすがに大股開きになるのはためらってもじもじしてると「ハイ そこに横になって」と言われ 仰向けにまっすぐ寝る。看護婦さんはてきぱきと事務的にお腹の辺りにカーテンを引き、私の下半身は自分では見えなくなった。足が片方づつ持ち上げられて、台にベルトのようなもので固定されるのが分った。あーあ スッポンポンで大股開きだ! まあ婦人科だから仕方ないか。彼氏とえっちする時だってこんな明るい処で、中身まで見られるなんてことは無いよ。先生が来て診察の準備をしてるらしい。見えない分だけ、なにをされるのか分らない不安がある。
「ちょっと器具を入れますから、冷たいですよ」と声をかけられ、あそこに何か金属が入ってくる感触がした。
「中を見るために開きますよ」と言われ、その道具が開いてあそこの中の襞が空気に触れるのが分る。きっとペンライトみたいなもので中を覗いてでもいるんだろう。キャー!こうなるともう開き直りだね。
「うーん ここのところがちょっと・・・」なんてブツブツ言ってる声が聞こえる。
「ちょっと気になる腫れがありますので双合診をしますね。」 
なんだよ その双合診って?
「腸の内視鏡もして有るんですね。ちょうどいい。」
えっ? それがなにか婦人科と関係あるの?
「肛門から内部の触診をしますから、楽にしてくださいね。」
それって・・またお尻の穴から・・今度は指を入れるって? さっき浣腸されて、カメラ入れられて・・・・今度は指を入れるの? 開き直りにしてもあんまりだ。さっきカメラを入れた時とは違う感触で、先生の指が入ってくる。カメラの時はひんやりしてツルツルした滑らかな感じだったけど、指はちょっと違う。しかも根元までグサリと突っ込まれて、お腹の中をかき回すみたいに探っている。恥ずかしいなんてものじゃない。こうなると肉屋で解体される肉みたいなものだ。あそこからも指を入れられて両方の指で挟むようにして、あちこちをグリグリと探っている。どうして・・・惨めな気分で涙が出そうになる。
「腫れはありますが、核みたいなしこりはありませんね。」
そうかそうか それが唯一の救いかな。これで癌でも発見されたり、再検査だの手術だのって言われたら、また何度もこんな格好しなくちゃならない羽目になるからね。
「腫れも心配するほどではありませんが、過度の性交渉や無理な行為はしないほうがよい
ですよ。」
大きなお世話だよ。私もバージンだとは言わないけど、嫁入り前の娘だぞ。まあ彼氏も居るし、やることもやってるけど、過度とか無理な行為とかって言われるような憶えはない。器具が抜かれ、看護婦さんがあそこを拭いてくれて、足を下ろされ、カーテンが開かれた。自分の下半身が見えるようになって、改めて今されたことの実感が湧いてくる。

最後に問診で個室に呼ばれる。綺麗な女医さんだ。検査結果のデータがいっぱい挟んであるカルテを見ながら
「まだ若いですから、どこも異常はないようですね」と言われた。簡単に聴診器を当てて終わりだった。
「詳しい検査結果は、後日郵送されますから。あなたのような年代から人間ドッグを受診した方が、良いんですけどね・・・ここに来る人はそろそろ体のあちこちにガタが来そうな人ばっかりで・・」って笑って言った。
まあこの年ならそんなにガタは来ていないだろうけど、でもあんな検査はね・・・進んで受けたいとは思わないよな。二十五才でも結婚して、子供を産んでる人も居るだろう。まだ男を知らない人も居るだろう。さまざまだけど、こんな経験もしてみるものかな?と思いながら病院を後にした。

この話には後日談がある。
彼氏と電話で話をした時に、このことを問われるままに、詳しく話してしまった。ちょっと大げさなくらいに、浣腸やお尻のカメラや内診のことを話したのだ。その時は「大変だったね」くらいしかリアクションが無くて、ちょっと拍子抜けな感じだったのだけど・・・・。その後の最初のデートの時、ホテルでえっちする時に、彼氏がバッグから取り出したものは・・・
彼にしてみれば、俺の彼女の体に俺以外の男が触っていじりまわした、という気持ちが有るんだろう。しっかりお医者さんごっこをされてしまった。浣腸からあそこの内診や直腸診まで・・・しかも<ごっこ>だから、あちらこちら余計な悪戯までされた。乳首やクリトリスの感度検査とか・・・彼もかなり興奮してたし、イヤって言いながらもされてしまった後はかなり激しいえっちになったし、こんなのが癖になってしまうかもしれない、なんて今は思っていたりする。


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