SPACE銀河 Library

作:プロメテウス

受  診

「あのぉ・・・初めてなんですけどぉ・・・」
受付窓口で洋子は保険証を差し出しながら言った。
受付は親切そうな若い女性である。
「水田洋子さん・・・ご本人ですか?
 ではこの用紙に書き込んでください。」
記入を終えて待合いでしばらく雑誌を読んでいると名前を呼ばれた。
「水田さん、待ってる間にこれで熱を計っておいてください。
 その後、トイレへ行って、オシッコをとってくださいね。
 小窓がありますから、そこのコップにオシッコをとって、
 コップに名前を書いてから、小窓の棚に置いておいてください。」
「はい・・・」
受付で大きなというほどではないが、はっきりと言われると、
「今からトイレでオシッコをします」と言っているような感じがして
とても恥ずかしく、返事が小さな声になってしまう。
洋子は真っ赤になりながらトイレに入った。


 朝起きた時から、洋子は胃の調子が悪かった。
いつものようにパンを食べたが、いつもよりお腹に入りにくかったし、
昼食も少ししか食べられない。
体もなんとなくだるくて、熱っぽかった。
頭も少し重いような、痛いような感じだ。
「風邪かな?・・・早めに受診しておこうか・・・」
帰りに駅までの道のりで、「内科・胃腸科」の病院があるのを思い出し、
仕事が早めに終わったので受診することにした。


 数人が終わったあと、洋子も呼ばれて診察室に入った。
中年の医師が看護婦に何か指示を与えたあと、振り返って洋子を見つけた。
あまり男前というほどではない。
カルテを見て意外と優しそうな声で言った。
「水田さん?どうぞ、ここへ座ってください。
 今日はどうしましたか?」
洋子は、医師の横にある丸椅子に座って自分の症状を言った。
「では、まず胸を診てみますので、前をあけてください。」
話してみると意外と優しそうな医師である。
看護婦が横から補助する。
「じゃあ、前をあけてブラをあげて。」
聴診器の冷たさに、洋子は一瞬体をこわばらせた。
「次は背中をみせて」
洋子は向きを変えてブラウスの背中の部分をまくりあげると、看護婦が
手を貸して背中の上の方まであげた。
聴診器による聴診、医師の手での打診をうけると、洋子は急いでブラと
ブラウスを下に下ろした。医師といえど、やはり恥ずかしい。
「んん・・・、少し熱があるし・・・やはり風邪かな?
 ちょっとそこの診察台にあがって横になって。お腹も診るから。」
医師の言葉に、看護婦がそえるように
「水田さん、ここにあがって仰向けに寝てください。
 スカートを下にずらせてね。パンストとショーツも少し下へすらしますから。」
下着まで下へ下ろされると、洋子は恥ずかしさに熱くなってしまった。
ぎりぎりの線まで下ろされている。
横で待っていた医師が触診を始める。
「ここは?・・・じゃあここは?・・・
 膝を立てて・・・」
あっちこっち押される。痛みがあるところもあれば、ただ苦しいだけの
ところもある。
「水田さん?前にお通じがあったのはいつ?」
医師の問いに、洋子はハッと気が付き、真っ赤になってしまった。
「あ、あのぉ・・・たぶん日曜日だと思うんですけど・・・」
「じゃあ、4日も止まってるの?」
「たぶん・・・」
洋子は普段から便秘がちである。
3日間ぐらいの便秘は珍しくないし、4日間のときもある。
普通は3日目か4日目ぐらいにトイレで頑張って出すときもあるし、
苦しくなれば休日の前などに、コーラックを飲んで処理することもよくある。
だから4日目というのは、普段はあまり気にしてない。
ただ、ここ数日の間、仕事の忙しさと疲れに紛れて忘れていたこともある。
でもやはり、他の人から意表をついて便通のことを指摘されると恥ずかしい。
「水田さんねえ・・・風邪も少しあると思うんだけど、微熱や頭痛とか
 食欲がないっていうのは、きっとこの便秘が一番の原因になってると
 思いますよ。」
「は、はい・・・・」
「風邪の方も、一応注射を打っておきますけど、便をまず出さないと。」
洋子はほっとした。確かに注射は嫌だが、下剤なら家にコーラックがある。
しかし、ここでももらえるならもらっておいて損はない。
「じゃあ、まず注射をしますから俯せになって。」
「えっ?」
洋子はわからなかったが看護婦が横から手を貸してくれた。
「お尻に注射をしますから、俯せになって、スカートと下着を下ろしてくださいね。」
えっ?と思う間もなく看護婦に俯せにされ、スカートと下着を下ろされる。
「(イヤ!恥ずかしい!)」
足はピッタリと閉じて延ばしているが、お尻を診られるのはやはり恥ずかしい。
「じゃ、ちょっとチクッと痛いですが我慢してください。」
医師がそう言うと同時にお尻に痛みが走った。
「イタイッ!」
すかさず看護婦が押さえにかかる。
「動かないで。動くとあぶないですから。ちょっと我慢してくださいね。」
注射針を抜かれて痛さが去るとほっとしていたが、自分の格好に気が付いて
慌てて下着を戻した。
「じゃあ、あとは、今から浣腸しますから。」
「えっ!!?」
洋子がスカートを戻そうとしていた手が思わず止まった。


「か、カンチョウ・・・ですか?」
「そうですよ、浣腸です。」
「(浣腸なんて・・・しかも人にされるなんて・・・)」
洋子はどうしたらよいものか混乱してしまった。
恥ずかしさに真っ赤になってしまう。
浣腸というものがあることは知っている。
会社の同僚でもお昼休みにワイワイとやるときに、便秘の話が時々話題に上る。
そんなとき、浣腸の話題が出ることもあった。
洋子も便秘症だから「使ってみようかな?」と考えたことはある。
好きなときに出せるのだからこれほど便利なものはない。
いつかのように下剤が効きすぎたり、意外なときに効いてきて、もらして
しまったりする心配はない。
しかし、浣腸→お尻の穴という図式を思い浮かべると、使うのも恥ずかしいし、怖い。
ましてや購入するとなると、いくら女性の店員がいる薬局を選ぶとはいえ、
浣腸すると思われると考えるだけで恥ずかしくなり購入できなかった。
「浣腸って・・・あの・・・お尻から・・・?」
「そうですよ。浣腸というのはお尻から薬を入れてお通じをつけるんですよ。
 知ってるでしょ?浣腸。」
「は、はい・・・
 あ、あのぉ・・・お薬・・・下剤か何かでは・・・?」
「下剤はねえ・・・。
 早くても効くのは明日の朝でしょ。
 それに、さっき診察したところじゃ、きっと相当たまってるから、
 便通を整える程度の下剤じゃ出ないですよ、きっと。
 嫌なのはわかるけど、今出してしまわないと、もっと熱が出たり、
 頭も痛くなったりって、なかなか治らないし、風邪も便秘もどんどんひどく
 なりますよ。だから、今、浣腸して出してしまいますから。」
「はい・・・」
医師の有無を言わせぬ説得に、洋子は頷くしかなかった。
「水田さん、ちょっと恥ずかしいでしょうけど、ちょっとお尻から薬を
 入れるだけだし、少しの間我慢すればすぐにスッキリしますから。
 お薬を入れることは痛くもなんともないですよ。
 浣腸しましょ?
 さ、こちらへ来て下さい。」
看護婦が優しく言葉をかけながら、体を強ばらせている洋子の肩に
そっと手をかけて診察台から下ろし、処置室へ連れて行った。
簡単なベッドのような処置台が4つ並んでいる。
それぞれにカーテンレールが付き、カーテンで処置台を囲えるようになっている。
手前から2つ目と一番奥が空いていたが、洋子は看護婦に優しく背中を押される
ように一番奥へ連れて行かれた。
「水田さん、ここへ横になってスカートは上げて、下着は下ろしていてください。
 パンストは脱いでおいてくださいね。
 浣腸の用意をしてすぐに戻ってきますから。」
「は・・い・・・・・・」
看護婦はカーテンを囲うように閉めるとどこかへ行ってしまった。
洋子は泣きそうになりながら、スカートをあげ、下着を少しだけ下ろし、
横になった。
「(浣腸される・・・お尻の穴まで見られてしまう・・・恥ずかしい・・・)」
しばらくして、サッとカーテンが開けられ、洋子はハッと体を硬直させた。
横には看護婦が何か持って立っている。薄いビニールのような手袋をしている。
それがまた、洋子にとっては「処置」というイメージで恥ずかしかった。
その手に何か握っている。
ビニールでできた細いホースのようなものが付いて、看護婦が握っている
ところはぷっりと膨らんでいるようだ。
「(えっ?あれが浣腸?)」
イチジク浣腸は、子供の頃に同じ便秘症の母親が自分でするときに、
見たことはあった。しかし、今、看護婦の持っているそれは、イチジク浣腸とは
比べものにはならないほどの大きさと重量感があった。
洋子の表情に気づいた看護婦が
「あっ、これ?
 水田さんは今までこんな浣腸の経験はないの?」
「はい・・・」
「じゃ、びっくりするわね。たぶん、イチジク浣腸とかの家庭用の浣腸の
 イメージしか持ってないでしょうから。
 でも、これぐらい入れても大丈夫ですからね。
 病院ではこれぐらいの大きな浣腸を使うのが普通なんですよ。
 これだったら、イチジク浣腸で出ないようなひどい便秘でも、十分に効きますから。」
「は・・・はい・・・」
そんなことを説明されても、はいそうですかと安心できるわけでもないし、
恥ずかしさが無くなるわけでもない。
仰向けのまま手をギュッと握りしめて、体を強ばらせている洋子に看護婦は
「水田さん、今まで浣腸をされたことはないの?」
「はい・・・」
「あっ、そう、それじゃあ、怖くても仕方がないわね。
 あのね、ここの先をちょっとお尻の穴に入れてお薬をチュッって入れるだけ
 ですからね。潤滑剤を使いますから、これをお尻の穴に入れるときには、
 全く痛くありませんから。あと、暖かいお薬がお腹の中に入っていくから
 少し気持ち悪いかもしれないけどね。大丈夫ですよ。」
「はい」
「やっぱり恥ずかしいだろうけど、便秘してるんだから仕方がないんですから。
 便秘で病院で浣腸を受ける人って多いんですよ。
 私たちも便秘で苦しいときは浣腸で出すときもあるんですから。」
「じゃあね、今から浣腸ね。
 じゃあ、まず左を下にして横になって・・・そう。
 で、膝を少し胸の方へ曲げて・・・ん〜んっと、もう少し・・・」
看護婦は手をかして洋子の膝をぎゅっと胸の方へ曲げた。
「下着をもう少し下ろしてお尻を出してね。」
洋子が少し下着を下ろす。
「ごめんね。もう少し下ろしますね。」と看護婦が言ったかと思うと、
看護婦の手が洋子のショーツを太股のあたりまで引き下ろしてしまった。
「!!」
洋子がまた硬直してしまう。
「恥ずかしいでしょうけど、浣腸だからお尻の穴を出さないとね。」
この姿勢なら、お尻の穴どころか洋子の恥ずかしい部分まで全て見えて
しまいそうだ。
そう思うと、洋子の頭の中は、もうカーッとなってしまった。
「はい、水田さん、じゃあ、今から浣腸しますからね。
 体の力を抜いてください。
 それと、お尻に力を入れないで。口で大きくゆっくりと息をしてください。」
洋子のお尻が開かれる。
「!」
「力を入れないで。楽にしてください。」


「(ああっ、お尻の穴なんて見られてる・・・恥ずかしいっ!)」
「まず潤滑剤を塗るのと、便の様子を確認するから、お尻に指を入れますからね。」
「(えっ?お尻の穴に指を?そ、そんな・・・)ウッ!(冷たいっ!)」
「潤滑剤を塗ってますからね。ちょっと冷たいけど我慢して。・・・・
 じゃあ、少しマッサージしますから。・・・・」
「ン〜〜ッ」
「はい、力を抜いてえ〜・・・」
「アウッ・・・・」
看護婦の指が入ってくる。中でグルグルと動いている。
「んっ!ん〜〜〜っ!!」
「少し我慢してね。・・・ああ、すごいたまってるわね。
 ウンチがすごく固くなっちゃってる・・・」
自分のウンチのことを他人から言われて、洋子は死ぬほど恥ずかしかった。
「はい、おまたせ。じゃ、今から浣腸ね。」
「管の部分を入れますから。」
細い管がスルッと入ってくるのがわかった。さきほどの指と違って、細いせいか
難なく入ってしまう。
「あれ?・・・あっ、固いウンチに当たって止まっちゃってる。
 ちょっと待ってね。」
看護婦が管を出したり入れたりしている。
「あうっ・・・ん〜〜〜〜」
「ごめんね、ちょっと気持ち悪いかな?・・・
 あっ、入った入った。
 じゃあ、薬を入れますからね。
 ちょっと気持ち悪いかもしれないけど我慢してね。」
「はい・・・・ウッ・・・ンーーーッ」
「どうですか?気分悪くないですか?」
「・・・はい・・・・・・」
「はい、終わりましたよ。今から抜きますから、少しだけお尻の穴を
 閉めてください。」
「・・・・ウッ・・・」
看護婦はガーゼを当てながらカテーテルを抜いていった。
お尻の穴からスポッと抜けるのがわかった。
振り向いて看護婦を見ると、看護婦が使い終わった浣腸の始末をして
いるのが見えた。その浣腸を見ると、管の先が黄色く変色していた。
はっと、それが何かに気づくと、洋子はどこかへ消えてしまいたくなった。
看護婦がティッシュを何枚か持って戻ってくる。
「これでお尻を押さえますからね。」
ティッシュの固まりがお尻の穴にグイグイと押しつけられる。
「出したくなりますけど、できるだけ我慢してくだいね。
 こうやって押さえて起きますから。」
と、看護婦はお尻の穴を押さえたままである。
同性とはいえ、自分以外の者にお尻の穴を触られて、なおかつ押さえられて
いるということに、なんとも言えない気分であった。
しばらくするとお腹の様子が変になってきた。
「あっ」
「効いてきましたね。でも、まだですよ。もっと効いてくるまで我慢して
 ください。」
「はい」
最初は「変な感じ」程度だったお腹も、今はもう下痢のときのあの感覚である。
出口に向かって、中の物が圧力をかけている。
「出そう」という言葉が恥ずかしくてなかなか言えない。
「あ、あのう・・・」
「出そうですか?まだ2分足らずです。
 もしお薬しか出なかったら、また、もっと大きな浣腸をしなくちゃ
 いけないですからね。もっと頑張って。ね。」
「・・・は・・・い・・・・ウッ!・・・ンーーーーッ!」
「(もう、ダメ、もれてしまいそう・・・)」
既に洋子の頭の中は、恥ずかしさよりも、苦しさから逃れたい、出そうという
気持ちでいっぱいだった。
「・・・あ、あ・・・で、出そうです!
 ・・・も、も、もう我慢できません。トイレにっ!・・ンッ・・・・」
「はい、じゃあ、このティッシュを挟んだまま、ショーツを上げて。
 トイレへ行ってください。そこのドアがそうですから。
 トイレでは、絶対に流さないでくださいね。
 後で確認しなければいけませんから。」
「はい」
洋子はショーツをある程度上げただけで、その上からお尻に挟んだティッシュを
片手で押さえ、トイレへ向かった。


看護婦がドアを開けて待っていてくれた。和式である。
洋子が入ると看護婦がドアを閉めて、外から念押しに言う。
「くれぐれも水を流してしまわないようにね。
 それと終わったらお尻を拭かずに、先にその前にあるボタンを押してください。」
「はい」と言いながら、洋子は既にショーツを下ろしながらしゃがんでいた。
いつものクセでさっと水洗レバーに手が伸びたが、看護婦の言葉を思い出し
手を戻した。
しゃがむと同時に、ビシューッ!!と薬液が迸りながら、バリバリとガスの
排出音がトイレ内に響きわたった。
「(ヤダッ!きっと外にも聞こえてる。)」
水を流すなと言われているので音をごまかすこともできないうえ、
いつもより数倍激しい音なのである。
液体の噴出が一段落したかと思うと、中からググッと押してくるものがある。
苦しさに思わず洋子は声に出して力んだ。
「ンンーーーーッ!・・・ハウッ・・・・ウーーーンッ!」
便秘症の洋子には、どういう状態かはすぐにわかった。
しかし、いつもなら、なかなか出ないものを押し出すために必死で力むのだが、
今回は違った。
中かな押し出て来ようとしているが、堅さと太さとで、出口で使えてしまって
苦しさがたまってしまっているのである。
その苦しさから逃れるために、おもわず力んでいた。
グググッと肛門が開いて、堅い固まりがすごい勢いで押し通っていく。
「ハウッ!・・・フーーーンッ!・・・ウッ!」
その間にも、バスッ!ドスドスッ!ブリブリと、死ぬほど恥ずかしい音を
立てて、お腹の中にあったものが出ていく。
一段落すると、恥ずかしさが蘇ってきた。
「もぉーー・・・ヤダこんなの・・・あっ、またっ・・・
 ンーーーッ!・・・ウッ・・・」
3回ほどの波が終わると洋子のお腹もようやく落ち着いてきた。
「はーっ、はーっ、・・・」
外から看護婦が声をかけてきた。
「どうですか?水田さん。
 気分悪くないですか?大丈夫?フラフラしたりしてないですか?」
「・・・はい・・・」
「出ました?」
「はい」
「そうですか、じゃ、ドアを開けますから。」
「えっ?ちょ、ちょっと待ってください。」
まだ身支度どころかお尻も拭いてない状態なのに、ドアをあけるという
看護婦の声に大慌てになった。
「あっ、お尻は拭かないで。そのままの姿勢でいてください。
 固いウンチが通って、お尻の穴が傷ついてないか調べますから。
 じゃ、ドアをあけますよ。」
「うわーっ、たくさん出ましたね。よかったですね。すっきりしたでしょ?」
看護婦は明るくよろこんでくれたが、自分のウンチを「たくさん」と言われて
洋子は隠れたくなった。
「じゃ、その姿勢で少しお尻を持ち上げてこちらに向けてください。」
「えっ?・・・(そ、そんな・・・ウンチを出してまだ拭いてもいない
 お尻の穴を見せるなんて・・・)」
「恥ずかしいでしょうけど、検査ですから。ちょっとあげて。」
「・・・は・・い・・・」
和式トイレで便器を跨いだ姿勢でお尻を持ち上げるのである。
こんな姿勢は物心付いてからとったことはない。
おまけに足下には自分が出した、大量の排泄物が堆く山になっている。
洋子は消えてしまいたかった
「ちょっとそのまま待っててね。便を少しとって検査しておきますから。」
看護婦は洋子のお尻の下に手を伸ばし、便の中に何か棒のようなものを
入れてから戻した。
「今からお尻の穴を検査しますね。」
看護婦がお尻の肉をかっと開く。
「ウッ」
「力を抜いて・・・」
看護婦の指が入ってくる。
浣腸で出したあと、何か熱くなっているお尻の穴に強烈な感覚である。
「・・・ハウッ・・・」
「はい大丈夫ですよ。
 じゃあ、お尻を拭いて。流してもいいですよ。」
身支度を整えて外へ出ると、看護婦がにこりとしながら待っていた。
「大丈夫ですか?気分悪くない?
 もしよかったら、そこでしばらく横になっててもいいですよ。」
「はい・・・でも、大丈夫です。」
「恥ずかしかったでしょ?でも、ひどい便秘だったものね。
 でもすっきりしてよかったでしょ?
 でもね、あんなに固くなるまで放っておかないほうがいいですよ。
 お尻の穴も傷つきやすいし。
 どうしても出にくいようだったら、もう少し早めに浣腸で出した方が
 いいですよ。」
「はい・・・ありがとうございました。」
「では、待合いでしばらくお待ち下さい。」

待合いに行った洋子は、もう疲れ切ったような感じがした。
「は〜っ」とため息をついて、ほっとした拍子に先ほど受けた処置が
思い出され、真っ赤になってしまった。
「水田さ〜ん」
先ほどの看護婦である。
「どうですか?大丈夫ですか?」
「はい」
「先生が、すっきりしたのなら、とりあえず今日は帰って休んでおいて
 くださいということです。
 あとで薬局でお薬をもらって帰ってください。
 もし調子が悪いようだったら、遠慮せずにまたきてくださいね。」
「はい。」




「ん〜〜〜っ!!!・・・んは〜〜・・・」
「(出ないな〜)」
洋子はいつもの便秘であった。すでに10分以上頑張っている。
文字通り「糞闘」である。

「しかたがないよね・・・
 また、あれ使っちゃおう・・・」
イチジク浣腸である。

病院で浣腸を受けて以来、あの恥ずかしい出来事が忘れられず、
便秘になると、またあの浣腸をされるのでは?とびくびくしてしまう。
しかし、気にしても一向に便秘の改善は見られない。
思いあまった洋子は、あんな恥ずかしいことを人にされるぐらいなら・・と、
自分で浣腸を使う決心をした。
会社の同僚が便秘談義のときに、使っているというのを聞いたこともあった。
それなら自分で・・・と。
しかし、いざ買うとなると、どうしても「浣腸をください」という言葉が
出てこない。何回も失敗した。
なんとか言葉が出ても「コーラックをください」に変わってしまう。
すぐに必要でもないのに、シャンプーを買ってしまう。
しかし、コーラックの効きも悪くなってきており、多い目に飲んで
トイレ通いになることもいつものとおりであった。
あるとき、よく行く薬局でいつもの少し年上の店員が、「コーラックを・・」と
言ってしまった洋子に、
「あまり続けると癖になって、余計にひどくなりますよ。
 どうしても出ないというときは、一度浣腸をお使いになってみては?」
と勧めてくれたのだ。
洋子は思わず「じゃ、それを!」と言いそうになったが、やはり恥ずかしく、
「かんちょう・・・ですか?でも・・・」というのいが精一杯だった。
洋子の様子を察した店員が
「恥ずかしいとお思いになるかもしれませんが、どうしても薬を使うのなら、
 浣腸の方が影響が少ないですよ。
 それに、恥ずかしくなんかないですよ。お客様ぐらいの女性の方も、たくさん
 使っていらっしゃいますし・・・それに・・・」
と、店員は思いきったように
「実は私もひどい便秘症で、苦しいときには、浣腸のお世話になるんですよ。」
と言ってくれた。
それ以来、洋子はその薬局で、ちょくちょく浣腸を買っている。

いつものように、ボールに少し微温湯を入れて浣腸を暖める。
洋子が思いきって、薬局の例の女性店員に
「出した後も、ときどきお腹が少ししぶって・・・」と相談したときに、
「暖めてお使いになる方が、あとがすっきりしますよ。」と店員が
教えてくれたのだった。
「そろそろいいかな?」
手で持ってみて、暖かさを計ってみるて、頃合いかな?と、それを持って
トイレへ入る。
やはり浣腸を入れた後の便意は強烈で、万一のことを考えるとトイレで浣腸を
している。
ショーツを下ろして、前屈みになる。
そのポーズをとるとやはり恥ずかしく、顔が火照ってしまう。
これも、「入れるときに少し痛くて・・・」と相談したときの店員の
アドバイスで、ベビーローションを少し浣腸の挿入部につけ、自分の
肛門にも付ける。
「ウッ」
さあ、と深呼吸して、手を後ろに回して行く。
前屈みになって、お尻をつきだし、手を後ろに回して浣腸しようと
しているのである。考えると顔から火が出そうなポーズだった。


さあ、と深呼吸して、手を後ろに回して行く。
前屈みになって、お尻をつきだし、手を後ろに回して浣腸しようと
しているのである。考えると顔から火が出そうなポーズだった。
「ウッ!・・・」
握りつぶす。
「ン〜〜〜〜ッ・・・。んは〜〜・・・」
なま暖かい液が入ってくるのがわかる。
ゆっくりと抜き去る。なんだか、もったいないような感覚がアナルに残っている。
抜いた殻をトイレットペーパーで包むときに、ふと見ると、挿入部の先に、
腸の中身が少しついていた。
「ヤダッ」
慌てて包んで、コーナーポットへ入れた。
「さあ、いよいよこれから・・・」
と、改めて便座にお尻を乗せ、これからの体内の変化に備えた。
薬がよく行き渡るようにと、お腹をゆっくりとマッサージする。
約1分後。
「あっ、きたきた。」
お尻の出口付近で、熱い感覚と共に、排泄感がわき起こってきた。
ギュッと肛門を閉める。
マッサージしていた手が止まって、思わずお腹を抱えるようになってしまう。
ギュルギュルギュル〜〜〜
お腹の奥からうなり声のような音が聞こえる。
「ウッ!・・・ま、まだよ。まだダメよっ。もう少し・・・」
トイレットペーパーを束にすると、左手でお腹を抱えながら、右手にトイレット
ペーパーの束を持ち、肛門を押さえる。
さらにまた約1分。
体に鳥肌がたってきた。
「ンッ!・・・ん〜〜っ!・・・んはぁ〜〜・・・」
息が荒くなる。
「はぁ、はぁ・・・」
「も、もう少し・・・」
肛門から液が少ししみ出してしまった。
「ウッ!・・・も、もう・・・ダメ!」
一気に力が抜けてしまった。
パシューッ!・・・プリプリ・・・
液とガスが駆け抜けていく。
「ヤダッ」
誰もいないとわかってはいても、その音に思わず恥ずかしくなった。
体の奥の方から、大きな物が入り口へ向かってくるのがわかる。
「ハンン〜〜〜〜〜ンンッ」
出口付近で、つっかえてとまってしまった。
病院のあの大きな浣腸なら、こういうのも一気に押し出してくれるのかも
しれないが、イチジク浣腸程度では、スルッとはいかないようである。
「オオウッ!・・・フンーッン!・・・」
思いっきり力む。
メリメリというような音がしたかと思うと、堅くて太いのが、ズルズルと
一気に抜け出ていった。
「ンハァ〜・・・・・。ウッ!・・・」
今度は少し柔らかいのが出ていく。
「はあ〜・・・はあ〜・・・」
さらにもう一度波が来て、同じように苦闘の末、先ほどよりも少し柔らかめの
ものを出す。
いつも、その後は、少し渋り腹が続く。
「う〜〜〜んっ!・・・ハゥ〜〜〜ッ・・・・」
ピチピチ・・・プチュッ・・・ピシュー
残りのわずかな液と、便が出てしまうと、ようやく落ち着く。
一段落すると、洋子は方で息をあえがせながら、ぐったりとしていた。
「あ〜・・・すっきりしたぁ〜・・・」
気を取り直したかのように、トイレットペーパーで、自分の肛門を拭きに
かかった。
そのとき、ふと手が触れた自分の大切な場所が濡れているのに気が付いた。
以前に、自分で浣腸したときにも、こうなったときがある。
「ヤダァ〜、もうこんなときにィ〜・・・」
ベッドに戻ってしばらく横になった後、洋子はシャワーを浴びに行った。
「恥ずかしいけど・・・でも・・・すぐにすっきりできるのがいいな。」


「あ〜あ・・・。またきょうも・・・
 仕方がないよね・・・・」
また便秘している。今夜も浣腸をすることにした。
昨夜、浣腸をして出してしまおうと思ったのだが、友人からの電話が
長くなってしまい。浣腸をする時間を逸してしまった。
便秘は、今日ですでに6日間になろうとしている。仕事中も下腹部が
キリキリと絞られるように痛くなったりするし、苦しくて仕方がない。
「(もう今夜出さなければ・・・)」と決心していた。
浣腸の在庫が無くなっていたことを思いだし、帰り道にいつもの薬局で
10個入りのお徳用を買った。最近では、これを買うようにしている。
何回も浣腸を買いに来るのも恥ずかしく、最初、棚にそれを見つけたときも、
気持ちが惹かれたのだが、浣腸をまとめて10個というのは、恥ずかしくて
とても買えなかった。
薬局のいつもの女性店員がそれを察したのか、
「お客様のようにときどきお浣腸をお使いになるのでしたら、こちらの方が
 お得ですよ。私も家にこれを置いてるんですよ。」と言ってくれたのが
きっかけで買ったのだった。
「じゃあ、私も、それを・・・」


最近では、他の客がいないときには、その女性店員とよく話をするように
なった。年齢も店員の方が少し上のようだが近いし、同じ便秘という話題が
あり、何よりも女性同士という安心感もあった。
「私も、夕べ、使ったんですよ。」
「えっ、そうですか?私は今夜使おうかなって思ってるんです。」
「夕べはひどかったから、2個一度に使ったんです。」
「えっ!2個も一度に使ってもいいんですか?」
「2個ぐらいならかまいませんよ。場合によっては3個でも。」
「じゃあ、私も、ひどいときには、2個使ってみようかな?
 1個だとすごく出にくいときがあるんです。・・あら、ヤダ、恥ずかしい。」
「恥ずかしがらなくても、私もそうだから、よくわかりますよ。
 もっとひどくなると、病院で、もっとお薬がたくさん入って、長いノズルが
 付いている浣腸で、たくさんのお薬を奥の方へ入れてもらわないと
 効かなくなるんですよ。」
「ああ、あれ・・・」
「えっ?病院でお浣腸された経験があるんですか?」
「えっ?・・・あ、あのぉ〜・・・・」
「私も、相当前になりますが、ありますよ。」
「そうですか?私も以前に病院でお浣腸されて、それ以来、恥ずかしいので
 自分でお浣腸してるんです。」
「そうですか。便秘は、やはり、できるだけお薬を使わないで直す方が
 いいんですが、どうしてもというときには、まず出してからでないとね。
 でも、あまりひどくならないうちに、お浣腸して出さないと、ひどくなると
 こんなイチジク浣腸の2個とか3個じゃ出なくなってしまうんですよ。
 だから、早めに出した方がいいですよ。」
「へぇ〜、そうなんですか?浣腸でも出ないんですか?」
「はい。同じ浣腸といっても、このイチジク浣腸は1個に30gしかお薬が
 入っていませんから。それに、あまり腸の奥の方へはお薬が届きませんから。
 この浣腸でも出ないときには、やはり病院で大きなお浣腸をしてもらわないと
 仕方がないですね。」


いつものように、トイレで下着を下ろし、前屈みになって、ローションを塗る。
浣腸の先にも少し塗り、後ろへ持って行く。
入れてから、便座に座り「そのとき」を待つ。
「?」
いつもより、効きが早い。それに強い。
「えっ!どうして?」
しかし、我慢しなければ効かない。
「ウッ!・・・アウッ・・・ンハア〜・・・・」
出そうだった。
しかし、いつもの様に内容物が押し出してきそうな感じとは、また違った。
肛門のところが熱く、薬が飛び出て来そうなのである。
「ああ〜・・・も、もう、ダメェ〜・・・」
ペーパー越しに肛門を押さえていた手を離してしまった。
ピシューーー!
バリバリッ・・・・
薬とガスがいつものように走り出てくる。
しかし、ここからが違う。内容物は、動きそうな気配は少しあるのだが、
外へ押しだそうという強い感じがない。
「えっ?」
ガスが出たせいか、お腹の張りは少しは収まったものの、お腹のしぶりが
少し残っていて、気持ち悪い。
「ヤダ〜・・・どうしよう・・・」
薬局の女性店員が
「ひどいときは2個でも・・・」
と言っていたのを思いだし、トイレから出ると、もう2個を暖めにかかった。

浣腸2個を持ってトイレに入った洋子は、まず1個目を入れた。
先ほどの浣腸で刺激が残っているのか、反応は早かった。
「ダ、ダメよまだ・・・」
震える手で、急いで2個目のキャップをはずす。後ろへ手を回し、注入にかかる。
浣腸の先を肛門に入れたとたん、ピシュッと先に入れた薬が少しもれてしまった。
「ヤダ!」
しかし、なんとか注入を終え、しっかりと束にしたペーパーで肛門を押さえる。
「ウ〜〜ッ!・・・」
2個分が効いているのか、もう何もかもが飛び出して来そうな感覚であった。
「(これなら出てくれるかも・・・)」
と思うと、余計に我慢が出来なくなってきた。
「あーーーっ、も、もぉー、ダメェーーーッ」
手を離した。
今度は先ほどと違いガスの音は少なかった。
しかし、薬が飛び出すビシューッという音は、前回よりも長かった。
内容物も少しだが動いている気配がある。出口に押してきているようだ。
「ンーーッ!!・・・ハウッーーーー!・・・」
出ない。
「え〜・・・どうしてぇ〜・・・?」
必死でお腹を押さえ、マッサージしながら力んだ。
「ウウーーォオーーーッ・・・・・・ンハァ〜・・・・」
だめだった。
「ど、どうしよう・・・・」
薬局の店員の言うように、病院へ行かなければならないのかと思うと、
恥ずかしくてしかたがない。
「でも・・・しかたがないな〜・・・」
洋子は諦めた。
恥ずかしいが、以前のように、思わぬことをされるわけでもない。
されることはわかっている。
「明日、病院へ行こうっと。」
薬局の店員の言うように、あの大きな浣腸なら出てくれるだろう。

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