SPACE銀河 Library

作:プロメテウス

難  産

佳代は、慌てた。
「こんなときにしたくなるなんて・・・・
でも、このチャンスを逃すとまた・・・・」
佳代に便意が起きること自体が少なかった。佳代はひどい便秘症だった。
便秘症だが、便意がたまにあっても会社のトイレなどでは、なかなか恥ず
かしくてトイレで息むということができなかった。排便に時間がかかるし、
便秘の便のひどい匂いで友人達に佳代の便秘がわかってしまう。
友人達は気軽に便秘の話をしたりしているが、佳代には恥ずかしくて
そういう話はなかなかできなかった。
佳代は困って、ときどき有名な薬を服用していたが、常用しているうちに
だんだんと効かなくなっているのは自分でもわかっていた。
2年ほど前に、多い目に服用した薬が効きすぎて出勤途上に下着に
もらしてしまったことがあった。
それ以後は薬も恐くてなかなか服用できずにいた。
ある時、ひどい便秘のあまりの腹痛に病院へかけ込んだところ、浣腸されて
しまったのだった。浣腸だけではない、最初に浣腸されたが、普通の浣腸では
出なかった。結局、お尻から指を入れられ、出口付近の硬い便をかき出され
るという、死ぬほど恥ずかしい体験までしてしまった。
それ以来、排便には気を使っている。
便秘で苦しいときには、「浣腸」ということも思い浮かんだが、佳代には
恥ずかしくて浣腸を買い求める勇気はなかった。
結局、常に緩いめの下剤を服用する生活になってしまっている。
有名な強い下剤は、「おもらし」の恐怖があった。
病院で、医師や看護婦から注意を受けたように、便意が起これば、
恥ずかしがらずに、大切にしていた。しかし、佳代の便秘症のお腹は
たまにしか起きてこなかった。
最近では、会社では便意が起きれば、会社ではなんとかトイレに行けるように
なってきた。それでも、やはり行きにくく、便意を逃してしまうこともある。
自宅では、ここぞとばかりにトイレに篭って30分でも頑張ることもある。
たまにしか出ない便は、硬い。出すのに七点抜刀の苦労を要する。
自宅ではタンクの方へ向かって洋式の便座に上がりこみ、トイレットペーパーを
被せた蓋をしっかりと掴んで、うなるように、文字どおりふんばることもある。
しゃがむ方がふんばりがきくし、出やすい。
片手でお腹をさすったり、押さえたりしながら、うなり声をあげることもある。

しかし電車の中での便意の発生は、今までほとんどなかった。
「でも、これを逃したら・・・」
今も相当長い間の便秘である。もし、今日出なかったら、恐怖はあるけれども
強い薬に頼らざるを得ないと思っていた。
それに、会社などで便意が起きることはあっても、今まではわずかなものだった。
トイレに行っても、どうせ出ない。そういうあきらめで、わずかな便意なら
トイレへ行ったことはほとんどない。
しかし今回は少し違った。中の方から、押し寄せてくる何かがあった。
家にいるときなら「チャンス!」と思って、何をおいてもトイレにかけ込む
ほどの便意に近いものがあった。
しかし、佳代にとって、駅のトイレなんてふんばれるものではなかった。
ほとんどの女性が水を流して音を消しているが、たまには、小さくふんばっている
声をきくこともあった。
しかし、これだけの長い便秘のことだから、きっと少々のふんばりでは出ないだろう
ということもわかっている。
「でも・・・」
何より、すでに便意は逼迫している。たとえ出そうになっていても、ひどい便秘で
硬くなってしまった便が、そう簡単には出ないこともわかってはいたが。

出勤途上ではないから時間はある。自宅まではバスに乗り変えたりと時間がかかる。
自宅に着くころには、きっと便意は失せてしまっているだろう。佳代は意を決して駅
のトイレに向かった。便意が強く、腹痛となって押し寄せていて歩きにくくなっている。
今にもお尻の穴を開いて出てきそうな感がある。
トイレにたどり着いた佳代は、慌ててスカートを上げ、下着を下ろししゃがみ込んだ。
ガスが出そうだ。慌てて水を流し、少しづつ出してみる。
「プォ〜」
「やだっ!」
水を流していてさえ、隣に聞こえてしまいそうな大きな音だった。
「んっ! ん〜んっ!!」
思い切ってふんばってみる。出そうで出ない。苦しい。
足をもう少し開いて、お尻を落し、体制を調整する。
「ふんっ!んん〜んっ!」
お尻をもう少し突き出してみる。
「うぅ〜ううっ!うううんんっ!」
出口に近づいてきたようだ。
「もう少しだ。ふんん〜んっ!」
ブス〜ッ!またガスがもれる。
「イヤッ!もう・・・。でも、・・・ん〜んっ!!」
片手でトイレットペーパーを被せた放水用コックの着いているパイプを掴み、
もう片方の手でお腹をマッサージする。お腹を押さえてみる。
少しづつ・・・しかし、なかなか進まない。
思い切ってお尻を少し上げ、足をもっと広げ、両手を太股につけて、
相撲の力士がしこを踏むような体制をとってみたり、両手を壁に押しつけて
お尻を後ろに思いっきりつき出してみたり・・・。
親でさえ見せられた格好ではない。
しかし自分以外には誰もいないトイレである。佳代は夢中になっていた。
「うう〜うううっ!」
出ない。しかし、お腹の奥から押してきているものがある。苦しい。
荒い息使いとともに、思わずうなり声を出していた自分に気付き、真っ赤に
なってしまった。お尻の穴が押し広げられる感覚がある。
「あっ、もう少しで出そう!・・・ふん〜っ!」
また体制を元に戻し、両手でお尻の膨らみを広げてみる。
「んっ!・・・ん〜んっ!
出ない〜・・・でも、苦しい!」
お尻の穴が押し広げられ、すぐそこまで来ているのだが、止まってしまって
いる。いつも以上に太くて硬いような感覚がある。
お尻の穴の周りに手をかけて、広げてみる。
「ううっ!う〜んっ!・・・ふん〜んっ!」
「あっ、きたっ!」
便が頭を出してきた。
「えっ!」
思った以上にお尻の穴が広げられている。これほど広がったことは、今まで
で初めてではないだろうか。
「き、切れる!」
佳代は心配になってきた。しかし、家で出すときも、びっくりするぐらい
広がったこともある。それに、どうせ出さねばならない。
「ううう〜うううんっ!」
思い切ってさらに力んでみた。
動いた!少しづつ動いている。ほんの少しづつだが。
「痛いっ!切れそう!」
少しだが、便が頭を出しているようだ。
「もう少し。・・・ん〜んっ!!」
これ以上は広がらないとばかりに、お尻の穴を押し広げながら、便が少し
姿を現してきた。
「トントン」
「!」
ノックの音にハッと我にかえった佳代は、ここが駅の公衆トイレであるこ
とを思い出した。夢中になって力んでいた自分を思い出し、恥ずかしくな
って、力を抜いて身を潜めた。
ハッと思いたって、ノックを返した。
「やはり落ち着いてできない。こんなところで出そうとしなければよか
った。」
力を抜いてかえってお尻の穴の痛みに気がついて、お尻の穴を押し広げた
ままになっている怪物に意識が戻った。
「このままじゃぁ・・・
うう〜ん!・・・ん〜ん・・・」
中からの便意に押されているはずなのに、動かない。
慌てて力を抜いてお尻の穴を閉じようとしてみた。
ほんの少し出かかっている状態なら、また引っ込んでしまうはずだ。
だめだった。
次にお尻の穴を閉じて、便を切ろうとしてみるが、切れるような硬さ
ではない。
「ど、どうしよう・・・」
なんとか頑張って出すしかない。
「んんっ〜んんっ!!」
出ない。
お尻を思いっきりつき出してみたり、両手でお尻を広げてみるが出ない。
お尻を下げて、足を思い切って広げてみる。
これだけのことをやれば、さっきは少しは動いてくれた。
しかし、今回はだめだった。
まったくピクリとも動かない。
佳代は、トイレットペーパーを2〜3重ほどに手に被せ、恐る恐る便に
触れてみた。
「!!・・・石!」
今までにも、便器に落ちるときにコロンと音がするのではないかという
ような硬さのことはよくあった。
その時にも触って確かめたわけではなかったが、佳代にとっては今回は
本当に石のような硬さに思えた。しかも、出すことも戻すこともできない。
「しかたがないわ・・・」
佳代はトイレットペーパーでその塊をつまむと、引っ張り出そうと試みた。
「んんっ・・・痛いっ!」
「あっ!」
お尻の穴から外の部分は、ボールのように丸い底の部分だった。
とてもじゃないけど、ちぎったり引っ張ったりするどころではない。指のひっかかる
ところがない。このさらに内側の部分がさらに太くなっているのなら・・・
佳代は自分のお尻の穴が切れてしまうのではと心配になってきた。
しかし、このままではどうにもならない。家へ帰るどころかトイレから出ることも
できない。
お尻の穴を両手で開きながら、思いっきり力む。
「んんん〜んっ!もうイヤッ!」
「!」
動いた!そんな気がしただけかもしれないが、ほんの少しだが動いた。
さらに頑張ってみる。
「ううう〜うぉぉ〜っ・・・・んんん〜んっ!」
「コンコン」
「!」
ノックの音。
また、夢中になってしまって、外に聞こえるほどの声が出てしまっていたかもしれない。
我に返ってノックを返す。
外のことを気にすれば、思いっきり力めない。しかし、力まねば出ない。
佳代は混乱していた。
「もう、イヤッ!・・・で、でも・・・」
「んんん〜んんっ」
同じように手を使ってお尻の穴を広げながら格闘は続いた。
少しづつ、少しづつだが、動いているようだった。
「ホンッ・・・ンン〜・・・ッ!」
「ブスブス・・・ムチムチ・・・プチプチプチ・・・・」
佳代にも聞こえた。
お尻の穴を思いっきり広げて怪物が徐々に顔を出してきた。
「ンッ〜ンンンォオオ〜ッ!」
「・・・?・・・!!・・・き、来たっ!!ヤッタァ!
んん〜んっ!!」
ここぞとばかりに思いっきり力を入れる。
「ムスムス・・・」
動いている、徐々に。
長い。切れずに延々と続くかと思った。
便の先が和式便器の底に当たっても切れない。お尻の穴をギュッと力を
入れて閉じようとするが、開きすぎて力が入らない。
腰を少し振って、揺すってみる。
「ドタッ!」
落ちた。
しかし、切れた残りの部分は、お尻の穴を大きく広げたまま残っている。
お尻の穴が便を頬張っているようだ。
恐る恐る下を見てみる。
「すごいっ!」
まるで大きなサツマイモのようだった。
「こんなに大きなものが・・・。こんなに太いものが・・・。」
しかし、奥から押し寄せるお腹の苦しさはまだ続いている。
「んん〜っ!」
力がいるとはいえ、さっきと比べれば、今度は少しは楽に出てくる。
「ムスムス・・・ブリブリ・・・パスー・・・」
奥からの波の力も加わって、後から後から出てくる。
「ううんん〜・・・まだ・・・もぉ〜・・・」
徐々に柔らかくなってくる便は、どこにこれだけのものがあったのかと
思われるほどいくらでも出てくる。
ようやくお腹の苦しさもなくなり、出るのもおさまってきた。
「ふぅ〜・・・・・」
脱力感と何か一種の快感とが混合されたような気分で、ホッとしてしまった。
ふと気がついて、またそっと下を見てみる。
「!!・・・山!」
まさに山のようだった。実際、小山のようになっていて、頂上部分は
和式便器の横の縁と同じくらいの高さになっているのではと思うほどだった。
「ヤダ〜・・・水を流しながらするのを忘れてた。」
個室の中は、佳代の出したものの臭いで充満している。
あせったかよは、そそくさと紙で拭きにかかった。
「!!えっ?」
お尻の穴が開きっぱなしになっている。
家でも、大きな便を出した後はこういうことがよくある。しばらく開いたような
状態が続くだけで、すぐに元に戻る。しかし、今回は今まで以上に開いた
状態になっているように思われた。
しかし、今はそんなことを気にしてはいられない。
拭き終わると、さっそく水を流す。
山のような便は、水に削られ、水を便の色に染めながら、崩れていく。
まだ、山がある。佳代は自分の出した量に驚いて、恥ずかしさで真っ赤に
なりながら、また水を流す。
山がほとんど流れた。
「えっ!」
残っている。山の下にあった、巨大なサツマイモが残っている。
あせった。何度も水を流すが、あざ笑うかのように、どんとかまえている。
太くて硬いだけではない、便器に対して縦に横たわっているのだから、
水が便の脇を流れていくだけの状態になってしまっている。
「ど、どうしよう・・・・」
しばらく思案した後、佳代はトイレットペーパーを分厚く重ね、手で押してみた。
動いた。
水を流す。
動いた。
「!!」
動いたことは動いたのだが、水にすぐに溶けないほどの硬さを持つ便は
便器の穴の部分に引っ掛かって止まってしまった。
佳代は下着を上げるのも、スカートを降ろすのも忘れ必死だった。
またトイレットペーパーを重ねたもので今度は崩しにかかった。
上から押さえて便を切って分けようとする。
「もぉ〜・・・・」
ぐぅっと押さえて見る。こんな硬いのを出したとは・・・
なんとか3つに分かれた。再び水を流してみる。
2つは流れたが、残った1個は水溜まりのなかでグルグルと回って
いるだけだった。
また、水を流す。ダメだった。
佳代は、トイレットペーパーを何重にも流れ残った便に被せると
身仕度を整え、個室の外へ出た。
隣の個室の外で待っていた30歳ぐらいの女性が入れ変わるように
佳代の入っていた個室に入った。
佳代は手をさっとだけ洗うと、逃げるようにトイレから出た。

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