SPACE銀河 Library

作:ねむ

浣腸の思い出
2 お医者さんごっこ


 妹の浣腸があって、その余韻がまだおさまっていない頃でした。テレビを見ていた私に妹が、いつにもない恥かしそうな様子をして、「お姉ちゃん、お医者さんごっこをしない」、と誘うのです。それには、私は少し驚きまはた。というのは、お医者さんごっこを誘うのはいつも私で、妹から声をかけられたのは、それが始めてだったのです。また、おしり関係のことは、妹にはタブーになっていると思いこんでいたのです。しかし私に、妹の申し出を断る理由はなにもなく、「いいわよ」、と答えました。
 すると妹は、さらに驚くべきリクエストをしてくるのです。「私、便秘してるの、お姉ちゃん、私のお尻に本当の浣腸をして」、というのです。この言葉に、私はたじろいでしまいました。それまで私が使っていた浣腸は、クレヨンや鉛筆の先を妹の肛門に差し込むことでしかなかったのです。それと、本当の浣腸とでは、あまりにも大きなひらきがあります。とはいうものの、妹に本当の浣腸をすることには、強い魅力があったのは確かなのですが。

 私の頭にまず浮んだのは、キッチンにある母の浣腸器とグリセリンでした。この二つのセットは、エッチな気持ちを生みだす魔法の道具のように思われ、誰もいないときに覗いたりしていたのです。これを持ち出してみようかと、ちらっと思ったのですが、その勇気はさすがにありませんでした。
 次に浮んだのは、亡くなった母の薬箱のことでした。そこになら何かあるかもしれません。妹も加わり、子供部屋の押入れを探したところ、目当てのものは簡単に見つかりました。

 胸をどきどきさせながら薬箱をあけてみると、そこからは、イチヂク浣腸と書かれた小箱が見つかったのです。「これ、本当の浣腸よ」、といって振り向くと、妹はこわばったような顔をするのでした。私は、震える手で小箱をあけてみました。するとそこには、友達の家で見たのとまったく同じ、ピンク色をしたイチジク浣腸が、一個だけですが見つかったのです。
 戦利品を手に入れた私と妹は、ベッドにもどりました。すると妹は、私が何も言っていないうちに、スカートとパンツを脱ぎだし、下半身を剥き出しにしてベッドに横になるのです。そして私がイチジクの袋を破ると、妹は両足をあげ、赤ちゃんの浣腸スタイルをとるのでした。私の考えでは、一個のイチジクを二人で半分ずつ使おうと思っていたのです。しかし、妹の迫力に負けた私は、全てを妹にしてやるしかなかったのです。

 私はクリームをすくいあげると、妹の肛門に塗りたくりました。すると妹は、「いい気持ち」、といって目をつむるのです。妹には、これから私のする浣腸を恐れている様子が、まったくと言っていいほど見られないのです。そして私が、「これから浣腸するよね、辛くても我慢してね」、というと、「私、いっぱい我慢する。お姉ちゃん、私が我慢するところをみんな見ててね」と、思いがけない返事をしてくるのでした。
 私は、震える手でキャップをはずし、イチジクの筒先を妹の肛門に差しこみました。そしてふと、妹の表情を見やると、目を閉じ、口を少しあけていて、「浣腸を味わっている風情」、にしか見えないのです。これは、母に浣腸をされて泣き出した妹とは、まったくの別人でした。
 私がイチジクを押しつぶすと妹は、ハーー、というため息をだすのです。そして上にあがっていた脚を降ろすと、にっこり笑って、「お姉ちゃん、浣腸よかったわ」、というのでした。

 しばらくすると妹は、「おなかが痛くなってきた」、といって眉をひそめはじめるのでした。そして妹のおなかからは、ゴロゴロという音が聞こえるようになるのです。
 そのとき私が心配したのは、妹がベッドの上で、ウンコや浣腸液を漏らしてしまうのではないか、ということですが、さすがにそれはありませんでした。妹は、「私もう我慢できない」、といってベッドから身を起こすと、ゆっくりと立ち上がり、ヨチヨチ歩きで子供部屋から消えていくのでした。その様子を見た私は、妹に、はるかかなたに引き離されているのを感じ、たまらなく淋しい気持ちになってしまうのです。それとともに、自分も誰かに浣腸をされたいという気持ちが、高波のように襲ってくるのでした。

 その次に、私のとる行動はきまっていました。母が留守をしているのをさいわいに、さすがにグリセリンには手が出せなかってのですが、浣腸器を持ち出して部屋にもどったのです。はじめて手にする浣腸器は、ずっしりとしていて重く、これでされる浣腸は痛いにちがいない、と思ってしまうのです。なかでもその筒先は、痛さとエッチさを象徴しているように思われました。私は浣腸器をとりあげ、その筒先を触ったり、ピストンを上げ下げして楽しんでいました。
 そこへ帰ってきた妹は、浣腸器を見つけて、驚いた様子をみせるのでした。私が、「お母さんの薬箱から持ってきたの」、というと、妹は顔を輝かせ、「その浣腸器でお姉ちゃんに浣腸してあげる」、と言ってくれるのでした。そして、コップに水を入れて持ってくるのです。ただし妹には、どうして浣腸器に水を入れればよいのかが、分からないようでした。しかし私がやってみると、その方法はいたって簡単でした。浣腸器の筒先をコップにいれ、筒を引いてみればよかったのです。
 私は、下半身の衣服を脱ぎ捨てると、ベッドに横になり、何気なく、両足を上げていました。すると、その時になって、このスタイルが、何とも恥ずかしい格好であることに気づくのでした。格好だけでも恥かしいのに、そこへさらに浣腸が加わるのです。浣腸をされる子供は、こんな恥かしい目に、あわされ続けているのでしょうか。それを考えると、浣腸では、痛さの我慢より、恥ずかしさの我慢のほうが上にあると思えるのです。そして、浣腸が嫌いだという友達の気持ちが、理解できたような気がしました。

 妹はクリームをとると、広げられた私の肛門に塗り、おぼつかなげな手によって、浣腸器の筒先は私の肛門に納まったのです。そして妹の、「お姉ちゃん、これから浣腸をするよね、ちょっと気持ちが悪いけれど我慢してね」、との言葉とともに、冷たいものが私の肛門に入ってくるのでした。
 ただしそこには、期待していたような感激はありませんでした。私に浣腸をおえた妹は、『お姉ちゃん、今の浣腸よかった」、と聞いてくるのです。私には、「ちょっとだけね」、答えるしかありませんでした。すると妹はさらに、「お姉ちゃん、おなかが痛くなってきた」と、いくども聞き返すのです。私が、「ぜんぜん」、と答えると、妹はがっかりした様子をみせるのです。私は何んだか、妹が気の毒になってしまうのでした。
 やがて私のおなかにも、少しずつ浣腸の痛さが襲ってくるようになりました。私が、「おなかが痛くなってきた」、というと、妹はほっとしたような表情を見せ、「よかった」、といって手をパチパチと鳴らすのでした。
 妹は、イチジク浣腸を独り占めにしたことを、悪いと思っていたのでしょうか。

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