SPACE銀河 Library

作:真理

ひ と み

【1】
「はぁ〜〜っ…。やっぱりダメかぁ。どうしたらいいんだろ。」
諦めて個室から立つことにした。
顔色が悪いのは仕方がないことだ。もう1週間近く通じがない。
今も、軽い下剤を飲んでトイレ中に響き渡るような声で吠えながらふんばったのに、
一向に便は肛門から出てこようとしない。

――保科ひとみは19歳の看護専門学校生。
このトイレは、その校内の公用トイレである。
最も、放課後の今の時間帯、校内に残っている学生は少ない。
その時間を狙って、ひとみはトイレを訪れたのだ。

ひとみは非常に恥ずかしがり屋の為、校医には勿論、寮のルームメイトにすら
便秘しているだなんて、口が裂けても言えないだろう。
でも、いくら普段から便秘症とは言え、1週間も出ないのは初めてで、吐き気や
だるさを伴い、肉代的にも精神的にも限界に近かった。

手を洗って、お腹をさすりながら寮の自分の部屋に戻ろうとした時、
「あら、ひとみじゃない。どうしたの?」
声をかけてくる学生が居た。
「あ、文乃ちゃん…。」
それは、ひとみの2つ上の先輩、須藤文乃だった。

ひとみが、ナースを目指し、そしてこの看護学校に入ったのも文乃の影響だった。
もともとひとみと文乃は幼なじみで、小さな頃からひとみは文乃の世話になっていた。
文乃は小さな頃から、ナースになることを夢見ていた。
ひとみはといえば、そんな文乃に憧れ、そして羨ましかったのだ。
決して勉強の得意でないひとみが、ここの看護学校に入学できたのも、文乃が
勉強を見てやっていたお陰なのかも知れない。

「…―み。ひとみ!」
「え?!あ、な、何? 文乃ちゃん。」
「なんかおかしいなあ。隠し事してるんじゃないの?」
文乃は、勉強も出来るが勘もかなり鋭い。ひとみの異変には直に気付いた。
「何も隠してないって。」
そう言って、ひとみはその場から去ろうとした。
「ははぁ――ん。ひとみ、お腹の具合が悪いんでしょ?」
文乃になら言ってもいいか…。そう思ったひとみは、
「……実はそうなの。よくわかったね。」
と返事をした。
「だって、お腹さすりながらトイレから出てきたじゃない。わかるわよ。で?
状態は? 下しちゃってるの?? 出てないの???」

矢継ぎ早の文乃の質問に、ひとみはちょっとたじろいだ。
いくら、気心が知れてる文乃とは言え、とても恥ずかしい話題だ。

「まあ、いいわ。私の部屋へいらっしゃいよ。ちょっと見たげる。」
「え、大丈夫よ。自分で何とかするって! だいじょうぶ。」
そんなのは嘘だ。自力で排便を促そうとしてもう何日経つのやら…。
「明日の講義にもひびくでしょう?? 第一、顔色が物すごく悪いわ。
私だって心配で何も手につかなくなっちゃう。」
「でも、恥ずかしい…」
「ひとみは小さい頃からそうやって何でも恥ずかしがるんだから。ダメよ、
体調が悪い時は無理をしちゃ。とにかく私の部屋へ行くわよ。」

こうして、ひとみは文乃にされるがまま、同じ学生寮の文乃の部屋を訪れた。

【2】
「好きな所に座って頂戴。睦なら、今日は実習で遅くなると言っていたわ。」
睦とは、文乃のルームメイトの東城睦のことだ。
小さなテーブルの傍らにひとみが座ると、文乃はまるで本物のナースのように問診を始めた。

食事のこと、睡眠のこと、生活全体のこと…。吐き気やだるさがあることも告げた。
「なるほど。便秘しちゃってるのね。」
やっぱり"便秘"という単語はひとみには恥ずかしすぎる。
「お薬は使ったことがある?」
「ウン」

ひとみは、高校2年生の頃のことを思い出した。
あのコマーシャルでおなじみの便秘薬を多めに飲み、次の日学校でひどい目に遭ったのだ。
授業中に、お腹の内側から波打つような痛みがひとみを襲った。
当然、教師にトイレに行きたいなどと申し出ることができるわけもなく、
我慢に我慢を重ねた。そして、やっとの思いで休み時間にトイレに駆け込んだはいいが、
スカートをたくし上げたところで我慢していた大便が溢れ出してしまったのだった。

その後は、下着を汚物入れに捨てて、頭痛がひどいふりをして早退するのがやっとだった。
それも、下着無しでの下校。もうあんなのはこりごりだ、とひとみは痛感していた。
(文乃ちゃん、下剤を使おうって言うかなぁ…)
ひとみは心配でならなかった。

「よし、じゃあお薬ですっきりしちゃおっか。ね?ひとみ」
「え? もう下剤はいやなのよ。」
こればっかりは、あの苦い思い出のせいでひとみも譲れない。
「なぁーに言ってるの。もっといい方法があるじゃないの!」

「……?」
ひとみは、一瞬何のことだかわからなかった。

「看護学校に通ってなくたってわかるでしょう。お浣腸よ。」
血の気が引いていく気がした。
いくらなんでも、他人の前であんな恥ずかしい…。そう思ったひとみは
「や、やっぱり私、帰る!」
と言って、立ち上がった。

けれども、次の瞬間、ひとみの視界は真っ暗になった。

【3】
 ―――――――
「あ、気付いたみたいよ。」
この声は、文乃の声ではない。
「?!」
驚いたひとみは起き上がろうとして、文乃にそれを制止された。
「起き上がっちゃダメ。脳貧血で倒れたのよ。その間に睦が帰ってきただけだから
びっくりしないで。」

「文乃から話を聞いたわ。私も手伝うからひとみさんのお腹、すっきりさせよう?」
睦は優しく微笑んだ。睦は、文乃とはまた違って母性の強そうなタイプの女性だ。
「早くしないと、ひとみ、自分の部屋へ帰れなくなるわよ。覚悟決めなさいな。」
そう、学年が違うから寮も別棟なのだ。門限だってある。

「…よろしくお願いします。」
もうそう答えるしかなかった。

ひとみが返事をすると、文乃と睦は共同作業で"お浣腸"の準備を始めた。

「ひとみは横になったままでいいからね」

【4】
ひとみが、布団にもぐり込んで色々考え込んでいると、サッと布団をまくられた。
「キャッ!」
そんな悲鳴もそこそこに、文乃は処置を続けようとする。
「そのまま左を下にして横になって… そう 」
次の瞬間、文乃はひとみのショーツに手をかけた。
「いやっ 止めて!!」
「こうしないとお浣腸できないじゃない、我慢ガマン。睦、ワセリン塗ってあげてくれる??」
そう文乃が言うと、睦の長い指がひとみの肛門に伸びてきた。

声にならない声。
恥ずかしい場所に、ぬるぬるしたものを塗り込められている。
「そろそろ、いいかな。」
睦の手が離れると、変わりに無機質なものが肛門に触れる。

「…ひぃぃぃぃぃい…」
「お薬入れるわよ?」

その声と同時に、チュルチュルとなまあたたかい液が腹に入ってくる。
入ってきた瞬間は、その液は大人しかったのに、直にひとみの腹で暴れ出す。

「あ、あああああああ!!!」
「まだ50ccしか入ってないわよ。」
「ト、トイレはどこ??」
「そこの左だけど、まだよ、がまん…

今度は文乃の制止を振り切って、ひとみは便器に跨った。

バズッ プォオオ〜〜!  …ちょろちょろ… ぶすっ

溜まっていた少しのガスと共に、グリセリンが出た。
治まると思っていた腹部の激痛は、注入前にも増してひどいものに変わった。

トイレから出てくると、文乃が少し怒った表情でひとみを見つめる。
「まだって言ったでしょう?? さ、もう1度お薬を入れるわよ。」
心配になった睦も、こう言った。
「お薬が効いてくるのに、時間がかかるんだから、我慢しなきゃ、ひとみさん…。
それに、お薬4分の1くらいしか入ってなかったのよ。」

ひとみは、まだ恥ずかしい思いをせねばならないのかという思いでいっぱいだった。

【5】
さっきと同じように、左を下にして横になる。
「今度はゆっくり入れるわね。じゃあ、アーーーって声出して?ひとみ。いくわよ…。」
チュルチュルチュルチュル……
この感覚には慣れた。
「あ、あ、アーーー――…
「睦、お薬お願い。」
そう文乃が言うと、睦は"お浣腸"の注射器に薬を汲み上げる。
「はい、ひとみ。アーーー――、よ」
「アーーー――――、……?!  ハァアアアアーー―あ、――。」
またもや腹の中の薬が暴れ出す。思わず、声がうわずった。
これが、何回繰り返されたのか、朦朧としているひとみにはわからなかった。
薬を注入し終わると、文乃は無情にもひとみの下腹を揉みしだき始めた。
「や、やめてぇええええ!!」
「こうでもしないと、きっと出ないわよ。それにしても、溜まってそうね。固くなってるわ。」
文乃は手を休めない。

(お腹痛い…!!)
(もう、ダメ、、、うんち洩っちゃう!!!!)
何回こう思っていることだろう。

「あああ、あやの、ちゃ…
「もう少しよ。さっきより頑張れているじゃない。」
今にも崩壊しそうなひとみの肛門は、睦に多目の脱脂綿でがっちり抑えている。
全身に脂汗をかき、ひとみは生まれてからこれ以上ない排泄欲求にかられた。

【6】
何分経ったのかなんて、ひとみには最早わからないが、文乃がこう告げた。
「そろそろ、いいんじゃないかな。」
足がガクガク言っている。それを見た睦が、
「歩けないんじゃない?」
と聞いてきた。
歩けるかもしれないが、確かにさっき走りこんだあのトイレまでたどり着くのは
無理だ、とひとみもわかった。
「そうねぇ。うん、じゃあこれに…」
そう言って文乃が出してきたのは、さっきまで"お浣腸"の薬液が入っていた
大き目のグリーンの洗面器だった。
「やだっ うそっ?! それだけは…お願い…文乃ちゃん…」
「だって、歩けないでしょう? それに、どのくらい溜まっていたのか見てあげないと」
歩けないのは事実で、どうしようもない。

「んじゃ、睦、2人で跨らせてあげようよ。」
「うん、わかった。」
睦は、なんの躊躇もなく頷く。

横になっていた身体を起こされただけで肛門から出てはいけないものが噴出しそうだ。
「んぁ、ぁああああ…」
「せ―の、はいっ」
文乃と睦はひとみの上体を起こし、まるでおまるに跨る子供のような格好をさせた。

「いいわよ、ひとみ、出して」

「んは。…ンー!!」

バスバスッ! ブルルルォオオオ!!

すさまじいガスの音がしたが、便は出ない。浣腸液も、あまり出てこなかった。
「固まっちゃってるのかなあ?」
そう言うが早いか、文乃はひとみの肛門に指を差し込んで便を掻きだす。
「あぁああっっ!!やめてぇえええ!!」
「いいから、踏ん張って!」
「んん!んぁあああああああああああああッッ!!」

ひとみは、その瞬間を迎えた。

羞恥心は、排泄欲によってかき消され、物凄い勢いで力みはじめた。

【6】
ブスブスブス…

依然として、ガスばかりが洩れ、異臭を放つ。
それでもひとみは大便を排泄したくてたまらなくなっていた。
「ん、ん!! んぅううおおおおおおおっ!」

むりっ!

「ひとみ! うんちが顔出したよ!! でもやっぱり凄く固くなってる…。
頑張って力んで!!」
「文乃ちゃん…。ん!むううううっっっ!!」

ブスブスブス〜ッ!!

またもやガス。

どうやら、一週間便を溜め込むうちに、大便から水分という水分が吸収されてしまったらしい。
大便の先は出ているのだが、それが栓になってしまって進まない。

「睦! わたし摘便するからおしりの肉を開いてあげて!!」
睦も、ひとみの尻に触れる。

(んもう、イヤァアアアア!!)
「ふん―――――――――――ッ!!!」

ボトッ!

大きなかたまりが、洗面器の中央に落ちた。
「あはぁああ…んむうううううううッッ!」
続いて出てくる便は、どんどん柔らかくなっていく。今朝の下剤が少し効いているのかも知れない。


ブリブリブリ!!! ビビビビビッビビッ びゅるるるる〜〜〜っ!

ムリムリムリムリ…びちびちっびびっ

「ハァーーーーーーーフンッ!!」

ぐるるる〜とお腹が鳴り、ひとみは延々と激しく下し続けた。
洗面器のキャパシティはすでに越えて、床を滝のように大便が叩き付けた。
一方、文乃と睦は手を汚しながらもひとみの大便を受け止め続けた。


【7】
一旦、排泄は収まったものの、何せ溜めていたのは1週間分だ。

治まってはトイレへ、治まってはトイレへ、と波が何度もひとみの腹を襲った。
その間に、文乃と睦は洗面器から溢れ出た大便を片付けた。

ぐったりとしたひとみに、文乃はこう言った。
「私が便秘した時は、頼むわね。」

「…はい、文乃ちゃん…」
そのひとみの目は排泄への快感のせいで恍惚としていた。

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