SPACE銀河 Library

作:Fujio

想い出(沙希)

 小学校の四年生の時でした。朝、トイレから出てくるとママに「ちゃんと出た?」と、聞かれ、
「出なかった」 私は正直に答えました。
「そう。じゃあ、学校から帰ったら浣腸しましょうね」 出来れば聞きたくない単語がママの口から発せられました。
「えーっ、浣腸なんて嫌だぁ・・・・」 無駄だとは判っていても、私は拒絶しないわけにはいきませんでした。
「そんなこと言っても、もう三日も出てないんだから、放っておくわけにはいかないでしょう。寄り道なんかしないで、真直ぐ帰ってらっしゃいね」 あまり駄々をこねるのは得策ではないことが判っていましたので、
「はーい・・・・」と、渋々返事をして学校に行きました。

 友達の誘いを断って家に帰ったのに、何処に行ったのかママがいなくて玄関に鍵が掛かっていました。鍵の隠し場所となっている植木鉢の下をみても鍵が見当たらなくて、仕方なく玄関の前に座って待っていることにしました。それから三十分は待ったでしょうか、やっとママが帰ってきました。
「ママ、遅いよ!」
「ゴメンね、すぐ帰るつもりだったんだけど、薬屋さんで色々聞いていたものだから・・・・」 ママが言い訳をしながら鍵を開けて、やっと家に入ることができました。
「その代わり、ショートケーキを買ってきてあげたわ」
「本当!」 大好きなケーキと聞いて、私は嬉しくなりました。
「お浣腸が済んだら、紅茶と一緒に出してあげるわね」
「・・・・」 急に喜びも半減し、憂鬱になっていくのでした。

 いつも通り、両親の寝室となっている和室には幾重にも新聞紙が敷かれていました。
「下を全部脱いでここに横になりなさい」
 ママの言うとおりに、ショートパンツとパンツを脱いで、新聞紙の真ん中にお尻を置くようにして仰向けになりました。
「今日聞いたんだけど、四年生ならもう大人用の浣腸でも大丈夫だろうって言われたのよ。だから今日から大人用を使うわね」
「ええっ!?大人用?」
「大丈夫よ、ちょっと大きいだけだから」
 ママにしてみればたった10g増えただけだったのでしょうが、それまで使っていた20gのものと比べて随分大きく見えました。今までだってやっと我慢していたのに、それ以上となるとても我慢なんか出来ないと思いました。
「嫌だよォ・・・・そんな大きいの入らない!」
「大丈夫だって!病院ではこれの倍もあるのを使うんだってよ。だから平気よ」
「だって・・・・」
「はい、もうグズグズ言わないの。あんまり嫌がると、病院で大きな浣腸をしてもらいますからね」 私はあきらめるしかありませんでした。

 ママは浣腸のキャップをはずすとまるでオムツを替えるときのように私の両足首を持って持ち上げました。この頃にはもう羞恥心が芽生えていましたので、大切なとこや、お尻の穴が見えてしまうポーズに泣きそうになりました。
「いい、入れるからね」 浣腸の先がお尻の穴の中に入ってくるだけで気持ちが悪いのに、さらにお薬が入ってその気持ち悪さは何にものにも変えがたいほどでした。
「あーっ!イヤーッ・・・・」 ママが
「しっかり我慢するのよ」と、お尻の穴を脱脂綿で押えました。
 一刻も早く気持ち悪いものを早く出してしまいたいのですが、すぐに出してしまうとお薬だけしか出なくて、もう一度浣腸されなければなりませんから、出来るだけ我慢しようとおもいました。ところが量が増えたためでしょうか、一分も経たないうちに便意が襲ってきました。

「もう出そう!トイレに行かせて!」
「何を言ってるの、今入れたばかりじゃない。もっと我慢しなさい!」
「だって、出ちゃう!お願い、もう我慢できないッ!」
「ダメッ!我慢するの!もしオモラシなんかしたらお仕置きですよ」
 お仕置きと言われて、一生懸命にお尻の穴を絞めてうちに少しだけ便意が退いてきました。でも、それも長続きはせずに猛烈にお腹が痛くなってなってきました。
「お腹痛いよォ!助けてェ・・・・!お願いだからウンコさせてェ!」 私は泣きながら叫びました。
「しかたない子ね、ほら、立ちなさい!」 ママに抱き起こされて一歩踏み出した瞬間にピュッと浣腸液が噴出し、ババッと新聞紙にかかりました。
「ちゃんとお尻の穴を絞めて!」 再び脱脂綿でお尻を押えられながらトイレに急ぐのですが、一度緩み始めたお尻の穴は思うように絞まらずに、脱脂綿に吸収しきれない液体がポタポタと便器にしゃがみこんだ時には、ほとんどを零してしまっていました。
 ビビッ!グジュグジュッ!ビビビビッ!・・・・耳を塞ぎなくなるような大きなオナラが出て、ウーンと力を入れると石のようなウンコがボトン、ボトンと出てきました。尚も何度もるとやがて大きなウンコが次々と・・・・
「終わったら流さないで呼ぶのよ」 ママがいなくなってからも二十分ぐらいは踏ん張り続けたと思います。

「ママぁ!」 私が呼ぶとママは便器の中を見て
「これだけ出れば大丈夫ね。どうスッキリしたでしょう?」 確かに重かったお腹が軽くなっていました。
「うん・・・・でも、まだお腹が気持ち悪い」
「またしたくなるかもしれないから、今日はお家でおとなしくしていなさい。宿題もあるんでしょう?」
「うん・・・・」
「ケーキ食べたら、すぐにやっちゃいなさいよ。お尻を拭いたら雑巾で足を拭いて、お風呂でよく洗っていらっしゃい。沙希がオモラシするからお掃除が大変なんだから」
 きっと私が溢した液体を拭いたのでしょう、気付くとクレゾールの匂いが漂っていました。
「・・・・やっぱりお仕置きなの?」 私は心配になって聞きました。
「ううん、今日はいいわ。赦してあげる」 その言葉を聞いて、安心していると
「そのかわり、次も今日みたいに漏らしちゃうようなことがあればオマルにさせるからね」
「ええっ!?嫌だよォ!」 実は二年生まではアヒルのオマルにさせられていたのです。
「だって、あんな小さなオマルじゃ無理よ!」
「これも今日聞いてきたんだけど、大人でも使えるオマルがあるの。これからも浣腸しなければいけないことはあるでしょうから、買っちゃおうかと思っているのよ」
「イヤッ!そんなもの買わないで!」
「そうねぇ・・・・でも、またオモラシされると困るしね。じゃあ、オムツにする?」
「イヤだぁ!オマルもオムツも嫌よォ・・・・」 私は泣き出してしまいました。
「嫌だったら、今度は漏らさないようにしなさい。判ったわね!」
「うん。こんどは我慢して絶対に漏らさないから・・・・」
「そうね。そうなさい。それと、好き嫌いばっかりしてるとまたウンコが出なくなっちゃうんだから、今日からは嫌いなものも食べなさい。ウンコがちゃんと出ていれば嫌な浣腸しなくてすむんだから」
「うん」 その晩の食卓には私の嫌いな、キャベツ、ピーマン、人参といった温野菜が並んでいました。


続く


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