SPACE銀河 Library

作:えり子

ビデオ鑑賞

(1)

 私は香谷えり子、20才、学生です。
私は地方の中高一貫のミッション系女子高校を出て、都内の女子大に通っています。
中学、高校時代はしつけがきびしい学校だったので、いわゆる品行方正な生活を余儀
なくされていました。
髪型や服装のチェックがきびしく、外出先でも節度ある行動が求められたのです。
 学生の中にはそういう教えに反発する子もいましたが、私はその教えに従って、模範
的な生活を続けていました。

 あこがれの大学に入学できて、親からも離れて生活を始めたので、私は少しばかり
自由気ままな生活を送っています。
 私には趣味がいくつかあります。
ひとつは幼いときから続けているピアノです。
高校時代まではピアノ教室の先生に師事を受けていたので、定期的な発表会に向けて
練習を重ねなければなりませんでした。
 今はそういう義務もなく、好きなときに好きな曲を、自由に楽しく弾いています。
生活態度やピアノは強制されるとつまらないですが、自由、気ままに行うととても
楽しいものですね。

 もうひとつの趣味はビデオ鑑賞です。
これは大学生になってからの趣味なんです。
ビデオはほとんどが洋画で、最近特に「オードリィ・ヘップバーン」の映画に凝って
いるのです。
美しく、優雅で、ちょっとお茶目な彼女に大いに魅力を感じているのです。
彼女の出演する映画を見ていると、自分が主役であるかのように感じながら見てしまい
ます。
それは夢の中の世界なのです。
 
 もうひとつの趣味はこれまでの趣味とはかなり違う趣向のものなんです。
何とそれは「お浣腸」なんです。
私は便秘症ではありません。
そんな私がどうして「お浣腸」に興味をもったのか、そのお話をいたしましょう。


(2)

 私が高校3年生のときのことです。
保健の時間にビデオによる学習がありました。
先生が大型のTVの前で言います。

「今回と次回はビデオのよる学習です。
 皆さんはもう大人に近いですから、大人の女性として知らなければならないことが
 いくつかあります。」
 今回は男女の体の違い、SEX、避妊についてビデオで学習します。
 人間を含めた生物は子孫を増やさなければなりません。
 それは生殖活動と呼ばれています。
 わかりやすく言えばSEXです。
 男女が体で結合し、男子の精液が女子の体に入ります。
 精液の中の精子が女子の卵子と結合すると、女子は妊娠します。
 それから10カ月半で赤ちゃんが誕生するのです。
 そのプロセスをビデオで学習します。」

 先生は大型のTVのスイッチを入れ、ビデオが始まります。
私たち生徒は真剣に固唾を飲んでスクリーンを見つめます。

 まず男女の体の構造の違いがイラストで説明されます。
女性の体の構造や排卵、生理の説明もあります。
 それから男女の結合、妊娠の説明がありました。
そして出産のことが簡単にイラストで説明されます。

 それらは、何となく知っていたことではありますが、改めて理解できました。
ただ、SEXが子孫をつくるだけの説明になっていることが不満でした。
それは男女が愛し合い、その結果自然の成り行きで行われる行為ではないかと思う
のでした。

 次のビデオがショックでした。
まず性病の説明がありました。
エイズも登場しました。

 それから避妊の説明がイラストであります。
天狗のお面のような木型の男性のシンボルが登場します。
そしてコンドームが登場します。
パックからコンドームを取り出し、男性のシンボルにかぶせます。
驚きました。
こんな大きなものが女性の体に入ってくるのが驚異でした。

 結婚相手以外の人とSEXをするときは、性病を防ぐために、男性にコンドームを装着してもらうように
しなさいという指導がありました。
妊娠したくないときも同様にすべきということでした。

 第1回目のビデオ学習が終わりました。
生徒は皆、うつむいて恥ずかしそうな表情をしています。

 先生が口を開きます。
「SEXや避妊のことがわかりましたか?
 何か質問はありませんか?
 なければこれで授業を終わります。
 次回は出産のビデオを勉強します。」


(3)

 私が高校3年生のときのことです。
保健の時間にビデオによる学習がありました。
今日はその2回目です。
先生が大型のTVの前で言います。

「前回は男女の違い、SEX、避妊についてビデオで学習しました。
 今日は出産についてです。
  最近日本では出生率が下がっています。
 このままでは日本は老人ばかりの弱い貧しい国になってしまいます。
 若い女性である皆さんが元気な赤ちゃんを生むことが日本再生の切り札なのです。
  出産は楽なことではありません。
 苦しみもあります。
 しかし赤ちゃんをもつ喜びはその苦しみをはるかに越えるものです。
 今日は出産のビデオを見て、理解を深めて下さい。」
 
 先生はそう言ってビデオをスタートさせます。
ビデオは外国のものです。
金髪の女性が登場します。

 なぜ外人さんなのでしょう。
私たちの学園はミッション系なので、そのルートから入手されたものしょうか?
よくわからなけど、そんなことどうでもいいです。
私はビデオに見入ります。

 彼女は産衣を着て、分娩台に乗ります。
足を開いて、いきみを始めます。
苦しげないきみが続きます。
いきんでは休み、いきんでは休みの状態が続きます。

 子宮口と膣口が次第に開いて行きます。
そして、赤ちゃんの頭が見え始めます。
彼女はますます苦しげな声をあげます。

 私たちは固唾を飲み、手に汗して彼女と赤ちゃんの頭を見ます。
「頑張って・・・。」
私は心の中で必死に叫びます。

 頭がかなり出てきました。
彼女が一段と大きな声を絞り上げます。

 ちょうどその時です。
今まで目立たなかったお尻の穴が急に開いて、黄色の固形物がもっこりと出てしまいました。
突然のことで私は驚いてしまいました。

 すぐにナースがそれを処理して、お尻を拭きます。
何事もなかったようにお産が続きます。
ママになろうとする彼女はそんなことにお構いなしに、最後のうめき声をあげました。
そして、見事に男の子が誕生したのです。

 何と感動的なシーンでしょう。
私は目に涙を浮かべていました。
級友たちも皆泣いていました。

 ママは赤ちゃんを抱いて、とても幸せそうでした。
私もいつかきっとこの感動を味わいたいと思うのでした。

 ただ、赤ちゃんよりウンチが先に生まれたのにはいささか驚きましたが・・・。


(4)

 高校生のときに、出産のビデオを見てすっかり感動してしまった私です。
その日の夜、母と妹のゆり子と夕食の宅を囲みます。
今日は父は出張に出ていて不在です。

 食事をしながら母が学校であったことを尋ねます。
中学生のゆり子に聞きます。
「ゆり子、今日学校で何があったの?」
「美術の時間にね、先生にセクハラに会ったの。」
「それは聞き捨てならないわね。」

 私たちは学校で起きたことを何も隠さず母に話すのです。
ゆり子が話を続けます。
「今日は貼り絵があったの。
 数人ずつグループになって、協同でグループ毎に貼り絵を制作したの。
 広い紙に色紙を切って、糊で貼り付けて行くの。
 私、まず、糊のチューブから皿の上に、糊を全部絞り出したの、そのとき先生がそれ
 を見ていて、言ったの。」
 
「おお、これはゆり子のうんちだね。」

「確かに、それはこんもりと盛り上がって、うんちのようだったわ、私、とても恥ずか
 しかったかった。」

 母が笑いながら言います。
「ばかね、それはセクハラなんかじゃないわ、先生がユーモアで皆を笑わせただけじゃ
 ない。」
「そうかな。」

「ところで、えり子は高校で何があったの。」
「うん、私、今日感激しちゃった、保健の時間にビデオを見たの、出産のビデオよ、
 赤ちゃんが生まれたとき、私、泣けたわ。」
「そうそう、おなかが痛いけど、あなたたちが生まれたときはとてもうれしかったわ。」

「ただ、ちょっと不思議だったのは、赤ちゃんと一緒に大きなうんちも生まれたのよ。
 私も将来そうなると、困るな。」
 
「ははは、お産のとき、いきまなければならないの、それは固い大きなうんちを出す
 ときと同じ要領でいきむのよ。」
「そうか、だからうんちもう漏れちゃうの、お母さんもそうだったの?」
「大丈夫よ、えり子もゆり子もうんちと一緒には産まれなかったわよ、お産が始まる前に
 大きな浣腸をしてもらったから。」
「ふ〜ん、お産のときは皆浣腸をされちゃうの?」
「そうよ、うんちと一緒に生まれたくないでしょ、それに浣腸をすると、陣痛が強く
 なって、お産が楽になるのよ。」
 
「ふ〜ん。」
 私とゆり子はうなずきます。
 
「ずっと昔はね、浣腸をしなかったから、産んだときにできた産道の傷にうんちの細菌が
 感染して多くのママが亡くなったそうよ、浣腸をするようになって、感染がなくなった
 そうなのよ。
 浣腸のおかげで多くのお母さんの命が救われたのよ。」
 
「よくわかったわ、私たち、お産のときは是非浣腸をしてもらうわ。」

 私とゆり子は納得したのでした。
そして、私は浣腸なるものにとても興味がわき、気になる存在になったのです。
 
「それにしても今は教育にビデオを使うのね、お産の見学も文部科学省の学習指導要領に
 あるのね。」
「それはどうかな、外人さんだったから、ミッションのルートのビデオを高校が独自に
 見せたのかも知れないわ。」
「そうなの、でもそれはとてもよいことね。」


(5)

 私は今は親元から離れてアパートで生活をしています。
束縛がなく自由きままな学生生活を満喫しているのです。

 日曜日の午後に高校時代の友人宅を訪問します。
彼女は東京近郊にある看護大学の学生です。

 彼女のアパートのドアをノックします。
「えり子、よく来てくれたわね、元気そうね。」
「さち子、お久しぶり。」

 彼女の部屋で紅茶と私が持参したショートケーキで話が始まります。
「書棚に専門書がずらりと並んでいるわね、お勉強大変ね。」
「そうなの、カリキュラムがばっちり詰まっているのよ。」
「実習もあるの?」
「もちろんよ、でも実習の代わりにビデオで学習する機会も多いの。」
「ふ〜ん。」
「書籍やビデオは図書館から自由に借りることができるのよ。」
「それはいいわね。」
「ビデオ教材をダビングしてるのよ、これよ。」
「へ〜え、そうなの。」

 書棚に本の他にビデオもいくつか置いてあります。
背面にきれいな字でタイトルを書いたラベルが貼ってあります。
看護処置法、注射点滴法、術前術後のケア・・・などです。
中に私の目を引いたものがありました。
「導尿」、「グリセリン浣腸」、「高圧浣腸」などです。

「えり子、ビデオに興味があるの?」
「う、うん、どんなものかちょっと気になるの。」
「どれか見る?」
「えっ、見せてくれるの。」
「いいわよ、これなんかどう。」

 さち子が書棚に手を伸ばし私の前に差し出したのは、何と私がもっとも気にしていた
「グリセリン浣腸」でした。

「うん、それ見ていい?」
「いいわよ。」
「私、浣腸の経験はないけど興味あるの。」
「そうなの、浣腸は女性ならこれから何度も経験するのよ、ビデオで見ておくといいわ。」
「そうね。」

 私は思いがけなく「グリセリン浣腸」のビデオを鑑賞することになりました。
目を皿のようにして、私はビデオを食い入るように見つめます。

 最初は浣腸器を湯煎するシーンです。
お湯の入った容器にディスポタイプのグリセリン浣腸器が入っています。
じゃばらのような形状をしたものです。
いちじく浣腸にくらべると数倍大きなものです。

「病院で使う浣腸器はビッグなのね。」
「そうよ、120ccだから市販のものの4倍よ、これくらいでないと効かないのよ。」
 さち子の解説が入りました。
「そう、見るからによく効きそうね。」

 ビデオの音声が聞こえます。
「お通じをつけるために、浣腸をかけます。」
ナースが患者に言います。
患者は顔は見えませんが、どうやら若い女性のようです。

 ナースは浣腸器を取り上げます。
ノズルが長いです。
ノズルにはラッパ状のストッパーが付属しています。
ストッパーの位置を7cmの位置に調整します。
7cmのノズルがお尻の中に挿入されることになるのです。

「失礼します。」
 ナースはお尻の穴にノズルをゆっくり挿入します。
それからおもむろにノズルをつぶします。
その動作は非常にゆっくりしたものです。

 液がゆっくり注入されているようです。
最後に浣腸器の容器が完全につぶされました。
ナースはゆっくりノズルを抜き、ティシュをお尻に押し当てました。
「しばらくがまんして下さい。」

 ビデオはここで終わりました。
浣腸されているシーンを見るのは初めてなので、とても興奮しました。
そして、頭の中でビデオの中の患者に私自身の姿を重ねるのでした。

 そのときです。
私、急におなかの調子が悪くなりました。
うんちがしたくなったのです。

「さち子、おトイレ借りていい、おなかの調子が変なの。」
「いいわよ、どうぞ。」

 おトイレの便器にすわると、不思議なことに便意が消失してしまいました。
結局、そのままうんちは出ずにおトイレから出ました。

「えり子、どうだったの?」
「うん、おなかの調子がおさまって、出なかったの。」
「そうなの、人の腸ってとてもメンタルなのよ、第2の脳と呼ばれているの。
 きっとあなたの腸があのビデオに反応して、浣腸をされちゃったように感じたのよ。
 でも実際には浣腸をされてないから、おなかがおさまったのよ。」
「そうなの。」

「えり子、あなた便秘してるの?」
「うん、少し。」
「それならちょうどいいわ、実習をかねて、今から浣腸をしてあげようか。」
「えっ・・・。」


(6)

 私は看護大学に通う友人のさち子宅を訪れています。
そこで「グリセリン浣腸」のビデオを見せてもらったのです。
その直後に私、おなかの調子が悪くなったのです。
急いでおトイレに向かったのですが、うんちが出ません。

 私が便秘であるのがさち子に知れて、さち子が私に実習をかねて浣腸をしてくれることに
なったのです。

「えり子、浣腸、いいわね。」
「うん、でも初めてだからお手柔らかにね。」
「じゃあ、準備をするからベッドに横になって、待っててね。」
「うん。」

 さち子は衣類を脱ぎ始めます。
いったい何をするというのでしょう。
ブラジャーとショーツだけになりました。
それから白いパンストを着けます。
そして、白いナースの制服と帽子を着用します。
何と、さち子はわざわざ制服に着替えて実習をしようとしているのです。

 このコスチュームはさち子に似合っています。
どこから見てもナースそのものです。
きちんと実習をしようという彼女の決意表明を感じました。

 彼女はキッチンに移動してボールにお湯を入れます。
それに浣腸器を入れて温めます。
浣腸器はあのビデオに出たジャバラ式の医療用ディスポ浣腸器です。
120ccの大きさにたじろぎます。

 さち子がトレイをもって、ベッドサイドに来ます。
トレイにはあの大きな浣腸器、ゼリー、テイシュの束が乗っています。
「えり子さん、お通じをつけるために、今から浣腸をかけます。」
「はい。」

 ビデオのせりふと同じ口調なので、ちょっと笑えます。
でも、彼女は真剣な表情です。
私はかべ側を向かされます。

「失礼します。」
そう言って彼女は私の下着を下げます。

「きもち悪いですが、がまんして下さい。」
私は親しい友人ではなく、一患者として扱われています。

 お尻にノズルが挿入されました。
「注入します。」
 温かい液の進入がここちよく感じられます。
「終わりました、しばらくがまんして下さい。」
そう言ってさち子は、浣腸器を抜き、ティシュの束で私のお尻を押さえます。

 不思議なきもちで私はがまんを続けます。
私は親友のさち子に浣腸されたのですが、それはナースのさち子でもあるんです。
親友にお尻の穴を見られるのはとても恥ずかしいことですが、ナースなら仕方ないわと
あきらめもつくのです。
 恥ずかしさとあきらめ、親友とナース、私の心は2つの狭間で行ったり来たりして、
揺れています。

 ところが事態が切迫してきました。
もう余計なことをかんがえている情況ではなくなったのです。
「あのぅ、もうおトイレに行っていいですか?」
「まだ2分ですよ、あと1分がまんできませんか。」
「すごく苦しいわ。」
「そう、初めてじゃあ仕方ないですね、じゃあトイレに移動しましょう。」

 私はさち子にお尻を押さえられたままおトイレに移動します。
「できるだけがまんして下さい。
 出たら流さないで下さい、チェックしますから。」
「はい。」
 私は平然をよそおって返事をしましたが、心中は穏やかではありません。
出したものを親友に見られちゃうのです。
「あれは親友ではなく、ナースなのよ。」
「私は自分に言い聞かせながら、がまんします。」

 そしてついにあの瞬間を迎えました。
せきを切ったように排出が始まったのです。
自分の意志ではどうにもならないのです。
私は成り行きに任せるしかありません。

 ドアを開き、ナースに言います。
「終わりました。」
「そう、それではチェックさせていただくわ。」

「すっかり出たわね、特に異常はないわ、すっきりしたでしょう。」
「うん。」
「えり子、ありがとう、おかげで実習ができたわ。」
「こちらこそありがとう、ところでお代は?」
「いいのよ、心配しないで。」

「またいつかビデオを見せてもらっていい?」
「もちろんいいわよ、今度は高圧浣腸のビデオを見ましょう。」
「うん。」

 私は満足して、さち子のアパートを後にしました。
恥ずかしかったけれど、珍しい貴重なビデオを鑑賞できたし、何より念願の浣腸をしてもらったのです。
しかも、いちじく浣腸のようなケチなものではなく、病院用の特大の浣腸なのです。
とても得をした気分でした。


(7)

 私は看護大学に通う友人のさち子宅を再び訪れています。
前回の訪問時にそこで「グリセリン浣腸」のビデオを見せてもらったのです。
そして、ビデオのみならず、実際にグリセリン浣腸をしてもらったのです。
それはさち子と私の双方に有益なことだったのです。
 私は浣腸を経験してみたいと思っていたし、便秘も解消されたのです。
一方さち子は私を患者に見立てて、浣腸の実習をしたのです。

 今回見せていただくのは「高圧浣腸」のビデオです。
「高圧浣腸って何なの?」
「温水を大量に入れるの、通常は500ccくらいね。」
「目的は何なの?」
「大腸の洗浄が主な目的ね、大腸の検査や手術の前に行うの、他に出産のときや、小児の腸重責症のとき
 などに適用されるわ。」
「ふ〜ん、すごい名前だけど、それって苦しいの?」
「名前ほど苦しくないわ、むしろきもちいいって言う人もいるわよ。」
「そう、それじゃあ遠慮なくビデオを見せてもらうわ。」

 ナースが患者のベッドサイドで準備を始めます。
鉄製のスタンドを立てます。
その上にガラス容器イルリガートルを吊します。
ピッチャーのお湯をイルリガートルに移します。
イルリガートルには長いゴム管が接続されていて、その先端はストッパー付きの
黒いノズルになっています。

「失礼します、今からおなかを洗浄するため、高圧浣腸をします。」
ナースが患者に言います。
患者は若い女性です。
彼女は横向きの体位をとらされ、下着を下げられます。

ノズルにゼリーが塗られます。
ナースは左手でお尻の穴を開き、右手でノズルをゆっくり挿入します。
7〜8cmくらい挿入されました。

「注入します、苦しくなったら言って下さい、止めますので。」
ストッパーがはずされ、液の注入が始まりました。
液面がゆっくり下がります。
3、4分が経過しました。
「もうすぐ終わります。」
「終わりました、苦しくないですか。」
「トイレに行って下さい、流さないで下さい、チェックしますから。」
 ビデオはそこで終わりました。

 すごいですね、高圧浣腸の様子がよくわかりました。
まさに「百聞は一見にしかず。」です。
私、興奮しました。

「えり子、ビデオはどう、高圧浣腸って簡単でしょう。」
「うん、でも苦しくないの?」
「大丈夫よ、また試してみる?」
「えっ、今から。」
「私、また実習したいの、えり子の体を貸して欲しいの。」


(8)

 私は看護大学に通う友人のさち子宅を再び訪れています。
そこで再びビデオを鑑賞しました。
さち子が実習のために借用したビデオをダビングしたものです。
前回の「グリセリン浣腸」に続いて今回は「高圧浣腸です。」
その注入量の多さに驚きました。

 そして、さち子が私の体を使って高圧浣腸の実習をしたいと言い出したのです。
私は元来好奇心が旺盛で、ちょっぴり冒険心もあるのです。
それに、何と言ってもあこがれの浣腸です。
後込みする理由はありません。

「いいわ、またお願いするわ、お手やわらかにね。」
「そう、それはうれしいわ、心配ないわ、私に任せてね。」
「ねぇ、さち子、浣腸の実習は学校でもう経験済みじゃないの?」
「ううん、違うの、講義とビデオでの学習だけよ、昔は学生同士で実際に浣腸をし合っ
 たらしいけど、それって、時間も手間もかかるし、汚れたりすると片づけが大変だ
 し、学生の中には拒否する子もいるし、それが原因で退学する子もいたらしいの、
 それで最近はそういうことはしないのよ。」
「そうなの、なるほど、学生同士と言っても恥ずかしいし、特に生理のときはいやだよ
 ね。」

「えり子、そろそろ始めようか。」
「ちょっと待って、私、その前にオシッコを済ませたいわ、おトイレ借りていい?」
「いいわよ。」

 おトイレのドアを開けました。
そのとき便器のかたわらの上方にガラス容器が吊り下げられていうのに気づいたのです。
何とそれはビデオに登場したあのイルリガートルではありませんか。
しかも、直前に使用された形跡があるのです。
というのはガラスの内面に水滴がびっしり付着しているのです。
 私はその大きさに改めて驚かされます。
「大丈夫かしら、こんなに大きな浣腸をされて?」

 オシッコを済ませ、さち子に問います。
「おトイレにあったのがイルリガートルなのね?」
「そうよ、実は今朝私、あれを使ったの、毎週日曜日の朝は私、大腸洗浄をするのよ。」
「へぇ、そうなんだ。」
「きっかけはね、ナースとして浣腸を実際に経験しておかなければいけないと思った
 の、そうすれば患者のきもちがわかるでしょ。」
「なるほど、あち子はまじめなのね。」
「ところが、あれってとてもきもちいいのよ、それにとても健康にいいのよ、それで毎週
 続けているのよ。」
「ふ〜ん、それは納得できるわ。」
「えり子もそうするといいわよ。」
「そうね、今日試してみて、よかったらそうするわ。」
「是非そうなさい、最近、大腸洗浄は若い女の子のトレンドになっているのよ。」」
「うん、それはよく聞くわ。」

「それから、器具は使った後すべて消毒済みだから心配しないでね。」
「そうなの、私、さち子と本当のお尻会いになるのね。」
「そうそう、あなたとお尻同士で間接キスをするのね。」

「さあ、えり子、始めるわよ、汚れるといけないからトイレでしましょう、私、着替え
 るからトイレの中で待っててね。」
「うん。」

 私はおトイレの便器に座ってさち子を待ちます。
もうさち子から一度浣腸をされているので、少し落ち着けます。
それでも胸はどきどきと高鳴っていますけど・・・。

 ユニットバスなので、便器とバスタブの間に少しスペースがあります。
そして、バスのカーテンレールにあのイルリガートルが吊り下げられているのです。
私はイルリガートルを観察します。
美しい透明のガラス製で、目盛りが刻んであって、最大1000CCです。
本体下部には長いゴムチューブが接続され、さらにその先にはオレンジ色のカテーテル
がつながっています。
そのカテーテルの先端部には大きな穴があります。
ここから液がお尻の中に注がれるのですね。
イルリガートルをしげしげと眺めながら私はさち子を待ちます。

 ドアをノックして、さち子が現れました。
前回と同じように、白いナースのコスチューム姿です。
本当にさち子にはよく似合っていて、ナースの姿がすっかり板についています。
「さち子、よく似合ってるわよ。」
「ありがとう。」

 さち子は改まった口調で言います。
「えり子さん、おなかを洗うために、高圧浣腸をかけます。」
「はい。」
 いよいよ高圧浣腸の実習の始まりです。
もちろん、私、高圧浣腸は初めての経験なので極度に緊張しています。

「濡れるといけないので、下着は脱いで下さい。」
「はい、。」
「私はショーツを脱いでさち子に渡します。

 さち子はピッチャーのお湯をイルリガートルに移します。」
イルリガートルの目盛りが半分の500ccを示しています。
「満タンじゃあなくてよかったわ。」
そう思って、私は少しばかり安心しました。
そして、いよいよ私は浣腸されちゃうという実感をひしひしと感じるのです。

「ここに立ってお尻を私の方に突き出して下さい、バスタブを手でもって体を支えるの
 よ。」
「はい。」
 立位で浣腸が行われるようです。
「もっとお尻を突き出して下さい。」
「はい。」
「失礼します。」
 お尻の穴が開かれ、ゆっくりとカテーテルが挿入されました。

「入れます、きもち悪いですが少しがまんして下さい、苦しいときはそうおしゃって下
 さい。」
「はい。」

 お尻から暖かい液が入ってきました。
「いいわ、気持ち悪くなんかないわ、むしろとてもいいきもちじゃない。」
「そうなの。」

「時間が止まって、ずっとこの感覚が続けばいいのに・・・。」
私はそう感じたのです、それほどいい感じなのです。 

 しかし、しばらくするとおなかに少し違和感を感じます。
「大丈夫ですか。」
「はい。」
「もう少しで終わりです。」
「はい。」
「おわりましたよ、苦しくないですか。」
「はい。」
「便器にすわっていいですよ、ただし、終わったら流さないでね。」
「はい。」

 さち子が出て行きました。
少しがまんします。
グリセリン浣腸ほど強い便意は感じません。
ソフトな便意です。
まだがまんできそうですが、ここらで出しちゃうことにします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「終わりました。」
さち子を呼びます。
「おお、いい便ね、健康便よ。」
「恥ずかしいな。」
「はい、流していいですよ。」

 高圧浣腸ってきもちいいですね。
健康維持にもよさそうに思います。
これはクセになりそうです。


(9)

 私は看護大学に通う友人、さち子を訪問し、そこで浣腸のビデオを鑑賞し、しかも実
際に浣腸をしてもらったのです。
グリセリン浣腸と高圧浣腸です。
どちらもとてもよかったです。

 私って好奇心が強く、何でも経験したいというタイプなんですが、浣腸は経験してみて
本当によかったです。

 ということで、あの経験を今度は実際に病院で経験してみたくなったのです。
と言っても私は健康体です。
最近は毎日お通じもきちんとあるし、おなかの調子も悪くありません。
これは仮病を使うしかありませんね。

 1日お通じをがまんして、便秘の状態を作ります。
そして土曜日の朝、アパートの近くの胃腸科病院を受診します。

 受付で渡された問診表には「便秘」の2文字のみを記入します。
診察室に入り、診察を受けます。
 先生に手でおなかを触られます。
「おなかが張っていますね、何日排便がありませんか。」
「2日です。」

 私の願いはただひとつ、「浣腸」の言葉が先生の口から発せられることです。
緊張して祈るように、その言葉を待ちます。

 先生は言います。
私の期待した言葉とは違うものでした。
「今日、朝食は食べましたか。」
「いいえ。」

 先生は今度はナースに向かって言います。
ついにあのあの言葉がナースに発せられるのでしょうか。

 先生の言葉はまたちょっと違っていました。
「今日CFの予約は何人?」
「今日は予約は入っていません。」
「そう、それじゃあこの人を入れて。」
「はい。」

「CFって何だろう?」
 不安になります。

 先生が私に言います。
「一口に便秘と言っても原因はいろいろあります。
 多分心配ないと思いますが、検査をしないとそうも言えません、今から検査をします。
 少し時間がかかりますが、いいですね。」
「はい。」

 私はおなかの検査を受けるために、ナースに案内され、エレベータで2階に移動します。
今から何があるんだろうと、胸がどきどきします。
 応接室のような部屋に通されました。
ソファーのような椅子と低い応接机、大型のTVがあります。
花瓶にバラの切り花が生けてあります。

 ナースが言います。
「今から大腸のファイバースコープの検査があります。
 検査の前におなかをきれいにするお薬を飲んでいただきます、もってきますからここ
 で待っていて下さい。」
「はい。」

 ナースが大きなペットボトルと紙コップをもってきました。
「これはおなかをきれいにする薬です、1時間かけて飲みます、これを飲むとお通じが
 何度もあります。
 3回目から流さずに私に見せて下さい、便がおしっこのように透明になったら検査に
 なります。」

 これはすごいことになりました。
私、単に浣腸だけをして欲しかったのです、こんな検査を受けることは想定外でした、
でももう仕方ありません、これも経験だわと開き直ってお薬を飲み始めます。
「まず〜い!!!」
 塩味のついたようなまずいお薬です。
ペットボトルには2Lもお薬が入っているのです。
私は気が遠くなりそうです。

 TVの下のラックに雑誌とビデオがいくつかあります。
ビデオのタイトルを見てみます。
全部医学系のビデオです。
 私は「大腸ファイバースコープ」というビデオを手に取りました。
これが私がこれから受ける検査なのです。
ためらわず、このビデオを鑑賞することにしました。

 お薬を飲みながら、私の目はビデオに釘付けです。
病院に来てビデオ鑑賞ができるとは意外でした。

 若い美しい女性のモデルが登場しました。
軽装で、にこやかな表情です。
 病院の門をくぐります。
そして私と同じく2Lのお薬を飲み始めます。
おトイレに何度も通います。
そしてナースから検査O.K.を言われます。
 それから穴のあいたパンツをはきます。
穴のあいた方がお尻です。
その上に検査着を着て、ベッドで横になります。
お尻を先生の方に向けます。
 先生は先端が光っているファイバースコープを右手にもって、左手で彼女のお尻の穴を開いて
彼女のお尻に挿入します。
 彼女のお尻は黒い尻尾が付いたような不思議な光景になります。
モニタ画面に彼女の大腸が映し出されます。
ファイバーを操作して大腸の中をくまなく検査します。
最後にファイバーがお尻から抜かれました。
 女性はにっこりして先生にお礼を言って検査が終了しました。

 見終わって、私は手に汗が出ていました。
リアルな映像に興奮しました。

 浣腸はないけど、浣腸以上に恥ずかしい検査を私は受けるのだわと実感したのです。


(10)

 私は大腸ファイバースコープの検査を受けるために、大腸洗浄剤2Lを飲んでいます。
そのとき、部屋にビデオがあるのに気づき、それを見ました。
それを見ると、どんな検査を受けるのかがわかりました。
ちょっと安心するとともに、それが浣腸以上に恥ずかしいものであると感じられたのです。
お尻の穴を見られるだけではなく、お尻の内部までしっかり観察されちゃうんです。
でも、もう後戻りはできません。
これも私の人生経験のひとつだわを割り切ります。

 それにしても飲みにくいお薬です。
何とか500CCを飲みました。
まだ、この3倍が残っていて、気が遠くなりそうです。
 750ccを飲んだとき、吐き気を感じます。
そして1000ccのとき、もう苦しくてたまりません。

 ナースがやってきます。
「えり子さん、どうですか。」
「吐き気がして、もうこれ以上飲めそうもないんですけど・・・。」
「そうですか、でも検査のためにはおなかをきれいにしなければなりません。
 1000cc飲んだから洗浄効果もかなりありますからね、ちょっとおなかを洗ってみ
 ましょうね。」
「はぁ。」
 何かわからないまま私は生返事をします。
「もうお薬は飲まなくていいですから、ここで待っていて下さい、準備をしますから。」
「はい。」
 私はやっと事態が理解ができました、おなかを洗うって、高圧浣腸のことではないか
 知ら・・・。」

 ナースがまた現れました。
えり子さん、悪いですけど今から浣腸をしますから、こちらに来て下さい。
「はい。」
 やはりそうでした、私の所期の目的である浣腸はついに実現の方向に動いています。
私が浣腸されるのはもう確実なんです。
体がカッと熱くなりました。

 私は処置室に通されます。
ここはうなぎの寝床のように細長く、狭い部屋です。
ベッドがあって、横に狭いスペースがあるだけです。
そして、天井のフックにあのイルリガートルが吊り下げられています。

やはり、想像通り、高圧浣腸が行われるんです。
この部屋は通常の処置室ではなく、どうやら浣腸用の専用室のようです。
ベッドもビニルレザー張りで、濡れてもよいようになっています。

 便秘解消のグリセリン浣腸をしていただく目的が、予想外の方向になって、高圧浣腸
+大腸ファイバースコープ検査に発展してしまったのです。

 ナースに促されてベッドに横になります。
かべ側を向かされます。
「お尻からぬるま湯を入れておなかを洗います。」
ナースは恐怖心をあおらないためか、” 高圧浣腸 ”という言葉はつかいません。

「多分、数回繰り返すことになります、少し気持ち悪いですががまんして下さい。」
「はい。」
 どうやら何回か浣腸が繰り返されるようです。
この上もないラッキーなことだと、うれしくなりました。
単にグリセリン浣腸を1個だけしていただくためにこの病院に来たのに、すごいことになってしまいました。


(11)

 私は高圧浣腸を受けるため、ベッドに横になっています。
イルリガートルには1Lの液が満たされています。
私、500ccは経験ありますが、その2倍は不安です。
そんな私の心配をよそに、高圧浣腸のスタートです。

「えり子さん、苦しいときはそう言って下さい、いつでも止めますから。」
「はい。」

 お尻が開かれ、ノズルが入って来ました。
少し奥の方まで潜ったようです。
 温かいお湯の感覚をお尻の奥で感じます。
「どうですか、入っているのがわかりますか。」
「はい。」
「大丈夫ですか。」
「もうすぐ500ccです、苦しくないですか。」
「はい。」

「大丈夫ならもう少し入れてみましょうか、何度も繰り返して注入するのはいや
 でしょうから。」
「はい、まだ大丈夫です。」
「それでは続けます。」

 私、少しおなかに違和感を感じています。
そしてそれが急に増幅されて、苦しくなりました。
「く、苦しいです。」
「そう、じゃあ止めます。」
「あぁ、漏れそうです。」
「チューブを抜きましたよ、トイレに行けますか。」
「いいえ、もう漏れそうです。」
 それほど急な便意に襲われたのです。

 ピンチです。
私はこれまで20年余り生きてきた中で、人生最大の窮地に立たされました。

 ナースはベッドの下に手をやります。
そこにはポータブル便器が準備してあったのです。

「これを使って下さい。」
「はい。」

 私は無我夢中で便器に座ります。
座ったと同時に、放出が始まったのです。
間一発、何とか間に合ったのです。
部屋の床に黄色の洪水を起こす最悪の事態は避けられたのです。
人生最大の失敗は免れたのです。

 ナースが換気扇を回します。
排出はまだ続きます。
ナースは私の前に立ったままです。
彼女は引き上げるタイミングを失したようです。

 私は余計なことに気を回す余裕がなく、ひたすら排泄に専念するのみです。
やっと出る物がすべて出てしまいました。
ほっとしました。
しかし、それと引き替え恥ずかしさが私の全身を覆います。
私はもう今にも泣き出しそうになっています。

「終わりましたか、大変だったですね、ごめんなさいね、500ccで止めて
 おけばよかったです。私のせいで、苦しい思いをさせてしまいました。」
「慰めの言葉にほっとします。」
 私、叱られるとばかり思っていたんです。
ナースはティシュを厚く重ねてもっています。
私の横に来ます。

「立って下さい、お尻を拭きます。」
「はい。」
 私はもう彼女のなすがままに身を任せます。」

 他人の前で排泄し、他人にお尻を拭いてもらうなんて、女の子にとって最高に
恥ずかしいことです。
でも、仕方ないんです。
どうあがいても、どうにもならないんです。
私はもう彼女に甘えてすがるしかないと悟りました。


(12)

 ナースはポータブル便器を覗き込みます。
そこにはたった今まで私の体内にあったものが存在しているんです。
これはまぎれもない事実です。
隠しようのないことです。

「えり子さん、まだかなり便が汚れています、検査を受けるにはもう何度かおなか
 を洗う必要があります、いいですか。」
「はい、お願いします。」

「これを処理してきます。
 しばらくベッドで休んでいて下さい。」
「はい。」

 ナースは汚物の入った便器をかかえて室外に去りました。
私はお尻をむき出したままベッドで休みます。
あのナース以外、ここにか入ってこないのです。
それにしてもナースのお仕事って大変だわと思いました。
あんなものの始末をしなければならないんです。
私の仮病のために、とんだご迷惑をおかけしたのです。
「ごめんなさい。」
 私は心の中であのナースに謝罪します。

 私は我に戻って、ベッドサイドのイルリガートルを見ます。
液が150ccくらい残っています。
「私、850ccまで耐えたのね、ほめてあげるわ。」
 自分で自分を慰めます。
 
 ナースが再びやってきました。
清掃されたポータブル便器を元の位置に収納します。
いったん退去して、今度はお湯の入ったピッチャーをもってきました。
「えり子さん、またしていいですか。」
「はい、お願いします。」

 再び高圧浣腸が始まります。
「今度は500ccにしておきましょうね。」
「いえ、1000ccにして下さい、今度はがまんできると思います。」
 私はナースに言います。
事実、最初は私のおなかはあの大腸洗浄液やうんちがかなりたまっていたのです。
だからああいう事態になったと思うのです。
それがかなり出でしまったので、今はおなかは軽く感じるのです。

「そうですか、それでは様子を見ながらということにしましょう。」
「はい。」

 再びお尻に温かい液を感じます。
始まりのときのこの感触は素敵です。
とても心地よいのです。
これは経験しないとわからないことでしょう。

「500ccです、大丈夫ですか。」
「全然平気です、先ほどより楽です。」
「そうですか、それじゃあ続けてみましょう、苦しくなったら早めに言って下さいね。」
「はい、そうします。」

 再び液が注入されます。
「まだ、大丈夫ですよ。」
 私の方からサインを送ります。
「はい、続けます。」

「もうすぐ終わりです。」
「はい。」
「終わりましたよ、よく頑張りましたね、トイレに行けますか。」
「はい、今度はトイレに行きます。」
「終わったら流さずに、私をコールして下さい。」
「はい。」

 私は女性用トイレの和式便器を使います。
ここでは安心してうんちができます。
今度は余裕をもってうんちをします。
1Lはさすがに多いです。
” ドバッ ” という感じで出ます。
終わった後便器を見ます。
まだ粒が残っています。
 残念と言うきもちとうれしいというきもちが半ば同居して、ちょっと複雑です。
ナースを呼びます。

「ああ、まだだめですね、またいいですか。」
「はい。」

 もう私は高圧浣腸を完全に自分のものにしていました。
苦しいものではなく、きもちよく、うれしいものになっていました。
何度でもO.K.なんです。

 結局、私は高圧浣腸1Lを5回も楽しんだのです。
すごい経験でした。

 お尻に穴の開いたパンツをはいて、検査室に行きます。
ベッドに横になると、体が高い位置に上げられます。
そして、ナースが私の腕に注射をするとその瞬間に私はもう意識をなくしてしまいました。

 気が付いたときはもう控え室に移動していて、検査から1時間が経過していました。
私は眠ったままファイバースコープの検査を受けたのです。

 私はあのビデオのことを思い出しました。
眠らされていたけど、私はあのビデオのように、お尻の穴にあの黒い長いファイバース
コープを挿入されたのです。
白雪姫のように私は静かに眠ったまま、お尻に中で検査が進行したのです。
そのスコープは蛇のように私のおなかの中を這って、写真を撮り続けたのでしょう。

 私はちょっと残念でした。
ビデオのシーンを思いだしながら、考えました。
「ファイバースコープの感触と恥ずかしさを味わいたかったのに・・・、
 残念ね。」

 目が覚めるとおなかが張った感じがありました。
おなかに力を入れるとガスがたくさん出て、楽になりました。
ファイバースコープの検査のときに、空気もずいぶん注入されたようです。
「空気浣腸もたんまりされたんだわ、これも味わえず、残念ね。」
と思っても、もう後の祭りでした。

 私は思います。
もし、洗浄液を飲んでおなかがきれいになっていたら、高圧浣腸もなかったし、検査も
知らない間に終わっていたし、何事もなっかたのです。
そう思うと、私は何とラッキーだったのでしょうと思いました。

 先生から検査結果は異常がないことを知らされました。
おみやげとして、私の大腸の写真のカラー写真を4枚もらって病院を後にしまいました。


(13)

 5月のゴールデンウイークの頃のことです。
仲の良い友人達3人と私の4人組で、急に思い立って東京近郊に小旅行に出かけることにしたのです。
当然のことながら、民宿やペンションはどこも満員で予約は取れません。
レンタカーを借りて出かけ、現地で宿を探すことにしました。

 車は交代で運転しました。
私もステアリングを握りましたが、道路が渋滞していて、あまりスピードを出すことが
できませんでした。

 目的地に到着して、観光案内所で宿を探してもらいましたが、どこも満員です。
仕方ないので、とりあえずドライブインで夕食を済ませ、また車を走らせます。
もう暗くなり始めています。
街道沿いに、ネオンが光る建物がありました。
モーテルのようです。

 誰かが言います。
「ここでもいいんじゃない。」
「女の子ばかりでも泊めてくれるの?」
「聞いてみましょう。」

 車をモーテルに停めました。
管理人のおばさんに聞きます。
「女の子ばかり4人だけど、泊めてくれます?」
「宿泊ならいいですよ、ただし2人ずつの部屋になります。」
「かまいません、お願いします。」

 私はあき子と同じ部屋になりました。
控えめで大人しい子です。

 部屋はピンクの壁紙が貼ってあって、とてもはではでしい雰囲気です。
通常は若い男女のペアが休憩したり、宿泊をしたりするので、そうなっているようです。

 もう食事は済ませているので、順番にお風呂に入ります。
お風呂からあがったあと、二人で缶ビールで乾杯します。
とてもおいしく感じます。

 私が言います。
「TVでも見る?」
「ビデオが見られるわよ。」
あき子が言います。

「でも有料よ。」
「割りかんで行きましょう。」

 私達は有料ビデオを鑑賞することにしました。
何とそれはアダルトビデオだったのです。
驚きましたが、お互い拒否せず、自然にビデオを見入ります。

 若い女性2人が登場します。
衣類をすべて脱ぎ捨て、ベッドで抱き合います。
一人の子が他の子を愛撫します。
どうやらいわゆるレズビアンのビデオのようです。
互いに役割が決まっていて、一方が男性役、一方が女性役のようです。
私はちょっと恥ずかしいと思いつつ、鑑賞を続けます。
あき子は平然として鑑賞しています。

 女性役の子が仰向けの姿勢をとっています。
男性役の子が乳房と手と口を使って、全身をくまなく愛撫します。
しばらくすると、女性役の子はうつぶせにされます。
男性役の子は首筋、背中、ウエストそしてお尻を愛撫します。

 最後に女性役の子はよつんばいにさせられて、背後から前とお尻を指と口を使って同時に攻められ、
絶叫して行ってしまいました。

 こんなシーン、初めてです。
すごく興奮しました。

 人間って、いろんな形で愛し合うんですね。
男性と女性という形に限らないんです。
不思議なビデオでした。

 あき子が言います。
「えり子、私たちもまねして、あんなことして遊んでみない?」
「えっ・・・?」


(14)

 私は友人達と東京近郊の観光地を小旅行しています。
宿泊所はどこも満杯のため、モーテルに泊まりました。
私はあき子と同じ部屋です。
ビールを飲みながらアダルトビデオを見ました。
それはレズビアンものだったのです。

 あき子から誘いがありました。
私たちもあのようにして遊んでみない・・・と。

 すごく驚きました。
おとなしいあき子がそんなこと言出すとは意外なことでした。
私は好奇心が強く、何でも経験してみたいタイプなので、その申し出を断る理由は
ありません。

「うん、おもしろそうね。」
「じゃあいいわね。」
「ちょっと待って、私もう一度シャワーを浴びてくるわ。」

 私はバスルームに入ります。
シャワーとボディソープを使って、全身を清めます。
特に、足の裏、腋、おへそ、前の部分、お尻の穴は入念に洗いました。
そして歯磨きをして、バスタオルで体をくるんでベッドに向かいます。

 ベッドではもうあき子が裸になって、待っています。
ダブルベッドなので、十分の広さがあります。
私たちはベッドの上で抱き合いました。
あき子の体はやわらかく、ふわっとした印象です。
乳房同士が擦れ合って、不思議な感触です。
彼氏に抱かれるときの彼のごつごつした体とはまったく対照的です。

 キスをします。
甘い香りがします。
あき子は私の体に重なるようにして、体をずらします。
私の首、胸、おへそに・・・、口を使って吸いながら移動します。
そして、私の下部を愛撫します。
口、舌、指での愛撫で私のあそこはもうびっしょり濡れています。

 自然にあき子が男性役、私が女性役になってしまっていました。

 あき子は私の体を裏返します。
うつぶせの私の体のうなじ、背中、お尻を愛撫します。
お尻の穴に舌や指が入ると、もう私は悶絶しそうです。

 今度はあき子は私をよつんばいにして、後方から私の前の部分とお尻の穴を同時に
攻めます。
私は何が何だかわからなくなって、絶叫して、行ってしまいました。


(15)

 モーテルで私はあき子とレズビアンごっこをしました。
お尻と前を同時に攻められた私は絶叫して、行ってしまいました。

 私は彼氏とはときどき肌を重ねますが、いつもワンパターンなのです。
彼はゴールを目指してひたすら突き進むのみです。
そして早いうちに果ててしまって、自己満足をするだけです。
前戯もなく、私の弱点であるお尻の穴を攻めることもしません。
彼は私のお尻の穴には無関心なのです。
私は彼氏とのSEXに不満を感じていたのです。

 ところがあき子のはそれとはまったく違っていました。
私は全身をくまなく愛撫されたのです。
私の体の ”穴という穴” をすべて愛撫されたのです。

 お尻の穴を攻められると弱い私の弱点を見事につかれたのです。
そして、前と後ろを同時に攻められて、私は完全にダウンしてしまいました。

 しばらく呆然としていました。
どのくらい時間が経過したでしょう。

「えり子、だいじょうぶ?」
「あっ、私、いったいどうなっちゃったのか知ら?」
「かなり興奮していたわよ。」
「そう、何が何だかわからなくなっちゃったわ、でももう大丈夫よ、恥ずかしい姿を見せ ちゃったわね。」
「ううん、そんなことないわ、えり子のようなきれいな子と一度プレイをしてみたかった の。」
「えっ、そんな。」

「私たち、ビデオを見たからこうなっちゃったのね、きっかけは偶然ね。」
「うん、こんな世界があるなんて知らなかった、何事も経験ね。」
「あき子、あなたずいぶんテクニックがあるのね。」
「私、女の子同士は初めてよ、彼氏がいつもこうしてくれるのよ、ただまねをしただけよ。」
「そうなんだ、私の彼氏は全然だめね。」
「彼氏、50代よ、社長さんなの。」
「えっ、それって援交なの。」
「そうよ、私が卒業するまでという約束よ。」
「ふ〜ん、そんなにすごいテクニックで愛してくれて、お金までくれるって、いいわね。」
「会うのは月に1回だけよ、それも遠く離れた温泉旅館で会うの。」
「何かロマンチックね。」

 あき子がすごいテクニックをもっている理由がわかりました。
あんなおとなしい子がそんなことしてるなんて、まったく想像もできないことでした。

「ところで、えり子、あなた、おなかが張っているんじゃない?」
「うん、私、旅行とかイベントがあると興奮してわくわくして、なぜかお通じが狂っちゃうのよ、
 もう2日、ないわ。」
「えり子のようなかわいい子には便秘は似合わないわ。」
「でも仕方ないわ。」
「すぐに解消すべきだわ、私が解消してあげる。」
「えっ、どうするの。」
「浣腸よ・・・。」


(16)

 あき子は私の体を愛撫したとき、私の体の異常に気づいたようです。
便秘しているのを見破られてしまいました。
そして、何と私に浣腸をしてくれるというのです。

「えり子、私ね、あなたのお尻の穴に触れたとき、あなたはいやがらなかったわ、あな
 たはお尻の穴も性感帯と確信したわ、私の目に狂いがなければ・・・。」
「実はそうなの、恥ずかしいけど、以前に病院で浣腸をされたことがあるの、そのとき
 なぜか感じちゃったのよ。」
「えり子、正直ね、それじゃあ浣腸はきらいじゃないわね、」
「うん、そこまで告白したら私もう拒否はしないわ、浣腸をしていただくわ。」

 私は正直に自分のきもちを告白しました。
全身を愛撫された後、もう隠し事は通用しないと観念したのです。

「わかったわ、それじゃあ準備するからちょっと待っててね。」
「準備って・・・。」
「浣腸器を温めるの、その方がきもちいいから。」
「そうなの。」

 そう言ってあき子はおトイレ(バス付き)に入りました。
出てきて言います。
「今温めているからちょと待ってね。」
「うん。」

「あっ、私、おしっこしたくなった、先におしっこ済ませるわ。」
 私はトイレに向かいます。
おしっこを済ませて手を洗おうとしました。
そのとき、洗面ユニットにかわいいピンクの浣腸器が2個、お湯の中に浸されているのに気が付きました。
想像していたより小さいものです。
こんなもので効くのかしらと気になります。
だから2個準備しているのでしょう、妙に納得できました。

 間もなくこの浣腸器が私のお尻に入れられると思うと、体が熱くなります。
しかも2個もなんです。
部屋に戻ります。

「えり子、ここで待っててね、浣腸をもってくるから。」
「うん。」

 あき子はかわいいいちじく浣腸を1個手にしています。
「さあ、ベッドに手をつくのよ、そしてお尻を私の方に突き出すのよ。」
「こうなの。」
「そうよ。」

 あき子はいちじく浣腸の先端を口に含みます。
だ液で先端を濡らします。
かがみ込んで、顔を私のお尻にくっつけるような姿勢を取ります。

「挿入するわよ。」
「うん。」

 左手でお尻の穴が開かれました。
そしていよいよノズルが挿入されました。

「注入するわよ。」
「うん。」

 温かい液が少しずつ入ってきました。
この瞬間が浣腸の醍醐味なんですね。

「終わったわよ。」
「うん。」
「できるだけがまんするのよ。」
「わかってるわ、時間を計ってくれる。」
「いいわよ。」
・・・
「何分経ったの?」
「ちょうど3分よ。」
「おトイレに行くわ。」
「そうね。」

 私は実にきもちよく排泄ができました。
あの浣腸は小さいながらもよく効くわと感心しました。
お尻を拭いてベッドに戻ります。

 あき子がベッドに横になっています。
「今度は私の番よ。」
「えっ。」
「えり子、私にも浣腸をしてくれる?」


(17)

 私はあき子に浣腸をされましたが、今度はあき子が私に浣腸をして欲しいと言うの
です。
 洗面台に浣腸がもう1個残っているのを思い出しました。
あれはあき子が自分のために使うために準備したものだったのです。
てっきり私が2個注入されると思いこんでいましたが、それは早とちりでした。

「洗面台にあったあれを使うのね。」
「そうよ。」
「あき子も便秘なの?」
「ううん、便秘じゃないわ、でも私もえり子と同じように浣腸されるのが好きなの。」
「そうなの。」

「これも彼氏に仕込まれたのよ。」
「ふ〜ん。」
「彼氏とデートするときは始めに必ず浣腸をされるの、そうすると彼は興奮するらしい
 の。」
「そうなの。」
「初めはいやだったわ、においはするし、汚れるし・・・。」
「でも彼氏が喜ぶのでがまんしてたわ。」
「ところが次第に私、感じるようになって、そしていつしかもう浣腸は手放せなく
 なっちゃったの。」
「そうね、浣腸って魔力のような大きな吸引力があるわね、それの魅力にいったん
 はまっちゃうと、もう抜け出せなくなっちゃうのね。」
「アリ地獄のように、いくらもがいても抜け出せないわ。」
「偶然ね、お互い浣腸という共通の趣向があったのね。」

 あき子はさらに付け加えます。
「実はレズのまねごとをしたのも、目的はあなたを浣腸の魅力に誘い込みたかった
 だけなの、まずお尻にいたずらをして感度を調べたのよ、そして浣腸に誘うのに
 あなたは十分答えてくれると判断したの。
 でもあなたはその必要はなかったわ、もう浣腸の魅力を十二分に知り尽くしていた
 から・・・。」
 
「そうなの、でもレズごっこはよかったわよ、お尻と前を同時に攻められて、私、
 悶絶しちゃったもの、彼氏は私のお尻の穴にはまったく無関心だから、こんな経験は
 今までまったく味わったことがなかったの。」」
「そう、それはよかったわ、それじゃあ、浣腸をお願いね。」
「いいわ。」

 私はいちじく浣腸を手に取ります。
あき子はベッドの上で自らよつんばいのポーズを取ります。
前の部分とアヌスが私の眼前に大きく迫ります。

 アヌスはきゅっと締まっていてとても形がよいです。
ほどよい大きさ、ほどよい着色、整然として放射状に広がるこまかいひだ、まるで美し
い花びらのようです。

 私はおもむろにその花弁を開きます。
花弁に鼻を近づけ、香りを嗅ぎます。
甘酸っぱい香りがします。
そのつぼみの中心に嘴管をゆっくり潜らせます。

 彼女のアヌスは吸盤のように締まって、嘴管をしっかりと食わえ込みました。
何という妖しい光景でしょう。
その光景をしばし眺めた後、私は浣腸を執行します。

「うっ。」
 という小さいうめきにも似た声が発せられました。
私は一気にボディをつぶします。
そしておもむろに嘴管を抜きます。

 ティシュを数枚、丸くしてアヌスに当てます。
「終わったわよ、しばらくがまんするのね。」
「うん。」
 私は時計を見ます。
 
 あき子は静かにしています。
まるで、浣腸の余韻に酔いしれているかのようです。

 しばらくすると、あき子のお尻が少し揺れてきました。
もう3分を過ぎています。

 5分経過しました。
あき子のふるえはさらに大きくなりました。

 あき子が立ち上がりました。
「もうだめよ。」
 そう言ってあき子はおトイレに立ちます。
 
 あき子は戻ってきました。
おだやかな表情に戻っています。

 私たちは再び抱き合いました。
彼女の体から芳香が立ちこめています。
それは排泄にともなうものではなく、まさに香水の香りなのです。
彼女はにおい消しをしたようです。

 それから私たちは長いキスを交わしました。
そのままベッドに倒れ込み、抱き合ったまま、いつしか深い眠りに陥ったのでした。

(続く)

(18)

 ある日のことです。
たか子先輩から電話がありました。
先輩は高校の先輩でもあり、女子大の先輩でもあるんです。
彼女のアパートに遊びに来ませんかというお誘いです。
実はあまりありがたくない電話でした。
 私、あまりその気になりません。
でも、断ることもできず困っているんです。

 彼女は故郷の町の有力者の娘さんなのです。
スポーツ万能で、行動的な女性でした。
問題なのは素行なのです。
学園の外では発展家で、タバコを吸ったり、夜遊びや不純異性交遊など日常茶飯事だった
のです。

 それでも、学園の先生達は彼女に指導や注意をすることはありませんでした。
と言うのも、彼女の家が資産家で、学園に多大の寄付をしていたこと、それに、
彼女はなぜか成績がトップクラスだったのです。
頭はよかったのです。

 だから、彼女は名門とされる東京の女子大に合格できたのです。
偶然、私もその女子大に合格し、彼女の後輩となったのです。

 彼女の命令に誰も逆らうことができないという噂を聞きました。
そういう理由で、彼女の誘いはありがたくなかったのです。

 仕方なく私は彼女のアパートを訪問します。
セキュリティのしっかりした豪華なマンションに彼女は住んでいたのです。
「えり子、よく来てくれたわね。」
「はい、立派なお住まいですね。」
「ところでえり子の趣味は何?」
「はい、最近はビデオをよく見ます、洋画のビデオが好きです。」
「ビデオはここにもあるわ、見る?」
「はい、見たいです。」
「洋画ではなく日本のものよ。」
「いいです。」

 サングラスをつけた女性が登場します。
サングラスは両側がつり上がった赤いふちのものです。
黒い皮のジャケットを着用し、黒い網タイツを着用しています。
彼女はムチを手に取ります。
そして、彼女の前にひざまずいた男性にムチを振るいます。
男性は言います。
「冴子女王さま、お許し下さい。」

「先輩、これはSMものですか。」
「そうよ、こんなのきらい?」
「いいえ、初めて見るものですから・・・。」

 冴子女王がサングラスを取ります。
「あっ、冴子女王様って、たか子先輩だったんですね。」
「そうよ、私、ビデオに出演してるのよ。」
「女優ですか、すごいです。」

 先輩が言います。
「私はSMビデオに出演するだけじゃないの、SMクラブで多くの男性の調教をしているのよ。」
「そうなんですか、それは驚きです。」
{SMというと、世間では白い目で見る風潮があるけど、まったくの誤解よ、これは人助けよ。」
「そうなんですか。」
「今の世の中ではビジネスマンは皆、仕事場では極度なストレスにさらされているわ、
 SMはそのストレスの解消に大いに役立っているの、SMの愛好家は会社社長、医師、
 弁護士、プロのスポーツ選手などが多いのよ、女王様に調教され尽くすことで、彼らのストレス
 は解消されるのよ。」
「そうなんですか、先輩は人助けをしていらっしゃるんですね。」
「そればかりじゃないけど、趣味をかねてるのは確かよ。」
「私、世の中のためになること、何もしてません、先輩のように世の中のためになることをしたい
 です。」

「ピポ、ピポ、ピポ・・・。」
突然電話のベルが鳴ります。
先輩が受話器をとります。
「えっ、そうなの、それは困ったわね、私に考えがあるわ、すぐそちらに行くわ。」

「えり子、ちょっと困ったことになったの、あなたに手伝ってほしいの。」
「えっ、何のお手伝いですか。」
「ビデオ撮影してるんだけど、女優が逃げちゃったらしいの、あなた、代役をたのむわ。」
「えっ、私が女優ですか。」
「あなたはきれいだし、かわいいし、スタイルもいいからうってつけよ。」
「私、台本ももらってないし、演技もできません。」
「大丈夫よ、アドリブでいいのよ、台詞なんてほとんどないのよ、 ” ああ ”とか
 ” うう ”とかでいいのよ。」


(19)

 私はたか子先輩に連れられて、とあるビルの2Fに入ります。
**スタジオと書かれたドアから中に入ります。

 そこはビデオの撮影現場のようです。
たか子先輩は小部屋に私を引き入れて、私に急いでメークを施します。
濃い赤のルージュがさされ、アイラインが入った私の顔を鏡で見ると、
まさに女優然としているから不思議です。

「えり子、ショーツを脱いでくれる。」
「えっ、は、はい。」
 たかこ先輩はハサミを手にしました。
「アンダーヘアの手入れをしておくわ。」
「はい。」
 先輩は私の前の黒い部分にハサミを入れます。
私の前の部分がきれいな三角形に整えられました。

 先輩が私に問います。
「えり子、今朝ウンコが出た?」
「いいえ、それが何か?」
「ううん、それなら好都合だわ。」
「えっ。」
「いいのよ。」
 先輩はうす笑いをします。
ちょっと不気味です。

「これから撮影するのは医療ビデオよ。」
「そうなんですか。」
「特に、演技や台詞は必要ないわ、スタッフに任せて、あなたは自然に
 振る舞えばいいのよ。」
「そうなんですか。」

 私は思います。
ナースの卵のさち子のアパートで見たビデオを思い出しました。
「私、あのようなビデオのモデルになるのね、よかった、私のビデオでナースの卵達が
 医療の勉強をしてくれるのね、私、世の中に役に立つことが初めてできるわ。」

 それに、私はこれまでビデオは見る側ばかりでした。
まさか私が制作側に加わるとは夢にも思いませんでした。
突然、不思議なことが起こったのです。

「スタッフにあなたを紹介するわ。」
「はい。」
 私とたか子先輩はスタジオの現場に行きます。

「これが私の後輩のえり子です。」
「ディレクターの**です。」
「カメラマンの**です。」
「医師の**です。」
「ナースの**です。」

 互いの紹介が終わりました。
スタッフの数が少ないのが意外でした。
ディレクターが言います。
「さすが、冴子女王ですね、とびっきりの上玉の子をすぐに連れてきましたね。
 本当に困っていたんです、助かりました、感謝します。」

 ディレクターがまた言います。
それではスタンバイをお願いします。

 照明が点灯されます。
スタジオ内が急に明るくなりました。
まぶしいくらいです。

 ビデオカメラが回り始めました。
ディレクターが言います。
「本番10秒前・・・。」
そして、カチンコをたたきます。
「1グソ、スタート。」


(20)

 いよいよ私が出演する医療ビデオのスタートです。
ディレクターは「1グソ スタート!!」と大声を張り上げました。

「えっ、1グソって何?」
私はちょっと疑問に思いました。

 私はナースに導かれて診察台の方に歩きます。
そこには婦人科検診台がありました。
どうやら婦人科検診の場面のビデオ撮影のようです。
婦人科検診も未経験ですが、私は臆せずチャレンジします。

 ナースが私に下着を取るように言います。
私はショーツを脱いで、かごに入れます。
下半身に何も付けずに検診台に登ります。

 両足を開かされます・
両手、両足、そして腰の部分がベルトで固定されます。
私の前の部分にスポットライトが当たります。
ちょっと恥ずかしいです。

 先生が言います。
「婦人科の検査をします。」

 先生がクスコをもって、私の大切な部分に挿入します。
私は冷たい器具の感触を感じます。
器具が開かれると、前の部分がス〜ス〜と風通しよいような感触を感じます。
先生はクスコを抜き、今度は薄いゴム手袋を着用して内診をします。

 それから先生が言います。
「肛門の検査をします。」
 先生は手袋をしたまま、今度はお尻の穴に指を挿入します。
「あっ、うんちが出そう。」
思わず、私、声が出ました。

「便秘がひどいね。」
さすが、先生ですね、私、便秘がばれてしまいました。

それからナースに指示します。
「浣腸!」

「えっ。」
 私、ちょっと驚きました。
どうやらこの姿勢のまま浣腸が行われるようです。
なぜなら、私、手足をしばられて身動きできない状態で婦人科検診台の上にいるからです。

 浣腸は私の好きな処置なので、やがてうれしさが恥ずかしさを抑えます。
婦人科ではこんなこともあるのかしらと、いちおう納得します。
やはり若いナースの卵達のために、恥ずかしいなんて言っていられません。
それにやっと、あの「1グソ!」の意味がわかった気がしました。

 先生がいいます。
「大丈夫ですよ、すぐ終わりますから。」

 私のとまどいとはおかまいなしに撮影と処置が続きます。
ナースが浣腸器をもってきました。
それはガラス製のとても大きなものでした。
目盛りがあって、200という数字が読み取れました。
その浣腸器は先端部がくびれて、妖しい形をしていました。

 あまりの大きさに驚きます。
しかし、医療用の浣腸が大きいのは知っていたので、平然とした態度をとります。
ナースはその浣腸器を先生に渡します。
先生が自ら浣腸をするようです。
婦人科では先生は何でもなさるんだと納得します。

「えりなさん、浣腸をします。」
「はい。」
 私は反射的に返事をしましたが、頭の中で思います。
「えっ、これが私の芸名なの?」

 先生が私のお尻に浣腸器を挿入します。
ガラスの冷たい感触がかえってフレッシュです。
ただ私は身動きできないので、それがちょっと窮屈です。
なされるままに従います。

 先生はゆっくりピストンを押します。
冷たい液をお尻に感じます。
温かい液はきもちいいのですが、冷たいのはきもち悪く感じます。
「きもち悪〜い。」
「私は大きな声で叫びます。」
「がまんして下さい。」
 ナースが言います。

「終わりました、しばらくがまんして下さい。」
「先生が言います。」
 ナースが時計を見ています。
200ccのグリセリンの威力は強烈です。
すぐに私はおなかに違和感を覚えます。
「あのぅ、おトイレに行かせて下さい。」
「まだだめです、もっとがまんして下さい。」
 ナースが時計を見ながら意地悪く言います。

 もう便意がかなり強くなってきました。
「もうがまんできません、おトイレに行きたいです。」
 先生がナースに言います。
「それじゃあ、あれを・・・。」

 ナースは薄型のオマルを私の腰の下に挿入します。
「ここで出してもらいます、便を調べますから。」
「えぇ、そんなの・・・。」
 私は抗議しようとしますが、苦しくて、言葉が出ません。

 そして、ついにがまんの限界を越えてしまいました。
 
 ・・・・・・・
 
 ナースが私のお尻を拭きます。
 
 先生とナースは私の出したものを見て、笑みを浮かべています。
量が多かったので、おかしかったのでしょう。
苦しさが去って、私、ちょっぴり恥ずかしくなりました。

 やがてナースはオマルを抜いて、どこかにそれをもって行きます。
私はほっとして放心したように、検診台の上でうつむきます。

「1グソ カット!!」
ディレクターの声で私は我に返りました。

 かか子先輩が駆け寄ってきました。
「えり子、素晴らしかったわ、演技もよかったし、ウンコがたくさん出たから
 よかった、大成功よ、きっと観客は喜ぶわ。」
「はぁ。」
私は疲れていてぼぅ〜としていて、先輩の言う意味がよくわかりません。
 先輩はさらに言います。
「えり子が泣いたり、わめいたりするかと思って心配していたわ、でもあなたは
 うぶで、何も知らないのね、きょとんとした表情がとてもよかったわ、名演技よ。」

「休憩!!」
 ディレクターの声がまた響きます。
「15分後に、2グソがスタートです。」


(21)

 1回目のビデオ撮影が無事終わりました。
私は何が何やらわからないまま、2度目の撮影に臨みます。

 ディレクターがカチンコを叩きます。
「2グソ スタート!!」

 2グソという言葉から、どうやらまた浣腸があるようだわと私は感じとります。
乗りかかった舟だし、たか子先輩の顔をつぶすわけにも行かず、これも世の中の役に立つためだわと
私は仕事を続けます。

 実は内心はうれしいと思っているのです。
1グソで私はガラス浣腸器による浣腸を経験できたのです。
ガラス製浣腸器は昔はよく使われていたそうですが、今はまぼろしの存在であると
聞いていたのです。
思いがけず、私はそれを経験できたのです。
 しかも、もう一度浣腸をされるようなんです。
不安もあるけど、浣腸は好きだから楽しみもあるんです。
もちろん、スタッフには内緒ですけど・・・。

 私は今度は普通の診察台に横にされます。
先生がやってきて、私を横向きの体位にします。
そして私の下着を下げます。
お尻に何かが挿入されました。
「検温します。」

 何とそれは体温計だったのです。
お尻で体温を計るのは初めての経験です。
 ピッピッ〜と音が聞こえました。
先生は体温計を抜いて、体温をチェックします。
「38.5度です。

 不思議です。
最初の撮影で私、疲れたのでしょうか?

「熱があるので浣腸をします。」
「えっ、またですか。」
「そうです、今度は熱が下がるように、大きな浣腸をします。」
「えっ〜。」

 ナースが鉄のスタンドをもってきました。
イルリガートルが吊られています。
1000CCという目盛りがあります。

 私、少し安心しました。
1000ccの高圧浣腸は経験済みなのです。
これなら耐えられそうだわと感じます。

 ナースがイルリガートルに液を入れます。
乳白色のものです。
「それ、何ですか?」
 私は質問します。
「石けん水です、浣腸をします。」
「えっ、石けんなんですか。」
「そうです、これが熱に効くんです。」

 ナースがお尻にチューブを挿入します。
私、ちょっと心配になります。
石けんは未経験です。
 でも、今となっては任せるしかないんです。
 
 お尻から冷たい液が入り始めました。
「わぁ、冷たい、きもち悪い〜。」
また声が出ます。
「がまんするんですよ、お熱があるから余計冷たく感じるんですよ。」
 私は心の中でつぶやきます。
「せめて、浣腸液くらいは温かくして欲しいわ。」

 私はときどき後ろを振り返って、液量を確認します。
まだ500cc残っています。
かなり、苦しくなってきました。
やはり石けん浣腸はきついです。
1000ccはとても無理です。

「あのぅ、もう苦しいんですけど・・・。」
 ナースが言います。
「それじゃあ、こちらに座って下さい。」

 ナースは便器をもってきました。
それは透明のプラスチック製です。
腰掛け式になっています。
今回も便器が使われるんですね。
私はとても苦しくて、便器の使用が不満どころか、もう便器だけが頼りなのです。

 お尻にチューブがついたまま、私は便器に座ります。
まだ浣腸は続いているんです。
でも、これなら、安心です。
残り、200ccになりました。

「もう少しです、頑張って下さい。」
 私は必死でがまんします。
「とても苦しいです。」
「残りわずかですよ。」

「終わりました、よく頑張りましたね。」
 ナースがチューブを抜きます。
 私はほっとしました。
それも束の間、ついに限界が来ました。
何しろ1000ccの石けん水です。

 私は便器のなかにおなかの中のものをすべてぶちまけました。
そういうつもりはなかったのですが、結果的にそうなっちゃたのです。

「2グソ カット」
 ディレクターがカチンコを叩きました。
 
 私、ほっとしました。
そして、苦しかったけど、世の中の役に立つ仕事ができたわと、ちょっぴり誇りに思いました。
 
 また、たか子先輩が駆け寄ってきました。
「えり子、うまかったわよ、よく頑張ったわね、ビデオ撮影は大成功よ。」
「そうですか。」

 特に私は演技をしたわけでもなく、ただ浣腸を2度されただけなんです。
私は思います。
「ビデオ撮影って、こんなもので通用するのかしら、これでよければずいぶん楽ね、
 また、撮影されてもかまわないわ、今日から私の趣味は ”ビデオ鑑賞” ではなく、”ビデオ浣腸” ね。」

 そして、また考えます。
「ビデオ撮影は成功したけど、もし、知人や友人がこのビデオを見たらどうしましょう。
 恥ずかしいわ、困っちゃうな。」
 
 でも私、もう開き直っています。
私、楽観的な性格で、いわゆる ”ネアカ” なので、あまりものごとを深刻に考えないんです。
 
 私は以前に見た古い洋画ビデオの1シーンを想い出しました。
そしてその主題歌を口ずさみます。

♭♭♭♭ ・・・ 先のことはわからない、なるようになるわ、ケ・セラ・セラ〜・・・# # # # 。」


(謝辞)
 この小説はRさんの原案によるものです。
Rさんに感謝いたします。

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