SPACE銀河 Library

作:えり子

我輩はニャンコである

 我が輩はニャンコである。性別はオス、もうすぐ1才になる青年ニャンコなのである。毛の色は白と黒のブチ、ちょうどパンダの親戚のような外見である。同居している人間様の家族によると、僕はハンサムな猫だそうである。
 僕は生まれて間もなく、この香谷家に拾われてきた。高校生のえり子さんが、塾の帰りに道路脇で情けない声で鳴いている僕を発見し、いたたまれず、僕を抱いて彼女の家へ連れて帰ったという次第である。
 だから僕は母親を知らない。僕の母親代わりが人間のえり子さんなのである。いや母親と言うよりは同居している友達と言う方が実態に合っているかも知れない。

 僕たち猫族は人間に飼われているという意識はあまりない。単に同居しているという程度の意識なのである。ご主人をはっきり認識する犬族とはここが違うのである。
 でも僕たちは飼われているというのはまぎれもない事実である。食事が保証されるのはありがたいことである。ノラ猫のように生きるために食べ物を求め続ける必要はないのである。ただ、その代償として、僕たちは人間様に癒やしを提供するのである。 
 今、人間界でも生きていくのは大変なことなのである。彼らは毎日毎日多くのストレスにさらされる。ストレスに耐えられずに、体調不良、精神活動の不調、はては自殺に走るものも少なくはない。ストレスを克服するために彼らには癒やしが必要である。癒やしこそは現代人の彼らが求めるものなのである。

 人間とつきあっているうちに、癒やしの大切さがよくわかってきた。人間はさまざまな形で癒やしを求めるのである。
 家族、友人、恋人など人間同士の交流、僕たちペットとの交わり、読書や散歩、映画やTV、ビデオ鑑賞、旅行や温泉探訪、絵画や手工芸などの創作活動、野球、サッカー、ゴルフなどのスポーツ、競馬やパチンコなどのギャンブル、オナニーやフーゾクなど性的なもの、まさに多種多様なのである。
 それに比べると僕たちは単純なのである。意識よりもむしろ本能に基づいて行動する。それが人間には受けるらしい。

 僕は香谷家の家族と生活を共にしている。僕も人間も食事をしなければ生きて行けない。それは当然のことである。 食事と共に忘れてはいけない物がある。それは排泄である。
 僕は人間を観察しているうちに排泄の大切さがよくわかってきた。人間は前に述べたストレスの影響か、排泄が正常でない場合が多いのである。でも、僕たちと違って彼らは排泄を人為的にコントロールできるのである。薬や浣腸なるものを使うのである。
 最近、浣腸が人間にとって癒やしの作用もしていることを発見した。そのことについてもっと詳しくレポートしようと思う。

 僕の家族を紹介しよう。香谷家は東京の郊外のとある町の庭付き1戸建住居に住んでいる。香谷家のご主人はりゅう太さん、実直な銀行員である。都内のE支店の支店長をしておられる。
 奥様のたえ子さんは共働きで、都内のK中学校の養護教員として勤務されている。長女が僕を拾ってくれたえり子さん、高校生である。受験を控えて日々勉学に励む毎日である。
 次女はゆり子さん、中学生であるが、こちらも高校受験を控えて頑張っているのである。 
 もう一人、いやもう一匹、柴犬のタロー、僕の先輩の住人で、2才のオスである。そして僕、名前はジロー、命名者はえり子さんである。
 香谷家は典型的な中流の核家族、日本の平均的な家である。ご主人と奥様が共働きなので、タローと僕、つまりジローが留守番役兼子供二人の遊び相手となっている。もっとも留守番役は犬のタローの役目であって、僕は留守番役としては期待されていない。
 僕の世話はえり子さん、タローの世話はゆり子さんが分担している。当然、僕はえり子さんと接触する機会が多い。えり子さんは犬より猫の方が好みで、妹のゆり子さんは逆のようである。
 えり子さんは犬はベタベタし過ぎるから嫌いと言い、ゆり子さんは猫はよそよそしいから嫌いと言っている。人間のペット愛好家は犬派と猫派に分かれるらしいが、わが家でもそうである。

 この姉妹はとてもかわいい姉妹であるが、共通しているのが便秘症ということである。母親のたえ子さんは特に便秘を極悪視していて、二人の便通を毎日チェックし、便通がないときは浣腸なるものを二人に施すのである。
 二人はこの処置は決して嫌いではなく、また母親に甘え、スキンシップを求める意味もあって、この処置を甘受するようだ。つまり、浣腸も二人にとっては癒やしになっているのである。つまり、浣腸は僕たちと同じ役割を果たしているということになる。

 前にも紹介したが、僕の世話はもっぱら長女のえり子さんが担当してくれる。食事はキャットフードではなく、肉や魚を調理して出してくれるのである。もっとも試験シーズンになると、彼女は忙しくなりキャットフードに切り替わるが・・・。キャットフードもたまには悪くないものである。
 それに引き替え、ゆり子さんはタローにはドッグフードばかりを与える。タローはちょっとかわいそうである。しかし、毎日きちんと散歩に連れ出してくれるので、タローは満足しているようである。散歩に出ると、タローはうんちも出すのである。僕は、夜間に自主的に散歩をするので、散歩に連れ出してもらう必要はないのである。
 僕は庭先のえり子さんが作ってくれたトイレでうんちをする。プラスチックの箱に砂を入れてくれている。柱と屋根もついているので、雨の日でも困らない。砂も頻繁に交換してくれるので、ニオイで困ることもない。

 そんな僕であるが、ある日体調を崩し、うんちが出なくなってしまう事件が起きたのである。便秘は初体験でとても苦しかった。
 えり子さんが僕の異常に気づき、すぐに僕を獣医師のところに連れて行ってくれた。そこで僕は風邪から来る胃腸障害と診断された。そしてえり子さんの立ち会いのもとでグリセリン浣腸5ccを受けたのである。
 それはすごくよく効いた。おなかが痛くなって、すぐにうんちが出た。とてもきもちよかった。その後わかったことだが、えり子さんもゆり子さんも浣腸がとても好きだったのだ。
 このきもち良さは経験してみないとわからないことなのだ。僕も浣腸はとてもよいものだと理解できた。

 えり子さんは実に僕の世話をよくしてくれる。学校から戻ると、家のドアから、「ジロー、今帰ったわよ。」と大きな声で叫ぶ。
 僕は大抵昼寝をしているのだが、その声を聞くと目が覚めて、すばやくえり子さんのお迎えをする。それが彼女はとてもうれしいらしく、僕を抱いてほほずりをしてくれる。そして、弁当の残り、それはウインナやかまぼこ、卵焼きなどであるが、それを僕におやつとして与えてくれる。
 僕がおいしそうにそれを食べるのを彼女は目を細めてながめる。これは日課となっている。
 そして僕はしばらくえり子さんと戯れるのである。僕はおやつをいただいた後、彼女の前で体を伸ばす運動をする。僕の尻尾は長く、普段は垂れているが、この運動をすると尻尾が立つのである。すると、えり子さんは僕のお尻をのぞき込む。
 僕のアヌスとタマ*マちゃんがが彼女の前の露出する。彼女はまず指で僕のアヌスに触れる。それから僕のタマ*マちゃんを指で軽く握る。これは彼女の体にはないものなので、彼女はとても興味をもっているようである。
 それから僕は毛づくろいをする。舌で全身の毛をなめる。彼女はそれを観察する。特に、僕がおチン*ンをなめるときは、彼女は不思議そうな顔をして眺めるのである。そしてそのピンク色の先っぽを指で触れるのである。

 それから彼女は僕を連れてトイレに入る。彼女のトイレットタイムに僕が付き合わされるのである。彼女は便秘症のため、トイレの時間は長い。だから彼女のトイレットタイムは朝ではなく、学校から帰宅した時間になるのである。排便の時間が長くかかり、一人では寂しいようで、僕が側で立ち会わされるというわけである。
 彼女は僕を抱いてトイレに入る。そして便器の傍らに座って彼女の排便に立ち会うことになる。はっきり言って、僕にとってこれは迷惑なことである。犬ほどでないにしても、僕の嗅覚は人間より遙かに優れている。だから彼女のうんちに立ち会うのは迷惑なことなのだ。でも、仕方ない。
 彼女の場合、長時間かけても、少ししか出ないか、まったく出ないことも多い。彼女はそれを母親のたえ子さんが帰宅したときに報告するのである。2日続けて出ないときは、あの浣腸の処置が行われるのである。彼女の母親のたえ子さんは、養護の教諭なので、自分子供の体調はとても気になるらしく、特に生理と排便のチェックは欠かさない。そして彼女は便秘ほど体に悪いことはないと信じているのである。

 今日はえり子さんは長い時間トイレにいたが、とうとううんちは出なかった。ガスが少し出ただけだった。彼女の苦しそうな表情を近くで見るのはとても忍びないことだった。
 彼女の母親のたえ子さんが帰宅した。買い物袋には今夜の夕食の材料がたくさん入っていた。とてもよい香りがして、僕は自然によだれが出た。
 彼女はまずえり子さんに会って、こう問うのである。
「えり子、今日は排便はあったの?」
「ううん、出なかったの。」
「そうなの、あなたもう生理が近いわね。この時期便秘しやすいわね。 あなた、きのうもでなかったわね。このままじゃいけないわ。すぐ浣腸をしましょう。すぐ準備するわ。」
 えり子さんはほっとした表情をしました。彼女は浣腸をいやがるどころか、それを待ち望んでいたかのようなのだ。

 お母さんは居間の畳の上にバスタオルを敷く。コップにお湯を入れてもってくる。引き出しからグリセリンのビンとガラス浣腸器を取り出す。手慣れた作業のようで、よどみがない。
 えり子さんはバスタオルの上に横になり、自分で下着を下げる。彼女の白くかわいいお尻がむき出しになった。異性の僕にはまぶしい光景なのだ。僕はかたわらに座って成り行きを静かに見守ることにする。
 お母さんはティシュにワセリンを付けて、それで彼女のお尻の穴をぬぐう。それからグリセリンをコップに加え、お湯と混合する。指先で温度をチェックした。それから浣腸器に混合液を吸い上げる。浣腸器は100ccの大きなものだが、液量は1/3の30ccである。あまり強い刺激を与えないようにとの配慮があるようだ。
 お母さんはえり子さんのお尻を手でポンと叩く。浣腸を始めるという合図のようだ。えり子さんは静かにうなづく。

 お母さんは浣腸器の嘴管を静かに挿入した。えり子さんのアヌスに嘴管が吸い込まれた。ちょっとエロチックな光景ではある。それからピストンを操作する。すぐに浣腸器は空になってしまった。
 グリセリン30ccが彼女のおなかに注がれたのだ。浣腸器を抜いて、代わりにティシュを丸めてお尻の穴に挿入した。お母さんは時計を見ている。
 数分が経過した。彼女はえり子さんのお尻をまたポンと叩く。えり子さんはお尻にティシュを入れたまま、下着はそのままで、立ち上がってトイレに向かう。
 しばらくして、彼女はさわやかな表情で戻ってきた。
「お母さん、ちゃんと出たわ。ありがとう。」
「そう、よかったわ。」
 お母さんは後片づけをして、何事もなかったように台所に向かった。えり子さんは鼻歌を歌いながら、僕を抱いて自室に引き上げる。よほどきもちがよいのだろう。
 えり子さんお体にはまだ残り香が漂っている。僕にはそれが強く感じられるのだ。でも、うんちがちゃんと出てよかった。便秘の苦しさは僕も経験しているので、よくわかるんだ。

 えり子さんにとって、この浣腸は単に便秘の治療というだけではなく、母親とのスキンシップにもなっているようだ。彼女は母親に甘えているのだ。
 それは母親を知らない僕にはうらやましいことだ。それと浣腸そのものの効果もあって、浣腸はえり子さんにとって癒やしになるようだ。

 僕がえり子さんの生活に付き合わされるのはトイレだけではない。入浴のときもそうなのだ。
 僕はえり子さんに抱きかかえられて浴室に入る。まず脱衣室で、えり子さんの脱衣シーンに立ち会うことになる。僕は一応オスなのだ。猫対人間とは言え、異性の裸には大いに興奮させられる。特に、相手が高校生の清純な体となればなおさらだ。
 彼女はブラジャーとパンティだけの姿になった。う〜ん、これは刺激的ではないか。それからパンティを脱ぐ。最後がブラジャーだ。
 えり子さんの体全体はスレンダーながら、胸やお尻など膨らむべきところはちゃんと膨らんでいる。そしてウエストはくびれ、足は長い。若く美しい体はとても印象的だ。
 さらに不思議なのは、われわれ犬や猫は全身が毛でおおわれているのに、人間は頭とおへその下の部分だけに毛が生えていることだ。本当にこれは不思議だ。これでは寒いだろう。だから彼らは普段は衣服をまとっているのだと思う。衣服を脱いだり来たり、人間とは面倒なものだね。それに比べるとわれわれは楽なものだ。ただ、僕の毛皮は春・秋はよいのだが、夏は暑く、冬は寒いのには閉口する。

 前にも言ったが、僕は鼻が効くのだ。彼女の衣服と彼女の体の両方から体臭が漂ってくる。人間の女性の香り、悪くない。ただ、生理のときは血のにおいがするので、これは困るんだね。
 えり子さんは浴槽に入る。僕は浴槽のふちに立って、えり子さんと向かい合う。浴槽に入ったえり子さんはきもちよさそうだ。彼女は僕にほほずりをする。僕の湿った鼻とひげの感触が彼女に心地よいようだ。
 その後、彼女はしきりに僕に話かけるのだが、残念なことに僕には彼女の言葉が理解できないのだ。反応のない僕にえり子さんはちょっと立腹して、手で水鉄砲をつくって、僕の尻尾にお湯をかける。
「にゃお〜。」
 という反応に、彼女の顔がほころぶ。

 彼女は浴槽を出て、石けんで全身を洗う。人間って毎日こんなことをするんだね。
 彼女は指を使って、前の部分とお尻の穴は特に入念に洗う。前の部分に指を潜らせて中を洗う。「うっふっん。」というような奇声をあげる。何だかきもちよさそうだ。
 それから人差し指に石けんをたっぷりつけて、お尻の穴に潜らせる。そして内側をマッサージをするように指で洗う。
「あっ、あぅ。」
 彼女はうっとりした表情をしている。これって、肛門を使うオナニーのようなものなのかな?
 その後、彼女は髪をシャンプーする。石けんとシャンプーはとてもよい香りだ。それから彼女は浴槽に入る。鼻歌を歌います。入浴って、きもちよさそうだな。これも人間にとっては癒やしになるようだ。

 日曜日になった。午後にえり子さんはお風呂に入る。いつもは夜なのに日曜日は昼間に入浴なのだ。このとき、僕はえり子さんに浴槽に入れられた。びっくりしたけど、えり子さんに抱かれての入浴も悪くない。それから僕は全身をシャンプーされた。
 えり子さんは僕のおチン*ンの部分を特に丁寧に洗ってくれた。この入浴はえり子さんのためと言うより、僕のためのものだったのだ。

 バスタオルで丁寧に体の水分をとって、僕は居間の窓側で太陽の光で体を乾燥させる。体がきれいになって、とてもきもちいいのだ。お風呂っていいものだね。

 僕とえり子さんとの接点はトイレや入浴だけではない。えり子さんの部屋に入って彼女と戯れることがある。
 彼女はヒモやぬいぐるみを使って僕と遊んでくれる。彼女がひもやぬいぐるみを動かすと、僕は本能的にそれに飛びかかって、それを爪でひっかけたり、咬みついたりしてじゃれるのだ。
 それから、えり子さんは僕を仰向けに高く抱き上げて、ベッドの上空に放り上げる。僕はくるりと体を反転させ、ベッドの上に着地する。えり子さんはそれを見て、「ジロー、お見事、10点満点!!」と言って、拍手をする。猫の僕にとって、こんなの朝飯前さ。
 やがて遊びに飽きて僕は座布団の上で横になる。すると、今度は次の遊び、お医者さんゴッコが始まる。

 最初は彼女が患者役である。医師役である僕に何か訴える。僕にはそれが理解できないので、適当に「ニャン。」と答える。
 彼女は体温計を取り出す。彼女は横になって下着を下げる。そしてお尻の穴に体温計を挿入する。体温を計るらしい。そのあとまた僕に話をする。また僕は適当な返事をする。
 彼女は鉛筆を取り出す。キャップをはずし、鉛筆をお尻の臀部に突き立てる。注射のまねごとのようだ。
 それが終わると、彼女はまた何かつぶやく。「浣腸・・・。」と聞こえた。
 僕は「ニャン」と答える。
 彼女は今度はキャップを手に取る。それはプラスチック製で5cmくらいの長さである。彼女は四つん這いの姿勢を取る。彼女はそのキャップを口にくわえ、だ液で潤滑する。それからそれをお尻の穴にゆっくり挿入した。
 どうやら浣腸のまねごとらしい。う〜ん、何だかエッチな光景である。

 今度は僕が患者になる。えり子さんは僕の体をなでたり触ったりする。お尻に体温計を挿入して熱をはかったりもする。そして、お尻の穴に鉛筆のキャップを挿入してまねごとの浣腸をされたりするのにはまいってしまう。それから僕のタマ*マちゃんに触れる。ときにはおチン*ンにも触れる。
 こうして、えり子さんと僕は一時を過ごすのである。

 日曜日や夏休み、冬休みにはえり子さんの昼寝に付き合う。彼女は素っ裸になって僕を抱いて、ベッドに寝る。彼女の胸のふくらみの間に顔を埋めて、僕も寝る。やわらかい感触がとても心地よいのだ。
 僕はヒゲで彼女の柔肌の感触を感じる。鼻で感じる人間の若い女性のほのかな体臭も悪くない。よいきもちで僕も眠りについた。
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 突然、彼女は寝返りをうつ。僕は目を覚ました。僕ら動物は何か動きがあるとすぐ目を覚ますのだ。
 僕は彼女の背中に接していた。背中は胸と比べると感触があまりよくない。しかもふとんに隙間があいて、ちょっと寒さを感じる。僕ら猫族は毛が薄いので、寒がりなのだ。
 背中はおもしろくないので、下の方に潜ることにする。すると彼女の女性自身の部分とアヌスが現れた。 どちらも芳香が漂っている。エッチな香りではないか。僕は彼女の丸い柔らかなお尻と接し、芳香に包まれ再び眠ることにする。
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 再び、すごい刺激で僕は目が覚めた。ものすごいすごい刺激だ。
「何だ、これは。あっ、ガス漏れだ。」
 刺激の原因は彼女のお尻の穴から発せられたガスだった。彼女は眠ったままオナラをしたのだ。しかもそれは僕の鼻先でなのだ。
 これはたまらない。彼女は便秘症なので、そのニオイときたらすごいのだ。僕は窒息しそうになって耐えられず、あわててふとんから飛び出した。
 う〜ん、これは参った。彼女はかわいいけど、これでは百年の恋もさめちゃうよ。

 今日はちょっとした騒動があった。お母さんが帰宅したとき、妹のゆり子さんが腹痛を訴えたのである。お母さんはゆり子さんを横にして、手で彼女のおなかを押さえる。
「ここが痛いの?」
「ううん。」
「虫垂炎ではなさそうね。ここは?」
「その辺かな」
「あなた、ガスがたまってるわね、うんちはいつ出たの?」
「3日くらい出てないわ。」
「それはいけないわ。腹痛の原因は多分便秘ね、すぐ浣腸の準備をするわ。」
「うん。」
 えり子さんに続いて、妹のゆり子さんも、お母さんから浣腸をされるようだ。彼女も素直にお母さんの言葉に従う。
 僕はその様子を側で観察する。えり子さんのときと同じように、ゆり子さんhガラス浣腸器でグリセリン30ccを注入された。数分後、ティシュでお尻を押さえてトイレに向かう。
 彼女はなかなかトイレから出てこない。お母さんがドアをノックする。
ドアが開く。
「大丈夫なの?」
 ゆり子さんは泣きながら訴える。
「お母さん、液は出たけど、うんちがとても固くてどうしても出ないの。とても苦しいわ。」
「大丈夫よ、処置してあげるわ。こちらに来なさい。」
 お母さんは居間の畳の上に新聞紙を重ねて敷く。その上にゆり子さんを横にさせる。お母さんはオリーブオイル10ccを浣腸器に吸い上げる。それをゆり子さんのお尻の穴に注入する。お尻の中で滑りをよくするためらしい。
 それから両手に薄いビニル手袋をはめる。そして左手でゆり子さんのお尻の穴を開く。それから右手人差し指をお尻の中に挿入する。そしてうんちを書き出す動作を繰り返す。
 すると褐色のうんちの塊が少しずつ出てきたのだ。うんちが少し出たところで、お母さんは浣腸器でグリセリンを30cc注入する。数分後、ゆり子さんは再びトイレに向かう。そしてしばらくして彼女はやわらかな表情でトイレから出てきた。

「お母さん、ありがとう。うんち、すっかり出ちゃったわ。」
「そう、それはよかったわ。今度からはこんなにならないうちに言ってね。」
「うん、そうするわ。」
 お母さんは養護教諭なので、テキパキとしたその処置ぶりは見事だった。ドクターやナースも顔負けの要領の良さなのだ。 
 ゆり子さんは大変だったようだ。でもうんちがすっかり出たようで、一件落着となった。

 今日は日曜日なのだ。休日なのだが、お父さんは得意先とのゴルフのコンペ、えり子さんとゆり子さんは模擬試験があって、3人共夕食の時間まで戻らないそうだ。今日はお母さんのたえ子さんだけがお休みをとることになった。
 そういうわけで、休日とはいえ、たえ子さんは朝は忙しい。早く起きて3人と2匹分の朝食の準備をし、皆を送り出すと、朝食の片づけ、掃除、洗濯をこなす。10時30分になってやっと家事が一段落したようだ。
 たえ子さんはゆっくりお茶をすする。えり子さん、ゆり子さんは美人姉妹である。だから当然、たえ子さんも美人である。というよりは、たえ子さんが美人だから、子供2人も美人であるのだ。年令は40才を少し過ぎたところであり、まさに女盛りなのだ。
 彼女は養護教員なので、家族のみならず自分の健康にも注意を払っているらしい。そのせいか、ぜい肉がなく、背筋がピンとしていて、プロポーションがよい。家事の動作もきびきびとこなすが、一つ一つの身のこなしに優雅さもある。
 たえ子さんはえり子さんほど僕と濃密な関係はない。しかし、僕を無視したり、いじめたりすることもない。少し離れたところから、優しく見つめるという感じである。僕たち猫族にとってはそういう関係が理想と言えるのだ。
 彼女は一服したあと、次の作業にかかる。居間の畳の上にバスタオルを敷く。そして、何と、えり子さんやゆり子さんに用いたあの50ccのガラスシリンダを取り出したのである。

 何が起こるのだろう。僕は彼女に注目する。

 彼女はお湯をうすめて洗面器に入れる。ワセリンも準備する。どうやら自分の手で浣腸を行うようだ。家族のいないこのときが、浣腸を行うのに最適なタイミングということなのだ。
 彼女はトレーナーのズボンと下着を脱ぎ、下半身が裸の状態となった。僕は寝たふりをして、事の成り行きを静かに見守ることにする。
 彼女はバスタオルの上に四つん這いになる。まず右手を伸ばしてお尻の穴にワセリンを塗る。それから洗面器のぬるま湯を浣腸器に満たす。そして、浣腸器の嘴管をアヌスにゆっくり挿入する。それからゆっくりピストンを押す。
「あぅ。」
 彼女の口からあえぎ声のようなものが漏れる。50ccの注入を終えると、彼女は洗面器から浣腸器に再び液を満たす。そして、この50ccのぬるま湯をまたアヌスから注入する。
「あっ、あっ。」
 また声が漏れる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この動作が何と20回ほども繰り返された。僕は計算ができないが、かなりの量のぬるま湯が注入されたことになる。  50cc × 20回 = ? なのだ。
 彼女は単なる浣腸ではなく、大腸洗浄を試みているようだ。便秘のための単なる浣腸なら、グリセリン浣腸の50ccくらいで事足りるはずである。
 何と面倒なことをするものだ。もっと手間のかからない方法があるように思うのだが・・・。 いや、待てよ。彼女はこのやり方が好きなのかも知れないな。嘴管の挿入感を堪能している節がある。何度も挿入するのを楽しんでいるようだ。

 20回の注入の後、彼女はいったん注入を中止し、おなかのマッサージを始めた。手で8の字を描くようにしている。
「う〜ん、う〜ん。」
 彼女は便意をがまんしながらマッサージを続ける。
 やがて立ち上がって、トイレに向かう。5分ほどして彼女は戻ってきた。洗面器にはまだぬるま湯がたっぷり残っている。
 彼女は再び浣腸を始めた。こうしてまた約20回の注入後、彼女はトイレに向かう。結局彼女は3度これを繰り返し、トイレと居間を3度往復した。
 そして最後は晴れやかな表情に戻っていた。大腸洗浄はうまく行ったようだ。
 彼女は下半身を露出したまま、バスタオルの上に横になる。しばし放心したような表情で天井を見ている。
 数分後、彼女は後片づけをして、キッチンへ戻る。食卓の椅子にすわり、彼女はコーヒーを一杯いれて、チーズをおつまみに、それをゆっくり飲む。すっかりくつろいだ表情だ。そして、チーズのかけらを僕に放り投げてくれる。
「しめた。チーズは僕の大好物なのだ。」

 休日に、誰にも邪魔されずに大腸洗浄を行う。どうやらこれがたえ子さんの癒やしのようだ。浣腸はたえ子さんの肉体と精神の両方によい結果をもたらすようだ。この家の女性達は皆、浣腸によって心と体が癒やされることがわかった。そして、皆、浣腸のおかげで、美しい体型と肌と維持しているのだ。

 僕たち猫族は普通、昼間はほとんど寝ていて、夜になると行動を起こす習性がある。基本的に僕たちは夜行性なのだ。嗅覚は犬ほどではないにしろ、聴力と視力は犬をはるかにしのぐ。特に視力は優れている。
 人間の視力が1.5程度でああるのに対して、僕たちの視力は3.0もあって、特に夜は瞳孔が大きく開くので、暗いところでもよく見えるわけだ。
 えり子さんは僕のために夜間でも家の浴室の窓を少し開いたままにしてくれている。窓には格子があるので、防犯上の問題はない。窓を少し開いておくのは換気の面でもよいことなのだ。ここを利用して、僕は夜間に散歩をする。
 この付近は住宅地なので静かだし、僕の嫌いな犬たちも眠っているので、夜は僕たち猫族の天下なのである。

 季節は早春、今は僕たちの恋いの季節なのだ。散歩に出ると、よその屋根の上にメス猫がいる。僕より少し年上の姉さん猫だけど、僕が近づくと、「ニャゴ〜、ニャゴ〜。」と、僕に色気をふりまく。う〜ん、僕はその誘惑に負けそうになる。
 彼女は僕にお尻を向けて、スタンバイの姿勢を取る。彼女はかわいいアヌスをむき出しにしている。僕は決心をする。
「よう〜し、据え膳食わずは男の恥・・・、やっちゃおう。」
 もちろん、僕の目標はアヌスのお隣に位置する秘密の扉なのである。
 僕は彼女の背中にまたがろうとする。そのときだ。突然、うなり声がする。
「やばい。」
 大きなオス猫がやってきた。体重は僕の2倍はありそうで、どうもうな面構えをしている。そして、僕を威嚇する。これは、負けそうだ。僕は目的を達しないまま彼女から離れた。

 ところが、あのオス猫は猛然と僕を追っかけて来る。僕はアクセルを全開にして逃げる。相手もしつこく追ってくる。
「やばい、つかまりそうだ。」
 僕はひらりと体をかわす。相手はオーバーランする。
 相手は再び向き直って追ってくる。また僕は体をかわす。
 まともに戦っては勝ち目がない。ひらりとかわすだけが僕に残された手段だ。まるで、弁慶と牛若丸の戦いだ。
 やっと自宅の前に帰った。さっと窓から家の中に飛び込む。
「やった。やっと逃げたぞ。それにしても残念。彼女のかわいいアヌスが忘れられないのだ。」

 翌日、また夜の散歩をする。快楽を得るためには冒険と努力と妨害に対してもあきらめない根性が必要なのだ。これは猫も人間も同じだ。
 あのオス猫がいないか注意を払いながら、メス猫に近づく。幸いあのオス猫はいない。
「しめた、チャンス到来・・・。」
 彼女は僕にお尻を向けている。あのかわいいアヌスが刺激的だ。彼女はかわいい鳴き声で僕を誘惑する。
「ゴロニャ〜オゥ・・・。」
 彼女はスタンバイがO.K.なのだ。僕は彼女の背中に乗っかっかる。
 彼女はまったく拒絶をしない。僕は彼女と自然に結ばれた。
「ああ、何といういいきもちだ。」
 僕はそのまま昇天した。とうとう僕は童貞を失ってしまった。
 それだけではない。僕は間もなくパパになるかも知れないのだ。人間のメスもかわいいが、やはりメス猫は最高だよ。

 僕の夜の散歩は続く。高い塀の上を歩く。高いところはまったく平気なのだ。高所恐怖症では猫はつとまらないのだ。
 ここから向かいのアパートがよく見える。若い女性の部屋だ。カーテンの隙間から中を観察することにする。僕はオスなので、メスには自然に興味がわくのだ。
 彼女は裸になった。引き出しから青い箱を取り出した。その中にはピンク色の容器が入っている。その容器には突起がついている。
 彼女はベッドに横になる。そしてお尻を出す。そのお尻の下部にあの容器の先端を潜らせた。あの部分は肛門だ。何と、彼女は浣腸を始めたのだった。ピンクの容器は使い捨てタイプの浣腸器だったのだ。

 えり子さんと同じように、彼女も便秘症に違いない。彼女は容器をお尻から抜いて、お尻にティシュを当てる。
しばらくその姿勢を保つ。それからトイレに向かう。
 僕は思う。
「うん、これはえり子さんと同じ行動だな。トイレでうんこを出すのだな。人間の女性はよく浣腸を使うようだ。皆、便秘で悩んでいるんだ。」 
 トイレから出てきた彼女はすっきりした表情に変わっていた。僕は感じた。
「うんこが出るときもちいいのは、猫も人間も同じだな。」
 この快感は動物に共通のもののようだ。

 今日も僕は夜の散歩をする。昨日の夜見たアパアートの隣の部屋の様子を伺う。ここも若い女性の部屋である。彼女はお湯を沸かしている。白い紙の上に黒っぽい粉をのせ、その上にお湯を注ぐ。それはどうやらコーヒーというものらしい。人間はあんな黒っぽい液体を飲む動物なのだ。

 彼女は500ccのコーヒーを入れた。それを冷ます。彼女はコーヒーの容器をもって浴室に移動する。彼女はゴム球ももってきた。それは奇妙な形をしている。ゴム球の両端にが長いゴム管が伸びている。それはエネマシリンジというものらしい。
 彼女はゴム管の一方をコーヒーの入った容器に浸す。そしてもう一方をお尻の穴に挿入する。彼女がしようとすることがやっとわかった。彼女はコーヒー浣腸をしようとしているのだ。これは美容によいらしいのだ。若い女性の間では美容のためコーヒー浣腸をするのがトレンドになっているそうだ。
 人間の女性は美しくなるためにいろいろ努力をするのだ。コーヒー浣腸もその一貫なのだ。

 彼女はゴム球を操作して、コーヒーをおなかに送り込む。少しずつコーヒーが減って行く。そしてやがて彼女のお尻は500ccのコーヒーを飲み込んでしまった。
 それから彼女は便器に座る。間もなくコーヒー液が排出されたようだ。彼女の顔が笑顔になあった。
 浣腸が終わったときの女性の表情はどの顔も晴れ晴れしていて、とても美しい。苦しさを乗り越えて、最後は安堵感に包まれるようだ。

 夜間、散歩をしながら人間の生活を観察するのが僕の日課になってしまった。今夜も塀の上を歩く。向かいは産婦人科の病院だ。
 真夜中というのに、タクシーが玄関にやってきた。おなかの大きな産婦さんが大儀そうに車から降りてきた。ご主人らしき人が付き添っている。
 彼女はエレベータで2階の部屋に入った。そして産衣に着替えをする。助産婦さんがやってきて、彼女の内診をする。それから血圧を測定する。

 助産婦さんはいったん部屋から出て、すぐに戻ってきた。手には大きな使い捨てタイプの浣腸器をもっている。それはあのアパアートの女性のものよりも数段大きいものだった。ノズルも長い。
 産婦はベッドに横になる。助産婦は産衣をめくって彼女のお尻を露出する。そしてノズルをお尻の穴に挿入した。浣腸が始まるのだ。僕は思った。
「人間の女性は赤ちゃんを生む前に浣腸をするのだ。」
 なるほど、お産の前にうんちを出しておくのは理解できる。
 産婦は部屋のトイレに行った後、分娩室に移動した。無事に赤ちゃんが生まれるといいなと僕は思った。

 僕は今夜も散歩をする。塀の向かいは胃腸科・肛門科病院である。僕はカーテン越しに中を覗く。
 病室に30代の人間の女性がいる。もう夜10時を過ぎている。ナースがベッドサイドにやってきた。点滴のセットを準備しているようだ。
 大きなボトルからゴム管が伸びている。その先端をナースは患者のお尻の穴に挿入する。これは点滴ではなく、浣腸だったのだ。この道具はイルリガートルというものらしい。
 彼女は明日手術を受けるようだ。そのために腸をきれいにする処置を受けているのだ。この浣腸は量が多く、時間も長く、とてもつらそうだ。多分、こんなものは序の口で、彼女は明日、もっとつらいことが待っているのだろう。お気の毒だがしっかり頑張って欲しく思うのだ。

 それにしても、人間界では昼も夜もよく浣腸が行われているようだ。しかも、それぞれ目的が違うようだ。便秘、美容、お産、手術、そして癒やし・・・。
 人間はいろんなシテューエーションで浣腸を用いる。人間様の日常には浣腸がつきもののようだということがよくわかった。明日の散歩では一体どんな場面が見られるのだろうか。


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