SPACE銀河 Library

作:えり子

3人寄れば

 私は香谷えり子、28才、専業主婦です。2年前に結婚しました。東京近郊の*市に住んでいます。
 主人は某都市銀行に勤務しています。営業を担当していて、お客さんの相手に毎日忙しいようで、帰宅が遅いし、ゴルフのおつきあいがあるとかで、休日も不在がちなんです。
 そういうわけで、私は一人で過ごすことが多く、子供もいないので退屈な毎日を過ごしています。特に趣味もなく、サークルに属したりしてもなく、習い事もしていません。
 女子大生の頃、弓道部のサークルに属していたので、この地の弓道愛好会の門を叩いたこともありますが、愛好者はおじさんやおじいさんばかりで、皆、私に親切にしてくれるものの、人間関係に違和感や世代の格差を感じて、今はもう練習には行っていないのです。
 体は健康です。ただ、病気のうちに入らないと思うんですが、学生時代から便秘症なんです。たかが便秘ですが、何日も放置していると、のぼせや肌荒れの原因になるし、気分も不快になります。
 それでは対策はどうしてるのかですって?
 これまで便秘対策として、いろいろなことにチャレンジしてきました。朝、起きたら冷たい水や牛乳を飲む。繊維質の多い物を食べる。運動をする。便意を感じたらすぐに便器にすわる。・・・・・・・・などです。
 ところが、どれも便秘解消の決め手にはならず、結局、即効性のある対策に頼ることになるのです。その対策は皆さん、よくご存知の下剤か浣腸になるんですが、私、妊娠の可能性があるので、お薬は飲まないようにしています。
 だから、必然的に対策は浣腸ということになります。3日以上お通じがないと、4日目に私は対策をします。

 浣腸は薬局で買ったいちじく浣腸を使うのですが、ときには病院に行きます。病院で浣腸の処置を受けるのはとても恥ずかしいことなのですが、毎日が退屈で、刺激のない生活を続けている私にとっては、それはとてもエキサイティングな経験であり、生活のカンフル剤の役目を果たしているのです。
 また、便秘で受診した病院の先生のすすめで、大腸カメラの検査も定期的に受けるようにしています。私のような若い女性でも、直腸がんや大腸がんになる人もいるんだそうです。がんは怖いですが、定期検査を受けていれば安心ですね。
 それに、大腸検査を受けるときは、色んな手段を使っておなかを完全に洗浄することになります。これは検査と同時に大腸洗浄もかねることになって、わざわざ高価な費用を支払って、大腸洗浄クリニックを訪れる必要もないのです。 1年に1、2度おなかをきれいにするのはきもち良いことだし、体のためになるのでしょう。

 初めて浣腸を経験したのは東京に出て女子大に通学を始めるようになったときです。アパート住まいをするようになったり、サークルやコンパで帰宅が遅くなり、食事の時間が不規則になったり、お酒を飲むようになったりしたことがきっかけのようです。
 でも、女子大に通うようになって知ったのですが、ほとんどの子が大なり小なり、便秘で悩んでいるんです。中には10日もお通じがないという豪女もいるんですね。驚きました。
 対策としては下剤に頼る子もいますが、下剤はいつ効くかわからないことや、クセになるという理由から、避ける子もいます。そういう理由から、浣腸も多く使われているようです。
 その証拠に、女子大のおトイレには使用済みの浣腸の容器や空箱が、サニタリボックスの中に廃棄されていることを発見するのも多いのです。若い女性の間に浣腸を愛用する人が少なくないことが実感されたのです。

 私宛に郵便物が届きました。母校の*女子大学の同窓生からです。それは同窓会の案内でした。
 *女子大学 文学部英文学科 第*回生の同窓会の案内で、世話役の*子からの招待状でした。日時と場所は以下の通りでした。

 日時 *月*日 日曜日 午前11痔より
 場所 東京都*区*町*丁目 *ホテル 鳳凰の間

 女子大学全体の同窓会は諸先輩方の出席が多く、ジェネレーションギャップを感じるので、参加したくないのですが、この同窓会は同世代ばかりなので楽しそうです。早速私は出席の返事を出しました。
 同窓会はホテルで立食パーティの形式で行われました。なつかしい面々が参加して、和気藹々の雰囲気で行われました。
 私を含めて、弓道部サークルの仲良し3人組が出席しました。会は午後2時にお開きとなりました。
 会が終わった後、私、とも子、ゆり子の3人で2次会をすることになりました。皆、自宅が同じ方面なので、独身のゆり子のマンションに立ち寄っての会となりました。ここなら、喫茶店などと違って、心おきなくおしゃべりができます。

 ワインとビール、枝豆、チーズ、ソーセージなどでおしゃべりが始まりました。

「ゆり子は独身貴族なのね。」
「そう、まだ当分結婚するつもりはないわ。」
「どんなお仕事をしているの?」
「通訳や翻訳の仕事よ。最近はイベントが多く、忙しいの。」
「えり子は2年前に結婚したのね。」
「そう、まだ子供がいないの。」
「新婚気分が続いているのね。」
「そんなことないわ。毎日退屈よ。主人はかまってくれないから。つまらない小説などを書いて暇つぶしをしているわ。」
「どんな小説なの?」
「ふふふ、それはヒミツよ。」
「えり子の書いた小説、一度読んでみたいわ。」
「えり子は仕事をしていないのね。もったいないわ。えり子は成績が良かったのに。」
「翻訳のアルバイトがあれば回してくれない。」
「いいわよ。こちらは猫の手も借りたいくらいよ。えり子なら安心だわ。」
「お願いね。」
「とも子はもう子供がいるのね。」
「そう、実はできちゃった婚なの。6カ月の子がいるわ。」
「それは大変ね。しかも仕事を続けるんでしょ。」
「私、今、私の両親と2世帯住宅に住んでいるのよ。母がいるから万事、楽なのよ。」
「それはいいわね。だから、同窓会にも安心して出席できるのね。」
「そうよ。美容院や病院にも気兼ねなく行けるわ。」
「うらやましいわね。」

「久しぶりに集まって、なつかしいわね。」
「学生時代を思い出すわ。」
「ねぇ、私達3人は、皆から何て呼ばれていたか知ってる?」
「ミス*女子大トリオかしら?」
「*女子大美女3人組?」
「違うわよ、何と、便秘3人娘よ。」
「えっ?」
「そんなこと言い出したのは、きっと、けい子先輩ね。」
「あの事件のせいね。」

 ゆり子の部屋でのおしゃべりは続きます。
「あれは、1年生のときの弓道部の軽井沢の夏合宿のときよね。」
 私達が所属する弓道部の最大のイベントは、秋に行われる都内の三つの女子大学による対抗戦なのです。それに備えて、夏場に5日間の合宿が行われるのです。私達は1年生なので、もちろんレギュラーではないですが、初めて合宿に参加したのです。
「そう、合宿の最終日、5日目のときよ。」
「私達3人が腹痛におそわれたのね。」
「けい子先輩が食中毒かも知れないと心配して、私達をホテルの紹介で、近くの内科医のところに連れて行ってくれたのね。」
「そう、先生の診察では、食中毒ではなく、3人とも、何と、便秘だったのね。」
「合宿生活なので、皆、お通じがなかったのね。」
「3人そろって、浣腸をされたわね。ガラスの大きな浣腸器だったわね。」
「えり子ととも子は浣腸が効いて、無事開通したのね。」
「そう、あれはきもち良かったわ。恥ずかしかったけど。」
「ゆり子は大変だったのね。」
「そう、私、合宿の前から便秘してたの。」
「うんちが固まってしまって、浣腸が効果なかったのね。」
「そう、だからナースから摘便を受けたの。」
「摘便ってどうされちゃうの。」
「とても恥ずかしかったわ。ゴムシーツを敷いたベッドで仰向けに寝るの。そして、足を持ち上げるの。赤ちゃんのおむつ交換のような姿勢よ。」
「それは超恥ずかしいわね。」
「お湯の入った浣腸器を使って、肛門からゴムチューブで少しずつお湯を注いで、うんちを軟らかくしながら、ゴム手袋をつけた指でかき出すの。」
「そうなの。」
「くさいし、恥ずかしくて、地獄のようだった。」
「でも、成功したんでしょ。」
「そう、半分くらい出たところで、もう一度グリセリン浣腸を受けたの。そうすると、残りがすっかり出てしまって、地獄から天国に行ったように、きもちよくなったわ。」
「そんなに、うんちを溜めてはいけないのね。」
「そうそう、お金ならいいけど、うんちを溜めるのはよくないわ。」
「けい子先輩が世話をしてくれて、私達のことすべてを知ったのね。」
「だから、便秘3人娘の名付け親もきっとけい子先輩よ。」

 便秘3人娘達のおしゃべりは続きます。
「1年の秋に、私達3人で、山陰を旅行したわね。」
「合宿のときの苦い経験から、ゆり子ととも子はいちじく浣腸を持参したのね。」
「えり子だけ、あれをもって来なかったのね。」
「そう、私、恥ずかしくて買えなかったの。」
「私達もあれを買うときは恥ずかしかったわよ。」
「ドラッグストアのレジ係が男性だったの。ニヤニヤしながら私の顔を見てたわ。」
「浣腸を買うのは今でも恥ずかしいわ。」
「宿に着いたとき、今夜はカニ料理をたらふく食べようと言ったのに、えり子は浮かない顔をしてたのね。」
「そう、便秘が原因で体調が悪かったの。旅行に行く数日前から気分は楽しいんだけど、
 なぜか、お通じが止まっちゃったの。」
「それで、2人に付き添ってもらって、宿の近くの薬局に行ったのね。」
「薬局のおじさんは、旅行中ならこれがいいですと言って、いちじく浣腸をすすめてくれたのね。そして、1度に2個を使うと良いですよとも言った。」 
「とも子とゆり子もいちじくを2個持参したのね。」
「そう、だからお風呂に入る前に3人で一緒に浣腸を済ませましょうということになった。」
「そう、部屋で3人で一緒に相互浣腸大会をしたのね。」
「そのとき、3人で話し合って、お互い何も隠さないようにしようって決めたのね。」
「3人ともすっぽんぽんになって、浣腸を入れ合ったのね。」
「赤信号、そろって渡れば恥ずかしくないという感じだったわね。」
「でもやはり恥ずかしかったわ。」
「それはお互い様よ。」
「浣腸が6個あったから、1人あたり2個のノルマを課したのね。」

「苦しんでいたえり子を最初にしてあげたのだったわね。」
「私、ベッドに手をついて、後ろ向きで立った姿勢だったわ。
 それから、まず、とも子が1本注入してくれて、続いてゆり子がもう1本を入れてくれた。
 とも子がティシュでお尻を押さえて、ゆり子がおなかをマッサージしてくれた。
 がまんするの、苦しかったけど、2人に励まされて私、懸命にがまんしたわ、」
「とも子が時間を計ってくれたのね。」
「3分後、私、やっと、おトイレに行くのを許されたわ。最後の秒読みはとても苦しかった。」
「がまんしたおかげで、無事に開通したのね。」
「そう、とてもきもち良くなったわ。」
「それから次はゆり子に2人で浣腸攻めをしたのね。」
「私はベッドで横向きの体位だったわ。」
「とも子は四つん這いの体位だったわね。」
「うん。」
「3人とも無事に開通したから、お風呂の後の食事は最高においしかったわね。」
「本場のカニは最高だったわね。」
「あの頃の3人は無邪気だったわね。」
「まだ19才だったからね。」
「あの相互浣腸は楽しいゲームをしているような感覚だったわね。」

 私達3人の便秘と浣腸の談義はまだ続きます。
「旅行と言えば、2年生の秋にも3人で旅行したわね。」
「そう、伊豆のペンションへ行ったわね。」
「イセエビがとてもおいしかったわ。」
「そういえば、あのときも3人で食事と入浴の前に浣腸をし合ったのね。」
「そうそう、山陰旅行のときと同じで、あれは私達3人の定番の儀式になったわね。」
「でも、食事の後、とも子が苦しみ始めたのね。あれには驚いたわ。」
「夜間の当番医のところに連れて言ったわね。」
「先生の見立てはやはり便秘だった。」
「そう、ペンションで3人で浣腸をし合ったけど、あのときは液ばかりで、肝心のウンが出なかったのよ。」
「そうだったの。」
「ナースにグリセリン浣腸をされたけど、やはり出なかったの。」
「どうなったの?」
「先生の指示で高圧浣腸をされたの。」
「それは効いたの?」
「そう、おかげで楽になったわ。」
「ずい分時間がかかったから、私達、とても心配したのよ。」
「ごめんなさい。」
「でも、高圧浣腸が効いてよかったわね。」
「あの医院は小児科もかねていて、高圧浣腸はよくすることがあるらしいの?」
「そうなの。」
「子供はときどき腸重責という病気になるらしいの。腸が重なっちゃう病気らしいの。高圧浣腸をすると、圧力で腸が元に戻るらしいの。処置が遅れると、命にかかわる怖い病気らしいわよ。ナースが説明してくれたわ。」
「そうなの。子供ができたら注意しておくわ。」
「それがいいわね。」
「私は6カ月の女の子がいるからとても参考になるわ。」

 私達のお話はまだまだ続きます。何しろ、便秘3人娘ですから、便秘や浣腸の話題には事欠かないのです。
「ところで、とも子は出産を経験したけど、出産のときに浣腸はされたの?」
「もちろんよ。自宅で陣痛が始まって、入院の準備をして夫の車で病院に行ったの。助産婦がまず子宮口の開き具合を指を使って調べたわ。もうかなり開いているからこのまま入院して下さいと言われた。」
「そうなの。」
「産衣に着替えて、最初に剃毛があったわ。」
「そうなの。」
「それから浣腸よ。グリセリン120ccだったわ。」
「それは大変だったわね。」
「陣痛の痛みが浣腸で増幅されたわ。」
「うわぁ、それは苦しそう。」
「でも、陣痛が大きくなったから、お産の進行はスムーズだったわよ。」
「そうなの。」
「最近は浣腸をしないケースもあると聞くわ。」
「それはよくないと思うわ。」
「どうして。」
「お産のときのいきみって、太いうんちをするときと同じ要領なのよ。
 もし、うんちが溜まっていたら、出ちゃうわ。逆に、うんちが出るのを恐れたら、いきみが弱くなっちゃうわ。だから最初に浣腸をしてもらう方が断然いいわ。」
「そうなの。確かに、うんちと一緒に赤ちゃんが産まれたわ、かわいそうだわ。」
「そうなのよ。」

「会陰切開もあったの?」
「そうよ。私の場合、助産婦がずっと面倒を見てくれて、先生はなかなか出てこなかったわ。先生はお産の最後のときに登場するの。そしてメスで会陰を切るの。ちくりと痛いけど、それまでに陣痛でさんざん痛い思いをしているから耐えられるわ。」
「会陰切開をしないとどうなるの?」
「膣や肛門が裂ける場合があるそうなの。そうなると大変よ。」
「そうなの。とても参考になったわ。」
「剃毛、浣腸、会陰切開はお産の3点セットと言うのよ。」
「私も赤ちゃんを産むときは、3点セットを必ずしてもらうわ。」
「それがいいわよ。」
 とも子のお話はとても参考になりました。私もそう遠からず、お産を経験することになるでしょう。そのときは、いやがらずに浣腸を受けます。経験者のお話を聞くことができて、安心しました。

 3人のお話はまだいっこうに衰えるところを知らず、盛り上がるばかりです。ビールを飲んだためか、私は尿意を催しました。
「ゆり子、おトイレ借りていい?」
「あぁ、いいわよ。あちらよ。片づけてない物が置いてあるけど、気にしないでね。」
 ゆり子のおトイレに入って、まず目に入ったものがあります。コーナーの部分に、鉄製のスタンドが置いてあります。そしてその上に目盛りの付いたガラス容器があります。ガラス容器の下はくびれていて、そこにゴムのチューブが接続されています。ゴムの長さは1.5mくらいあって、その先には黒いノズルのようなものが取り付けられています。
 私はそれに見覚えがあります。以前に病院で、大腸検査のときに、それを使われたのを思い出しました。それは浣腸器具の一種なのです。多量のぬるま湯を入れて、お尻に入れたノズルを通して大腸を洗浄するのです。
 どうやら、ゆり子はこれを使って大腸洗浄をしているようです。そのガラス器具の内側にはまだ水滴が残っていました。ごく最近、使用したばかりと思われます。

 そういえば、最近女性週刊誌で、女優やモデルの間で大腸洗浄が流行しているという記事を読んだことがあります。先ほどゆり子が言った言葉の意味がやっとわかりました。
 オシッコを済ませ、またお話の輪に戻ります。
「ゆり子、おトイレにあったのは大腸洗浄器具ではないの。」
「そう、そうなの。私、3人の中では一番便秘がひどいでしょ。いろいろ対策を 試しているの。今は大腸洗浄にこっているの。これはいいわよ。」
「それって高圧浣腸のことでしょ。」
「そうよ。クリニックで大腸洗浄を受けたけど、費用がとても高いの。それに、それは高圧浣腸と変わらないと思った。だから今はイルリガートルという器具を 買って、自分で大腸洗浄を実行してるのよ。」
「有な女優やモデルもこれをしてるらしいわね。」
「そうなの。おなかをきれいにすると、美容にとてもよいわよ。」
「どれくらい入れるの?」
「初めは1Lくらいしか入らなかったわ。でも今は2L入るの。これを3〜4回繰り返すと おなかがきれいになるわ。」
「ちょっと苦しそうだけど、体にはよさそうね。便秘と美容の両方に効果があるなら私もはじめようかしら。」
「いいわよ。絶対におすすめよ。」

 3人のお話は大腸洗浄のことになりました。とも子が言います。
「私は今コーヒーエネマにこってるわ。」
「それも最近よく聞くわね。」
「アメリカでは流行してるらしいし、著名な医師が推薦もしていて、体にとても良い
 ものらしいわ。」
「有名な俳優は、ご夫婦でしているそうよ。」
「そうなの。」
「どれくらい入れるの。」
「毎日1Lくらいするといいそうだけど、費用が高いから私は500ccくらいよ。」
「インスタントコーヒーではだめなの?」
「だめらしいわよ。やはりレギュラーコーヒーでないといけないそうよ。」
「そうなの。」
「レギュラーコーヒーに含まれる成分が肝臓を強くするらしいの。」
「とも子、器具は何を使ってるの。」
「私はエネマシリンジというゴム製の注入器具を使ってるわ。お手軽で便利よ。」
「コーヒーエネマもよさそうね。私、また迷っちゃうな。」
「ご主人は知ってるの。」
「まだ知らないわ。でも、体調がいいので、私、主人にもすすめようと思うの。」
「ご夫婦でコーヒーエネマをし合うのもいいわね。」
「私はそういうのいやよ。恥ずかしいわ。」
「そうかな。」

「ゆり子の健康法は大腸洗浄ね。」
「そして、とも子の健康法はコーヒーエネマなのね。」
「えり子は何か体にいいことしてるの。」
「私は特にそういうものはしてないわ。」
「でも、便秘なんでしょ。」
「そうよ、でも3日で打ち止めよ。4日目には自分で浣腸をするか、病院に行くわ。」
「そうか、それはいいわね。それ以上溜めるのはよくないわ。」

「病院の話を聞かせて。」
「うん、まず病院を選ばないといけないわ。小さな個人病院だと浣腸をしてもらえない ことも多い。もし、浣腸があっても、プライバシーが保たれないわ。診察室と処置室がいっしょだったり、おトイレが待合い室にあって、浣腸が他の患者にバレナレになったりしちゃうわ。」
「それは恥ずかしいわね。」
「私も経験あるわ。ナースが浣腸器を手にもって、一緒に待合室を通ってトイレに向かったわ。トイレで浣腸されたのが皆にバレちゃったわ。」
「病院で浣腸される場所はどこなの。」
「それはまちまちね。診察室でされることもあれば、処置室もあるし、病室もあるし、検査室やおトイレもあるわ。」
「ほかにどんな検査や処置があるの。」
「まず問診ね。先生が症状を聞くのだけど、ごく簡単よ。問診に時間をかけると患者がさばけないようなの。」
「そうなの。」
「それから、腹部の触診があるわ。医師がおなかを押さえたりたたいたりするわ。」
「それで、処置が決まることもあるし、次に直腸診もあるわ。」
「あれって気持悪いわね。」
「そう、恥ずかしいし、うんちがしたくなる感覚になるし、何より、便が溜まってますねと言われるのが恥ずかしい。」
「それはそうね。」
「おなかのX線写真を撮ることもあるけど、妊娠の可能性がある場合はパスできるわ。」
「後、肛門鏡を使ってお尻の内側を覗かれることがあるわ。うんちが溜まっているので、これも超恥ずかしいわ。」
「そうね。」
「私は肛門鏡ではなく、カメラのようなものを挿入されて、写真を撮られたことがある
 わ。
「それも恥ずかしいわね。」
「うんちが写っていて恥ずかしかった。」
「そうなの。」
「それから浣腸になるのね。」
「浣腸の話を詳しく聞きたいわ。」

 お話の流れから、私は病院での浣腸の経験談を話します。 
「そうね、浣腸はナースがするわ。医師自身がすることもあるそうだけど、私は経験 ないわ。」
「医師や男性の看護師から浣腸をされるのはつらいわね。」
「そう、そう。」
「ナースなら仕方ないわね。」
「そう、私、気が付いたんだけど、ナースって、浣腸をするときは、いつも、とてもうれしそうな 表情なの。ナースって、浣腸は好きな処置のようよ。」
「汚れるから、いやな仕事だと思うけど・・・。」
「そうじゃないわよ、きっと。」
「場所は先ほど話したように様々よ。」
「体位はどうなの。」
「ベッドではたいてい左を下にした姿勢よ。シムスの体位というらしいわ。」
「私はおむつ交換の体位を経験したわ。」
「私は四つん這いもあるわ。」
「おトイレでするときは立位よ。」
「シムスの体位か立位以外は恥ずかしいわね。」
「うん。」
「器具はほとんどがディスポ浣腸よ。大きさは60ccから120ccね。」
「120ccは苦しいわね。」
「そう、そうよ。おトイレに行くまでが大変よ。」
「うんちは見られるの。」
「そう、たいていナースがチェックするわ。」
「それも恥ずかしいわね。便秘だから大量に出るので・・・。」
「そうなのよ。」
「トイレはどうなの。」
「小さな病院は待合室の隣のおトイレね。これは最悪。男女兼用だし。」
「専用トイレで、男女別なら安心ね。」
「でも、男女が隣り合わせのトイレなら、音や声が筒抜けで恥ずかしいわ。」
「そうね。特におトイレで浣腸されるときは困るわね。」
「それから浣腸の後、後日大腸カメラを予約させられる場合もあるの。」
「えり子、ありがとう。今度は大腸カメラのお話を聞きたいわ。」

 私も乗ってきました。2人に経験談を話します。
「大腸カメラの場合、前日は消化の悪いものは食べてはいけないの。」
「どんなものなの?」
「いちじくやキュイ、トマトなど種があるもの。きのこ類や海草、それに乳製品もだめなの。」
「そうなの。」
「当日は朝食ぬきで病院に行くの。病院ではニフレックという大腸洗浄液を1.5Lから2Lも飲まなければならないの。これはつらいわ。」
「そう。」
「飲み始めて1時間くらいで、おトイレに何度も通うの。6回以上になると、うんちが透明になるの。それをナースが確認して、検査オーケーになるの。」
「そう。」
「ところが私の場合、おトイレには3度くらいしか行かないの。それで時間が来て、ナースがこれでは検査が受けられないので、別の処置をしますというの。」
「それは何なの。」
「高圧浣腸なの。」
「そう。」
「施浣の場所はおトイレよ。」
「そう。」
「濡れるといけないからと言って、衣類は全部脱がされたわ。」
「それは恥ずかしいわね。」
「立った姿勢で、後ろからチューブをお尻に挿入されるの。」
「そう。」
「ぬるま湯を500ccくらい入れられるわ。恥ずかしいけど、これってきもちいいのよ。」
「そうなの。」
「グリセリンと違って、おなかは痛くなわないわ。」
「そう。」
「それに、液はゆっくり注入されるから、浣腸される時間が長いの。あぁ、私は今浣腸されてるんだわと実感できるのよ。」
「そうなの。えり子は本当に浣腸が好きあのね。」
「そうかも知れない。特に高圧浣腸はいいわ。」

「それは何度くらいされるの。」
「そう、4回くらいから7回くらい繰り返すのよ。」
「高圧浣腸が7回、すごいわね。」
「私、大腸が普通の人よりずい分長いことがわかったの。ニフレックだけでおなかがきれいにならないのは、きっとそのせいよ。」
「高圧浣腸が好きなら、それは好都合じゃない?」
「そうなのよ。自分の体に感謝するわ。」
「カメラの検査はどうなの。」
「検査の前に安定剤の注射を打たれるの。すると意識がなくなってしまうの。だから検査の記憶はまったくないわ。」
「そうなの。」
「ただ、お尻の穴にゼリーがべっとり付着しているから、カメラが挿入されたはずだわ。」
「結果はどうなの。」
「異常なしよ。」
「苦しい検査ではなさそうね。」
「そうよ。」

 とも子が発言します。
「私、大腸カメラは経験ないけど、大腸X線検査は経験あるわよ。」
「そうなの。是非お話を聞きたいわ。」
「えり子と同じように、便秘で受診したときに、予約をさせられたの。」
「そうなの。」
「肛門からバリウムと空気をたくさん入れて、大腸を膨らませて、写真を撮るのよ。」
「そうなの、それは苦しそうね。」
「実際はそうでもないわ。でも恥ずかしい検査よ。」
「そうなの。」
「大腸カメラは大腸の内側を見るのだけど、X線検査だと、大腸全体の様子がわかるらしいの。」
「そうなの。」
「大腸カメラと同じく、事前におなかをきれいにしておかなくてはいけないの。でもニフレックを大量に飲む方法では造影剤のバリウムが腸壁に付着しないらしいの。だから、前日に特別なレトルトの食事をして、前夜に下剤を飲むの。」
「そうなの、事前の準備が大腸カメラより大変ね。」
「当日は病院に行くと、まずグリセリン浣腸があるわ。」
「そうなの。」
「それから検査着に着替えて、X線室に入るの。」
「そう。」
「ベッドで横にさせられ、肛門にバルーン付きのカテーテルを挿入されるの。これは液が漏れないためよ。それから器具を使って肛門からバリウムを注入されるわ。いわば、バリウム浣腸ね。」
「どれくらい入るの。」
「300ccくらいよ。」
「多いわね。」
「これは恥ずかしいけど苦しくないわ。グリセリンではないので便意も起こらないわ。」
「そう。」
「適度に温めてあるから、お尻から入れるときに、きもちいいのよ。」
「そう。」

「次に、空気を大量に入れられるわ。2L以上よ。これは苦しいわ。おならをしたい感覚に襲われるの。」
「おなかは膨らむの?」
「そうよ、カエルさんのようになっちゃうわ。」
「それはつらそうね。」
「それから体を左右に回転して、バリウムを移動させるの。」
「そう。」
「それからX線用の台に乗って、機械が回転するの。体も上下、左右に動くわ。」
「バリウムが大腸全体に行き渡ると、撮影開始よ。」
「苦しいの。」
「写真を撮るだけだから、問題ないわ。むしろ、台が動くから遊具に乗っているようで、楽しいわ。ただ、おならの我慢はあるけど。」
「そうなの。」
「写真をいろんな角度から10枚くらい撮影すると検査は終わりよ。」
「そう。」
「後は検査室のトイレで、空気とバリウムを排出するの。」
「そう。」
「おならがたくさん出るから、恥ずかしいわ。でも全部出てしまうと、おなかがすっきりするわ。」
「痛くない検査ね。」
「何度も浣腸があるから、恥ずかしい検査ね。」
「それはナースがするの。」
「そうよ。浣腸はナースがするけど、X線技師が立ち会うの。それは恥ずかしいわね。」
「浣腸の後、体位変換などはX線技師が担当するのよ。」
「そうか、2人に見られての浣腸は恥ずかしいわね。」

 今度はゆり子が話を始めました。
「とも子もえり子もすごい経験をしたのね。私の経験もしゃべらせていただくわ。」
「それは聞きたいわ。」
「私、ある時期、便秘がひどくなってとてもつらかったの。そこで、便秘外来のあるクリニックを受診したのよ。」
「それはすごいわね。」
「問診と腹部の触診、直腸の検査、それから翌週は大腸カメラの検査を受けたの。」
「それで結果はどうだったの。」
「どれも異常なかったわ。」
「そう。」
「それから特殊な検査を受けたのよ。」
「どんなものなの?」
「まずグリセリン浣腸をして直腸を空にするの。それから検査よ。」
「なるほど。」
「まず肛門内圧検査よ。」
「ほう。」
「肛門にセンサーを入れて、それを移動しながら肛門の内部の圧力を測定するの。」
「そうなの。」
「安静時といきむときを測定するの。」
「それから、直腸感覚検査よ。」
「それは何なの。」
「肛門内にバルーンを挿入するの。そしてそれに少しずつ空気を入れて膨らませるの。それがうんちの変わりなの。それをだんだん膨らませて、排便感覚を調べるのよ。まずうんちが溜まったと感じる点をまず合図するの。さらに膨らませるといんちを出したくなる点があるの。それを合図するの。更に膨らませて、もうがまんできない点を合図するの。」
「ふ〜ん、すごい検査ね。」

「まだあるの。最後が排便造影検査よ。」
「それは何なの。」
「うんちと同じような固さのバリウムを肛門から注入するの。模擬便というの。」
「そうなの。」
「それからX線装置のついた便器にすわるの。そしてそれを排便するの。そのときの腸の動きを 撮影するの。」
「それも恥ずかしい検査ね。」
「私、いきむ力が弱いと診断されたの。」
「そうなの。」
「それからトレーニングが始まったわ。」
「どんなトレーニングなの。」
「色んなトレーニングがあったわ。」
「そうなの。」
「まず浣腸をして便を出しておくの。それから肛門にブジーと呼ばれるゴム棒を挿入されるの。これを締め付ける訓練を繰り返し、その後これを押し出す訓練をするのよ。」
「それは前の部分の締め付けを強化する訓練にも使えないのかしら。」
「話をそらさないで。」
「ごめんなさい。」
「それから模擬便を挿入して、それを排泄する訓練よ。排泄できなかったらいけない
 ので、模擬便にはひもが付いているの。」
「そうなの。それはまるでアダルトグッズのようね。」
「そうかしら。」
「そういう訓練を繰り返して、排便能力が向上したの。」
「それはよかったわ。」
「でもしばらくさぼっていると、また便秘になっちゃった。」
「また排便トレーニングをするのは面倒なので、さぼっているわ。その代わりに、今度は
 大腸洗浄を始めたというわけなのよ。」
「そうなの。ゆり子も苦労しているのね。」
「うん、今の私にはこの大腸洗浄が一番合っているわ。」
「それはよかったわね。」

 3人のお話はそろそろ終わりになりました。便秘や浣腸など、人前ではしゃべれないことを3人で、思いきりおしゃべりしました。
 諺に、「3人寄れば文殊の知恵」とありますが、私達の場合は少し違っていて、「女3人寄れば、話題は便秘」というところでしょうか。

 お話の最後に、とも子が提案します。
「ねぇ、お話ばかりではつまんないわ。ゆり子のイルリガートルを借りて、今から3人で大腸洗浄をしないこと?」
「それはいいわね。学生時代に3人で、よく互いに浣腸を入れ合ったじゃない。学生時代に戻ったようで、なつかしいわ。」
「きっと、すっきりするわ。」
「えり子も賛成するでしょ。」
「う、うん。」
「それじゃー準備を始めるわ。」

 おやおや、すごいことになりましたね。皆、ハイテンションになって、ますますエスカレートするばかりです。全く、便秘3人娘は困ったものです。


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