SPACE銀河 Library

作:えり子

出 会 い

(その4)

 僕は「ディスポーザブル浣腸の精」です。昨日、関西にある医薬や機材を作っている工場で誕生しました。今はこの工場の倉庫にいます。
 僕は120ccの液量を誇っています。液量が多いので、僕が一般の家庭で使用されることは少なく、ほとんどが病院向けです。つまり、病気で困っている人を助けるのが僕の役目なんです。だから、僕は自分の仕事に誇りをもっています。
 僕はナースにも評判がいいんです。と言うのも、僕の体はジャバラ方式になっていて、残液がない構造になっています。だから、再注入などの操作が不要なのです。 それに、ノズルが長いのも特長です。液が奥まで届くので、確実な効果が得られるんです。

 ある病院からの注文で、僕たちは段ボール箱毎、そこに届けられます。僕が到着したのは*産婦人科病院です。産婦人科は外科、胃腸科、肛門科と並んで、僕達が活躍できる場所なのです。というのも、お産のときは必ずと言っていいほど浣腸が行われるからです。「浣腸」、「剃毛」、「会陰切開」は「お産の3点セット」と呼ばれているんです。
 ナース室の奧の棚に僕達は置かれました。お産は時間を選ばないので、このナース室は昼も夜も数人のナースが働いています。ナースは助産婦の資格をもった人が多く、お産に立ち会って産婦の世話をするんです。もちろん、浣腸も彼女達の仕事のひとつです。 先生はお産の終わり頃にやってきて、会陰切開をして、お産に立ち会います。会陰切開は先生でないとできない処置なんですね。

 ナース室の電話が鳴ります。どうやら陣痛が来た産婦からのようです。ナースは陣痛の間隔を質問します。それでは、この病院に来て下さいと言って、電話が切られました。 僕の出番が近いようです。大切な仕事をひかえて、胸が高鳴ります。
 僕は段ボール箱から取り出され、ナース室の湯煎器に入れられました。産婦が来るまで、僕はここでお風呂に入ることができるんです。きもちいいんです、これが・・・。
 産婦が苦しそうな表情で、ご主人に付き添われてやってきました。若いカップルで、初産のようです。
 産婦はえり子さんという名前です。えり子さんは助産婦のナースとともに、分娩準備室に入って行きました。ここで、問診や血圧測定、内診があるんです。子宮口の開き具合を確認後、ナースは戻ってきました。 僕が取り上げられました。いよいよ出番です。

 トレイに乗せられ、僕は分娩準備室へ移動します。トレイには手袋とキシロカインゼリーも乗っています。
 部屋の前には落ち着かない様子のご主人がいました。ナースの顔を見て、言います。
「あのぅ、えり子はどんな様子でしょうか。」
「もう子宮口が開いているので、すぐに入院して、お産になります。今から浣腸をします。」

 ご主人はそれを聞いて、恥ずかしそうな表情をしました、まるで、自分が浣腸をされるかのように・・・。そして、ナースのもっているトレイ上の僕を恥ずかしそうに見るのでした。
 最近のお産は夫婦共同作業です。産婦の苦しみは夫の苦しみでもあるんです。恥ずかしい処置は、産婦だけではなく、夫も恥ずかしいんですね、きっと。
 えり子さんは、不安そうな表情でベッドに仰向けに寝ていました。彼女はすでに産衣に着替えていました。産衣の下は何も着用していなく、裸の状態です。

「えり子さん、今から浣腸をしますね。」
「えっ、そんなことしなければならないんですか。」
「そうです、これ経験ありますか。」
「ないんです、どうしてもしなければならないんですか。私、ここに来る直前にうんちが出たんですけど・・・。」
 えり子さんは浣腸を拒否するかのように言います。助産婦は言います。
「そうですね、浣腸は何のためにするのか説明しましょう、まず、おなかに便がたまっていると、いきむことができません。でも、あなたは便が出たようだから、これは問題ないでしょう。それから、浣腸をすると、陣痛が強くなって、お産がスムーズに進みます。つまり、お産が軽くなるので、お産にかかる時間も短くなるんです。苦しい時間が短くなるということになります。まだありますよ、お産の最後に赤ちゃんが出てくるとき、腸が圧迫されて、便が出ます。そのとき、あなた、赤ちゃんが汚れてもいいの?それから、衛生的にも問題があります、昔は便による細菌感染があって、妊婦が多く亡くなったんですよ、今はさすがにそういうことはないですけど・・・。あなた、これでも浣腸を拒否しますか?」
「いいえ、よくわかりました、ごめんなさい、私に浣腸をして下さい。」
えり子さんは、浣腸の処置を受けることに同意しました、よかったです、これで僕はちゃんと仕事ができることになりました。

 えり子さんはトレイに乗せられた僕を見ていいます。
「こんなに大きなものを入れるんですか?」
「そうです、120ccです、確かに市販のいちじく浣腸などより大きいですが、 その分、よく効きますよ、大丈夫ですよ、お産のときは皆、これをするんですから。」
「そうですか。」

「さあ、横になりましょうね、私、手伝いますから。」
 えり子さんは大きなおなかをかかえて、ナースの介助を受けながら、ベッドの上で体位を変え、シムスの体位を取ります。ナースは慣れた手つきで作業を進めます。
 僕のノズルの先端ににゼリーを塗ります。僕は大いに張り切ります。ナースは産衣のすそを開きます。えり子さんの白いお尻が露出されました。ナースは右手で僕のボディを支え、左手でえり子さんのアヌスを開きます。かわいいつぼみが開かれました。

「おなかの力を抜いて、楽にして下さいね。」
「はい。」
「入ります。」
「はい、あぅ。」
 僕は、待っていましたとばかり、長いノズルをえり子さんの体内に潜らせました。先端は奥深く進入しました。
 えり子さんは、自宅で排便を済ませたばかりと言っていましたが、さにあらず、えり子さんの体内で僕のノズルは黒々とした個体の群に埋没していました。えり子さんは、浣腸から逃れたいがために、事実に反してこう言ったに違いありません。そのきもち、よくわかります。浣腸が好きな女性って、ごく少数だと思います。できれば避けたいのは当然です。でも、産婦さんの中には、堂々と「浣腸をして下さい。」と要求する人もあるそうです。
 ただ、これは浣腸が好きというよりは、おなかを空にして、安心して出産に臨みたいからなのでしょう。
 ナースは僕のジャバラにゆっくり圧力をかけます。僕はグリセリン液を少しずつえり子さんの体内に注ぎます。

「苦しくないですか。」
「はい。」
「気持ち悪くなったら、言って下さい。」
「はい。」

 注入が無事終わりました。僕はえり子さんの体内から抜かれます。長い僕のノズルには汚れがかなり付着しています。これは仕方のないことです。
 ナースは僕をトレイ上に置いたまま、えり子さんの体を起こします。そして、同じ部屋の中にあるトイレにえり子さんを誘導します。ドアを開けて、便器にすわらせます。
「できるだけがまんして下さいね。出たら、流してかまいません。終わったら、ブザーを押して下さい。外で待っていますから。」
「はい。」

 数分後、ブザーが鳴りました。
「出ましたか。」
「はい。」
「よかったですね、これでもうお産は大丈夫ですよ。」
「はい。」
「ベッドで横になっていて下さい、今度は剃毛をします。準備しますので待っていて下さい。」

 僕は再びトレイに乗せられて、ナース室に戻ります。廊下でまた心配そうなご主人にまた会いました。ナースが声をかけます。
「心配しなくていいですよ、今、浣腸が終わりました。便がたくさん出たようです、剃毛が終わったら分娩室に移動します。お産に立ち会われてもいいですよ。」
「はい、できればそうします。」
 彼はトレイの上に置かれ、汚れた姿の僕に目をやりました。これがえり子さんに使われたものだったにかと、しっかり確認できたことでしょう。 彼はえり子さんとともに、お産の儀式をひとつひとつ経験するのです。その一連の儀式の序曲が浣腸というわけです。
 僕はナース室に戻り、汚物用ポリバケツに捨てられました。もう自分の任務をしっかりと果たしたので、どうなってもかまいません。やがて僕は処理業者の手によって、焼却されてしまうのでしょう。短い命ですが、お産という大切な儀式のお手伝いができたことをうれしく思います。
 えり子さんとのドッキングのシーンが走馬燈のように僕の心を巡ります。そのシーンを頭の中で何度も思い出しながら、えり子さんの安産を願いつつ、僕はここで休みます。とても満足しています。

 よい出会いがありました。


(その5)

 僕は「プラスチックシリンダの精」です。僕は東海地方の工場で製造されました。近年、衛生上の問題から、注射器は使い回しがされなくなり、使い捨ての僕たちがガラス注射器の代わりをつとめているんです。だから、僕たちは多くの種類があって、大量に生産されます。
 用途は病院向けが多いですが、一般向けにも注油や実験用途などに使われます。ホームセンターでも販売される場合があるので、一般消費者も容易に入手できるんですよ。
 僕は30cc用です。ガラス製と比較すると、軽く、しかも割れないという特長があります。価格も断然安いんです。バラ売りよりも、箱単位で売られるケースが多いんです。

 僕はある日曜大工の店頭で販売されることになりました。多分、注油とかそういう用途に使われるのでしょう。
 モデル風のかわいい女性が僕の前に立ち止まりました。彼女はしばらく僕を見つめていましたが、素早く手に取り、すぐにカゴに入れました。彼女が僕を買い上げてくれたのです。僕のお客が若い女性とは意外でした。
 僕を買い上げてくれたお嬢さんはえり子さんと言って、イベント会社に勤務しています。彼女はパソコンやOA機器を扱うのが得意だそうです。仕事は新製品展示会での商品のプレゼンテーションなどを担当するそうです。美人でスタイルもいいので、プレゼンテーションは多くの男性の注目を浴びるそうで、ときにはショーでのキャンペーンガールやモデルの仕事もするそうです。
 そんな美しくチャーミングな彼女ですが、人知れない悩みがあったのです。彼女は出張が多いのです。今週は東京、来週は大阪、次週は福岡と全国を飛び回っています。それに、大勢の人の前でのプレゼンテーションは人一倍神経を使うのです。難しい質問なども飛び出す場合があるんです。 また、最近のパソコンなどは次々に新製品が登場します。短時間でそれを習得し、人前で操作し、説明する必要があるんです。
 出張など不規則な生活、それに大きなストレスにさらされて、彼女はお通じが知らず知らずのうちに不規則になっていたのです。つまり便秘なのです。たかが便秘と言っても、彼女は人前に出るので、便秘は放置しておくことはできないのです。
 便秘ではすぐにお肌に影響が出ます。さらに、おなかが張った状態では大きな声を出すこともできません。彼女には便秘を解消する手段が必要なのです。

 便秘を解消する手段として、速効性があるのは下剤です。しかし、下剤は効果がいつ現れるかはっきりしません。もし、人前でおなかが痛くなったりしたら大変でしょう。つまり、彼女のような職業では安易に下剤に頼ることができないのです。

 もうひとつ、便秘対策として有効な手段があります。それは皆さん、もうよくご存知ですね。そう、「浣腸」です。
 彼女が目をつけたのは浣腸でした。即効性があるので、イベントのある日の朝の浣腸は、彼女には欠かせないものになっていました。

 一口に浣腸といっても、多くの種類があるのは皆さんもよく知っていらっしゃいますね。ディスポ浣腸器、ガラス浣腸器、エネマシリンジ、イルリガートルなどがあります。彼女は浣腸の美容効果にも着目していて、美しい体型を維持するために、自宅アパートにはイルリガートルを置いていて、大腸洗浄をしているそうです。
 しかし、出張先にイルリガートルを持参するわけには行かず、小型のものを携行する必要があるんです。
 小型のものと言えば、いちじく浣腸に代表されるディスポ浣腸があります。これが便利いいのですが、若い女性にとって、これを大量に入手するのは恥ずかしさが伴います。特に、若く美しい彼女が店頭でいちじく浣腸を大量に購入するのは店員を始め、周りから奇異な目で見られることは必然です。そういうことを、彼女は危惧しているのです。
 そこで彼女は代わりになるものを探していたというわけです。そして、たまたま彼女は僕を発見したというわけです。どうやら、僕は浣腸器として使われるようです。これは思ってもみないことでしたが、美人の彼女を助けるなら、僕は喜んで浣腸器になりましょう。

 彼女はあさってにひかえた仕事の準備をしています。出張先は福岡のホテル、そこでの新型のパソコンの発表会があるのです。そこで、彼女はパソコンを操作しながら、スクリーンでプレゼンテーションを行うのです。
 自宅アパートでマニュアルを見ながら、パソコンの操作をします。そして、デモ用のソフトを動かします。原稿を見ながら、プレゼンテーションのリハーサルをします。快調です。何も問題なく、プレゼンテーションはスムーズに進みます。
 今度は携行品の準備をします。スーツ、下着、化粧品の品定めをします。それらを慣れた手つきでバッグに詰めます。
 今度は何やら別の作業を始めました。まず、僕が机の上に置かれました。彼女は小さいポーチとジッパー付きポリ袋、そして、小型のポリ容器を3個準備します。それから、机の引き出しから大型のディスポ浣腸器の空容器1個とハサミを取り出しました。そして、その空容器の長いノズルを根本のところから切り落としてしまったのです。

 一体、彼女は何をしようとしているのでしょう。切り落としたノズルを僕の小さいノズルに合体させます。それはちょうど、ぴったり合体されました。
 やっと彼女の意図がわかりました。僕を浣腸器として利用する場合、ノズルが小さ過ぎるのです。そのため、お尻から液が漏れる心配があるんですね。ディスポ浣腸のノズルと合体すれば、その不具合は解消されるというわけです。彼女、なかなか頭がいいですね。
 それに、頑固な便秘を解消しようという強い意志を感じます。彼女は自分の仕事には誇りとプロ意識をもっています。自分の仕事を完璧にこなすには、体調もきちんと管理しておく必要がるんですね。

 浣腸器具の準備ができたようです。今度は浣腸液の準備です。彼女は60ccのポリ容器を3個準備しました。1個にはグリセリンを詰めます。グリセリンはボトルで買い置きがあるようです。
 もう1個には石けん水を詰めます。そして、残りの容器にはにがり水を詰めます。彼女は3種類の浣腸液を準備しました。それぞれの容器には、G、S、Nのマークが付けられました。
 それぞれ、水で2倍にうすめて使うようなので、合計360ccの浣腸液を準備できたことになります。数日の出張旅行には十分ですね。
 ポリ袋に、僕、ノズル、容器3個、ゼリー容器がセットされ、それをポーチに収納しました。浣腸用ポーチの準備ができ上がりました。
 彼女は僕たちを収納した旅行カバンをもって、飛行機に乗り、東京から福岡へ移動しました。会場のホテルに到着しました。プレゼンテーションの部屋で、明日のリハーサルの準備を終え、部屋へ入ります。

 朝になりました。彼女は6時に目覚めました。まず、トイレでオシッコを済ませます。それから、例のポーチを取り出します。いよいよ僕の出番のようです。僕はかなり、緊張し、そして大いに興奮しています。

 えり子さんは、まず僕とGと書かれた容器を取り出します。その容器から僕はグリセリン液30CCを吸い込みます。そしてそれをコップへ吐き出させられます。次に彼女はもうひとつのコップにぬるめのお湯入れます。僕はそのお湯30CCを吸い込み、コップのグリセリンへ吐き出します。彼女はそのコップを僕を使ってかき混ぜます。次に指で液温を確認し、ガッツポーズをとります。
 グリセリン浣腸液60ccができあがりました。なるほど、こういう風に浣腸液を調合するんですね。
 彼女は僕とコップとゼリーとティシュをもって、ベッドにもどります。ベッドの上に横になります。彼女はすでに全裸になっています。

 彼女は左側を下にした姿勢をとります。彼女はまずノズルにゼリーを塗ります。それから、僕を手にもって、浣腸液30ccを僕の体に満たします。僕の先端に、ロングノズルを合体させます。何だか、僕の体が立派な浣腸器に変身してしまいました。
 彼女は美しい左指で、これまた美しいアヌスを開きます。う〜ん、これでますます僕のボルテージが上がります。そしていよいよ挿入です。僕は彼女のアヌスを通して、体内に潜り込みます。
 彼女の体内はそれほど汚れてはいませんでした。よかったです。美しい彼女のイメージが崩れずに済みました。
 彼女の指が僕のピストンをゆっくり押します。僕は30ccのグリセリン液を注入します。そして、僕とノズルはお尻からいったん離れます。
 僕の体からノズルがはずされ、僕は残りのグリセリン液30ccを再び飲み込みます。そして再度、ロングノズルと合体します。それから2度目の注入です。2度目の注入が無事終わりました。

 えり子さんは、ベッドの上で、そのままの姿勢で、ティシュをお尻に当てがいます。そして時計を見ながらがまんします。
 3分が経過しました。平然としていたえり子さんの顔が少しゆがみます。口から、「あっ〜、あっ〜。」という吐息が漏れます。

 彼女はなお懸命に便意に耐えています。施浣後、5分になりました。 彼女はやおら立ち上がって、トイレに向かいます。数分後、便器の水を流す音が聞こえました。それから、シャワーを浴びる音が続きました。
 彼女は浣腸排泄の後、シャワーで体を清めたようです。僕たちを片づけて、メイクをした後、彼女は朝食を済ませ、すっきりした表情で部屋を後にします。

 プロ意識をもった彼女は、今日の仕事はきっと成功することでしょう。僕は彼女に出会えてよかったと思います。これからも、彼女の出張、旅行にお共することになりそうです。本来、僕は1度で使い捨てになることが多いのですが、えり子さんという女性に出会ったこと、まだ仕事が残っていることなど、とてもラッキーでした。

 とてもよい「出会い」がありました。


(その6)

 僕は「エネマシリンジの精」です。僕は東京の下町の工場で昨日誕生しました。この工場は主としてゴム製品を製作しています。僕の仲間は、水枕、ネラトンカテーテル、腸カテーテルなどがあり、やはりこの工場で生産されているんです。

 僕は自分の名前にちょっと不満をもっています。僕の名前は文字通りだと、浣腸用シリンジと言うことになります。しかし、僕のは鼻洗器としての用途もあるんです。

 僕は最近医療機関で使用される機会は少なくなっています。グリセリン浣腸はほとんどディスポーザブル浣腸が使われ、高圧浣腸はイルリガートルが用いられるからです。
 ただ、大腸X線検査のときのバリウム浣腸の器具として用いられる場合があります。
 民間では鼻洗器として用いられるほか、やはり手軽な浣腸器としての用途があります。最近、特に健康志向の一環として、大腸洗浄が注目されていて、僕が使用されることもあります。ほかの用途としては、あまりありがたくない用途ですが、アダルトショップで売られることもあります。ガラスシリンダと並んで、僕はアダルトショップの定番商品になっているのです。もちろん、用途は浣腸用でしょう。

 僕はある薬局の店頭で売られることになりました。2月に始めの頃です。若い女性が店主に相談を持ちかけています。
「私、花粉症がひどいんです、対策はどうすればいいのでしょう。」
店主が答えます。
「マスクとサングラスをして、目や鼻が直接外気に触れないようにして下さい。それと、外出から戻ったら、目と鼻を洗浄することもよいことです。 洗浄器もあります。さらに、症状を軽減する飲み薬もありますよ。」
「そうですか、それでは、それらを一式下さい。」
 僕はえり子さんと言うお客に買われることになりました。女学生で、とてもかわいい子です。この子の健康を守ることになり、僕はうれしく思います。

 えり子さんは、都内のアパートに住んでいます。生活費を安くするため、友人のとも子さんと共同生活をしているのでした。買い物から帰ると、とも子さんがすでに帰宅していて、待っていました。
「えり子、何を買ってきたの?」
「うん、私、花粉症がひどいでしょ、だから対策用の品を買ってきたの。」
「そうなの、私は大丈夫だけど、今大丈夫だからといって安心できないの、来年突然花粉症になることもあるらしいのよ、参考のため、何を買ったのか、私にも見せてくれる。」
「もちろん、いいわよ、マスクでしょ、サングラスでしょ、お薬でしょ、それに鼻洗器でしょ・・・。」
「あっ、これ、エネマシリンジね、私、これ欲しかったのよ。」
「あなた、花粉症ではなかったはずよね。」
「違うのよ、これ、ノズルが二つ付属しているでしょ、ドングリのようなノズルは鼻に入れるのよ、そして、こちらの細いのはお尻に入れるのよ。」
「えっ、それって一体どういうこと?」

「あなた、知らないの、大腸洗浄を聞いたことないの?」
「あっ、あるある、有名女優や有名モデルもやっているという、あれ?」
「そうよ、美容と健康にとてもいいのよ、でも、専用施設で大腸洗浄をするととても高価なの。」
「確か1回、2万円とか3万円とか聞いたわ。」
「そうなの、だから自分でする方が安上がりなのよ。」
「これがそうなの?」
「そうよ、このノズル、私にちょうだい。」
「それは困る、私も試してみたくなったわ。」
「衛生上、共同使用というわけにも行かないわね。」
「私、ノズルだけもう1個注文するわ。」
「そうね、ゴム器具は共同で使うということで・・・。」

 注文したノズルが届きました。えり子さんは、鼻洗浄よりも、大腸洗浄の方が気になっていて、大いに興味をもっていました。
 ある土曜日の昼下がりのことです。えり子さんとゆり子さんは、ユニットバスルームで、いっしょに大腸洗浄を行うことになりました。

 これはえらいことになりました。僕は鼻洗浄器として、えり子さんに奉仕するつもりでした。ところが、えり子さんは、もうそちらはどうでもよく、僕を大腸洗浄器具として使おうとしているのです。しかも、友人のゆり子さんも、いっしょに僕を使うというのです。
 僕が思った方向とは違う方向の仕事ですが、2人の美女に尽くすのなら、これでもかまいません。いや、考えようによっては、ラッキーと言えるかも知れませんね。こういうチャンスはなかなか巡ってこないことでしょう。

「エネマシリンジって、準備が簡単なのね。ぬるま湯だけを準備すればいいわ。」 
えり子さんがそう言います。
 本格的に大腸洗浄をするには6Lくらいを注入する必要があるそうです。でも彼女たちは初心者なので、半分の3Lにすることにしたようです。2Lのペットボトル2本にぬるま湯を準備します。準備はこれだけです。

 まずえり子さんがが最初です。彼女は立ったままバスタブに手をつき、お尻を突き出す姿勢をとります。ゆり子が私の背後で、僕を操作します。
 ゆり子さんは僕のノズルの先端に石けんを塗ります。これが潤滑剤になるんですね。ゆり子さんはえり子さんのお尻の穴を開きます。少し着色していますが、美しく、エッチな形状のものです。僕はその中央部から内部にめがけて突入します。えり子さんは便秘症ではなく、今朝も排便があったそうなの内部は割ときれいでした。それでも、おなかを洗浄する必要があるのです。
 ゆり子さんが僕のゴム球の操作を始めました。僕は液をゆっくり注入し始めました。

「おぅ。」
 えり子さんが声を出します。えり子さんは、グリセリン浣腸の経験は数度あるそうですが、お湯の大量浣腸は彼女にとって初めての経験だそうです。だから、思わず声が出たのでしょう。
「えり子、大丈夫、苦しくない?」
「ううん、逆よ、液が温かくって、むしろきもちいいわよ。」
「そう、続けるわよ。」
 ゆり子さんはなおも注入を続けます。700cc入りました。えり子さんのおなかが少しふくらんできました。

「ちょっと苦しいわ、中止してくれる。」
「そう、ここで便器にすわる方がよさそうね。」
「うん、そうするわ。」
 えり子さんは便器に腰掛けます。ゆり子さんがおなかをマッサージします。8の字を描くように彼女はえり子さんのおなかを手で回します。
「あっ、もうだめ。」
えり子さんは、そう言うとすぐに放出が始まりました。
「ごめんね。」
「いいのよ、浣腸したのだからこれは当然よ、出てよかったわ、出ないと大変よ。」
「うん。」
 ゆり子さんはえり子さんのお尻を拭いてあげます。
「もっと、やれる。」
「うん、少し休んだらまた挑戦するわ。」

 5分後にまた注入が始まりました。美しくなりたいという女性の執念はすごいですね。でも、僕、思うんだけど、もうそれ以上美しくなる必要はないと思うんだけど・・・。
 今度は1Lが入りました。そして、3度目は残りの1.3Lが入って、合計3Lのお湯を使って、えり子さんの
大腸洗浄が終わりました。
 えり子さん、お疲れさんでした。そして、ゆり子さん、腕が疲れたでしょう。

 今度はゆり子さんの番です。ノズルが交換されました。えり子さんのノズルは黒い色でしたが、ゆり子さんのノズルは白色です。
 ゆり子さんは、よつんばいのポーズをとりました。ゆり子さんのお尻の穴もえり子さんに負けず、美しいものでした。えり子さんは、やはり3度に分けて、液を注入しました。
 二人の大腸洗浄は無事終わりました。成功でした。二人は週に1度はこれをしようねと約束しました。僕も仕事がきちんとできて満足でした。
 ただし、二人とも、「これは腕が疲れるわね。」と言っていました。 僕の構造上、それは仕方のないことです。腕力を鍛えて、僕を末永く使って欲しいです。

 2人の美女に奉仕できて、僕は満足でした。今は僕は洗浄され、消毒され、浴室で乾燥されています。
これからも頑張って仕事を続けるつもりです。

 実によい「出会い」がありました。


(その7)

 僕は「イルリガートルの精」です。地方にあるガラス工場で生まれました。この工場で生産される僕の仲間にガラスシリンダがあります。その他、工場ではビーカーやフラスコなどの器具も製作されています。
 僕は1Lの容量があります。僕は病院で、高圧浣腸の仕事をすることになります。ところで、最近、日本では健康への関心が高まって、各種の健康法や健康食品が注目を浴びています。
 このところ注目されている健康法に「大腸洗浄」があります。これはもともと米国で行われていたものですが、世界中に広まって、当然日本でも流行し始めています。特に、日本では若い女性を中心に、コーヒー浣腸に人気が出始めていて、僕の仲間も病院以外でも仕事が増えつつあるんですよ。僕も、若い女性に使われたいのですが、希望がかなうかどうかというところです。

 ある病院から工場に注文が来て、僕はそこへ送られることになりました。その病院は*胃腸科病院です。胃腸科なので、浣腸はつきものでしょう。どうやら僕は活躍ができそうな職場です。
 僕が病院に到着すると、ナースが僕を早速イルリガートルスタンドに吊るします。そして、その状態で、僕は検査病棟の女子専用トイレに連れて行かれました。トイレには仕切がしていて、小さな部屋がいくつかありました。それぞれのトイレの扉には、「洋式」、「和式」の札が貼ってありました。僕は一番奥の部屋に入れられました。扉には「処置用」という札が表示してありました。
 そこは車椅子でも利用できるほど広い洋式トイレでした。そこで、僕はゴムチューブと腸カテーテルをつけられ、待機させられました。このスペースに僕は常駐して、仕事を待つんですね。

 この病院では大腸の内視鏡検査が毎日多く行われています。毎日20人くらいの人がこの検査を受けます。そのうち、半数は女性です。最近、女性もよく大腸検査を受けるようになったのですね。
 以前は大腸の検査を受ける女性は少なく、大学病院などでは、若い女性がこの検査を受けるときは、見学者がとても多かったそうです。たとえ、医師の卵とは言え、多くの見学者の見守る中で大腸の検査を受けるのは恥ずかしいことでしょうね。
 最近はそういうこともないのでしょう。この病院では若い女性も多くこの検査を受けます。この病院では検査の前処置としてニフレックという大腸洗浄薬を2L飲まされるのです。この薬を飲むと、何度もトイレに通い、便が透明になったら検査が受けられるのです。内視鏡検査を受けるには、おなかをきれいにする必要があるのです。そうしなければ、内視鏡が詰まったり、また、病変部が見えなかったりするそうなんです。

 この病院では3度目の排便から、ナースのチェックがあります。つまり、うんちを流さずに、ブザーでナースを呼んで、チェックを受けるのです。ナースはうんちを見て、合否の判定をします。
 患者とナースが入れ替わり立ち替わり、このトイレを訪れます。
「まだだめですね、もう少し頑張りましょう。」
「もう合格です、検査が受けられます。」
 こういう声やうんちを流す音、ナースを呼ぶブザーの音がひっきりなしに続き、このトイレはとてもにぎやかです。特に、ここは女性専用ですので、患者とナースのカン高い声が響き渡ります。

 今は5月です。この病院にも新人ナースが配属されました。そして、研修をかねて、患者さんの処置をするのです。
 ベテランのナースと若い患者の声が聞こえました。
「えり子さん、もう出ませんか、もう一度トイレにすわってみて下さい。」
「はい。」
・・・・・・・・・・
「えり子さん、出ましたか?」
「いいえ、出なかったです。」
「そう、おなかがまだきれいになっていませんね、このままでは検査が受けられませんよ。」
「どうしましょ。」
「大丈夫ですよ、今からおなかを洗ってみましょう、奥のトイレの前で待っていて下さい、準備しますから。」
その言葉を聞いて、えり子さんの表情はくもります。
 どうやら、僕は自分の出番がやってきそうな予感を感じました。えり子さんという若い患者は僕のいるトイレの前で、不安そうな、やるせない表情で待っています。

 先ほどのベテランのナースと若いナースがやってきました。若いナースは大きなピッチャ(水入れ)を抱えています。ベテランのナースが僕のいるトイレの扉を開きます。
「えり子さん、お入り下さい。」
 えり子さんは一段と不安そうな表情をつのらせ、おずおずと中に入ってきました。えり子さんに続いて若いナースとベテランのナースが入ってきました。扉が閉められます。このトイレは3人が入っても十分な広さがあります。

 僕の初仕事です。若い、きれいな患者なので、僕の願いがかない、大いに僕は張り切ります。 二人のナースは胸まであるビニル製のエプロンとポリ手袋を着用しています。エプロンは万一お尻からの放水があった場合に備えているようです。
 ベテランのナースが患者と若いナースに説明をします。どうやら若いナースは新人のようです。
「えり子さん、検査が受けられるよう、今からおなかを洗いましょう。」
「はい。」
 なるほど、こでは「高圧浣腸」などという言葉は使わないんですね。「高圧浣腸をします。」という表現では、若い女性患者はおじけついてしまいますから・・・。
「衣類が濡れるといけないから、脱いで下さい。」
「はい。」
 えり子さんは、言われた通りに従います。
「あっ、ブラジャーはいいですよ。」
 若いナースが脱いだ衣類を受け取って、スタンドにかけます。
 えり子さんは、ブラジャーだけをつけて、ほとんど全裸の状態になりました。
「この手すりをもって、お尻を突き出して下さい。」
「はい。」
 えり子さんは、立ったまま手すりをもち、お尻を突き出す姿勢を取ります。若い女性患者にナースが2人がかりで浣腸をしようとしています。これはすごいことになりました。僕はしっかり、失敗のないように頑張らなければなりません。

 若いナースはベテランのナースの指示を受けて僕にピッチャーから液を移します。僕の体が1Lのぬるま湯で満たされました。彼女は次にノズルをにキシロカインゼリーを塗ります。
 そしていよいよノズルの挿入です。若いナースは腰をかがめて、えり子さんのお尻の穴に顔がくっつくような姿勢で、えり子さんのお尻の穴に腸カテーテルを挿入します。えり子さんの口からかすかに
「うっ。」
という声が漏れたような気がします。
 長い腸カテーテルがえり子さんの体内に進入しました。若いナースはカテーテルがお尻からはずれないよう、手でもっています。ベテランのナースが言います。
「さあ、えり子さん、楽にして下さい、今からおなかに水を入れます。」
「はい。」
 ベテランのナースがストッパーをはずします。僕は液をえり子さんの体内にゆっくり注ぎます。液面が少しずつ下がってきます。それに反比例して、えり子さんの表情が崩れて行きます。そして、おなかがすこしずつふくれて行きます。
「半分入りました、苦しくないですか。」
「はい。」
 えり子さんはけなげに耐えています。彼女はもう恥ずかしさのピークを越えて、何が何だかわからないようなことになっているに違いありません。

「700ccが入りました、もうすぐですよ、大丈夫ですか?」
「はい。」
 不思議なことに、えり子さんの顔からは苦しそうな表情が消え、一転して恍惚の極みにあるようなきもちよさそうな表情に変わっています。本来、恥ずかしさと苦しさの頂点にいるはずなんですが・・・。
 う〜ん、女性という動物は、一体どうなっているかよくわからないですね。

「終わりましたよ、がまんしなくていいですよ、ここで出して下さい、ただし、チェックしますので、流さないで下さい、私たちはトイレの外で待っていますから。」
「はい。」

 えり子さんは、言われた通りがまんすることなく、あっという間に飲み込んだ1Lの液をたちまち放水してしまいました。お尻をティシュでぬぐって、ブザーを押します。
 ベテランのナースが言います。
「あ〜あ、まだだめですね、ほら、汚れているでしょ、特にこのように粒があるとよくないんです、えり子さん、悪いけどもう一度、洗いましょう。」
「はい。」
 ベテランのナースは若いナースにえり子さんの排出物を確認させ、流します。そして、また洗腸の準備の指示を出します。

 僕は引き続きまた仕事をすることになりました。僕はうれしいのですが、えり子さんにはちょっと同情してしまいます。 
 再度、同じような処置が行われ、やっとえり子さんは合格しました。えり子さんは、ほっとした表情に加えて、ちょっと物足りないような表情を示したと感じたのは僕だけでしょう。
 後は内視鏡検査が待っています。太いカメラがお尻から入ることになりますが、めげずに頑張ってくれることをお祈りします。そして、何も異常がないことを願うのみです。

 こうして僕の初仕事は終わりました。僕の仕事はこの病院の医療スタッフのお手伝いなのです。この病院では僕は女性の高圧浣腸を専門に担当するのです。与えられた任務を僕は一生懸命遂行するつもりです。

 今日は、えり子さんとの出会いがありました。
明日はどういう女性との出会いがあるのでしょう。


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