SPACE銀河 Library

作:えり子

妖  精

 <お仕事>

 マンションの一室です。
ドレッサーが置いてあるので、きっと女性の部屋です。
部屋の雰囲気から、家主は若い子のようです。
時刻は午後5時、シーンと静まりかえっています。
家主のOL、ゆりはまだ帰宅してないようです。

 誰もいないはずなんだけど、よく耳をすますと、小声で話す声が聞こえます。
どこから聞こえているのでしょう。
声はドレッサーの引き出しの中から聞こえます。
 皆さん、おしゃべりをするのは人間だけではありませんよ。
物には物の精が宿っています。
木には木の精が、石には石の精が宿っているのです。

 ドレッサーの引き出しの中には青い箱が入っています。
それはいちじく浣腸5個入りの箱です。
持ち主はゆりのようです。
その箱の中には3個のいちじく浣腸が入っていました。
残りの2個はすでにゆりが使用したのでしょう。
先ほどの話し声の主はいちじく浣腸の精達の声だったのです。

「おい、1号がご主人に呼ばれたのは1月1日の元旦だったよな。
 2号が行ったのはそれから5日目の1月6日だった。
 そして、今日は1月11日さ、そろそろ3号の出番だな。」
「そうさ、待ちに待った出番が近いのさ、腕が鳴るよ。」
「俺達の仕事はいわゆる3Kの仕事さ、きついし、きたないし、それに、くさいし・・・
 でも、困っている人を助ける尊い仕事さ。
 誇りをもって、仕事をしようぜ。」
「そうだな、ところで、ここのご主人は若くて、かわいい女性だな。
 俺達、ラッキーだよな。」
「そうさ、だから張り切って行こうぜ。」

「おや、ご主人様のお帰りのようだぜ。」
「いよいよ3号の出番だな。
 仕事の前に一風呂を浴びるとき、あれがきもちよさそうだよな。」
「そうさ、ご主人様が湯煎をしてくれて、俺達を40℃まで暖めて
 くれるそうだよ、楽しみだな。」

 部屋にはカレンダーがあります。
そのカレンダーには何やら文字がいくつか書き込まれています。
E、H、MB、ME、Sなどです。
1月1日、1月6日にはEが書かれています。
Eは浣腸をした日につける記号のようです。
ゆりは自分の体調管理のために、カレンダーを利用しているのです。
 Hは自然排便があった日、MBは生*の始まった日、MEは*理の終わった日、
Sは彼氏とS*Xをした日のようです。

 午後8時になりました。
ゆりはカレンダーを見ながら口を開きます。
「お食事も済んだし、デザートもいただいたし、お風呂の前に、あれ、しちゃおうかな。
 今日で確か、5日目だわ。
 おなかが苦しいわ。」

 ゆりはドレッサーの引き出しを引きます。
「おい、3号、いよいよ出番だぜ、頑張れよ。」
「合点さ、待ちかねたぜ。俺にお任せ下さいませさ。
 4号、5号、お先に、あばよ。 」

 ゆりはいちじく浣腸3号を電子レンジに入れ、チンをします。
「おや、今日はちょっと様子が違うぜ。
 湯煎じゃなく、何と、電子レンジだぜ、大丈夫かな。」
「おお、じわりと暖かくなってくるぜ、内側から暖まるぜ、悪くないぞ。」

「おっ、頭にハンドクリームを塗られたぜ、これならスムーズに突撃できるぞ。」
「おお、今日はゆりさん、モーモーさんの体位だぜ。
 ご主人さんの後ろからの眺めはすごいぞ、興奮しちゃうな。」

「よーし、ご主人のゆりさんのお尻の穴に突撃だ。」
「おお、すんなり入ったぜ、ゆりさんとの合体に成功したぞ。」
「もう俺の頭はゆりさんの体の中だぜ、あたたかいな。」
「でも、これはちょっとすごいぞ、かなり貯まってるぞ。」
「これだけ、貯まっていれば、やりがいがあると言うものさ、頑張るぞ。」
「ご主人さん、思い切って、あっしをつぶしておくんなさい。」
「そう、そう、その要領・・・。」
「おや、液が半分残りましたぜ。」
「いったん、お抜きになって、もう一度あっしを挿入して下さい。」
「そう、今度も思い切ってあっしをつぶして下さいまし。」
「よかった、液を全部ゆりさんの直腸に注入しましたぜ。」

 ゆりは3号をティシュの上に置いて、そのままの姿勢で我慢します。」
「ご主人、しばらくの辛抱ですぜ、頑張って下さい。」

 3分が経過しました。
ゆりは立ち上がり、3号をティシュにくるんで、手にもって、おトイレに入ります。
おトイレのサニタリボックスに3号を静かに放り込み、便器の上に座ります。
すぐに、せきを切ったように、排出が始まります。
その音を3号は耳にします。
「やったぜ、大成功、これで俺も責任を果たせたぜ、もう安心さ。」

 ゆりはお尻を始末し、すっきりした表情で、おトイレを後にします。
それから、カレンダーの1月11日のところにボールペンでEを記入しました。
いちじく浣腸3号は一人サニタリボックスの中に残されます。
彼は無事に仕事を終えた満足感にひたっています。
とてもいいきもちです。
時間がたつと、疲れもあって、ここちよい気分になって、眠くなりました。
ゆりの残り香に包まれながら、彼は満足そうな顔で、静かに寝息を立て始めました。

 そして、引き出しの中では、4号と5号が今かと出番を待ち続けているのです。

     (浣)

<仕事を終えて>

 えり子はちょっと緊張した表情でキャンパスを歩いています。
彼女はこの女子大の4年生です。
今日は卒業論文の発表の日なんです。
緊張している理由がわかりました。
 彼女はハンドバッグを手にもち、肩からトートバッグを下げています。
この中には発表用の原稿やOHPのフィルムが入っているのです。
彼女は体調がすぐれません。
というのも、重要なイベントがある日は、その数日前からお通じがなくなっちゃうんです。
つまり便秘なんです。
 発表は午後からです。
まだ、午前10時、時間が十分にあります。
彼女は体調を整える決心をしました。

 えり子はおトイレに向かいます。
ドアを開いて、狭い空間にしゃがみます。
和式便器にまたがって、下着を下げます。
そして、ハンドバッグから、青い箱を取り出します。
彼女の指には、あのイチジク浣腸が握られました。
そのまま容器を軽くつぶします。
先端部が液で濡れました。
その先端をアヌスにゆっくり挿入します。
それから思い切り容器をつぶします。
あぅ、と声が漏れます。
 えり子はピンクの容器をティシュでくるんで、サニタリボックスに放り込みます。
それから1、2分後にきもちよい瞬間が訪れます。
彼女のアヌスが開きます。
そして、彼女のおなかの中の液体と固体が一気にお出ましになりました。
えり子の表情がゆるみます。
 お尻の始末をして、えり子は晴れやかな表情で、女子トイレを後にします。
 
 えり子が去った女子大のおトイレの中の出来事です。
何やらおしゃべりする声が聞こえます。
 それは個室のドアの中からです。
そして、その個室の中のサニタリボックスから声が聞こえます。
 
 「おう、イチジクさん、いらっしゃい。」
「これはこれは、ことぶきさんに、ケンエーさん、こんにちは。」

 サニタリボックスの中で、会話が始まっています。
先の住人のことぶき浣腸の精とケンエー浣腸の精と、後でやってきたイチジク浣腸の精
の会話だったのです。
 物にはたとえどんな物であっても、精が宿っています。
物を落とせば、「痛い」と言う声が聞こえるはずなのです。
だから、物は大切に扱わなければ、物の精が困っちゃうんです。

 会話はなおも続きます。
「イチジクさん、仕事、ご苦労さん。」
「そう、無事終わってほっとしています。」
「僕達は苦しむ人を救う仕事だから、やりがいがあるよね。」
「そうそう、汚れ仕事だけど、ご主人のすっきりした顔を見ると、よかったと思うさ。」
「君のお客のえり子さんも、晴れ晴れした顔で出ていったね。
 きっと、論文の発表もうまく行くに違いないと思うよ。」
「えり子さんは僕たちイチジクのファンだそうで、他の銘柄は使わないそうだよ、
 家には、まとめ買いをした僕の仲間が多くいるのさ。」
 
「ことぶきさんはどうだった。」
「僕もよかったさ。
 僕の客はとも子さんという女子大生さ、僕が価格が安くって、性能がいいと言って、
 僕を選んでくれたのさ。
 5日も出なくって、苦しんでいたのさ、それに今日は彼とデートの約束があるので、
 すっきりさせたいと思って、僕を使う決心をしたようだよ。
 僕は精一杯頑張って、彼女を苦しみから救ったのさ。」
 
「ほう、それはよかった、ところでケンエーさんはどうだった。」
「僕の場合、いつもの2倍も頑張ったさ、すごかったよ。」
「それは一体どうしたの。」
「うん、僕の客はけい子さんという人だけど、かなり重度の便秘常習者さ。
 だから、ロングノズルの僕を選んでくれたのさ。
 僕は張り切っていたのさ、けい子さんはもう1週間も出なくて困っていたのさ。
 僕は精一杯頑張ったさ、でも、結果は良くなかった。
 硬くなった固体はびくともしなかった。
 そこで、けい子さんはもう一度僕を活用したのさ。
 つまり、僕のノズルをドリルのようにして、あの固体を突き崩そうとした、そして
 それは成功したのさ。
 けい子さんは苦しい表情が一気に解消して、ご機嫌でトイレを出ていったよ。」
「それはよかったね。」
 
「僕達の活躍はすごいし、エキサイティングなんだよね。」
「そうさ、有名な小説の有名な文章があるだろ、
 トンネルを出ると雪国だった・・・。」
「そうそう、あれはトンネルを出ると一面銀世界だったと言うんだろ。」
「われわれの場合はもっとすごいのさ、
 トンネルを出ると、そこは一面、黄金の世界だった・・・。」
「これはすごいね、でも視覚だけではないぞ、嗅覚もすごいさ。」
「そう、香りのよい香水を濃縮したあの香りは強烈だよな。」
「それに、ときどき嵐のような強風も吹くのさ。」
「うん、あれもすごいな。」

「ことぶきさんのご主人の家ではどんな様子なの。」
「うん、とも子さんの部屋の引き出しの中にはガラス浣腸器があったよ。」
「あれはいいよな、僕達と違って何度も繰り返し、仕事をさせてもらえるからな。」
「ところが、その精が言うには、最近ちっともお呼びがないそうだよ、
 君がうらやましいと言っていたよ。」
「そうか、いろいろあるんだね。」
「ケンエー君はどうですか。」
「けい子さんは、便秘がひどくって、その対策として、最近シャワラーを購入したん
 だよ。」
「ほう。」
「シャワラーの精が言うにはけい子さんに相当気に入られているそうだよ。」
「シャワラーは仕事が長時間になるから、よいよね。」
「うらやましいな。」
「イチジクさんのところはどうかな。」
「えり子さんは、僕らより、エネマシリンジがお好みなのさ。」
「エネマシリンジの精の話では、週に3回は出番があるそうだよ。」
「それもうらやましいな。」
「でも僕達、一期一会の精神で頑張っているからな。」
「そうさ、1浣入魂だものな。」

 浣腸の精達の会話はまだ続きます。
皆のご主人である女学生達の残り香に酔いながら・・・。

「僕達の最大の楽しみは彼女に会えることだよな。」
「そう、デートの時間は短いけど、アヌスの妖精に会えるのは
 うれしいよな。」
「彼女達は僕達が部屋を掃除してあげるものだから、喜ぶんだよな。」
「僕が突入すると、すぐに、いらっしゃい、よろしく、と言って
 あいさつしてくれるのさ。」
「あのかわいい顔で、笑顔で迎えられるとうれしいぞ。」
「僕達が放水を始めると、頑張ってと応援してくれるのさ。」
「そして、僕達が引っ込むときは、ご苦労さん、どうもありがとう、
 さようなら・・・だもんな。」
「短い時間に、お話もするのさ。」
「けい子さんちのアヌスの精は、シャワラーで水浴びができると
 喜んでいたぞ。」
「えり子さんちのアヌスの精は、お茶や、紅茶、コーヒーを
 ごちそうになるんで、ありがたいと言っていたぞ。」
「ほう、それはいいな。」

 突然、トイレのドアが開き、女性が入ってきました。
女学生でしょうか、そしてまた浣腸の精のお仲間が増えるのでしょうか。
いや、そうではありません、掃除婦さんでした。
「やばい。」
 浣腸の精の一人が言いました。
「おやおや、またこんなに浣腸の空容器があるわ、近頃の女学生は
 困ったものね、食事をきちんと食べないから便秘になっちゃうのよね。」
掃除婦さんはそう言いながら仕事を続けます。
 突然、浣腸の精達は持ち上げられました、そして、おばさんのもって来た袋に
移されてしまいました。
「皆、もう、おしまいだね、楽しかったよ。
 リサイクルされて、また浣腸に戻って、再会しようや。」
「そうだな、あばよ。」

<妖精>
 
 私、えり子はごくふつうの女の子です。
趣味は読書と音楽です。
音楽と言っても、いまどき流行しているものではなく、クラシック系なんです。
ピアノを弾くので、ショパンやモーツァルトの曲が好きです。
 最近は美容とダイエットも気になっています。
私って、ちょっと便秘気味なので、とくに最近美容やダイエット、健康法などに
興味をもっているんですよ。
 便秘をしちゃうともろにお肌に影響するんです。
それに、下腹部がふくれるので、いやなんです。
胸がふくらむのはうれしいんですけどね。
 でも、私にはとっておきの便秘解消法があります。
恥ずかしいけど皆さんに告白しちゃいますね。

 それはお浣腸なんですよ。
これをすると、便秘解消だけではなく、心もすっきりして、ストレスの解消にも
なっちゃうんです。
私にとっては最高の健康法なんです。
 特に、今日のような暑い夏の夜はぬるめのお浣腸をすると、きもちいいです。
その後、また、ぬるいお風呂に入り、お風呂あがりに冷たいワインをいただくんです。
これが私の夏の夜の最高の過ごし方なんですよ。
 もっとも、夏だけではなく冬は熱めのお浣腸をして、熱いお風呂に入って、その後
熱燗を1本いただく、これもまた体が暖まって、きもちいいです。
 お浣腸は四季を通して楽しむことができるんです。

 今夜もきもちよくお浣腸をすませて、そのあとお風呂に入りました。
お尻の穴とお顔のマッサージもすんで、今からワインをいただくのです。

 私は戸棚からワインを取り出します。
それはワインショップで私、えり子自身が選んだものです。
「私、フランス産やドイツ産にはもう飽きたわ。」
えり子が手にしているのはスペイン産の赤ワインです。
「これって、安くっておいしいのね、新発見よ。」
 えり子は独り言をつぶやきながら、ごきげんです。
サイドボードから何か大きなガラス器具を出します。
それはイルリガートルのようです。
えり子はワイン浣腸をしようとしてるのでしょうか。
 よく見ると、それはイルリガートルにそっくりですが、そうではなく
ワインディスペンサというものでした。
中央部のガラスが2重になっていて、氷でワインを冷やせるようになっています。
よかった、ワインを浣腸するのはとても危険な行為なんです。

 えり子はディスペンサからグラスに注いだワインをすすりながら思います。
「暑い夏の夜はぬるめのお浣腸と、ぬるめのお風呂、それに冷たいワインの組み合わせ
 が最高ね。
 生きていてよかったと感じる瞬間だわ。」
 
 飲むほどに、酔うほどによい気分になり、しばらくすると私は眠くなってきました。
ベッドに横になります。

 突然、コツコツとドアをノックする音が聞こえます。
私は目を覚まして、「どなたですか?」と尋ねます。」
女性の声で返答があります。
「夜分遅くなってお騒がせして申し訳ありません。
 えり子さんにお願いがあって来ました。
 ぜひお話を聴いて下さい。」
 
 なぜか聞き覚えのある声でした。
女性なので、ちょっと安心してドアを開きます。
とても美しい若い女性が立っていました。
知らない人でしたが、以前にどこかで会ったことがあるような気もします。
「どなたでしたっけ?」とたずねます。
「私、菊野です、菊野あんぬと言います。」
「どこかでお会いしましたっけ?」
「覚えていらっしゃらないかも知れませんが、お会いしたことはあります。」
「そう、立ち話もなんだから、どうぞ部屋へお入りになって。」
「失礼します。」

 その女性はすごくスリムな美人です。
それにとてもよい香りの香水をつけています。
この香りもどこかで嗅いだことがある香りなんだけど、私は思い出せません。
「シャネルでもないし、クリスチャンディオールでもないし、ニナリッチでも
 ないわ・・・。」
 私は鼻をくんくんするのですが、わかりません。
 
「私、えり子さんにお願いがあって来ました。」
「えっ、そうなの、どんなこと。」
「差し出がましいことですが、よろしいですか。」
「いいですとも、私ができることなら・・・。」
「突然ですが、さる筋からうかがったところでは、あなたは便秘で困っていらっ
 しゃいますね。」
「えっ、どうしてそんなことを・・・。」
「理由(わけ)はどうか聴かないで下さい。
 そうでないと、これからのお願いもお話しできません。」
「いいわよ、約束する。」

「ではお話しを続けます。」
「はい、続けて。」
「あなたは便秘対策としてお浣腸をなさってますね。」
「えっ、どうしてそんなことまで・・・、あっ理由はきけないんだ・・・。」
「お浣腸はとてもよいことです、便秘を放置しておくと、うん*が硬くなって、
 痔になったり、吹き出ものの原因になったり、将来は腸にポリープができたりと
 体にはとてもよくないんです。」
「それはそうね。」
「おなかやお尻を清潔に保つのはとてもよいことなんですよ、とくに女性に
 とっては・・・。」
「それはそうね。」

「そのことで私、えり子さんにとても感謝しているんです。」
「へぇ、私、あなたに感謝されるようなことしてる?」
「もっと言えば、あなたはお風呂に入ったとき、必ずお尻の穴をマッサージして
 ますね、あれもとてもよいことですよ。」
「ぎょっ、そんなことまであなた、知ってるの、驚きね。」
「あれは痔の予防にいいし、それにきもちいいんですもの。」
「待ってよ、私がきもちいいのであって、あなたには関係ないでしょ。」
「・・・・。」 

「ちょっと、そこまで言うと、いくら何でもプライバシーの侵害じゃなくって?」
「ごめんなさい、これにはわけがあるんです。」
「そう、先ほどから、何やらわけありのようね。」
「ごめんなさい。」
 
「ところで、お願いがあるって言ってたわね、いったい何よ?」
「こんなことお願いしていいかどうか・・・。」
「わけありついでに、ずばっと言ってしまいなさいよ。」
「じゃー、私のお願いを怒らずに聴いて下さいな。」
「いいわよ、決して怒らないわよ。」

「えり子さん、あなたはアヌスの拡張をしてみようかと思っていらっしゃいますね。」
「ええ、どうしてそれを知ってるの、私それは誰にもしゃべってないわよ。」
「えり子さん、あなたは肥満を恐れていらしゃいますね。」
「そうよ、肥満は大敵よ、お浣腸をするのも肥満予防に効果があるからよ。」
「そうですよね。」
「でも、肥満とアヌス拡張とは関係ないわ。」
 
「私、今スリムな体型です。」
「そうねぇ、あなたはとてもスリムで女性の目で見てもすごい美人だわ。」
「私、太りたくないんです。」
「それはそうよね、でもまだアヌス拡張と肥満の関係がわからないわ。」

「私、えり子さんに正直に告白します。驚かないで下さいね。」
「驚かないわよ。」
「私、菊野あんぬと言いますが、実はえり子さんのアヌスに住む妖精なんです。」
「ええ、それはほんとう?」
「そうです、だからえり子さんのお尻の穴に関してはすべてお見通しなんです。」
「物には精が宿ると聞いたことがあるけど、ほんとうだったのね。」
「そうです、しかも私はあなたのお尻の穴の精なんです。」
「えっ、じゃーあの香りは・・・。」
「そうです、アヌスの香りです。」
「そうなの、どこかで嗅いだことがあると思ったわ。」
「アヌスの香りは香水の成分を含んでいます、私、それをちょっとアレンジ
 しています。」
「そうだったの、道理でどこかで嗅いだことがある香りだと感じたわ。」

「えり子さんは私にとって、大家さんのようなものです、ご主人さんと言っても
 いいお方です。」
「何だか変なの。」
「お浣腸していただいたり、ウオシュレットでいつも私を清潔にしていただいて
 感謝します。」
「えぇ、本当に驚いたわ。」
「女性によっては、排便後にろくにお尻を拭かない人もいるし、トレペやうん*
 のカスを付着したままの方もいます。
「いやだわ、それってとても不潔じゃない。」
「お風呂でのアヌスのマッサージはとてもきもちいいですよ。」
「う〜ん、これはまいったわ。」

「ただ困るのはご主人さんは病院で浣腸されるのがお好きなことです、
 あれはナースさんに私の顔をまともに見らちゃうので、私、とても恥ずかしいです。」
「それは、私、えり子も同じよ。」
「それはそうですね。」

「そうか、話を聴いていてやっとわかったわ、アヌスを拡張すると、あなた、
 スリムな体が変形して、太って、みっともなくなっちゃうわけね。」
「そうなんです、やっとわかってもらえたわ。」
「わかったわ、私、アヌスの拡張はしないと約束するわ。」
「ありがとう、じゃー私これで失礼します、安心したわ。」
「待って、待って、せっかくだからもっとお話がしたいの。」
「さようなら。」
 
「ジャ〜ン、ジャ〜ン」
 すごい音で彼女は去って行きました。
「ジャ〜ン、ジャ〜ン」
音はまだ続きます。

 私は無意識のうちに、手を伸ばします。
そこには目覚まし時計が、そして、その横には飲み残しのワインが入った
グラスが放置してありました。


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