SPACE銀河 Library

作:えり子

クリスマスイブ

 ある家庭の夕方の食卓です。
 良太は*大学経済学部4年生です。
某大手銀行に就職が決まっていて、ゆったりした気分でクリスマスを迎えようと
しているのです。
しかも、彼は明日のイブは恋人えり子のアパートで、2人だけのクリスマスパーティを
予定しているのです。
そんな良太ですが、ちょっと、浮かない表情をしています。
彼はえり子へのクリスマスプレゼントに何を選ぶか迷っているのです。
学生の身分なので、お金はなく、高額の品は買えないのです。
えり子もそれはわかっていて、1000円以上の品は受け取らないと言っている
のです。
「何にしようかな、金額より心のこもったものがいいな。
 かと言って、100円ショップに行くわけにも行かないな。」
良太は悩み続けます。
「そう言えば、えり子は今便秘で苦しいとか言っていたな。
 それなら、イチジク浣腸はどうかな、意外にいいかも、値段も安いし・・・。
 それに、心もこもっているし。」
彼はいいものを思いついたと感じ、プレゼントはそれに決めたようです。」

 翌日のクリスマスイブの午後です。
良太は近くの薬局を訪れます。
店主の娘さんでしょうか、若い女性が店番をしています。
「あのぅ、イチジク浣腸ありますか。」
「はい、大人用ですか。」
「はい」
「2個入りと5個入りがありますが、どちらになさいます。」
「5個入りを下さい。」
「承知しました。ありがとうございます。」
良太は恥ずかしそうに、娘さんに言います。
「あのぅ、クリスマスプレゼントにしたいので、包装していただけませんか。」
「えっ、これをですか、いいですよ。」
娘さんはちょっと、驚いた様子でしたが、ラッピングを始めます。
サンタをあしらった赤い包装紙で、青い箱を包みます。
そして、丁寧にリボンをかけます。
「これで、いいですか。」
「はい、」
きれいにプレゼント用にラッピングされたので、中身がイチジク浣腸とは
全く想像さえもできません。
良太は代金を払うと、あわてて品物を受け取るや、店を飛び出しました。
短い時間でしたが、やはり恥ずかしかったのです。

 ピンポン、ピンポン・・・
チャイムが鳴ります。
えり子はドアを開けます。
そこには良太が立っていました。
「わぁ、良太、よく来てくれたわね、さぁ、お入りなさい。」
えり子は#女子大の2年生です。
良太とはサークルを通じて知り合ったのです。
「これ、クリスマスプレゼント」
良太は照れながら、えり子へ手渡します。
「うれしいな、早速開いていい。」
「うん、だけど、驚かないでね。」
「何が入っているのかしら。」
えり子はそうっと、リボンをとり、包装紙をはぎます。
青い箱が目に入りました。
イチジク浣腸と書いてあります。
「えぇ、これ買ってきてくれたの。うれしいわ。私、今、これ欲しかったの。
 ここのところ、調子が悪かったの。
 良太ったら、私のことを心配してくれていたのね。」
良太はほっとしました。
一体えり子がどういう反応を示すか、心配していたのです。
「ね、良太、今日はゆっくりしていってね。」
「うん」
「私、今、調子がよくないの。お食事のあと、これ早速使っていい。」
「もちろん、いいさ。」
「これ使うとき、手伝ってくれる。」
「えっ、僕が、いいの。」
「お願いね。」
思いがけないえり子の言葉に、良太は驚きましたが、内心嬉しかったのです。
かわいいえり子に浣腸の手伝いを頼まれたのですから・・・。

 喜んだのは、良太だけではありません。
皆さん、物には精霊が宿っていることをご存知ですね。
木には木の精が、石には石の精が宿っているのです。
イチジク浣腸にはイチジク浣腸の精が宿っています。
 イチジク浣腸の精5人組もその話しを聞いていて、大いに喜んだのです。
「おい、今の話しを聞いたか。」
「俺達のお客はあのかわいい子だぜ。」
「いつもは、おばさんとかおばあさんが多いからな。」
「若い子でラッキーだよな。」
「張り切って、仕事をしようよな。」
「出番まで、まだ時間があるぜ。」
「浣句会を開いてはどうかな。」
「それはいい、お題はクリスマスだな。」
「ちょうど5人だから、クリスマスの頭文字でどうだ。」
「そうだ、七五調がいいな。」
「いいよ、俺がク、2号がリ、3号がス、4号がマ、5号がスだな。」
「制限時間は5分でどうだ、俺達の仕事も普通5分でケリがつくからな。」
「よし、じゃあ、そうしよう。」
「スタートするぞ。」

 そして、5分後、
「どうだ、皆できたか。」
「できたぞ、じゃあ、1号から順番に紹介しよう。」

(ク)くさいところも 何のその
(リ)立派に仕事   果たすんだ
(ス)すっきりしたわ 言わせるぜ
(マ)毎日これを   使いたい
(ス)好きよいちじく 大好きよ

「まずまずの出来栄えかな。」
「よし、それじゃ、これでお開きだ、出番に備えて待機しよう。」

 良太とえり子はシャンパンを飲みながら、えり子の手料理で、楽しい食事タイムを
過ごします。
食事の後はケーキをいただきます。
 食事が終わったあと、えり子は良太から優しく浣腸をしてもらいました。
良太は箱からいちじく浣腸1号を取り出し、それをえり子のお尻の穴に注入したのです。
注入後はそれをトイレのサニタリボックスに捨てました。
 おなかがすっきりしたえり子は、その夜は良太と楽しいクリスマスイブを2人で
過ごしました。

 一方、イチジク浣腸の精1号は仲間と離れて、1人でサニタリボックスの中に
います。

 彼は無事に仕事を終えたので、安堵感に包まれて、クリスマスイブを迎えています。
彼はとてもいい気持ちなのです。
何故なら、彼はえり子が残したかぐわしい香りに酔いしれているからです。

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