SPACE銀河 Library

作:えり子

結婚記念日

良太とえり子が、ワインを飲みながら、仲むつまじく、楽しそうに語り合っています。
良太28才、えり子23才の若い夫婦にとっては、今日は記念すべき日なのです。
二人は丁度1年前の今日、結婚式を挙げたのです。
つまり、今日は二人にとっては最初の結婚記念日なのです。

 良太が言います。
「君と結婚してよかったよ。毎日が楽しいよ。」
えり子も答えます。
「私も幸せよ。良太を愛してる。」
良太が言います。
「もう1年経ったんだね。短い1年だったね。」
えり子も言います。
「あっと言う間の1年だったわね。」

 ワインの力で、よい気分の良太とえり子です。
話題は尽きません。。

「えり子、今日は結婚記念日だから、一つ提案があるんだ。」
「な〜に。」
「1つだけ、君の要求を何でもかなえてあげるよ。
 ただし、僕ができることに限るけどね。」
「うれしいわ。私、早速考えてみる。
 私もあなたの希望を1つだけ許してあげるわ。」
「いいねえ。何でもいいかい。Hなことでも・・・・」
「いいわよ。今日は特別許してあげるわ。」

「よし、口で言うのも、ちょっと照れくさいから、
 紙に書いてお互い交換しよう。」
「いいわ、紙と鉛筆をもって来るわ。」

 2人はちょっと考え、にやにやしながら、互いの
顔を見つつ、希望を紙に書きます。
 そしてそれを4つ折りにして、そうっと交換します。
 
「私が先に開いていい?。」
 こう言って、えり子は紙を開きます。
 
 えり子はこわごわ、かつ、ちょっと期待しながら、紙を見ます。
そこには、角張った特徴のある字でこう書いてありました。
「君に浣腸をさせて欲しい。」

(その2)

 えり子はその紙を見て驚きました。
良太の願いを書いた紙には、何と浣腸をさせて欲しいと書いてあったのです。
一体何ということでしょう。
 ワインで赤くなった顔をいっそう赤くします。

 えり子の様子を見て、良太は口を開きます。
驚かせてごめん。
嫌われちゃうかも知れないって、心配してたんだ。
でも、僕は本気だよ。
冗談や遊びで書いたんじゃないんだ。
僕は真剣なんだ。
 ちょっと、説明させてもらうよ。
君には悪いと思うけど・・・。

 良太は話を始めます。
かなり前のことだけど、若い女性が男性に浣腸されるシーンを
偶然、目撃したのさ。
 その女性はそのとき、すごくよい表情をしてた。
それが僕の心にトラウマ(心の傷)として住みついたんだ。
それから僕は女性に1度でいいから浣腸をしてみたいと思うようになった。
そして、あの表情をさせて見たいと願った。

 僕は、それを実現しないまま君と結婚した。
当然、その対象は君に向けられた。
でも、僕はどうしても、それを君に言い出せなかった。
 君が便秘したとき、それを言ってみようと思った。
しかし、君は健康で、この1年間、1度も便秘にならなかった。
そして、やっと、今日君に打ち明けることができたのさ。」

(その3)

「そうだったの。正直に告白してくれて、私うれしいわ。
 よくわかったわ。
 今度は、私のを開いてちょうだい。
 きっとあなた、驚くわ。」
 
「うん、見せてもらうよ。」
 そう良太は言って、えり子の希望を書いた紙を開きます。
 細く、小さく、優雅な字が見えました。
 それには良太にとって、信じられないことが書いてありました。
 
「お願いがあるの。
 一度でいいから、私に優しく浣腸して。」
 
 何ということでしょう。
 2人の思いはまったく一致したのです。
 偶然ですが、まるで、事前に示し合わせたかのように。

「私も言わせてちょうだい。」
  えり子が口を開きます。
 
「あれがあった頃、私、もう中学生になってた。
 母が病気になって、家で、しばらく寝る日が続いたの。
 父が一生懸命、かいがいしく看病していたの。
 私はほっておかれたような感じになってた。
 私、父が好きだったから、母から父を奪われたような気がして、
 母に嫉妬のような気持ちをもったの。
  ある日、それに輪をかけるようなことが起こったの。
 偶然、ふすまの隙間から母の寝ている部屋が見えた。
 父が母の布団のそばにいた。
 それから、父は布団をはいだ。
 何をするのか、私、こっそり盗み見してたの。
 母は向こうを向いて、横向きの姿勢になった。
 父は母のパジャマの下を下げた。
 そして、ショーツも下げたの。
 母はお尻を露出した状態になった。
 そこへ、父は左手でお尻の穴を開いて、右手でいちじく浣腸を挿入したの。
 私、もうびっくりしたわ。
 父にあんなことをしてもらって、私はますます母を嫉妬したの。
 そして、それは私のトラウマ(心の傷)になったの。
 
 その後、間もなく母は病院に入院したの。
冬の土曜日だった。
それからは私は父と2人きりの生活になった。
翌日の夕方、父と二人きりになった私は、急に思いついたように、仮病を使った。

「おなかが痛い。苦しい。」
  私は父に訴えた。
 父は驚いて、近くの病院に電話したけど、休みだった。
父は私にうんちはいつ出たか聞いた。
私はよく覚えていないというようなことを言った。
父はとりあえず、うんちを出して様子を見ようと言った。
 私は母と同じようにしてもらえると感じ、嬉しかった。

 父は優しく私に浣腸をしてくれた。
それは、とても嬉しかったの。
母から私、父を取り戻した気がしたの。
父は母にしたのと同じように、私にも浣腸をしてくれたから。
 でも、それは父を母から取り戻しただけではなかったわ。
愛する人から優しく浣腸をしてもらうことの素晴らしさを、
私の体が覚えちゃったの。
 それ以来、私、愛する人から、またいつか浣腸をしてもらいたい
という希望が心に焼きついちゃったの。
 
 私はあなたと結婚した。
もう一度、愛する人に、やさしく浣腸をして欲しいという願望は消えなかった。
 当然、愛する人は父ではなく、あなたでなければならなかった。
でも、このことはどうしても言い出せなかった。
便秘のときがチャンスかなと思ったけど、私は便秘をしなかった。
ず〜と、それを口に出すチャンスがなかった。
 そして、今日やっとそのチャンスが来たの。
 
(その4)

 そうだったのか。
お互い苦しかったんだね。
僕のことをもっと、詳しく話すよ。
僕、当時、19才だった。
大学生になった冬、僕はアルバイトをしてた。
バイクで、お歳暮を配達するのさ。
もうすっかり暗くなってた。
荷物をもって、ある家の玄関のチヤイムを押した。
それは壊れていたらしく、音が出なかった。
呼んでもだめだった。
脇を見ると、カーテンのかかっている部屋が明るかった。
ちょっと、確かめようと、庭からその部屋のところに移動した。

 カーテンの隙間から部屋の中が見えた。
覗き見をするつもりではなかったけど、見てみた。
女の子が病気で寝ていた。
父親らしい人が入ってきて、その子の後ろの回った。
ふとんをはいだ。
パジャマを脱がせた。
僕は固唾を飲んで、見守った。
下着を下げた。
 そして、お尻にいちじく浣腸を挿入した。
僕はとても驚いた。
僕からはその子の顔が見えた。
その子は苦しそうな顔はまったくしなかった。
それどころか、恍惚の表情になった。
僕は驚いた。
そして、その場から逃げるようにして、帰った。

(その5)

 えり子はその話を、黙って聞いていました。
「それはちょうど10年前のお話ね。
 場所はどこなの。」

  良太が言います。
「横浜の*区さ、山手の住宅街の中の、周りから少し離れた1戸建の家。」

  えり子が言います。
「庭には山茶花の花が咲いていた。」
  良太が聞きます。
「えっ、どうして知っているの。」
  再び、えり子が答えます。
「それは、私の家だったから。」

「えっ、じゃあ、あの子はえり子だったの。
 君の家は東京の八*子じゃなかったの。」


「私、10年前は中学生だった。
 あの当時は横浜に住んでいたの。」
 
「本当なのか、あれは本当に君だったんだ、いや〜驚いた。」
「私こそ、話を聞いて、驚いたわ。
 あのとき、窓から良太が覗き見してたなんて。」

「ねえ、私達、浣腸というピンク色の糸で結ばれていたのね。
 もう、隠すことも、恥ずかしいこともないわ。」

「そうだね。約束を実行しようか。」

「本当、嬉しいわ。信じられない。」


 しばらくして、勝手口から、良太が小走りに出て行く姿がありました。
行く先は深夜営業をしているドラッグストアです。
間もなく、急ぎ足で戻ってくる良太の姿がありました。
手にはしっかり、買い物用ポリ袋が握られていました。

 1時間後、すっきり、さっぱりした表情の二人が居間でじゃれ合っている姿が
 目撃されました。
 えり子は良太にやさしく浣腸をしてもらったに、違いありません。
そして、二人はこれからも、心の傷を癒すため、また浣腸をするに違いありません。
二人は、浣腸により、夫婦のきずなをいっそう強くすることでしょう。

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