SPACE銀河 Library

作:えり子

儀  式

 (その1)

私、憧れの*女子大に 合格しました。
そして、今、入学式を終えたところなんです。
私、受験勉強はけっこう真剣にやりましたよ。
夜遅くまで起きてるのは苦手なので、朝早く起きて勉強しました。
おかげで、何とか合格できたんです。

 でも、受験勉強の後遺症もあるんです。
朝、ず〜っとお勉強してたんで、う*ちをするタイミングを
つい逃しちゃうんです。
だから、便秘になっちゃったんです。
 苦しいから、一度、お薬を飲んだんだけど、昼間に催しちゃって、
大変困ったんです。
母に相談したら、どうしても出ないときはこれを使いなさいって、
小箱を渡されたんです。
それはいちじくKでした。
 これは小さいながらも、すごく効くんです。
即効性があるから、大丈夫でした。
私、すっかりファンになっちゃった。
 私がこの女子大に合格できたのも、実にいちじく浣腸のおかげなんです。
これからも、彼としっかりお付き合いしたいと思ってるんです。

 私、今、サークルのガイダンスの会場にいます。
大学ではサークル活動が盛んなんです。
私、受験地獄から解放されて、サークル活動をうんと楽しむつもりです。
いろんなサークルがあって、どのサークルにするか迷っちゃうな。
先輩が一生懸命勧誘しています。

 私、ある先輩に声をかけられました。
「新人さんね、是非こちらのサークルにお入りにならない。
 コールフロイラインと言って、女性合唱団なの。
 声を出すって、楽しいわよ。
 それに、*大学の男性合唱団と親しくしていて、合宿やジョイント
 コンサートもあるわよ。」」
  私、答えます。
「おもしろそうね、部室を見ていいですか。」
「どうぞ、ご案内しますよ。」

 部室にはピアノが置いてありました。
「弾いてもいいですか。」
「いいですとも。」
 私はショパンのポロネーズを弾きます。
「すごくお上手ね。
 伴奏の人も必要なの。
 あなたは、ソプラノのようだから、ソプラノ兼ピアニスト
 として、是非入部して下さらない。」
 先輩は強引に勧誘します。
  
「私、ちょっと気になることがあります。
 私、実は便秘症なんです。
 だから、おなかに力が入れられないんです。」
「それは大変ね。
 実は私もそうなのよ。
 でも、大丈夫よ。
 いろいろと対策があるから。
 ちょっと、これを見て。
 私、練習や本番の前にはこれを使うの。」
  先輩はバッグからいちじく浣腸を取り出して、見せてくれました。
「そう言う手段もあるんですね。教えて下さって、ありがとう。」
 このサークルに入会するか、考えておきます。
  
 私は5才からピアノを弾いていました。
高校時代も一生懸命練習していました。
だから、その反動で、大学になってからは音楽はお休みしようと
考えています。
他のサークルを探します。
  
 文芸部から誘いがありました。
これは興味があります。
先輩が部室を案内してくれます。
作品が展示してありました。
 先輩が言います。
「ここは堅苦しいのは抜きよ。
 皆、それぞれ好きなテーマで、自由に詩や小説、俳句を作ってるわ。
 小説はポルノ小説やSM小説もあるのよ。
 今、女子大生って、けっこう進んでいるから、すごいのが書けるのよ。
 ワープロで書いた作品をぱらぱらめくってみます。
 むち、ローソク、それに浣腸などの語句が飛び交っています。
 驚きました。
 少女趣味の小説なんか、いまどき流行らないんです。
「俳句会もやるわよ、楽しいわよ。
 皆で旅行して、旅先で自由に句を作るの。」

 俳句の作品を見てみます。
おもしろい句が私の目を引きました。
「恥ずかしく やがてうれしいお浣腸」

 驚きました。
でも、おもしろい句です。
 先輩が言います。
これは私の作品よ。
私、便秘がひどいの、だからときどき病院で浣腸をしてもらうのよ。
初めは恥ずかしかったわ。
でも、次第にきもちよくなって、今はしてもらうの、うれしいの。
このきもちはあなたにはわからないでしょうけど。」
「いいえ、私も実は便秘なんです。よくわかりますよ。
是非、このサークルに入れて下さい。」

 私は文芸部に入ることにしました。
でも、文化系のサークルだけでは、もの足りない気がします。
もともと体を動かすのが好きなので、体育会系のサークルにも興味が
あります。

 ワンダーフォーゲル部をのぞきます。
テントやザックが展示してあります。
先輩がガイドをしてくれます。
山の写真が美しいです。
 私は質問します。
「楽しそうだけど、ちょっと気にあることがあります。
 山にはおトイレがあるんですか?」
「頂上にはいちおうあるけど、まったくない山も多いわね。
皆、自然の中でするのよ。
これって、けっこうきもちいいものよ、自然回帰の意味で。」

「小の方はいいでしょうけど、大となるとそうはいかない気がします。」
「そうね、これはコツがあるの。
 私達、皆出かける前にこれを使うのよ。」
先輩が見せてくれたのは、やはりあの青い箱でした。
「これを事前に使うと、2〜4日は大丈夫よ。
 皆こうしてるから、問題ないの。」
う〜ん、おもしろそうだけど、ちょっといまいちね。

 私は馬術部を訪れます。
先輩にお馬さんに乗ってみないと誘われます。
私はこわごわお馬さんに、近づきます。
すると、私の姿を見て、馬は興奮したようで、前足を上げて、ヒヒーン
と声を出します。

 先輩が言います。
「おや、この坊や、美人さんを見て、興奮したようね。」
偶然、その馬さんの下半身のもが私の目に触れました。
すごく大きく、驚愕しました。
私、何だか怖くなってしまいました。

 私、断る口実を探します。
「あの、私、実は便秘で、それに" ぢ "も少し悪いので、お馬さんに
 乗ることはできそうにないです。」
「大丈夫よ、私もそうだけど、お馬さんに乗る前日にはこれを使うのよ。」

 先輩が見せてくれたのは、またあの青い箱でした。
何だかお尻が痛そうで、私、乗馬クラブはあきらめました。

 私、弓道クラブに来ました。
先輩がはかまを着用していて、りりしい姿です。
弓道は日本古来のもので、腕を競うだけではなく、礼儀を重んじる競技
なんです。

「礼法の指導も受けられるので、いいですよ。
 "龍派" の先生が指導して下さいますよ。
これはよさそうです。
このサークルも私、加入することにしました。
体育会系と言っても、汗まみれになるのではなく、礼を重んじるスタイルに
興味を覚えました。
スキー部、テニス部とどちらにしようか迷いましたが、こちらに決めました。


 (その2)

 私は文芸部のサークルに入部しました。
入部して、最初の行事があります。
俳句会合宿です。
 しかも、*女子大と#大学俳句会との合同合宿なんです。
#大学の俳句会は全員が男性だそうです。
 早い話が合ハイのようなんです。
しかも、合宿なんです。
とても楽しみです。

 お題は毎回事前に決めるそうです。
今回は#大学がお題を決める番だそうです。
 #大学から、連絡があって、今回のお題は何と「浣腸」なんだそうです。
#大学のお題は毎回、エッチなものが多いそうです。

 俳句なんて、即席ではつくれません。
事前に準備しておく必要があるんです。
そして、その場でつくったような顔をして、発表するんです。

 私、早速、薬局に行って、いちじく浣腸の5個入りのパッケージを
買ってきました。
とても、恥ずかしかったですが、仕方ありません。
経験しておかないと、よい句はできそうにないと思ったからです。

 こわごわ、挿入してみます。
高校時代にはときどき使っていましたが、何度経験しても平常心では
ありません。
どきどきものです。
自分でするのも恥ずかしいんです。

 3日お通じがなかったので、すごく成果がありました。
おなかは苦しく、痛くなりましたが、すっかり出てしまい、
とてもよかったです。
すがすがしい気分です。
よい句ができそうです。

 いよいよ合宿です。
合宿先で苦しまないよう、朝、またいちじくを1個注入します。
すっきりした顔で、合宿に参加します。

 *霧高原のペンションが会場です。
名前の通り、朝はすごい霧です。
一面ミルク色で、ロマンチックです。
食事の後、皆と高原を散策します。

 背が高く、とても上品な顔立ちの方といっしょになります。
互いにあいさつをします。
「*女子大に今春入学しました、えり子と申します。」
「#大学理学部の博士課程後期の龍太と申します。」
 二人は並んで話をしながら、散策をします。
話題が豊富なお方で、とても楽しい時間を過ごすことができました。

 いよいよ句の発表会です。
新人から、発表させられます。
5人の新入女子大生がまず発表させられます。

 #大学の男子学生達はにやにやしながら、このときを今かと待っています。

 A子が発表します。
「浣腸を しますと言われ 顔赤め」
 拍手がわきます。

 B子の番です。
「早くして レジの時間の 長いこと」
 また拍手です。
 
 C子の番です。
「三日目ね そろそろデート しようかな」
 また拍手です。
 
 D子の番です。
「浣腸が ないと私は 死んじゃうわ」
 拍手が一段と大きくなりました。
 
 いよいよ私の順番が来ます。
どきどきです。
「それでは、えり子さんの番です。」

 私は自分の句を発表します。
「時節柄、今の春の時期を考慮した句で、七五調でまとめさせて
 いただきました。
 "目に青葉"、"山ほととぎす"、"初かつお"を頭文字にして、七五調で作りました。」
  浣腸の経験は少ないですが、妄想でもって、作らせていただきました。

(め)目一杯です   チャレンジよ
(に)二千シーシー  入れてみる
(あ)あたたかい液  ここちよく
(お)おなかゴロゴロ し始めて
(ば)爆発しそう   大変よ

(や)やっぱりエネマ きもちいい
(ま)毎日しても   あきないわ
(ほ)ほっとしますよ オアシスね
(と)ときには道具  取り替えて
(と)とっておきです 秘蔵品
(ぎ)ギヤマン製の  シリンダー
(す)好きよ浣腸   大好きよ

(は)初めて浣腸   されるのよ
(つ)詰まってしまい 苦しいの
(か)顔を隠して   お尻出し
(つ)ついにノズルを 入れられて
(お)おトイレどこよ 気になるわ

 大きな拍手が起きました。
どうやら成功のようです。
私はほっとしました。
肩の荷が降りた気がします。

 誰かが言います。
「大型新人の登場です。」 


(その3)

 私は弓道部の練習場に向かいます。
文芸部と弓道部の2足わらじをはいているのです。
はかまのスタイルになると、身が引き締まる思いです。

 的にはなかなか当たりませんが、背筋を伸ばして、弓矢を扱うのは
ここちよい緊張感を伴って、いい感じです。
 明日は礼法の先生に礼儀作法の指導を受けるのです。
それも楽しみです。

 仲間達と私の5人で先生のお宅へうかがいます。
表札が掲げてあります。
" 礼法 龍派家元 " と書いてあります。
小笠*流などは聞いたことがありますが、この龍派というのは初めて
聞く名です。
古い大きな邸宅で、庭が和風庭園になっていて、手入れが行き届いて
すばらしい光景です。
こんなお家に住んでみたいと思います。

 仲間とお座敷に通されます。
私は勝手がわからないので、皆のまねをします。
ふすまが開いて、先生が現れます。
その顔を見て、私は驚きます。
何と、あの龍太さんではありませんか。
#大学の博士課程の学生さんのはずです。

 和服に身を包んだその姿はまるで、家元の若師匠と言う風格があります。
龍太先生が口を開きます。
「皆さん、よくいらっしゃいました。
 初めてのお方もいらっしゃるので、ご説明をしておきます。
 この龍派は堅苦しい作法は抜きで、ごく自然に振る舞って
 いただいて かまいません。
  この龍派と言うのは、日本の伝統とインドのヨガが融合
 した礼法なのです。
 心と体の清浄を大切にしております。
 ひとつだけご注意しておきます。
 人間のお尻は不浄なものとされております。
 ですから、お尻を人の前に向けたり、見せてはいけません。
 これだけはお守り下さい。
 それに、まずお尻を清浄にする儀式が最初にあります。
 皆さん、お隣の部屋にお移り下さい。」
 
 皆は先生に、背中を向けないよう注意しながら行動します。
 隣の部屋に移動します。
 
 そこには見慣れない道具がセッティングしてありました。
1Lのガラス容器がスタンドに吊り下げられていました。
それには、シバの女王の絵が描かれてありました。
 そのガラス容器にはゴム管が接続されていて、先端には鳥の嘴のような
小管が付いています。
そして、水をたたえた大きな陶製の容器とひしゃく、ちり紙とチューブが
置いてありました。

 先生が口を開きます。
「われわれの流儀では、礼法を実践するには心と体を清浄にして行う必要が
 あります。
 人間の体の中には宿便と言うものが付着しています。
 こんな状態では心の安息を得ることができません。
 そこで、宿便を除去して、体内をきれいにする浄化の儀式を行います。」
 これはヨガのニヤマ(勧戒)の思想を取り入れたものです。
 
 皆、緊張しながら、そのお話を聞きます。
 どうやら、あの器具を使って、宿便を除去するらしいのです。
 ここでするのかしらと、心配になります。
 龍太先生や皆の前でそんなことをされるのは、とてつもなく恥ずかしいことです。
 
 「それでは新人のえり子さん、あなたから始めます。
  助手の未来(みき)が施行いたします。」
  
  赤い作務衣をまとった未来さんという女性が器具の操作をします。
 年令は10代後半くらいの若い女性です。
 巫女さんのような感じです。
 
  先生と私は向かい合って、おじぎをします。
 私は
 「お願いいたします。」
 と言います。
 先生は
 「それでははじめ。」
 と号令をかけます。
 未来さんが、私を前に手をつかせ、腰を浮かせた姿勢にします。
 私はお尻を決して先生の方向には向けないよう注意します。
 私はお尻を高く突き上げさせられます。
 とても恥ずかしい姿勢ですが、幸い先生や皆の方にはお尻は見られない
 姿勢です。
 
 未来さんが、私のお尻にチューブの軟膏を塗ります。
 それから嘴管を挿入されます。
 いちじく浣腸しか経験のない私は不安でたまりません。
 陶器の水がガラス容器に移されました。
 「はじめます。」
 未来さんが言うとすぐにお尻にあたたかい液が入ってきます。
 皆が私を見ています。
 目のやり場に困ります。
 まったく、予期しないことになってしまいました。
 でも、これは儀式なのです。
 恥ずかしく思う必要はないのです。
 私は開き直って、毅然とした態度を取ります。
 おなかが違和感を感じ始めます。
 私はじっと我慢します。
 苦しいです。
 「注入を完了しました。
  ここにご放出下さい。」
  未来さんが、ガラス製のおまるをもってきます。
 それは幼児が座るような鳥の形をしたものがあしらわれています。
 よく見ると、それは鳳凰のようです。
 美しい彫刻です。
 私はがまんできずに、
 「失礼します。」
 と言って、放出を始めます。
 いつの間にか香がたかれています。 それに、おまるには
 あらかじめ消臭剤が入れてあったのか、排出されたものの
 においは消されています。
 しかし、音は消すことはできません。
 私のお尻からは高らかな音が響き渡ります。
 
 「終わりました。」
 私ははっきりとした口調で告げます。
 未来さんは、香水で湿らせたちり紙でお尻をふいてくれます。
 未来さんはおまるを先生の前に差し出します。
 
  排泄物を人に見られるのは、とてつもなく恥ずかしいことです。
 穴があったら入ってしまいたい心境です。
 でも、もうどうすることもできません。
 あの容器を奪い返すこともできないのです。
 
  先生はその中身を確認して、
 「けっこうです。」
 と言います。
 どうやら私の儀式は終わったようです。
 
 それから、お友達も同じような儀式を受けました。
終わると、体と心が確かに清められた気がするから不思議です。

 お座敷に戻って、龍太先生から礼法の指導がありました。
どうやら自然に振る舞えばいいことがわかりました。
ただ、お尻を先生に向けてはいけないのです。

 座禅、呼吸、瞑想がポイントで、ヨガの挫法(アーサナ)、
呼吸(プラーナヤーナ)、瞑想(ディヤーナ)が取り入れられています。

 これなら、弓道ともよく合うはずです。
作法、呼吸法、精神統一、そして、礼を身につければ、おのずと
弓の腕は上がるはずです。
 
 恥ずかしさも、もう遠のいて、今はすがすがしいきもちです。
浣腸してもらってよかったと思いました。
だって、こんなにすっきりして、きもちいいんですもの。


(その4)

 私の大学生活は順調でした。
勉学の単位もきちんと取れてますし、サークル活動も、文芸部、
弓道部、そして礼法にと楽しんでいます。

 そんな中、異変が起こりました。
私、4年になったとき、就職活動を開始しなければならないと
思っていました。
すると、こともあろうに、あの龍太先生から、突然プロポーズされちゃったんです。
龍太先生は大学の博士課程を卒業して、母校の講師を勤めているんです。
もちろん、作法、龍派の家元としての活動も継続されるんです。
だから、私は家元婦人にと望まれているんです。

 私のようなものが、そんな大役をつとまるのか不安です。
私は自問、自答をします。
「こともあろうに、お尻の不浄を忌み嫌う、この家元へ
 便秘がちな私が嫁ぐなんて、許されるのかしら。」
「あっ、そうか、毎月、あの儀式を受けるから、不浄じゃ
 なくなるんだ。
 家元夫人も悪くないな、まぁ、いいかっ〜。」
 それに、龍太さんが、私を支えてくださるんだし・・・。」

 結局、私、O.K.をしました。

 卒業と同時に結婚式がありました。
いわゆる披露宴はなく、双方の親族のみが集まっての式だけです。
華美をきらう家風なので、こうなりました。

 式は龍派に伝わる形式で行われます。
神前結婚です。
神主さんが、仲立ちを勤めます。
式は厳かに進み、いよいよ最後の清めの式です。

 神主さんが、説明をします。
式は無事に終わりましたが、まだ清めの儀式が残っています。
花嫁さんはまだ、不浄なお体です。
これでは、新郎と結ばれることはできません。
そのため、ここに清めの儀式を行います。
花嫁さんのおなかの邪気を追い払い、清浄な体にして、
龍太さんに差し上げる形になります。

 両家の親族に向き合って、私と龍太さんが座ります。

 巫女さんが器具をもって来ます。
何と、あの未来さんです。
彼女はこの神社の巫女さんだったのです。

 神主さんがお払いをして、祝詞(のりと)を奏上します。
「今、ここに龍派の伝統にのっとって、不浄の清めの浣腸の儀式を
 取り行います。
 払い給え〜、清め給え〜。」
 
 未来さんは私お背後にイルリガートルの器具一式をセットします。
私は手を前について、頭を下げ、お尻を高く上げさせられます。
私の衣装のすそがめくられます。
私のお尻に嘴管が挿入されます。

 こんなに多くの人の前で、浣腸されちゃうのはとてつもなく恥ずかしい
ことです。
でも、私はこの家元婦人になるんです。
これを拒否はできません。
それに、この4年間、この儀式を毎月受けてきました。
儀式の効果は1月限りなのです。
1月後には、溜まった宿便を排除するための儀式をまた受けなければ
ならないのです。

 私は礼法で鍛えられているのです。
ですから、このようなことで、いちいち、うろたえてはいられません。
毅然として、儀式にのぞみます。
実は本音を言うと、私、あの浣腸が好きになっちゃったんです。
されるのは恥ずかしいけど、終わった後はすっきりして、とてもきもち
いいんです。

「清めの浣腸の儀を開始します。」
巫女さんが言います。
「えいっ。」と未来さんが叫んで、液が注入されます。
親族の人を含め、一同の視線は私に注がれます。

 あたたかい液がぐんぐん私のおなかに進入してきます。
私は平然とした顔で耐えます。
苦渋に満ちた表情をすることはできません。
でも、このイルリガートルの浣腸はいちじく浣腸より
ソフトな感触で、おなかにやさしく、私は好きなんです。

 しばらくすると、未来さんが、あのおまるをもってきます。
「ご排出下さい。」

 両家の親族が見守る中を、私は幼児のようにおまるに座ります。
親戚の席で、母が心配そうに私を見守っています。
粗相をしなければよいけど・・・と顔に書いてあります。
 
 私はおなかに力を入れます。
一気におなかからすべてが排出されました。
やっと、安堵しました。
 
 未来さんはそのおまるをまず、神主さんに差し出します。
神主さんはおまるにお払いをします。 
未来さんは次におまるを龍太さんの前にもって行きます。
龍太さんはそれを見て。
 「けっこうでございます。」
と言います。
 
 どうやら、私は家元婦人の試験にパスしたようです。
それからおまるは親族の前にもって行かれ、確認がなされます。

 こうして、儀式はすべて終了しました。
私は礼法龍派の家元婦人になったのです。

 夜になりました。
いよいよ私は初夜を迎えます。
私と龍太はお互い白衣の和装をまとい、向かい合います。
さすがに、緊張します。

 龍太は言います。
「えり子、今日は式や儀式で、さぞ疲れたことだろうね。
 今夜、無理にお務めをしなくてもいいんだよ。」
 
 私は三つ指を突いて、頭を下げながら言います。
「ふつつか者ですが、よろしくお願いいたします。」
 龍太も軽く会釈します。
もう、私はすべてを龍太に任せ、なすがままに従います。

 龍太は私の体を静かに引き寄せます。
龍太は私の着衣を静かに脱がせます。
そして、龍太は私の体の上に自分の体を静かに重ねます。

 龍太はまず私に口づけをします。
男性の香りがします。
それから、龍太は私の乳首に接吻をします。
いいきもちです。
私も興奮してきました。
泉が潤ってきて、龍太を迎え入れる準備が整いました。

 龍太と私はしっかり結ばれました。
龍太が体を小刻みに動かします。
次第にきもちがよくなり、私は頂上に上り詰めます。
 龍太が突然体の動きを止め、私から離れました。
 
「さあ、体位を変えるよ。」
龍太は私の背後に回ります。
そして、私のお尻を浮かせます。
 私は驚いて、言います。
「私は不浄な部分をあなたに向けています。」
龍太が答えます。
「清めの儀式をしているから、大丈夫さ、心配なく。」
私は安心して、龍太にすべてを任せます。

 私は腰を上げ、不浄な部分を龍太の前に大きく広げます。
恥ずかしくてたまりませんが、龍太に身を任せます。
龍太は後ろから私の体内に進入し、また体を動かします。
再び私は頂点に上り詰め、絶頂感を得ます。
 やがて、龍太が果てました。
 
 しばらくして、龍太が言います。
さあ、休もうか。
二人は枕を並べます。

 龍太が私を見ながら、やさしく言います。
「明日は*月1日で、月が変わるから、また儀式をするよ。」
「はい、お願いします。」
 でも、疑問があるので、龍太に聞きます。
「儀式はまた未来さんがなさるの?」
 龍太は言います。
「僕は家元と言えども、未婚の女性の体、ましてはお尻の穴に触れることは
 できない。
 でも、君はもう僕と結婚したのさ。
 だから、あの儀式はこれからは僕が自らの手で行うさ。」
 
  よかったです。
 これから毎月1回、私は愛する龍太の手で浣腸の儀式を受けるんです。
 私、龍太と結ばれた上に、毎月あの浣腸の儀式が受けられるなんて、
何て幸せなんでしょう。

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