SPACE銀河 Library

作:愛葉知子

痴  漢

OLの由佳里には悩みがあった。
通勤に向かう電車がとてつもなく込んでいる事、そしてこの一ヶ月痴漢に悩まされている事だ。
内気で人見知りする由佳里は痴漢に抵抗することも、声を上げて助けを呼ぶことも出来なかった。
おまけに痴漢だなんて恥ずかしいことを、友人にも親にも相談できないで、一人憂鬱と戦っている状態だ。
男性経験は大学時代に付き合った彼が一人居るが、セックスの経験といえば数えるほど…しかもセックスの良さが分からず嫌悪感さえ抱いていた。
そんな由佳里に彼は、
「人形を抱いているみたいだ。こんなつまらない女とは付き合っていても面白くない。」
と捨て台詞を残して去って言った。
それからというもの、男性とセックスが恐怖となり合コンの誘いも、会社の課の飲み会も参加しないでひたすら家と会社の往復のみの生活だ。

「男を寄せ付けないようにしているのに痴漢だなんて…世の中には触って!と言わんばかりの格好で町を歩いている女はごまんと居るのに、なんであたしが狙われるの?」
そう思いながら今日も出勤の為、満員電車に乗る由佳里だった。
車両を変えても、乗る時間を変えても何故か翌日には痴漢は由佳里の背後に立っている。
ある時はお尻を撫でられ、ある時はおっぱいを揉まれ…その行為は由佳里が抵抗も声を上げないのもイイことに、段々とエスカレートして行った。
昨日は、片手で痴漢の男性器に由佳里の手を押し付けてもう片方の手を由佳里のパンティの中にもぐらせて来た。
「もう嫌だ…明日は絶対に声を上げて痴漢を警察に突き出してやる!」
そう決心するには充分だった。

今朝は電車に乗り込む時に、人を強引に掻き分けドアに近い場所に立った。
「絶対許さない。こんな目に遭うのはごめんだわ」
そう心で呟くと、痴漢の姿を探した。
すると、痴漢は由佳里と同じ車両に乗ってはいたが、随分離れた場所に立っていた。
しかし、次の駅で人の乗り降りに乗じてスルスル〜っと由佳里の傍らに立った。
そして、痴漢はイキナリ由佳里のパンティに手を入れたかと思うとアナルをマッサージしだした。

由佳里が大学時代に付き合っていた彼氏は、由佳里にアナルセックスを要求した。
しかしそんな不浄な場所に男性器を挿入されることはモチロン、指で愛撫される事は耐えられなかった。
一度強引に指をアナルに入れられそうになったが嫌悪感と痛みで、彼氏を突き飛ばしてしまった。
痴漢の行為が始まったので勇気を振り絞って声を上げるつもりだったが、思いもよらぬアナルへの行為…しかも痴漢の指は巧妙かつ繊細で、不思議な感覚が由佳里を襲い声を出すタイミングを逸してしまった。
痴漢はアナルにローションを塗ったようだ。
ローションを使った経験がない由佳里には、一体何なのかは分からないがヌルヌルした感覚と、そっと差し入れられる指に酔いしれていた。
しかしその瞬間、痴漢はパンティから手を抜くと後ろで何かごそごそしだした。
数秒置いてまたパンティの中に手が入って来たと思った瞬間、アナルに小さな痛みが走った。
何か細い物が差し込まれたようだ。
すると、直腸に冷たいものが流れ込んで来た。
またパンティから手が抜かれ、何かを直腸に注がれる…そんな動作が四回繰り返された。
繰り返される度にお腹がゴロゴロして来て、自分の身に起こったコトを悟った。
「か、浣腸?えぇ何で?ちょっと、お腹痛いっ」

電車は急行、さっき停車駅を出たばかりなので10分は止まらない。
お腹の痛みをこらえながら身をよじっていたら、再びパンティに手が入って来た。
「嫌、これ以上浣腸されたら漏れちゃう!駄目ぇ、今でも限界なのに」
そう思ったが、痴漢の手は由佳里のヴァギナを愛撫し出した。
痴漢は由佳里に
「濡れてるね。凄いよ。」
そう囁いた。
何も言えず泣きそうになりながら、お腹の痛みに耐えるのがやっとで立っている事もままならない。
すると痴漢の指は膣の中にまで入って来た。
濡れているせいでスンナリ入ったことに由佳里は驚き、指の侵入に嫌悪感が湧かないことにさらに驚いた。
指が二本、三本と増やされてGスポットを刺激する。
「お腹痛いっ、トイレに行きたい!でも、でもあぁぁ」
冷や汗をかきながら、身悶える由佳里のすぐ横に立っていた中年の女の人が声を掛けて来た。
「大丈夫?顔色悪いけど」
由佳里は精一杯笑顔を作って大丈夫と答えたが、大丈夫な訳はなくもう漏れる寸前だった。

そんなやり取りも意に関せず、痴漢は執拗な責めを止めようとしない。
「もうすぐ停車駅だ、そしたらトイレに行ける」
由佳里はそう思いながらも、快感は抗っても襲ってくる。
「何で?何で気持ちイイなんて思うの?あたしの身体どうなってるの?」
そう自問自答したが分かるはずも無く、お腹の痛みと相反した快感に必死で耐えていた。
しかし立っているのがやっと、しかも痴漢の手は膣の中で更に激しく蠢いて…あと少しで駅…というところで痴漢は激しく強く指を動かして、由佳里はイってしまった。
「あぁぁぁ」
思わず声を上げてしまった。
そして声を上げたと共に
「ブリブリィィィ」
なんとお漏らしをしてしまったのだ…

力なくその場に崩れ落ちた由佳里の周りの人間は後ずさりし、好奇な視線を向けている。
直ぐに電車の扉が開き、乗客と痴漢は降りて行った。
泣き崩れる由佳里を置き去りにしたまま…

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