先日、戦時中の薬の商報や薬界新聞の資料を見る機会がありました。
昔は多種多様な浣腸が製造されていたそうです。イチジク浣腸、当時はイチジク印輕便浣腸と名されていました。他にキンセン浣腸、ピストル浣腸、マルエッチ浣腸、イージー浣腸、サクラ浣腸、テーシー(TC)浣腸、ナスカン、ビワカン、三笠浣腸、アイデアル浣腸、タイヘイ浣腸、ハナキ浣腸は現在ではハナキゴムとして指サックを作っています。ナスカンは虫下しに効く総ゴム製の浣腸と謳っていました。きっと強力な浣腸液が入っていたのでしょう。
戦後から現在に至るまでに、浣腸の種類が少なくなりました。
私が浣腸に興味を持ちはじめ、薬局廻りをしていた頃の浣腸です。
ローヤル浣腸R、三ツ星ダイヤ浣腸、ミカサ浣腸、ビワ湖浣腸、コトブキ浣腸、アルマ浣腸、ハートカンチョウ、ハートカンチョウ(UFO型)、NEWビワ浣腸、フィット浣腸、グリセリン浣腸ツキシマ。
今では薬局自体も減り、量販店のドラッグストアが大半を占めていて、どこに行ってもあるのはイチジク浣腸とコトブキ浣腸とケンエー浣腸、それにOEMのスースカット浣腸、ミカサ浣腸くらいです。
私情ではありますが、近頃では政府は改憲や共謀罪の設立、森友学園問題でとり出さされる教育勅語など、戦前回帰と呼べるような世風を感じさせます。それがいいか悪いかは十人十色な意見がありますが、私の至極個人的な意見としては、戦前回帰を謳うなら時代背景も戦前色に変えてほしいと思います。
昨今では育児書に浣腸が奨励されることが少なく、病院の治療でも点数が少ないことなどから下剤の処方が大半。昔は子どもが熱を出せばまず浣腸だった風潮もいまは昔。ギョウ虫検査も今年度から廃止され、検便さえも聞かなくなりました。浣腸離れが起きているどころか近所の人付き合いさえも希薄になり、隣りのおばちゃんが浣腸してくれるとか、赤ちゃんが生まれた家に保健婦さんが自転車に乗って浣腸の仕方を指導したりする、そんな戦時中の生活を引き継いでこその戦前回帰だと思います。いずれにしても、また日常的に当たり前に浣腸が行なわれる家庭風景が築かれていってほしいです。
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