先日、ふとしたことで10日あまり入院という事になりました。もとより大した自覚症状があったわけではなく、まあちょっとした休養という風な軽い気持ちで入ったのですが、初日から便通がなく、ついに5日目を迎えました。前日から下剤を貰って飲んではいたのですが効き目がなく、昼過ぎに肛門に栓をされたような感じで苦しくてならず、やむなく担当医師にそのことを訴えました。
「浣腸という手もあるけど、腸を傷つけることがあるからねえ。何とか他の方法を試してみましょう」
と言われましたが、しばらくそのままで待たされました。時間がたつほどに苦しさはつのるばかり、とうとうナースコールで看護婦さんを呼びました。
看護婦さんは
「まず摘便と言って手で便をかき出すのをやってみましょう」
ということになり、便器やらおむつやらをワゴンに乗せて病室にやってきました。
「それじゃあ、左を向いて膝を曲げて・・・」
と、型のごとくパンツを膝までおろすとお尻の下に防水布を敷きました。
「お尻に力をいれないで、お口で深呼吸してくださいね」
と、手袋をはめた指を入れて来ました。
「便が奥の方で固まっていて、指がかからない」
と、二人の看護婦さんが交代で何度も挑戦しましたが、らちがあきませんでした。
「こうなると浣腸を掛けて便を少し下まで降してやらないとダメみたい。ちょっと待っててね」
という展開となりました。パンツを下ろしてお尻を露わにしたままです。
もしかして浣腸されるかもしれないとは思ったのですが、まさか4人部屋で実際に浣腸されるとは、「罪なくして配所の月を見る」という言葉がありますが、風俗店やプレイとは異なり実際に苦しくて仕方のない状況では風情もへったくれもありません。
やがてGE60が用意されたらしく、
「管を入れますよー」
と、声を掛けられ、そろそろとノズルが奥まで入って来ます。ゴムカテーテルと違いディスポのGEのノズルは細くて硬いので腸壁を傷つけないようにゆっくりと挿入するのでしょう。
そして注入開始なのですが、何分5日以上の便が固まっていて入れるそばから漏れようとするのを堪えきれません。必死にお尻を締めようとするのですが、余計に漏れて出てきてしまいます。摘便は結局不成功に終わって、相変わらず出口を硬い便が塞いでいる状態です。おむつらしい物で肛門を押さえてくれますが、どうにもこうにも保持できず、パンツを上げてくれたのを幸いトイレに急ぎました。
こみ上げる吐き気と闘いながら思い切りいきんだ結果、ガスの破裂音とともに5日分の硬便が連続で一気にほとばしり出ました。まさに悪戦苦闘という仕儀でした。大きな塊が無理やり通過したので、肛門が切れて紙に血が付きます。
看護婦さんは扉の向こうで待っていてくれて、トイレの中をのぞくと
「わー、たくさん出たわねえ」
と、喜んでくれました。久々にすっきりしたおなかと、切れて痛い肛門を抱えてちょっとふらつくのを看護婦さんは脇から腕を抱えて病室に戻してくれました。下着は茶色の浣腸液で汚れていて、早速交換です。
待望の「病院での浣腸」を体験したのですが、あまりの苦しさと、下着を汚すなどの不手際で、到底風情とは縁遠い経験でした。
ちなみにそのあとは下剤を少し増やしたのと、毎日トイレで頑張ったのとで、退院まではこういう羽目にならずに済みました。
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