私はある県立高校の養護教諭、つまり「保健の先生」です。着任して3年になります。
前職は看護婦でしたが病院の人間関係に嫌気が差し、一発奮起して養護教諭の免許を取ったのです。
今年で28になるので親はしきりに結婚話を持ちかけてきます。ですが私は全くその気がありません。
私の学校は県内では進学校で知られ生徒は皆まじめ、男子校のためか多くの子が私を慕ってくれています。
毎日多くの生徒が保健室にやってきますが、学校の事とて一番多いのは軽い外傷、次は頭痛や腹痛です。腹痛の原因は
様々ですが最も多いのが急性胃炎、多分勉強のストレスでしょう。また食あたりも時々ですが、思いのほか多いのが便秘です。
便秘といえば女の子の悩み事と思っていた私には意外でしたが、診ると3日間通じが無い子も珍しくなく、それでお腹が痛いと
なればまず排泄させねばなりません。こういう時のために保健室にはイチジク浣腸が常備されています。
私が「浣腸」と言うとみんなハッとした表情をします。ですが事態が事態ですのでここは意地悪先生に徹します。
「できればお薬だけ頂きたいんです・・・」「もちろん薬はあげるけど、3日出てないんじゃ効かないの。浣腸したことないの?」
「・・・ないです・・・」「じゃ先生してあげるから。今出しておかないとウンチ硬くなって病院に行くことになるわよ」
いつもこんな感じですが、嫌がっていても私がイチジク浣腸を取り出すと皆観念したように大人しくなります。
浣腸は看護婦だった時に何人もの人にしてきましたが、ここではいつも妖しい感覚に襲われます。それは病院では大半が
お年寄りか幼児にだったからかもしれません。
中には激しく拒絶する生徒もいますがその時は無理はせず、病院に行くようにいって早退させます。そして後日談を聞きます。
これはある生徒(A君)の場合なのですが、A君の嫌がりぶりに私は説得を諦め早退させることにしました。担任の先生を通して
家庭にも連絡してあるので直ぐに病院に行くことでしょう。看護婦の経験から病院に行けば「きっと浣腸」と思った私、A君の
その後がちょっと愉しみでした。
後日、保健室にA君に来てもらいました。「もう元気そうね。それで何が悪かったの?」「・・・はい・・・」
A君の腹痛の原因はやはり便秘だったそうです。「ふ〜ん、便秘ねぇ。あれも放っておくと怖いのよ。で、何された?」
A君がパッと赤くなります。私の見立てどおりA君は浣腸されたのでした。私は症状に対する処置に関心があるふりを装って
浣腸の状況を詳しく聞きだします。A君はよほど恥ずかしいのでしょう、座りにくそうにお尻をモジモジさせたり、遂には
耳まで赤くなってしまいました。
この仕事、辞める気は全く無い私なのです。
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